Interview

佐藤ミキ 新作はアニメ『裏世界ピクニック』のエンディング主題歌。イメージを大きく変えたビジュアル、「信じるとは何か?」をテーマにした作品の世界について訊く。

佐藤ミキ 新作はアニメ『裏世界ピクニック』のエンディング主題歌。イメージを大きく変えたビジュアル、「信じるとは何か?」をテーマにした作品の世界について訊く。

昨年12月にTVアニメ『魔法科高校校の劣等生 来訪者編』のEDテーマ「名もない花」でメジャーデビューを果たした佐藤ミキがニューシングル「You & Me」をリリースした。表題曲はネット上で語られる実話怪談や都市伝説を題材にした怪異サバイバルアニメ『裏世界ピクニック』のエンディング主題歌として書き下ろされた90’s R&Bになっているのだが、何よりも驚いたのは彼女のビジュアルの変化だ。前作では黒髪ロングで真っ白なワンピースとヴェールを纏っていたが、2枚目のシングルとなる今作ではミニスカートにニーハイを履き、茶髪の派手なメイクとなっている。どっちが本来の佐藤ミキなのか。楽曲によって全く異なるイメージを表現していく彼女に変化の理由を聞いた。

取材・文/永堀アツオ


渋谷の裏世界みたいなものをテーマにビジュアルもガラッと変えて

ビジュアルの変化にびっくりしてます。

あははは。そうですよね。前回の「名もない花」はデビュー作品というのもあったので、真っ白な状態で色をつけてないイメージだったんですけど、今回はテレビアニメ『裏世界ピクニック』のエンディング主題歌を担当させていただくことになったので、渋谷の裏世界みたいなものをテーマにビジュアルもガラッと変えて。90年代を連想させるようなファッションとか、ダンスも初めて挑戦したりして。私にとっては新しい挑戦でしたし、攻めた1枚になりました。

デビューから2作目でそこまでガラッと変えることに抵抗はなかったですか。

いろんなことをやってみたいと思っていたので全然なかったですね。『裏世界ピクニック』のエンディング主題歌を担当させていただくことになった時から、映像やファッションを含め、新しいことができるんじゃないかなって思って楽しみながらやることができました。

それにしてもメイクだけでこんなに変わるのかという驚きがまだあって。

私もびっくりしました(笑)。プロのメイクさんに、強めのメイクをしてもらったら、自分でも違う人みたいだなと思って。いい経験になりましたね。

ちなみに佐藤さんはギャル時代はありましたか。

ありました! 小さい頃からメイクやファッションが好きで、小学校6年生から中学生の頃に付けまつげとか、ネイルとか、ハイヒールとか履いてて。大学に入った時にはもう、つけまつげも付け爪もしてなかったので、久しぶりで楽しかったっていう感覚ですね。

このままビジュアルや映像周りの話を先に聞かせてください。

衣装は90年代を連想させつつ、今っぽさも入れたいなと思ったので、今年の流行りであるゼブラ柄を取り入れていて、ネイルも透明のスカルプにゼブラ柄にしてるんですね。あと、普段から、ミニスカートにニーハイブーツを履いたりもしていたので、あんまり違和感はなかったですね。

自分としては、どっちも私だし、そういう時もあるよっていう感じなんです

しつこいようですけど、前回が白いワンピだったから。

どっちも私なんですよね。でも、確かに「You & Me」のMVを公開した時は、「誰かと思った」っていう反響をたくさん頂いて。そういうふうに見えてるんだなって面白かったですけど、自分としては、どっちも私だし、そういう時もあるよっていう感じなんです。

さらにMVではダンスも披露してます。

そうですね。ダンスを撮影するのは初めてだったし、ダンサーさんに入ってもらうことも初めてだったのですごく緊張して。自分がダンスをした時に、どういう風に映って見えるかもわからない状態で挑んだので、ドキドキもありました。あとは、今回、初めてキャストさんに入っていただいたこともすごく新鮮でしたね。ダンスをしたり、キャストさんに出ていただいたり、渋谷の背景を出してもらったり。見どころが詰まった面白い映像ができたなって思います。

エンディング主題歌に起用されたテレビアニメ『裏世界ピクニック』の世界観とも重なってるんですよね。

そうですね。『裏世界ピクニック』は私が今までに見たことのないアニメのジャンルで、都市伝説がお話に入っているんですけど、仁科鳥子と紙越空魚という二人の女の子が出てくるんですね。鳥子は絶対的な眩しさとポジティブさを持っていて。空魚は最初、心を閉ざしているんだけど、鳥子がきっかけとなって自分から積極的になっていく。そういう、人の関わり合いの中で変わっていくとことが素敵だなと思ったので、そこの部分はMVにも活かしていて。MVでは黒髪の女の子が、最初は金髪の女の子に手を取られていたのが、最後は自分から手を取るっていうストーリーになっています。

「You & Me」の作詞も「信じるとは何か?」をテーマにして、シンガーソングライターの坂詰美紗子さんと一緒に作らせていただきました

原作の小説はどちらの女の子の視点で読みましたか。

推しキャラは鳥子なんですけど、空魚の閉じこもってしまう心境もすごく共感できて。きっと傷ついたことのない人はいないと思うんですけど、傷つくと、信じなきゃ痛い思いはしないんだとか、期待しなきゃ傷つくことはないんだっていう思考に陥ってしまうじゃないですか。私も昔、そういう時期があったし、人を信じられずに心を閉ざしてしまうって、すごく悲しいことだなと思って。例えば、相手が自分のことを信じてくれていても、信じてくれていなくても、まず、自分が相手のことを信じていないと、いい関係を築くのは難しいなと思うんですね。だから、自分から相手を信じられるようになるっていうことはとても素敵なことだなって思うし、「You & Me」の作詞も「信じるとは何か?」をテーマにして、シンガーソングライターの坂詰美紗子さんと一緒に作らせていただきました。

どのような形で作詞は進めていったんですか。

今回、坂詰さんとは初めての共作だったんですけど、テーマに対して、お互いに歌詞を出し合って、すり合わせていきました。だから、私の思う「信じる」と、坂詰さんの思う「信じる」が詰め合わせみたいになってる。坂詰さんの違った視点からの「信じる」を見ることができて、すごく勉強になったなと思います。

誰かを信じるということは、相手どうこうというより、その相手を信じると決めた自分を信じるっていうことなんだなっていう歌詞が出てきたんですね

「信じるとは何か?」というテーマに対して、この曲の中では“誰かを信じることは、自分を信じることだ”っていう答えを出してますよね。

アニメの脚本を読ませていただきながら、信じるってどういうことなんだろうなって考えていて。私は何をもって相手を信じてるのかなって考えた時に、周りのみんながいい人って言ってるから、私も信じてみようとはならないなって思ったんですね。私の場合は、結局は自分の視点で相手を信じられるかどうかを判断してる。ということは、その基準を決めた自分を信じてるっていうことだなって思って。だから、誰かを信じるということは、相手どうこうというより、その相手を信じると決めた自分を信じるっていうことなんだなっていう歌詞が出てきたんですね。

坂詰さんの「信じてる」は?

私は相手を信じる=自分を信じるだったんですけど、坂詰さんは、相手が心を開いていってくれることで信じられるっていう視点でしたね。自分以外の相手を信じるっていうのも知ったうえで、この楽曲を制作することができたので、自分だけではできなかったニュアンスも表現できたのかなと思います。

歌入れはどんなアプローチで臨みましたか。

すごく難しかったですね。サビはずっとハイトーンを維持しているし、フレーズのブレスの切り方も独特だったので、リズムに乗って音をはめないと、聴こえ方が変わってしまう。だから、レコーディングでは、リズムやフレーズの切り方を意識して挑みつつも、聴いた時に歌詞の内容も心に残るようにしたいっていう思いがあって。リズムに乗りながら、フレーズをくぎりながら、言葉がちゃんと聴いてくれる人の心に入るようにって意識したんですけど、すごく難しかったです。

先ほどの、誰かを信じること=自分を信じることという視点とともに、<i will change myself>=相手ではなく、自分次第で変わることができるんだというメッセージも伝わってきました。

ありがとうございます。楽曲の核になるフレーズが耳に入るようにって意識しました。空魚は最初から鳥子のことを全部信じて、鳥子とだったらどこにでもいくという感じではなくて。鳥子の頭の片隅には常に冴月がいて、冴月のことを探しているんですね。彼女が冴月の話をすると、空魚の表情が曇ったり、もやもやっとしたりする。全然会ったこともしゃべったこともない冴月のために、なんで危険な目にあってまでして一緒に探さなきゃいけないの? みたいな描写があって。だから、最初は鳥子のことをあまり信じられてないんですね。鳥子の大切な人のためなら、私も頑張れるとは思ってない。鳥子がきっかけになってだんだんと変わっていき、それまで踏み出せなかったところに一歩踏み出せていける。この楽曲は、どちらかというと、空魚目線になっているんですけど、「信じる」というのは自分だけでもできないし、相手だけでもできない。自分あって、相手もあって、信じるっていうことだというのが伝わるといいなと思います。

アニメの絵に曲がついたのを見てどう感じました。

水中にシルエットで鳥子と空魚が出てくるんですけど、映像が綺麗だったし、シンプルな分、曲がすっと入ってくるなって思って、すごく嬉しかったですね。

さらに、日本の80~90年代のシティポップを現代的に再構築している韓国人DJ、Night Tempoのリミックスも収録されてます。

めちゃめちゃかっこよくないですか! 原曲とはまた違ったおしゃれっぽさがあるし、すごくかっこいいアレンジになったなと思っていて。Night Tempoさんがミックスしてきた楽曲の仲間入りさせてもらったことも嬉しいですし、Night Tempoさんと私の個性がマッチしたアレンジになっているのですごくお気に入りです。

恋愛の不平等さを描きたいと思って

また、本作にはカップリングが2曲収録されてますが、2曲とも“2人”の関係性を歌ってますね。

そうですね。「Plan A B C」はちょっと明るくてノリのいい曲なんですけど、恋愛の不平等さを描きたいと思って。自分が好きなだけでもうまくいくとは限らないし、努力したからといって叶うとは限らない。この曲も自分と相手がいて、タイトル通り、プランAとBとCがあって、その間で揺れている。AとCは方向としては一緒なんですけど、Aはまだ煮詰まってない感じ。Bはダメになるかもしれないけど、それでもいいの? って問いかけていて、Cは、AとB を経て、二人のもっと強固な答えを出している。聴いてくれる方にそれぞれのプランを想像してほしいし、面白い曲ができたなと思います。

佐藤さんの理想の恋愛観も聞かせてください。

自分が大切にしたいって思うことが大事なのかなって思いますね。でも、それは自分だけじゃダメなんですよ。相手からも大事にしてもらえたほうがいいなと思っていて。大事にされるだけでも成り立たないし、自分が大事に思うだけでも成り立たないし。お互いに大切にできる関係が理想かなって思います。

卒業や転職のタイミングで別れを決めた女の子が、鞄を持って、今から出ていくよっていう、その瞬間に焦点を当てた楽曲になっています

それは、Plan Cよりも後にありそうですね(笑)。続く、「Last minutes」は別れですよね。

ちょうど卒業シーズンで、出会いよりも別れが多い時期になるのかなと思ったので、別れの恋愛ソングを描きたいなって思って。卒業や転職のタイミングで別れを決めた女の子が、鞄を持って、今から出ていくよっていう、その瞬間に焦点を当てた楽曲になっていますね。別れたくないのに別れることになっちゃった、悲しいではなくて。別れって、その時は悲しいかもしれないけど、お互いが幸せになるための別れがあるって思っているんですね。だから、お互いが幸せになるための運命だと思って受け入れよう、みたいな。そういう強さみたいなものも表現したいなと思っていました。

<本当に本当の サヨナラ><永遠のサヨナラ>と強調してます。

もちろん、復縁してうまくいってる人たちもいると思うんですけど、1回、何か理由があって一緒にい続ける努力を諦めちゃったわけですからね。私の偏見なんですけど、男の人は別れたけどまだ好きって思っていても、案外、違う子も好きになれたりするのかなって思うんですよ。でも、女の子はその人のことを信じて待っちゃうと、あんまり他にいかない。だから、女の子には、過去を振り返らないで、運命を受け入れて、自分が幸せになることを諦めないでほしいんですよね。「ほんとに好きだったのに」「この人しかいなかったのに」「この人がいなくなっちゃったらもう……」ではなく、運命を受け入れて、振り切ってほしいっていう思いがある。相手を恨んでないし、好きだったけど、もう絶対に振り返らないし、絶対に戻らないっていう意思が別れる時に女の子は必要なのかなって。

<本当に本当の サヨナラ>っていう歌詞を聴いて、「そうだ、終わったんだ。そういう運命だったんだ。でも、ちゃんと幸せになろう」ってちょっとでも感じてほしい

すごく強い意思を感じますよね。ドアを閉めた途端に全てを終わりにして、他人の顔になってるような。

あはははは。この曲の通りになってほしいっていうよりかは、聴いてる人が強くなれるといいなと思ってます。悲しみに寄り添う曲があってもいいと思うんですけど、私の楽曲は、強い気持ちになりたいとか、背中を押してほしいみたいな時に聴いてほしい。だから、<本当に本当の サヨナラ>っていう歌詞を聴いて、「そうだ、終わったんだ。そういう運命だったんだ。でも、ちゃんと幸せになろう」ってちょっとでも感じてほしいなと思って、最後は結構、強めにいきました(笑)。

(笑)この2曲はご自身の恋愛観も出てますよね。

そうですね。大抵のことは努力でどうにかなるけど、恋愛だけは自分の努力ではどうにもならないこともあるんだなって思うし、別れた時はすごく辛くても、振り返ってみると、別れてよかったなって思った経験もある。その時は辛いから、まだ好きだなとか、戻ってきてほしいとか考えちゃうんですよね。例えば、「時間が解決する」とか、「もっといい人いっぱいるよ」っていうのは、みんなわかってることだと思うんけど、実際に別れるとなると、フる側だろうが、フラれる側だろうが、一度はずっと一緒にいるって思った人と別れるのはすごく辛いし、それどころではなくなってしまう。それでも、女の子たちには、別れるって決めたんだったら、そういう運命だと思って、振り切ってほしいなって思ってます。

>私を見て、私の音楽を聴いて、頑張ろうって思ってもらえるような人でいたい

3曲を通して、いろんな強さを表現してますよね。

もちろん、私も気持ちが落ちる時はあるし、自分がやってることじゃこれであってたかなっていう不安な気持ちになる時もあるんですよ。でも、私はやっぱり、今、苦しんでる人、どこか行き詰まりや辛さやを感じてる人たちが、私を見て、私の音楽を聴いて、頑張ろうって思ってもらえるような人でいたい。本当に強いかどうかはわからないけど、強くいたいなっていう気持ちがあるし、強いマインドを打ち込みたい、気持ちをアゲたくなる時に聴きたいアーティストでいたいので、そこはブレずに突き詰めていけたらいいなと思ってますね。

その他の佐藤ミキの作品はこちらへ。

▼「You & Me」CD購入はコチラ
https://satomiki.lnk.to/You_and_MeTS


佐藤ミキ 2nd Single「You & Me」リリース記念配信プログラム 『You & Me & YouTube』
3月10日(水)20:00 プレミア公開

佐藤ミキ

幼少期から音楽に囲まれた生活を送り、友人の誕生日会や遊戯会などで歌い続けてきた。周りから賞賛を浴びることで音楽の楽しさを実感し、更にのめり込んでいく。
そんな中、海外にも興味を持ち始め、小学校在学時には単身でオーストラリアへ留学。触れるもの全てが新鮮で、後の人生に大きな影響を与えるきっかけともなった。
高等学校は英語科に進学し、再びオーストラリアへ。 Ariana GrandeやAvril Lavigne、Taylor Swiftなど海外音楽にも傾倒するように。在学時に友人と行っていた音楽活動では、ガールズグループを結成しVocal & Bassを担当。地元で開催された音楽大会では金賞を獲得するなど、繊細さと強さを併せ持ったその魅惑的なSilky Voiceの存在感が業界関係者の目に留まるようになる。
大学在学時には学業と音楽活動の両立を果たしながら、日中友好大学生訪中団員として中国へ派遣されるなど、音楽レッスン、自主トレーニング、歌詞の勉強など、日々準備を重ねてきた。
2020年、SONY MUSIC内の音楽レーベル″SACRA MUSIC″より遂に始動。メジャーデビューに先駆け、7月には初のオリジナル曲「Play the real」を自身のYouTubeチャンネルに公開、8月にはプレデビュー曲「A KA SA TA NA」を配信限定でリリース。そして10月から放送されているTVアニメ『魔法科高校の劣等生 来訪者編』エンディングテーマに新曲「名もない花」が抜擢され、12月2日にDebut Singleとしてリリースした。
2021年、1月から放送開始のTVアニメ『裏世界ピクニック』エンディングアーティストに決定。3月10日に2nd Single「You & Me」をリリースする。

オフィシャルサイト
https://www.satomiki-official.com