FM802の土井コマキさんがゲストをお招きし、気になる音楽についておしゃべりしながら掘り下げる不定期連載企画『MUSIC GO! ROUND!』。第1回はFLAKE RECORDSの和田貴博さん(通称・ダワさん)と、映画「T2:トレインスポッティング2」の音楽の楽しみ方や、またサントラのなかからお気に入りがあれば次は何を聴けばいいのか? までダワさんにレクチャーいただきながら深掘っていきます。
「トレインスポッティング」といえば、音楽も重要なファクター。前作ではイギー・ポップの「Lust For Life」が再ブレイクし、アンダーワールドの「Born Slippy」が世界最高のクラブアンセムとなるほどの社会現象を起こしました。前作ファンや音楽ファンからの期待度の高い、続編「T2:トレインスポッティング2」の音楽でもブレイクスルーするアーティストや楽曲が生まれるのでしょうか!?
90年代ポップカルチャーの代名詞で社会現象まで引き起こした映画「トレインスポッティング」。その続編が20年の時を経て帰ってくる!
土井 記念すべき第1回は「T2」の音楽についてピックアップいたします。ということで、ゲストをお招きしております。
和田 大阪でFLAKE RECORDS(以下、フレイク)というレコード屋さんをやっています、和田です。
土井 FLAKE RECORDSの通称「ダワさん」です。よろしくお願いします。ダワさんは実はあまり映画見ないですよね。

左:FLAKE RECORDS・和田貴博さん(通称・ダワさん) 右:FM802DJ・土井コマキさん
和田 映画大好きなんですけど、ここ20年ぐらい見れてないです。基本、店におらなあかんからね。仕事を優先してしまうばかりにプライベートが無くて(笑)。でも僕が音楽の世界に入ったのは映画からですから。映画のサントラを小学校の時に買い始めたり、レンタルショップで借りたり。それでその曲が全米1位になったりって流れあるじゃないですか。当時は、フラッシュダンスとかフットルースとか。
土井 すごいね、時代が分かりますね。
和田 映画で聴いたアーティストのチャート1位の曲から広げていったり、アルバムを聴いていくとかそれが音楽の入りなので。子どもの頃は雑誌の“ロードショー”と“スクリーン”を毎月買ってました。この前、フィービー・ケイツの娘のバンド(※)のライブでDJしたんで感動し
※ケビン・クラインとフィービー・ケイツの愛娘としても知られるグレタ・クラインのプロジェクト。バンド名はFrankie Cosmos
土井 (笑)。そんなダワさんとお話したいのは「トレインスポッティング」についてです。トレスポは、20年前に1作目が公開になって大流行しましたね。
和田 ポスター貼ってましたね。
土井 やっぱり貼ってましたか。では、トレスポのサントラも当時聴いてた?
和田 聴いてましたね。リアルタイムに映画も観ました。
土井 いよいよ「T2」が公開になります。もちろんイギリスの映画でして監督はダニー・ボイル。ユアン・マクレガーが主演の〈レントン〉、そして〈シックボーイ〉、〈スパッド〉、〈ベグビー〉も当時の俳優さんがそのまま演じています。キャッチコピーは前作が“Choose Life”、『未来を選べ。』だったんですが、今回は『彼らが選んだ20年後の未来。』ということで、もうズバリ彼らの20年後という設定がそのままでしたね。舞台はやっぱりスコットランドのエディンバラで、20年後彼らがどうなっているかというと…… ある程度想像通りでした?
和田 「T2」を観る前に、前作を見直したんですけど、20年間の話は無いのでポンと飛ぶんですが、ストーリーがリンクして、そのまま続きを見てるような感じでした。
土井 思った通りの20年間を過ごしてたんやなぁ……、相変わらずやなぁ…… って感じでしたね。レントンが前作のラストに麻薬の売買で得た利益をかっさらって逃亡するんですけど20年ぶりに帰ってくるんですね。で、シックボーイ、スパッド、ベグビーがそれぞれがどうなっているのか、自分で20年間未来を選んでいたのか、選ぶつもりもなくそうなったのかわかんないですけど、相変わらずの物語が繰り広げられます。というストーリーはさておき、20年前、トレスポってやっぱり映画だけでなく、周辺のカルチャー…… 音楽やファッションやいろんなものが流行ったと思うんですよ。それで「T2」に関しても音楽について掘り下げるのか、広げるのかしたらもっと楽しめるんじゃないかと、ダワさんに来ていただきました。まずはサントラがすでに出ているんですけどいいですよね。
和田 前作のサントラほんまに売れたというか。収録曲がずば抜けていっちゃったので、「T2」も音楽においてはめちゃくちゃプレッシャーがあると思うんです。売れるの作らなあかん、みたいな。でも、売れそうな音楽だけを選んでいるわけではなく、映画自体が(ドラッグなど)あまり肯定できないことをエンターテイメントにしている尖った作品なので、音楽も今のイギリスの尖ったアーティストをフューチャリングしてて。サントラ聴いて、映画観て、またサントラ聴くと腑に落ちる感じがちゃんとあったので良いサントラだなと思いますね。ほんとに、素直に。サントラってただの寄せ集めもよくあるんで。
T2 Trainspotting
(Original Motion Picture Soundtrack)
1. Lust For Life / Iggy Pop (The Prodigy Remix)
2. Shotgun Mouthwash / High Contrast
3. Silk / Wolf Alice
4. Get Up / Young Fathers
5. Relax / Frankie Goes To Hollywood
6. Eventually But (Spuds letter to Gail) / Underworld, Ewen Bremner
7. Only God Knows / Young Fathers
8. Dads Best Friend / The Rubberbandits
9. Dreaming / Blondie
10. Radio Ga Ga / Queen
11. Its Like That / RUN-DMC, Jason Nevins
12. (White Man) In Hammersmith Palais / The Clash
13. Rain Or Shine / Young Fathers
14. Whitest Boy On The Beach / Fat White Family
15. Slow Slippy / Underworld
レーベル:Universal Music LLC
土井 監督の中で映画を作るときにそもそも音楽が重要な部分を占めているんやろうなと思いますね。
和田 ですね。前作もそうなんですけど、テーマ曲がエンディングで流れるだけじゃなく、ビデオクリップみたいなシーンがあったり、音楽をうまく配置してて効果的ですね。20年前に前作を観た人も、今の若い子もちゃんと聴けるセレクトになってます。前作のサントラと今回のサントラの違いというと、前作はアンダーワールドの「Born Slippy」とイギー・ポップの「Lust For Life」の他の収録曲は、当時リアルタイムのバンドなんですよ。プライマル・スクリームであったり、ブラーであったり、エラスティカだったり。でも「T2」は、そのもう一つ前のクラシックが多いんですよ。ザ・クラッシュとかクイーンとかブロンディーとか。
土井 なるほど、そうか。
和田 例えばクイーンの「Radio Ga Ga」とか、フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドの「Relax」があえて入ってるのは何やろう? って思いながら聴いてたんですけども、もしかしたら主人公が20年後に帰ってきて、そこには20年後のカルチャーがあって、いわゆる当時を懐かしむ感じのシーンで流れていたような気もします。
土井 「Radio Ga Ga」が流れた時はだいぶ笑いましたよね(笑)。
和田 いいところで、使ってましたね(笑)。若手でいうと僕的にはヤング・ファーザーズがいいなと。エディンバラの3人組ヒップホップグループなんですけど、もともと“Anticon”っていうアメリカのアンダーグラウンドのレーベルがあってそこから出てきたんですよ。いつもジャケット写真がかっこよくてね。2014年にアルバムが出たときに、UKのマーキュリー・プライズっていう、アメリカのグラミー賞みたいな大きな音楽アワーズがあるんですけど、そこでアルバム大賞を突然獲ったんです。
土井 大賞を? へー!
和田 このあとセカンドアルバムが出て、UKではこんな音楽がちゃんと評価されて売れるのが面白いなぁ、って存在で見てたんです。去年、ノルウェーのフェスに遊びに行ったんですけど、ヘッドライナーにマッシブ・アタックってすごいバンドが出てて、マッシブ・アタックのセットはフューチャリング・ヤング・ファーザーズのセットなんですよ。だから、ヘッドライナーの名前の横にちゃんとヤング・ファーザーズと記名されている。実際ライブを見てもすごく面白かったし、面白いんですけどアンダーグラウンドだから、日本ではまだそんなに知られてない。それをこういうイギリスの国民的映画の主題歌にもっていったというのが。
Young Fathers? / Get Up
土井 ヤング・ファーザーズから「T2」は広がっていったって監督自身が言ってますね。
和田 前作の「Born Slippy」の位置にある曲はヤング・ファーザーズの曲だと監督は言ってるので納得したんです。
土井 やっぱり、めっちゃいい使われ方をしてて。では、ヤング・ファーザーズは日本では知られてないだけで本国では誰でも知ってる?
和田 大物にはなってるんですけど所謂ポップスでは無いから、尖った所にいると思うんですけど。映画のテーマ曲にピックアップされるっていうのは大抜擢ですよ。