黒川文雄のエンタメ異人伝  vol. 5

Interview

ドラクエ堀井雄二氏(下)30年の時を越え、そして伝説へ…

ドラクエ堀井雄二氏(下)30年の時を越え、そして伝説へ…

フリーライターからゲームデザイナーに

そのあと『ドラゴンクエストIII』に続いてロト三部作が完結するわけですよね。このあたりで堀井さんが自分自身の肩書をそれまでのフリーライターからゲームデザイナーに改めたという話をお聞きしたんですけど。

堀井 そうですね。『III』で社会現象になっちゃったんで、もう本職にしちゃえと思って。ある意味、『II』まではけっこう道楽だったんですよ。ゲームを作ってはいるけど、いずれまたフリーライターに戻ろうかなあと思っていたんですよね。

当時はまだゲームビジネスと、ゲームクリエイターって、ちょっと不安定なところもありましたからね。

堀井 そうですね。どうなるのか分からないので、ライターという職は残しておきたいと考えていたんですよ。でも、だんだんね。こんな社会現象になって売れているし、こっち本職でいいんじゃないのと思って。

僕は『I』の頃は、アポロン音楽工業にいて、同僚が『ドラクエ』のサントラレコードやCDを出したりしていたんですけど、その頃からどんどんマルチメディア展開を始めましたよね。攻略本とかCDとか。そういったものを堀井さんはどう思っていましたか?

堀井 面白かったですよ。攻略本もそうですし、『アイテム物語』(注16)とか、たくさんのものが派生していってマンガも『4コママンガ劇場』とかね。あれもすごく売れたんですよね。いろんなアイディアが生まれたりとかして面白かったですよ。

注16)『ドラゴンクエスト』のアイテムにまつわるエピソードをまとめた短編集。1989年にエニックスより発売された。

ちなみに、「遊び人」は堀井さんの遊び心ですか?

堀井 はい、そうです。何か1本ね、ちょっと抜きたいんですよね。それがイタズラ心か何か分からないですけど、余裕がないとつらいかなと思って。たとえばDQXIでも、自分でしばりプレイを設定できるシステムが入っているのですが、このしばりプレイのひとつが、そんな感じです(笑)。情報が公開されたら見てみてくださいね。

すでに30年間、『ドラクエ』に関わってきたわけですが、今はどのように感じられていますか。

堀井 作っているときはいろいろ大変で、長く感じていました。でも、振り返ってみるとけっこうあっという間でしたね。ずっと忙しかった気がしているので、なんでかなあと思ったら本編の合間、合間に出た『モンスターズ』などの作品も僕は全部見ているんですよね。だから忙しかったのかなあと思って。ついつい見るとやっぱ手を入れたくなって、ああだこうだって、やっちゃうんですよね。

いまだに作品は全部チェックされているんですよね。オンラインでも遊ばれているし。やっぱりご自身がゲーム好きなんですね。

堀井 今回もね『XI』の忙しい合間をぬって『ゼルダ』にハマっちゃって、Nintendo Switchで延々と遊んでいます(笑)。やっぱり楽しいですよね、ゲームは。

ちなみに、ほかのゲームからインスパイアされることも多いんですか?

ドラゴンクエストⅧ CM撮影でチェコスロバキアにて

堀井 どれがどれってわけじゃないですけど、けっこう影響は受けているんじゃないですかね。いろんないいところ、悪いところ。こうやっちゃいけないんだっていうのもあるしね。

それも堀井さんのアイディアの源泉のひとつですかね。

堀井 そこは便利さであったり、やりやすさであったりするんで、アイディアとはまた別ですね。人が何に喜ぶかとか、どこを楽しませるかっていうのは、いろんなものを見て。けっこう僕ね、テレビドラマを観ているんですよ。週に3、4本は観ていますね。

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