Interview

坂口有望メジャーデビュー。「ビックになりたい!」ちょっと小柄な16歳・シンガーソングライターの素顔

坂口有望メジャーデビュー。「ビックになりたい!」ちょっと小柄な16歳・シンガーソングライターの素顔

大阪にある女子校に通う16歳のシンガーソングライター、坂口有望(さかぐち・あみ)。大阪の下町、天王寺出身で身長は148㎝。小学校4年生の時に「ビッグになる!」と決意した彼女は、13歳(中学2年生の冬)で初めてライブハウスのステージに立ち、2年後にはインディーズからシングルをリリース。初ワンマンもソールドアウトさせ、この夏にカラフルでポップな失恋ソング「好-じょし-」でのメジャーデビューが決定。エンタメステーションでは、新世代の代弁者となる可能性を多いに秘めた彼女に、スカイプを通してのインタビューを敢行した。

取材・文 / 永堀アツオ


小4の時に、クラスのみんなの前で歌う機会があって。歌った時に、友達のみんなに褒められて。その時初めてプロになりたいって

小さい頃はどんな子供でした?

目立ちたがりで、めちゃくちゃ負けず嫌いでした。昔から、歌うことは好きだったんですけど、最初は音楽を仕事にするとはあんまり考えてなくて。理由はわからないですけど、自分には向いてないかなと思ってたんですよね。音楽に詳しいわけではなかったので、私には無理なのかなって思ってました。

その考えはどこで変わりました?

小4の時に、クラスのみんなの前で歌う機会があって。歌った時に、友達のみんなに褒められて。その時初めてプロになりたいって思いました。ただ、そう思っただけで、なりたいと思う前と後で、何か変わったわけではないんですけど、友達に、『絶対にビックになるから』って言いふらしてましたね。特に努力はしてないんですけど(笑)。

あはははは。努力を始めたのは?

小学校6年生の時にヤマハのボイトレに通い始めました。そこのボーカルの先生がめちゃくちゃ怖くて。私、友達に褒めれて天狗になってたので、その先生にも『絶対にプロになる』って言ったら、めちゃくちゃ怒られて。『プロはそんなに甘いもんじゃない! プロの道は厳しいんだ』って。でも、私は、今、振り返ると恥ずかしんですけど、絶対にプロになるんだって確信してたんですよね。それに、もしも自分がプロになれへんくても、自分が好きな歌を好きなように歌い続けたいなと思ってました。その後、中学受験が終わってからアコギを買って。買ったものの、全然弾かなくて。ちゃんと弾き始めたのは中学1年の夏休みからですね。

ギターを持ってたら、かっこよかったんです、私の中で

どうしてギターでした?

ギターを持ってる人=かっこいいっていうイメージが勝手にあって。それだけで買いました(笑)。特に誰とかはなく、ギターを持ってたら、かっこよかったんです、私の中で。ビジュアル的なところから入りました。

翌年の中2の冬にはもうライブハウスに出てますよね。

もともとは、私が一人で三国ヶ丘FUZZにお客さんとして見に行ったんですよ。そしたら、たまたまブッキングの方に『音楽やってるんやったら出てみる?』っていう、軽い感じで誘ってもらって。最初は、2015年の新年会で2曲くらい歌わせてもらったんです。FUZZに馴染みのある人がいっぱいくる新年会やったんですけど、私はカバーを歌って。新年会やから、みんなはライブっていう感じで観てないのに、私は初ライブやからヤバいっていう感じで、ガクガクで出たのを覚えてます。その時は、サザンオールスターズの「TSUNAMI」をやりました。その2ヶ月前くらいにYouTubeで誰かがカバーしているのを見つけた時に、めっちゃいい曲って思って、ギターの弾き語りでカバーして。それまでは、友達とか家族の前でしか歌ったことがなかったから、初めて会う人に自分の歌を届けるっていうことに感動して。すごく新鮮で、衝撃を受けました。すごいなって。

中学生時代にギターを始めて、ライブハウスにも出るようになって。

中1の時は、自分がライブハウスに出て歌うっていうことも想像してなかったので、中2になってライブハウスに出てから、月に3〜4回とか、いっぱい出るようになって。だから、中学生時代は、その変化にとにかく慣れようってする3年間でしたね。MINAMI WHEELには中3の時に、初めて出たんですけど、サーキットイベントがめっちゃ怖かったんですよ。お客さん、ほんまに来てくれるのかなって、ビクビクしながら、ライブしてて。でも、出てる人みんなもほんまに来てくれるんかなとかっていう気持ちでやってんやなって思ったら、アーティストとして、みんなで同じ気持ちを持ててるのが嬉しかったです。

自分は音楽しかできることがないし、他の道は、考えたとしても、なれへんなと思ってました

もうアーティストっていう意識ですよね。将来を決めるのが早くないですか。

友達にもよく言われます。友達はまだ何になるか決めてないのに、私は『音楽で! プロで!』って言ってるからすごいなって言われます。自分は音楽しかできることがないし、他の道は、考えたとしても、なれへんなと思ってました。

オリジナルを作り始めたのはいつくらいからですか?

中2の終わり、2月とか。ライブハウスに出始めた1ヶ月後くらいから作り始めました。最初に作ったのは『おはなし』という曲で、インディーズの最初のシングル「おはなし/地球-まる-」のリード曲になってて。曲を作り始めてから最初の2〜3曲目が入ってるので、本当にそこから始まったっていうスタートの1枚ですね。

メジャーデビューが決まったのは?

高1の冬です! 自分の中でメジャーデビューはすごい遠いもんやと思ってたから、はやっ!って思いました(笑)。でも、やっぱり、メジャーデビューが決まったっていうのが自分でもでかくて。高校生になってから勉強がめっちゃ難しくなって。みんなについていくのがしんどいんですけど、めっちゃ勉強して、めっちゃ音楽して、メジャーデビューしたっていうニュースに負けへんように、自分でも色々成長していきたいなって思います。

女子校に通っているので、女子校ならではの女の子の恋を書きたいなと思って

デビューシングルはどんなものにしたいと思ってました?

インディーズの1枚目、2枚目に出した曲たちも、すごく自分の中で好きな曲やったから、それに劣らへん、インディーズに負けへん、強いシングルを作りたいって思いました。成長したっていうか、進化した私を見せたかったですね。

表題曲「好-じょし-」はいつ頃に作った曲ですか?

高1の夏ですね。当時、同じクラスの友達が恋をしてて。その子の話を聞いて、恋の曲を作りたいなと思って。

失恋ソングですよね。

はい。女子校に通っているので、女子校ならではの女の子の恋を書きたいなと思って。女子校の一面を出せるのは失恋した時やなと思って、失恋ソングにしました。言い方悪いんですけど、みんな、女子力があんまり高くないんですよ。女子しかおらんから、みんな負けず嫌いで、みんなサバサバしてて。強いところもあるんですけど、それとはちゃうくて、乙女な弱々しい一面もあって。それは、女子校ならではの特徴なんちゃうかなと思って。強いけど、弱いっていうところを書きたくて、失恋ソングにしました。

ご飯も美味しいし、全然気にしてない女子もおるって思ってて

どんな思いを込めたと言えばいいですか?

失恋して私は今、しんどいからとか、弱ってるとか、悲しいとかっていう感じじゃなくて。もう全然そんなん気にしてないからっていう気持ちなんですよ。世の中の失恋ソングって、あなたがいなくなったからご飯も美味しくないし、生きてる感じがしやんっていう曲が多いじゃないですか。もちろん、そういう女の子もおるけど、ご飯も美味しいし、全然気にしてない女子もおるって思ってて。

それは本音なの?

はい! 友達の本音ですね。私は、まだ恋愛を経験してないので。あははははは。

(笑)サウンドも明るくてポップですよね。

メジャーデビューの1枚目やから、華やかっていうか、ぱっと明るい感じにしたいなと思って。レコーディングは、自分が友達になった気持ちで。強さも弱さも持ち備えた女の子を演じる、みたいな。成り切るみたいな気持ちでやりました。とにかく賑やかな曲になっているので、女子校の女の子の強さを感じてもらえたらいいなと思います。

普段、言えない分、溜めて溜めて、出すっていう

2曲目には一転して、学校などでの人間関係の負の一面を連想させるようなシリアスなテーマを歌ってますよね。

私の学校はいじめとかは全然ないんですけど、それでも、表ではそんな素ぶりを見せないのに、裏では人のせいにしてるっていうことが、現状で起きてて。やっぱり、学校は集団やから、集団ならではの、誰かにせいにするっていうことが頻繁に起きてて。私は、それがいいことだと思ってなかったから、集団の悪いところを曲にして書きました。

歌詞にある<鏡の中の君>っていうのは?

自分のことですね。周りに見られている自分と、自分の中の自分は違うと思うんですけど、周りの人にはこう見られたいっていう自分のことを言ってて。

学校の有望とライブの有望も違う顔を持ってます?

そうですね。アーティストとしての自分は、普段は絶対に言わへんようなことを書いてて。学校では、みんなにはムードメイカーって言われるし、思ったことは言う時は言うんですけど、『紺色の主張』に書いたようなことは絶対に言わない。だから、この歌を録る時は、普段、考えてる感情をぶつけるっていう感じで歌いました。

あははははは。それはどんな感情ですか?

ほぼ怒りですね。いつもは言えないけど、今は言えるし、ぶつけられるっていう。普段、言えない分、溜めて溜めて、出すっていう。歌ってて、めっちゃ気持ちよかったです。あはははは。

(笑)最後に、ため息をついてますね。

学校ではそういうことが言えないっていう悔しさというか、最後だけ、学校での自分が漏れてる気がします。学校ではこんなこと言えないから、ため息をはくしかないっていう。その部分だけは学校にいる私が出てきちゃった感じですね。

大人になりかけみたいな。途中な感じ。その状況がほんまに葛藤やなと思って

そして、3曲目に「16さいのうた」が収録されています。

「14歳と15歳の時に、それぞれ『14才の唄』と『15歳の詩』を書いたんですけど、16歳になって一番思うことが、14歳の時のようにめっちゃ子供でもないし、かと言って、二十歳じゃないから大人ではないっていうことなんですよね。周りの友達も、親から『もう子供じゃないんやから』って言われがちで。でも、成人はしてない。居場所がないっていうか、子供でも大人でもないっていう。大人になりかけみたいな。途中な感じ。その状況がほんまに葛藤やなと思って、そのまま書きました。

早く大人になりたいですか?

早くなりたいですけど、やっぱり、子供でおったほうがやんちゃできるし。どっちにもなりたいなって。本当に今、中途半端やから気持ち悪いんですよね。

やんちゃしたいっていうのは?

海に行ってました、とかいう理由で学校を休みたい。

あはははは。歌い出しでは未来のことを書いてますよね。<夢にまで見た16歳の夏>がもうすぐやってきます。

自分は勝手に16歳の夏がすごく印象的というか、世の中でも、16歳の夏って言ったら、ほかの年齢の夏よりも、一際、大事にされてるというか、貴重な気がして。私が勝手に<16歳の夏>に憧れを抱いたから、最初にいれました。映画とかでも、多いと思うんですよ。それくらい貴重やし、多感やし、輝かしいものな気がしてて。

曲の中の私はライブハウスに向かってますが、実際にワンマンが決まってますよね。

まだ決まってない時に書いたんですけど、自分が初めて東京でライブをした場所が渋谷のチェルシーホテルやったんです。そこの坂を登ってる16歳の自分が想像できて。それを書きました。

ちゃんと自分が思ってることを曲にして、伝えていけたらいいなと思いますね

8月10日の初のバンドスタイルでのワンマンはどんなライブにしたいですか?

メジャーデビューをして、初めてのワンマンライブなので、今まで自分がやってきた積み重ねを発揮する場所でもあるし、これから進化していくスタートをお客さんに見せられる場所でもあるから、自分にとってすごく大事にしてて。メジャーデビューするまでについてきてくれたお客さんも、これから自分のことを好きになってくれるお客さんにも、ちゃんといいライブだったって思ってもらえるようなライブにしたいと思ってます。

最後に今後の目標を聞かせてください。

私はずっと、とにかく、ビックになりたいって思ってて。それを一番の目標にしてたら、ライブハウスのキャパもどんどんついてくるんやないかなと思ってるんですね。 今回、メジャーデビューが決まって、その道の第一歩を踏み出せたかなって思うし、ここから私の音楽の道が始まっていくっていう期待をみなさんにも感じてもらえたらいいなと思ってます。シンガーソングライターとしては、今まで全部、自分の思ったことを素直に書いてきたので、これからどんなことを思うかはわからないけど、ちゃんと自分が思ってることを曲にして、伝えていけたらいいなと思いますね。

その他の坂口有望の作品はこちらへ

ライブ情報

『デビューシングルリリース記念インストアライブ』

7月26日(水)名古屋・名古屋パルコ西館1Fイベントスペース
7月27日(木)東京・タワーレコード渋谷店4Fイベントスペース

『KHB七夕フェスタ』
8月6日(日)宮城・勾当台公園野外音楽堂

『サマーセンチガール ~初のバンド編成ワンマンライブ~』
8月10日(木)東京・渋谷WWW 
8月26日 (土) 大阪・心斎橋FANJ twice

坂口有望

2015年1月、曲作りを始めたばかりの、中学2年生・13才の時に初めて三国ヶ丘FUZZのステージに立つ。
彼女にとっての初のギター弾き語りライブである。
その後、大阪・京都のライブハウスやストリートを中心に精力的に活動し、本人手焼きの1st Demo CD「おはなし」レコ発自主企画対バンライブを同年9月19日に三国ヶ丘FUZZで開催、大盛況となる。
さらにMINAMI WHEEL2015初出演、eoMUSICTRY2015ノミネート、十代白書 2016準グランプリなど勢いは止まらない。
2016年9月14日にはTower Recordsから1st Indies Single「おはなし/地球-まる-」をリリース。11月6日には満を持してホームの三国ヶ丘FUZZにて初ワンマンを開催し、ソールドアウト。
2017年3月21日に2nd Indies Single「厚底/15 歳の詩」リリース。
同年4月に大阪では二度目、東京では初のワンマンライブを下北沢mona records、三国ケ丘FUZZにて開催し、両公演共にSOLD OUT。
温かくも切ない歌声と、等身大の世界観の中から鋭く切り取られ描かれる歌詞。
詩とロックとポテトを愛する、大っきな可能性を秘めながらも、ちょっと小っちゃな16才。

オフィシャルサイトhttp://amisakaguchi.tumblr.com