LIVE SHUTTLE  vol. 156

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NakamuraEmi、心の熱を解放させる歌の力を見せつけたツアーファイナル!

NakamuraEmi、心の熱を解放させる歌の力を見せつけたツアーファイナル!

歌の力、音楽の力を改めて痛感させられてしまった。とてもイノセントな表現かもしれないが、そう思ってしまう鮮烈なライブを見せてくれたのは、実直な思いを言葉とサウンドに乗せて届ける女性シンガーソングライターNakamuraEmi。

彼女がニューアルバム『NIPPONNO ONNAWO UTAU Vol.4』を引っさげての全国ツアー『NIPPONNO ONNAWO UTAU Vol.4~Release Tour 2017~』を開催し、6月1日に東京・LIQUIDROOMでツアーファイナル公演を行った。

ソールドアウト超満員の会場に、彼女のこれまでの歩みをラップする「Rebirth」がドロップされライブは始まった。バンドメンバーは、NakamuraEmiの音楽パートナーであるプロデューサーでギターのカワムラヒロシ、ベース・豊福勝幸、ドラム・TOMO KANNO、パーカッション・大塚雄士。気心の知れたメンバーの演奏の上で、彼女は音の中を自然体で泳ぐように伸び伸びと歌って行く。

NakamuraEmiの楽曲のテーマは、女性と男性、仕事や生活での人間関係など、とても現実的だ。一人称で歌われるその歌詞は、まんま彼女が思う気持ちとイコールと言っていい。不満や悩みから生まれる感情もあれば、何気ない人の行為から浮かんだ思いを次々と歌っていく。CD音源でもグッときていたものが、ライブで思いのリアルさがより鮮明になって届くのだ。緩急をつけた彼女のボーカルのスキルもとても高い。だがそれはテクニック志向というよりも、感情の表現を素直にアウトプットした結果である。あと、単に自分のエゴをただ発散しているだけなら、ネガティブな印象を受けたりもするわけだが、彼女の歌を聴いていて、決してそういう気持ちにはならない。それは、彼女の優しい人柄も反映しているだろうし、フラットな目線を持ちながらしっかりとした意志の強さもあるからだろう。

彼女は、言葉ひとつひとつを会場中の全観客にちゃんと伝えるように、ステージを左右に動きながら、熱量高く歌を届けて行く。楽曲での凛とした姿とは逆に、MCは和やかでフランクなムード。そのギャップがまたいい。「今日はNakamuraEmiを見に来てくれた人、友だちに連れてこられた人、いろんな方が来てくれてると思います。せっかくこんなにたくさんの方が集まってくれたので、最後はみんなで笑顔になって帰れたらうれしいなと思ってます。一緒にいい時間を過ごしましょう」という彼女の声に観客も拍手を送る。NakamuraEmiとオーディエンスの距離感は、とても近い印象を受けた。

さてライブは、ツアーファイナルということでゲストミュージシャンが参加。サックスの辻本美博(カルメラ)、トロンボーンのかなす(THEY-SMITH)をむかえて「晴人」を披露する。ホーンが加わったディープなグルーヴに乗せて、彼女は自分を変えたいという思いを力強いボーカルで歌っていく。ハワイ島でのひとり旅から生まれた「ハワイと日本」では、オーシャンドラムで波の音を鳴らしながら、軽快な音楽を聴かせた。そして、NakamuraEmi初の書き下ろし、アニメ『笑ゥせぇるすまんNEW』のオープニングテーマ曲の「Don’t」が披露される。「脚本を読むうちに、自分が結局大事なんだぞってテーマが、自分の書いてる曲と一緒なんだと思った」と、この依頼を受けた経緯を語った。このエピソードからも、彼女が、自分の意志の大切さを音楽にして人に届けるメッセンジャーである、ということが伝わってきた。さらに、「ボブ・ディラン」には、ゲストミュージシャンのグロッケンの加納りなが加わった。透明感のあるグロッケンの響きと、より爽やかなメロディを彩ることとなった。

NakamuraEmiは昨年1月にメジャーデビューを果たしたが、当初はインディーズ時代の自由度が奪われるのではないかという疑心があったそうだ。だが実際は違い、とてもいいチームで1年やってこれたこと感謝と喜びがあるという。その思いを書いた曲「メジャーデビュー」では、メジャーシーンで自分を貫き、そして自分を鼓舞するように、“NakamuraEmiぶれんじゃねーぞ”とパワフルなボーカルとサウンドでパフォーマンス。続けて、「YAMABIKO」を勢いたっぷりに披露し、ライブ本編は終了となった。

アンコールでは、ファンキーな「モチベーション」を躍動感たっぷりに歌唱。客席の電気を明るくし、「これからいろんな場所に行ってライブをできるようにがんばっていきます。私の曲は、自分の生活のことを書いたものばかりですが、その自分の悩んだことからの言葉が、どこかみなさんの生活に寄り添えたらいいなと思ってます。これからもいろんな経験をして曲を作っていきたいです」と語ると、観客は大きな拍手を送った。最後に、この日の3人のゲスト陣を呼び込み、悩みを持ちながらも前に進む思いを歌詞にしたフォーキッシュな「女子達」をダイナミックに歌唱し、ライブを締めくくった。

私小説的な歌詞でありながら、内側に気持ちが向かうのではなく、多くの人のマインドを解放してしまう力がNakamuraEmiの歌にはある。そんな彼女の底知れぬエナジーを存分に堪能できるライブだった。

取材・文 / 土屋恵介 撮影 / 岩澤高雄

NakamuraEmi NIPPONNO ONNAWO UTAU Vol.4〜Release Tour〜
2017年6月1日(木) @東京LIQUIDROOM セットリスト

(BAND MEMBER:Gt:カワムラヒロシ / Ba:豊福勝幸 / Dr:TOMO KANNO / Per:大塚雄士)
01.Rebirth
02.I
03.スケボーマン
04.使命
05.大人の言うことを聞け
06.晴人 with sax辻本美博(カルメラ) and tromboneかなす(HEY-SMITH)
07.ヒマワリが咲く予定
08.ハワイと日本
09.Don’t
10.ボブ・ディラン with grockenshipel加納りな
11.めしあがれ
12.メジャーデビュー
13.YAMABIKO

En1. モチベーション
En2. 女子達 with sax辻本美博(カルメラ) and tromboneかなす(HEY-SMITH) and grockenshipel加納りな

ハイレゾ配信中!

NakamuraEmi

神奈川県厚木市出身。
1982年生まれ。
山と海と都会の真ん中で育ち幼少の頃よりJ-POPに触れる。
カフェやライブハウスなどで歌う中で出会ったHIPHOPやJAZZに憧れ歌とフロウの間を行き来する現在の独特なスタイルを確立する。
その小柄な体からは想像できないほどパワフルに吐き出されるリリックとメロディーは、老若男女問わず心の奥底に突き刺さる。
2016年1月20日、日本コロムビアよりメジャーデビューアルバム『NIPPONNO ONNAWO UTAU BEST』をリリース。
収録楽曲の「YAMABIKO」が全国のCSやFM/AMラジオ52局でパワープレイを獲得。
5月には東名阪で初のワンマンツアーを開催。
東京・代官山UNIT公演の中から、厳選された楽曲を7inchアナログ盤とアナログ盤未収録曲も含めた7曲入りEPをApple Music/iTunes限定にて配信リリースした。
多数の夏フェスに出演後、10月11日より、全国9ヶ所を巡るカフェツアー“ NakamuraEmi CAFE LIVE TOUR 2016 秋~あなたの夕暮れいただきます~ ”を開催。
メジャーデビューから1年、今の心情を表現した「メジャーデビュー(Studio Session)」ミュージックビデオを公開し、2017年3月に2nd Albumをリリース。
その後、全国11か所で行われたNakamuraEmi NIPPONNO ONNAWO UTAU Vol.4〜Release Tour〜を大成功させた。
オフィシャルサイトhttp://www.office-augusta.com/nakamuraemi/

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