Interview

『バイオハザード:ヴェンデッタ』辻?本貴則監督が目指したCGアクションのネクストレベル

『バイオハザード:ヴェンデッタ』辻?本貴則監督が目指したCGアクションのネクストレベル

世界的な大ヒットを続けるゲーム『バイオハザード』の世界観をベースに、ハイクオリティな最先端技術を駆使して描かれたフルCG長編アニメーションシリーズ最新作『バイオハザード:ヴェンデッタ』。歴代の人気キャラクターたちに加え、オリジナルの新キャラクターも登場して、歴代最高クラスのハードでリアルなアクションが展開する。本作のメガホンを取った辻?本貴則監督と、コーディネイターを務めた吉田武さんに製作の舞台裏を語りあっていただいた。

取材・文 / 大谷弦


監督のオファーがFacebookのメッセンジャーで来たから冗談かと!

辻?本貴則 今回の監督オファーは吉田さん経由でいただいたんですよね。

吉田武 辻?本さんに決まるまで、監督選びが難航してたんですよ。

辻?本 それ、ここで明かしちゃっていいんですか(笑)。

吉田 僕は別に構わないけど(笑)。流れを簡単に説明すると、僕は2008年のCG映画『バイオハザード ディジェネレーション』からいろいろ関わらせてもらってて、今回はスタッフィングから関わらせてもらったんですよ。それで真っ先に名前が浮かんだのが清水崇監督。でも、話をしたらCGアニメはやったことがないし、『バイオハザード』についてもあまり詳しくないって断られて。だったら監修をしてもらうことになって、監督はまた探すってことになって。

辻?本 それで僕に声がかかったんですね。最初がフェイスブックのメッセンジャーでオファーが来たので、冗談だと思ったんですよ。吉田さんとは、僕の『ハード・リベンジ、ミリー』という映画が公開された時に舞台挨拶で会ってるんだけど、それ以来ほとんど交流が無かったから。

吉田 でも、オファーしたらすぐに「やります!」って即答してくれたのは辻?本さんだけだったんですよ。この人はモチベーションが高いなって思ったし、お任せしたいって思いました。

辻?本 『バイオハザード』って、ホラー要素は強いけど、ミリタリー描写もあるし、最終的にはアクション映画に成りうる素材だと思ってたので、これはやりたいなって思ったんですよね。僕に合ってるなって思いました。

吉田 辻?本さんが参加した時点で、プロットはどのくらいまで出来上がってましたっけ?

辻?本 脚本の深見さんが作った、割りとしっかりとしたプロットが出来ていて。そこに清水さんがもう真っ赤になるぐらいの赤を入れたものがある、という感じでしたね。それにはドラマ性を深めるためにレオンの子供時代を描きたいというアイデアも入ってて。

吉田 清水さんは、そのプロットにこだわってたよね。でも『バイオハザード』は、この映画だけで完結するものではないから、キャラクターを自由にいじれない。

辻?本 そこが難しい部分でしたね。キャラクターも、クリスとレオンが出てきた時点で強すぎるというか、この2人が死ぬとは誰も思わない。それでサブキャラクターを入れて、彼らたちがどうなるかわからないような展開にしていったんですよ。

僕が監督をやる時点でアクション重視。お客さんにもそこだけは満足して帰って欲しい

吉田 物語としては、ニューヨークで大惨事が起こることは最初のほうで決まってましたよね。そこをスペクタクルなシーンにしていこうと。

辻?本 ニューヨークでパンデミックが起こって大暴動になるというシーンなんだけど、脚本通りにやっていくと予算に収まらないってことになって、カットを考え直したりしましたね。

吉田 CGアニメだと群衆とかでもポンポン作れそうなイメージがあるけど、人物のモデリングは1体いくらって感じで予算がかかっちゃうんですよね。

辻?本 モーションを作るのにもお金がかかる。なので、この映画のニューヨークは通行人とかが少なくて少し寂しい感じもします。

吉田 パニックが起きてるから、みんな逃げちゃってるってことでいいんじゃないの?

辻?本 でもその分だけっていうとアレですけど、クリスとレオンのアクション描写には力が入ってます。僕が得意とする所だし、興味があるのはそちらなので。この映画を最初に企画した方々が思ってたものとは違うものになったかもしれないけど、僕が監督をやるという時点でアクション重視になるし、お客さんにもそこだけは満足して帰って欲しいと思ってますから。

吉田 今回のアクション描写は本当に凄いですけど、どのあたりが一番チャレンジでした?

辻?本 CGを作るスタッフにまず言われたのが、人と人を接触させることが難しいんです、と。CGモデルを地面に立たせる、つまり足の裏が地面に接触するだけでも大変なのに、アクションで取っ組み合いをしたり、寝技をするというのは無茶だと。格闘シーンは最初に実写でビデオコンテを作って、そこからCGに落とし込んでいくという作業だったんですが、最初はこんなの絶対ムリだよって空気が流れてたんですよ。でも、作り上げていくなかでどんどん良くなっていて、確かにCG映画でこんなの観たことないなっていう手応えを感じましたね。

吉田 アクション面でいうと、深見さんから「銃剣をやってほしい」っていうリクエストがありましたよね。

辻?本 実写版『パトレイバー』で銃剣を使ってるのを見ていただいたようで、『バイオハザード』でも、ということになって。それをアクション監督の園村健介に伝えたら、無数の感染者に対して、遠い相手には銃、近くにきたらナイフで攻撃するっていうアイディアが出てきて。それにいろんなアクション映画で取り上げられている近接格闘のエッセンスを混ぜて、最後はフルオートの銃と三点バーストの銃で闘う。園村とは僕のデビュー作のころから一緒にやってるので、お互いの好みもやりたいこともわかってるんです。個人的に1VS1のアクションを作らせたら園村が日本一だと思っているので、思いっきりやってもらいました。

吉田 園村さんはショートレンジの戦いを作るのが得意ですよね。

辻?本 そうなんですよ! なので、監督としては、どうにかして1VS1でショートレンジの闘いになるシチュエーションにもっていく(笑)。そうすれば必ずいいモノができますから。

吉田 格闘シーンも凄いけど、バイクアクションも斬新でカッコ良かった。

辻?本 レオンがバイクに乗り出してからは僕が絵コンテを書いたんですけど、ケレン味をとことんまで追求して、実写だったらちょっと笑いが起こっちゃうかもっていうギリギリの所でカッコよく仕上げたつもりなんですよ。アクション部分は派手に、ドラマ部分はじっくりと描くということを意識しました。会話のシーンは、あえてカメラワークを実写に近づけるようにしたりとか。

吉田 CGアニメだからってカメラを動かしすぎると、それこそひと昔前のゲームみたいになっちゃうんですよね。

辻?本 でも最近のマーベル映画とか、カメラがガンガン動くじゃないですか。そのあたりのバランスは気をつけましたね。

吉田 ヒッチコックみたいなズームショットも使ってましたね。

辻?本 「めまいズーム」ね(笑)。昔から好きで実写でもよく使ってたんですけど、CG映画で「めまいズーム」やる奴いないだろって思って、やってみたら意外とハマったんですよね。

吉田 辻?本監督の細かいこだわりが随所にあって、何回観ても発見のある映画になってます。

辻?本 僕はアクションに力をいれましたけど、プロデューサーに清水崇の名前が入ってるので、ホラー要素にも手は抜けない。清水監督作品で漂っている空気感とか、Jホラーの雰囲気も感じてもらえると嬉しいですね。

左:吉田武 右:辻?本貴則

辻?本貴則

1998年に自主映画製作チーム『T3AAエンターテイメント』を結成、低予算ではありながら精力的かつ迫力あるアクション映画を自ら制作し、数々の賞を獲得した。その手腕を高く評価され、オムニバス映画『KILLERS キラーズ』で商業映画監督デビューを果たす。主な代表作に『THE NEXT GENERATION パトレイバー』シリーズ、『BUSHIDO MAN:ブシドーマン』、ドラマ『HiGH&LOW Season2』など多数。

吉田武

ライター、映画宣伝などを手がけつつ、様々なイベントや企画のコンサルティングやスーパーバイザーとしても活動している。今作では企画段階から関わり、アドバイザーとして携わった。

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映画『バイオハザード:ヴェンデッタ』

2017年5月27日公開

対バイオテロ組織「BSAA」のクリス・レッドフィールドは、ある情報を基に、武器密売組織の拠点である謎の洋館へ突入する。探索の最中、クリスは国際指名手配犯であるグレン・アリアスと対峙するも、信じがたい光景を目の当たりにし、アリアスを逃してしまう。一方、元ラクーン市警の特殊部隊「S.T.A.R.S.」の一員だったレベッカ・チェンバースは、現在は大学教授として「死者が甦り、凶暴化する」という不可解な事件の調査、研究に携わっていた。事件の調査により、「新型ウィルス」が関係していることを突き止めた彼女は、治療薬の開発に成功。その直後、研究所が何者かに襲撃され、レベッカは死の危険にさらされてしまう……。

【エグゼクティブ・プロデューサー】清水崇
【監督】辻?本貴則
【脚本】深見真
【音楽】川井憲次
【原作監修】小林裕幸
【配給】KADOKAWA

オフィシャルサイトhttp://biohazard-vendetta.com

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