LIVE SHUTTLE  vol. 149

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シド コンセプトライブ1日目「夜更けと雨と」。ミディアム&バラードに酔った日本武道館

シド コンセプトライブ1日目「夜更けと雨と」。ミディアム&バラードに酔った日本武道館

シド「夜更けと雨と」
2017年5月12日 日本武道館

シドが5月12日(金)、13日(土)と2日間にわたって日本武道館にてコンセプトが異なるライブを開催した。彼らがワンマンライブを行なうのは1年7ヵ月ぶり。『夜更けと雨と』、『夜明けと君と』と銘打ち、両日セットリストを変えて臨んだこのコンセプトライブ。まずは、「涙の温度」や「レイン」、「私は雨」など誰もがくるだろうと予想していた雨ナンバーはことごとく外し、インディーズ時代とカップリング曲のなかからチョイスしたマニアック感満載のセットリストでミディアム、バラード曲をメインにひたすらパフォーマンスしていった1日目『夜更けと雨と』のライブの模様をレポートしよう。

日中、外の気温は27℃まで上がり、開演前から蒸し暑い空気が充満していたこの日の武道館。客電が落ち、オープニング映像は雨が降り続ける森からスタート。次第にその雨が止み、オレンジ色の満月が浮かび上がると時計が動き出し、その瞬間ステージの下からメンバー4人が同時にポップアップでせり上がって登場。冒頭から予想外の演出に驚かされ、観客は絶叫。ゆうや(Dr)が右手を振りながらドラム台に移動し、Shinji(Gt)が奏でるアルペジオから「紫陽花」でライブが幕をあけると、客席は静かに彼らの音と対峙。再会の気持ちを、会えない時間にあなたは自分が知らない月日を刻んできたことを悔やむ、と歌うこの曲の主人公に重ねて表現するあたりが、憎らしいほどシドらしい。続けて「林檎飴」が始まると、ステージ後方が星の電飾で輝き出す。あまりライブでは馴染みのない曲から、3曲目でやっと比較的知られている「罠」が始まると、客席の緊張感がほぐれた。華やかなホーンとともにレーザービームが飛び交うと、マオ(Vo)が舞台上手へ移動。とたんに右サイドの客席一帯から黄色い声援が上がり、次にステージ中央で明希(Ba)とShinjiが向かい合ってプレイを始めると、センターの観客は飛び上がるなど、オーディエンスは彼らとの再会の嬉しさを全身でアピールしていった。

「お待たせしました、シドです」というマオのこの日の第一声は、明るく溌剌としていた。続けて「待ってた?(観客「待ってたー!!」)。待たせた(照笑)。長い月日、お待たせしました。いや、俺らも待ってたから」と久々のワンマンを自分たちも渇望していたことを伝え、今回のコンセプトライブは「かなりマニアックな選曲」であること。さらに、今日と明日で「ほぼ曲はガラッ入れ替わるから」と話して、ファンの期待感を煽っていった。

イントロで銀テープが客席に舞い落ちた「アリバイ」はサビで“バイバイ”というフレーズが出てくるとファンが一斉に手を振り、それを見たマオが「いいじゃん! いいじゃん!」と、とびきりの笑顔を浮かべる。「続けていこうか。頭から飛ばしていけるかー!」と叫んで、ここからまさかの「妄想日記」、さらには「妄想日記2」までも連続投下! 興奮のあまり、悲鳴をあげる人続出となったこの流れ。2曲とも軽快なスカビートに乗せ、歌詞と一体となった細かいフリが楽しめるとあって、昔から変わらずファン人気が高いナンバーだ。ライブではこの日も観客は古いファンも新しいファンも一丸となってこのフリを踊りまくっていた。その姿を見て「シド楽しいね。いやー、シドいいわ(微笑)」と喜びを爆発させるマオ。この後メンバーに一言を求めると、ゆうやは「ずっとワクワクしてたから(ポップアップで)パーンと上がってきてお客さんの顔を見たら安心した」といってファンに感謝の気持ちを伝えた。明希はまずマオを呼びよせ、ぎゅっと抱きしめてファンを興奮させ「そんな君らのハートを今日は鷲掴みにして帰すから。最後まで盛り上がって下さい!」とカッコよくいい放った。Shinjiは最初に自分の顔がプリントされたグッズのタオルをさりげなくアピール。「俺の好みはこっち!」と本物のShinjiを指差すマオに照れながらも、「懐かしい曲をやるのは非常に嬉しいことです」といい「武道館、涼しい顔してやってますけど、ありがたいなと思いますよ。10年過ぎて、これだけファンが待っててくれるってなかなかないですから」と呟いてしっぽりとギターを弾き始めると、マオがすぐに止めに入り「ここからはあんま演ってない曲をやります」といって次の曲へ。

このあとはシドお得意のバンドアンサンブルがとにかく魅せまくった。オシャレなビートでマオも体を揺らしながら歌った「レイニーデイ」、ゆうやのジャジーなドラムとピアノが大人っぽいムードを醸し出していった「暖炉」、明希が冒頭から2本のベースを弾き分け、間奏ではShinjiがアコギでスパニッシュなフレーズを奏でていった「ハナビラ」、それぞれが曲ごとに魅せる卓越したテクニックに酔いしれたあとは、「夢心地」でそのアンサンブルが熱く一つに結合。エモーショナルな演奏がものすごいスケールの熱量となって炸裂していった瞬間、武道館にはミラーボールが映し出す美しい天空が広がっていった。

これまでイベントなどを入れると何度も武道館に立ってきた彼らだが、ワンマンをやるのは今日が3回目。「1回目は9年前のメジャーデビュー記念ライブ。シャケの切り身って端っこの細いところがおいしいでしょ? 9年前は身は大きいけどパッサパサで。それからじょじょに細いところに近づいてきてて。シドはここからどんどんおいしくなっていくから。この4人が脂プリプリになっていくところを見守って欲しいな思います」

マオのトークを受けて、これからのシドを見せるよといわんばかりにこの後はリリースされたばかりの新曲「バタフライエフェクト」を初パフォーマンス。真っ赤なサーチライトとレーザービームが激しく入り乱れるなか、ゆうやのドラムがずっしりと重たいビートを刻み始めると、明希が右手を勢いよく回して腰を落とす。そうして披露されたヘヴィで重厚なロックサウンドはとてもエキサイティングで、シドの新たな方向性を示す曲として存在感を放っていた。そのテンションのまま「ENAMEL」へと突入。マオがお立ち台の上に立つと、客席の拳を振り上げる勢いはさらに加速。「いくぞ!」とマオが声を荒げて煽り、オーディエンスの“oiコール”が高まった絶妙のタイミングで「dummy」投入!! 「もっとー、もっとー」と叫ぶマオの顔がどんどん狂気を帯びていく。Shinjiは左右を駆け巡り、明希はベースを高く掲げながらフロントぎりぎりまで出ていき、オーディエンスを挑発。そうして本編ラストにファストチューン「吉開学17歳(無職)」が始まると、オーディエンスは勢いよくヘドバンでどこまでも食らいついていき、武道館が狂騒に包まれていったところで本編は終了。

「硝子の瞳」から始まったアンコールは、メンバーのグッズ紹介で和んだ場内にマオが「バラードいっぱいやったから、ここからは全部激しいです」と客席に喝を入れ、まずは「予定になかったけど」といって冒頭にメンバー紹介を行ない、ゆうやは投げキッス、明希は舞台中央でオーディエンスの声を独り占め、Shinjiはカメラに向かって変顔、マオは「マオにゃん」と懐かしいコールをリクエストして大いに盛り上がったところで「シドで「循環」」という定番の曲紹介にファンのテンションは急激に上昇。観客たちは客席で一斉にくるくる回転。「結婚しよう!」とマオが叫んで始まった「プロポーズ」、途中で曲を止め「1年7ヵ月分ちょうだーい」とファンにメンバーコールを求めた「隣人」とライブ定番曲でどこまでも激しく飛ばしていき、ラストは「眩暈」。ステージで火柱が燃え上がるなか、サビで全員でジャンプを繰り返し、武道館をどこまでも揺らして1日目のライブは幕を閉じた。

「シドの活動をぶっ倒れるまでやっていくので、最後まで応援して下さい」と伝えたマオはマイクを通さず「愛してます」という言葉を残し、涙ぐんだ表情でステージを後にした。

文 / 東條祥恵

シド「夜更けと雨と」
2017年5月12日 日本武道館

セットリスト

補足情報を見る
1.紫陽花
2.林檎飴
3.罠
4.アリバイ
5.妄想日記
6.妄想日記2
7.レイニーデイ
8.暖炉
9.ハナビラ
10.夢心地
11.バタフライエフェクト
12.ENAMEL
13.dummy
14.吉開学17歳(無職)
(アンコール)
15.硝子の瞳
16.循環
17.プロポーズ
18.隣人
19.眩暈

ライブ情報

待望の全国ホールツアー開催決定! SID TOUR 2017
http://sid-web.info/

SID(シド)

2003年結成。マオ(vo)、Shinji(g)、明希(b)、ゆうや(ds)からなる4人組ロックバンド。
2008年、TVアニメ『黒執事』オープニングテーマ「モノクロのキス」でメジャーデビュー。
2010年の東京ドーム公演では4万人を動員。結成10周年となった2013年には、初のベストアルバムをリリースし、オリコンウィークリー1位を獲得。同年、横浜スタジアムで10周年記念ライブを開催、夏には初の野外ツアーで4都市5公演で5万人を動員し大成功を収める。
2014年には香港・台湾を含む全国ツアーも開催。2016年1月にはベストアルバム『SID ALL SINGLES BEST』をリリース。
2017年1月には約1年ぶりのシングルとなる映画『黒執事』主題歌「硝子の瞳」をリリース。
5月にはシングル「バタフライエフェクト」をリリースし、両日ソールドアウトの中、日本武道館2days公演を実施。成功を収める。

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