Interview

仲 万美が愛するジュリエットを胸に立ち上げた“Juliet aria”第1弾作品、『DustBunnySHOW』。“後悔の無い航海”へと出航する彼女の今の思い──

仲 万美が愛するジュリエットを胸に立ち上げた“Juliet aria”第1弾作品、『DustBunnySHOW』。“後悔の無い航海”へと出航する彼女の今の思い──

加藤ミリヤ、BoA、椎名林檎などのアーティストダンサーをはじめ、2015年にはマドンナのワールドツアーに約1年半バックダンサーとして帯同するなど世界的にも活躍している、仲 万美。近年はダンスの世界のみならず、映画『チワワちゃん』や舞台 Rock Opera『R&J』、「RADICAL PARTY -7ORDER-」に出演し、女優としても活躍の場を広げている。
そんな彼女が立ち上げたアートプロジェクト“Juliet aria”の第1弾となる舞台『DustBunnySHOW』(脚本・演出:三浦 香/コンテンツ演出:植木 豪)が、4月29日(木・祝)より東京・天王洲 銀河劇場にて上演される。
本作には仲をはじめ、ポールダンス、アイドル、バレエ、アクロバット、ブレイクダンス、バイオリンなど、それぞれのフィールドで独自の世界観を作り上げている女性パフォーマー8人が出演。彼女たちにしか表現できないパフォーマンスに加え、マッピングなどの最新技術を取り入れた映像演出で、摩訶不思議な“ダークファンタジー”へと導く。
仲 万美に、“Juliet aria”を立ち上げた経緯や、『DustBunnySHOW』に向けた思い、表現者として大事にしていることなどを聞いた。

取材・文 / 松浦靖恵


私の中にジュリエットはまだ生き続けている

仲さんがアートプロジェクト“Juliet aria”を立ち上げた経緯をあらためて教えてください。

Rock Opera『R&J』(2019年)でジュリエットを演じさせていただいたことが、とても大きな起点になっています。 “ジュリエット”として、“仲 万美”として、表現できることがまだまだあるんだと思えた作品でしたし、その感覚や思いを忘れたくなくて。私の中にジュリエットはまだ生き続けている。ジュリエットにはまだたくさん伝えたいことがあったと思うので、それを仲 万美の身体を使って表現できたらという思いがありました。

その思いをどのように実現させていったのですか?

もともと裏方のお仕事にも興味があったし、いつになるかはわからないけれど、そういうことをやっていきたいという思いを持っていたんです。それに、自分ができることを出せる場所があるのならば、全部やっていきたいとも思っていました。そんなときに周りのスタッフさんから、「“仲 万美”という存在をもっとブランディングしたほうがいい」というアドバイスをいただいたことが、“Juliet aria”立ち上げの背中を押してくれました。

Rock Opera『R&J』は、仲さんの人生においても大きなターニングポイントになったんですね。

はい。すべて変わりました。Rock Opera『R&J』は初めての舞台出演だったんですが、それまで自分自身では、舞台には絶対に向いていないと思っていて。私、とにかく緊張しがちであがり症なんです。ダンスでステージに上がるときにも、いつも吐きそうになるくらい緊張しているのに、そんな私が生の舞台に出られるわけがないと思っていました。

ダンサーとして大きなステージを何度も経験している仲さんが本番前にそんなに緊張していたなんて驚きです!

誰も信じてくれないんですけどね(苦笑)。でも、人生って本当にわからないもので……『R&J』をやったら、舞台というものにすごくハマってしまった。生の舞台で人前に出るという気持ちよさを体感できた。しかもカンパニーの皆さんから、それまでの自分が出会ったことのないようなたくさんの刺激をもらえて、いろんなことを教えていただいて。私にとって『R&J』は自分のベースになったと言っていいほど、大切で大きな存在になっています。

新しい引き出しを開けちゃいましたね!

それまでとはまったく違う自分に変身したような感じがあります(笑)。昔からの友人たちが、『R&J』での私の姿を観て「万美は舞台に向いてるよ」って言ってくれたこともすごく嬉しかったです。

ブレない存在。強い女性になりたい

プロジェクト名の“Juliet aria”には、女性としての力強さや美しさを実体化させるという思いを込めたそうですね。

はい。ジュリエットは私の中にまだ生き続けているので、彼女の名前を入れました。初めて自分で立ち上げたプロジェクトなので、どこまでできるかわからないですし、プレッシャーは大きいですが、たくさんの方たちの力をお借りして『DustBunnySHOW』を送りだすことができるということを、今すごく実感しています。内容のイメージも、話し合っているときに「仲 万美にはこういう世界が似合うと思うんだよね」って “ダークファンタジー”の世界という案が上がってきたりして。私自身も好きな世界でしたし、そういう世界観を表現したいと思っていたので。それに、ひとりひとりのキャストに合った衣裳イメージを提示したら、1週間ほどで出来上がってきたんですけど、想像していた以上のものが出来上がってきて。プロジェクトというのは、こうしていろんな方のお力を借りて、一緒に形にしていくんだなと思いました。

“Juliet aria”の第1弾となる作品の中で、ご自身はどんな役、キャラクターを演じたいと考えていましたか?

様々なキャラクターがいる中で、ブレない存在でいたいと思いました。今の世の中は女性ひとりでも自分の意思を持って立って生きていける。もちろんいろんな方の助けは必要ですけど、自分はそんな強い女性になりたいと思っているので、年齢に関係なく女は強いんだよっていうメッセージ伝えたいということを、強く持っていました。

脚本・演出に三浦 香さん、コンテンツ演出に植木 豪さんを迎えての共同作業になりますが、おふたりにはどのような印象を持っていましたか?

『R&J』で共演させていただいた諸星翔希さん(7ORDER)が出演されていた舞台『Oh My Diner』(2020年)を観させていただいたのですが、華やかでワクワクするお話に引き込まれてしまった。あのワクワク、ドキドキした脚本・演出をされた三浦さんが今回参加してくださると聞いて、脚本を待っている間は「どんなお話になるんだろう?」とずっとワクワクしていました。

植木 豪さんはご自身もダンスをされている方ですが、以前から交流があったのですか?

豪さんが演出やコンテンツを担当されている作品はたくさん観ていましたし、ダンサーとしても長年活躍されている方なので、前々から存じ上げていましたが、一緒にお仕事をしたことはなくて。ダンサーなら誰もが憧れる存在の豪さんが、今回手がけてくださるコンテンツ演出は今から楽しみでしょうがないですし、興奮しかないです(笑)。自分がもうひとり欲しいくらいです。三浦さんの脚本・演出で豪さんのコンテンツ演出の作品を、どうして私が生で観られないの!?、って思う。自分は出ているから客席で観られないのはわかっているんですけど(苦笑)。

三浦さんの脚本を読まれた感想を教えてください。

ダークファンタジーの絵本を読んでいるような世界にワクワクしました。人間関係の複雑さの中にある人間くささも感じましたし、このエンディングを迎えたあと、彼女たちはいったいどうなるんだろうという想いまでもめぐらせられるような物語でした。ただ、どんなに脚本を読み込んでも、舞台では生身の人間、生身の声で表現していくので、自分の想像を超えるものになるはずで。どんな舞台になるんだろうと楽しみになりました。

全員が組み合わさっていく化学反応の面白さ

ご自身が演じるキャラクターは、どのような人物だと捉えていますか?

私が演じる女性は葛藤しているバニーという子……挫折して何もかもがイヤになって、自分のすべてを捨てて無機質になっている。それでも捨てきれない希望があって、人間らしいなと思いました。人間は仕事や恋愛で失敗や挫折をしても、どうにかしたい、前を向きたい、どこかで生きたいと願っている。彼女もそうなんですよね。脚本を読みながら、思わず「わかるよ!」って応援したくなりました。私もそういう気持ちになった経験があるので、「捨てちゃダメだよ。まだやれるぞ! 挫折したってまだ立ち上がれるよ」って声をかけながら、自分でもそう信じ続けているところがあります。

今回、様々なジャンルのパフォーマーが揃っていますが、どのようなカンパニーになりそうですか? 

これまでいろんな舞台を観てきましたけど、こんな組み合わせの作品は観たことがないので、どう組み合わさっていくのか……以前から知っている方や初めましての方もいますが、全員が組み合わさっていく化学反応の面白さを楽しみにしていますね。ポールダンサーのAcha(亞蝶)は10年以上前から知っていて、一緒の作品にも出たことがあるんですけど。普段の性格はほわ~んとしているのに、自分の好きなことややりたいことに対してはすごくアクティブに動くし、頼もしいんです。この舞台に立つ女性パフォーマーの8名は自分の個性を捨てない、芯のある人ばかりなので、様々なジャンルが集まっても誰ひとりつぶれることはないなって思っています。自分の意思で生きてきた、強い女が詰まったカンパニーだと思います。

個性のぶつかり合いから生まれる化学反応が楽しみですね。

どんどんぶつかってほしいです(笑)。いい意味でバチバチしたいというか。ぶつかり合うことで生まれる絆ってあると思うので、遠慮や躊躇はしないでほしいなって思っています。

仲さんは女優としても活躍されていますが、芝居の面白さ、難しさはどこにあると思いますか?

難しいことが楽しいです! まだ女優としての経験が浅いので、台詞を覚えたり、役づくりをすることに難しさを感じることもあるんですけど、その難しいことがすべて面白い。これまでの作品では自分に近いキャラクター、自分と似ている子を演じてきて共通項も多かったので、正直、そこまでしっかりとした役づくりをしてきてはいないので、そこはひとつの課題でもあるのかなと思っています。でも、自分と似た役でも、仲 万美ではない違う人物を演じているので、自分を捨てて存在している。それもお芝居の面白さですよね。

『DustBunnySHOW』ではどう演じられますか?

『DustBunnySHOW』で私が演じる女の子には共感できる部分もあるけど、私自身とはかなり離れている子なんです。私はおしゃべりだし、前を向いて生きていきたいタイプだけど、彼女はすべてを捨ててしまった抜け殻みたいな子なので、彼女の無機質さをどう演じたらいいんだろう、と考えています。

人の記憶に潜入する。一生離れない記憶になる

ダンスやパフォーマンスをするときに大事にしていることはありますか?

私、人の記憶に潜入するのが好きで。ダンサー時代によくやっていたことなんですけど、客席にいるお客さん、ひとりひとりの目をじっと見つめたままダンスをしていたんです。

見つめられたお客さんはビックリしたでしょうね。万美さんと目が合ってる!?って。

見つめられたり、目が合ったりしたことが、そのお客さんの記憶に残ると思うんです。「ドキドキしたな」とか「私のことを見てた!?」とか……作品を観ているなかで何かひとつでもその人にとって一生離れないくらいの記憶や印象になるようなことを、“仲 万美”って名前を聴いただけでも何か記憶がよみがえってきちゃうようなことを、これからも残していきたいです。

本作に限らず、表現者として何を伝えていきたいですか? 仲さんのモットーはありますか?

自分ができることは限られているかもしれませんけど、作品を観てくださる方の心に少しでも寄り添えるような存在でいたいです。そのときそのときに皆さんが必要としているものを伝えていけたらいいなって。その思いの支えになっているのが、“Juliet aria”なんです。自分のモットーは、“人生は一度きり”。昔から言い続けていることですけど、人生は一度きりなんだから、悔いを残さないために自分のできることを最大限にぶつけて、やりたいことは全部やりたい。だから私は“NO”と言わないようにしています。自分に向いてないなと思っていた生の舞台も、『R&J』をやってみたら楽しくて、舞台が大好きになった。だから、まだまだ自分にできることがあるんじゃないかって、自分に期待しています!

コロナ禍でいろんな思いをめぐらせた1年だったとも思いますが、どのようなことを考えていましたか?

舞台に出たいとずっと思っていました。私はヒマが苦手で、じっとしていられない性格なので、去年の自粛期間はずっと気持ちが上がらなくて。でも、気分を落としたままにはしたくなかったので、自分が出ている舞台のDVDを観ながら、ずっと舞台に出たいなって。

じっとしていられないということは、外出もままならない期間は自宅で身体を動かしたりしていたんですか?

いっさいやらなかったです(笑)。誰かと一緒に踊るとか、何かに向けた筋トレやレッスンはできるんですけど、目標がないと続かなくて(苦笑)。今回の舞台が決まってから身体を動かし始めてはいます。急にやったら身体がビックリしちゃうので、少しずつですけど(笑)。

5歳からダンスを始めている仲さんですが、ダンス以外で没頭できるものはありますか?

ダンスを始めた同じ頃から好きなのはアニメです。フィギュアを集めたり、プラモデルを作ったりするくらい好き。あと、絵を描くことも好きですね。考えをめぐらせすぎてしまうようなときやストレスを感じ始めたときは、一回リセットするために、がむしゃらに絵を描きます。

今回、インタビューをさせていただく前は、“仲 万美”に対してかなりストイックなイメージを勝手に持っていたんですけど(笑)。

ストイックそうに見えるみたいですね(笑)。でも、そうでもないんですよ。“仲 万美”に対して皆さんが持っているであろうイメージはどんどん覆したいと思っています。

見たことのない世界が目の前に繰り広げられる

では最後に、Juliet aria『DustBunnySHOW』の見どころと意気込みをお願いします。

『DustBunnySHOW』は、それぞれ違う個性を持った女性たちが出演する舞台です。彼女たちの個性と魅力が出会い、作り上げていくダークファンタジーな世界を思う存分感じていただけると思います、ワクワクする脚本、ダイナミックな演出も絶対的な見どころです。そして、このような状況下なので、みんなで幕を開けられて、みんなでステージ上で同じ景色を見られたら、どんなに幸せなんだろうなと想像しています。だからこそ、一日一日を精一杯にやるしかないと思っていますし、この作品で自分に何ができるか私自身もワクワクドキドキしています。皆さんが見たことのない世界が目の前に繰り広げられるので、絶対に皆さんを驚かす自信があります。不思議な『DustBunnySHOW』の世界にお連れしますので、ぜひ楽しみにしていてください。

Juliet aria『DustBunnySHOW』

2021年4月29日(木・祝)~5月2日(日)天王洲 銀河劇場

<チケット一般発売日>
2021年4月3日(土)AM10:00〜

脚本・演出:三浦 香
コンテンツ演出:植木 豪

出演:
仲 万美
acha(亞蝶)
MikaT(CYBERJAPAN)
諸橋沙夏(=LOVE)
松本ユキ子
小林由佳
あさいまり
COCOA/
日野陽仁

オフィシャルサイト
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仲 万美(なか・ばんび)

ダンスアーティスト、女優。5歳からダンスをはじめ、これまでに加藤ミリヤ、BoAなどのバックダンサー、NHK『紅白歌合戦』において椎名林檎のアーティストダンサーを務めているほか、2015年にはマドンナのバックダンサーとしてワールドツアーに約1年半同行。2016 年のリオデジャネイロオリンピック閉会式における日本のプレゼンテーション「SEE YOU IN TOKYO」にも参加するなど、世界的にも活躍。2019年に、映画『チワワちゃん』で女優デビュー。その後、Rock Opera『R&J』でヒロイン・ジュリエット役として初舞台出演。雑誌、広告、CM、MV、イベントなどにも数多く起用されている。今年、オリジナルアートプロジェクト“Juliet aria”を立ち上げる。

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