Interview

JABBA DA FOOTBALL CLUB メジャー1stアルバムはヒップホップとJ-POPを繋ぐ“開かれた”1枚。その理由とは? 仕上がりの手応と制作過程の様子を4人に訊く。

JABBA DA FOOTBALL CLUB メジャー1stアルバムはヒップホップとJ-POPを繋ぐ“開かれた”1枚。その理由とは? 仕上がりの手応と制作過程の様子を4人に訊く。

4人組ラップグループ・JABBA DA FOOTBALL CLUBがメジャー1stアルバム『JABBA DA FOOTBALL CLUB』をリリース。シングル「i&i」「新世界」「きみは最高」「国道9号線」、さらにNAOTO(ORANGE RANGE)プロデュースによる「*〜アスタリスク〜」のほか、「全力少年」(スキマスイッチ)、「Funny Bunny」(the pillows)、「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」(サンボマスター)をサンプリングカバーした楽曲などを収めた本作は、メンバーの音楽的ルーツに根差しつつ、ヒップホップとJ-POPを繋ぐ“開かれた”作品に仕上がっている。

取材・文 / 森朋之 撮影 / 森崎純子


今回のアルバムも、いろんなテイストの曲があってもバラバラではないんですよ(NOLOV)

JABBA DA FOOTBALL CLUB WHAT's IN? tokyoインタビュー

メジャーデビューから1年9ヵ月、ついに1stアルバム『JABBA DA FOOTBALL CLUB』が完成しました! ヒップホップのテイストはもちろん、いいバランスでJ-POP感も入っていて、本当に素晴らしいアルバムだと思います。まずはみなさんの手ごたえを教えてもらえますか?

ROVIN 最高ですね! 結成から約5年、インディーズからはじまって、2019年にメジャーにいって。それからもいろいろありましたけど、全部が合わさって「どでかいのが来た!」という感じで(笑)。“メジャー1stアルバム”って打ち出せるのも嬉しいです。

JUQI メジャーデビューしてからシングルを3枚出してきたんですけど、振り返ってみるとあっという間だった気もして。全部がつながっている感じもありますね。

BAOBAB MC まだ出来上がったばかりで放心状態なんですよ(笑)。まだ全然俯瞰できてないんですけど、制作中はいろいろあったし、アルバムが完成したことでそれも報われたなと。曲はNOLOVと二人で合宿をして作っていたんですけど、お互いにアイデアを出しながら、意見をぶつけ合って。

いろいろなテイストの曲が入ってますからね。そのぶん、音楽的なアイデアも豊富で。

BAOBAB MC そうですね。もともとジャンルの垣根がないグループだと思うので。

NOLOV ただ、自分たちのルーツにないものはやってないんです。いろんなトレンドがあるし、カッコいいものもたくさんあるけど、自分たちにハマるかどうかは全く別の問題で。「その服、似合わないよ?」みたいになるのは良くないし、そういう意識は共有できてるのかなと。だから今回のアルバムも、いろんなテイストの曲があってもバラバラではないんですよね。どの曲にもBAOBABの良さが出ているし、とっ散らかってはいないというか。あと、最初に「J-POP感も入っている」って言ってもらったように、リスナーがアクセスしやすくて、自分の曲にしやすいと思うんですよ。それがJABBAとして一番やりたかったことの一つでもあるので。

せっかく意見をくれる人がいるんだから、しっかり聞いて、やってみようと(NOLOV)

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「*〜アスタリスク〜」(ORANGE RANGE)、「全力少年」(スキマスイッチ)、「Funny Bunny」(the pillows)、「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」(サンボマスター)をサンプリングカバーした楽曲も収録。まさにヒップホップとJ-POPをつなぐ4曲だなと。

NOLOV これはスタッフと相談しながら決めました。そこに至るまでにもいろいろあったんですけど……「きみは最高」というシングルを出すときに、「これは自分たちのベストソングだ。これで何かが変わる」と思ってたんですよ。でも、そう簡単には望んでいた状況にはならなくて。もちろんいい影響もあったんですけど、大ヒットにはつながらなかったし、その後はどんな曲を作っても、絶対的な自信を持って届けるまでには至らなかったんです。そのとき「ちゃんと人の意見を聞こう」と思ったんですよね。独りよがりになって意見を押し通すんだったら、メジャーのフィールドに立たなくていい。せっかく意見をくれる人がいるんだから、しっかり聞いて、やってみようと。ところが、そういう話をプロデューサーのSUIさんとした日に階段から落ちて、入院してしまって。

ROVIN 大変だったよね。

NOLOV 退院して制作に復帰したときに、「こんなにいい環境で音楽が出来るって、ありがたいな」と思って。そのタイミングでサンボマスターの「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」を聴いて、泣いちゃったんですよ。

BAOBAB MC 泣いてたねえ。

NOLOV <悲しみで花が咲くものか!>って。グチばっかり言っててもしょうがないし、とにかく進んでいかないとダメだなと思って、7日間の合宿で20曲以上作ったんですよ。

すごい! サンボマスターに力をもらったんですね。

NOLOV 「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」もそうだし、どの曲も音楽として素晴らしいんですよ、当たり前なんですけど。

BAOBAB MC 分析すればするほど、「なぜ名曲なのか」という理由が目の前に現われるというか。

NOLOV うん。BAOBABとは「この曲における核って何だろうね?」という話もしてましたね。たとえば「Funny Bunny」だったら、「この曲の真ん中にあるのは、優しさだよね」とか。

BAOBAB MC それがわかると、アレンジも変わってくるんですよね。

NOLOV それを踏まえて、「JABBAにしか出来ないことって何だろう」と考えて。それに気付けたのは、SUIさん、サンボマスター、あとはケガのおかげですね(笑)。

NAOTOさんにプロデュースしてもらったことが、まさに道標、指針になったので(BAOBAB MC)

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「*〜アスタリスク〜」をNAOTOさんと一緒に制作したことも大きな経験だったのでは?

BAOBAB MC すごく大きかったです。NAOTOさんにプロデュースしてもらったことが、まさに道標、指針になったので。

NOLOV 驚きましましたね。スピード感もクオリティもレベルがぜんぜん違ってて。仕事が早いし、議論の場では言ってないことも、しっかり音に込めてくるんです。この姿勢こそがプロだなと思ったし、シビれましたね。

BAOBAB MC 音にすべての回答があるっていう。すごい体験でしたね。

JUQI こちらからの要望はテキストで伝えさせてもらったんですけど、全部汲み取って、さらに高いレベルのトラックを出してくれて。工程を二つくらいスキップしてる感じというか。

NOLOV 背筋が伸びました。「これがこの世界のトップなんだ」と思い知りました。

サンプリングする曲にしても、とにかく原曲のパワーがすごいし、「大丈夫なの?」と思ったり(ROVIN)
トラックが上がってきたら、とにかくいいラップを入れようと。普段以上にプレッシャーがあったし、いい刺激になってましたね(JUQI)

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その体験は、新曲の制作にも影響があった?

BAOBAB MC すごくありましたね。まずは合宿でNOLOVと曲を作り続けて。「ここで挫けたら終わり」と気を張ってました。

NOLOV SUIさんもスパルタですからね。「この曲のサビ、10パターン考えて」とか(笑)。

ROVIN 俺は「がんばれ!」って思ってました(笑)。いつもそうなんですけど、曲作りは二人に任せて、上がってきたものに対して、どんなラップを乗せるか?というスタンスなので。ただ、アルバムの制作が始まったとき正直、よくわからなかったんです。サンプリングする曲にしても、とにかく原曲のパワーがすごいし、「大丈夫なの?」と思ったり。でも、新しいトラックが上がってきたときに、それが全部吹っ飛んだんですよね。「めっちゃいい! 大好き!」という曲ばかりだったので。

JUQI (NOLOV、BAOBABが)「がんばってるな」というのは、もちろんわかっていて。その間こっちは手が空いているんですけど、トラックが上がってきたら、とにかくいいラップを入れようと。普段以上にプレッシャーがあったし、いい刺激になってましたね。

アルバムのなかでも一番がっつりラップしてる曲だし、「この席は譲らねえぞ」という気持ちもあって(ROVIN)

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なるほど。アルバムの新曲のなかで、特に印象に残っているのは?

ROVIN うーん……。全部なんだよな(笑)。

BAOBAB MC わかる。難しいよね。

ROVIN 自分はソロでもすごいプロデューサー陣と一緒にやらせてもらってるんですけど、BAOBABのトラックってめちゃくちゃいいんですよ。今回の新曲も好きな曲ばっかりで。

NOLOV え、パスする?

ROVIN いや、いきます! 「天上天下唯我独尊」です!

NOLOV もうわかりました。彼はきっと「自分のラップがいい」って言いますよ(笑)。

BAOBAB MC 僕のトラックを褒めたのはフリだったと(笑)。

JUQI さあ、答え合わせしましょうか(笑)。

ROVIN ……この曲の良さは、僕のラップです!

NOLOVJUQIBAOBAB MC ハハハハ!

ROVIN (笑)さっきから言ってますけど、アルバムのレコーディング中、いろいろあったんですよ。サンプリング曲でも越えなくちゃいけないハードルがあったし、ずっと必死で。でも、「天上天下唯我独尊」にラップを入れてた時間はめちゃくちゃ楽しくて。ブースのなかで普通に「楽しい!」って言っちゃいましたから。

BAOBAB MC 言ってたね(笑)。

ROVIN アルバムのなかでも一番がっつりラップしてる曲だし、「この席は譲らねえぞ」という気持ちもあって。

NOLOV 誰も奪おうとしてないけどね(笑)。確かにめっちゃ良かったんですよ、そのときのラップ。その場で「それだよ!」って言っちゃうくらい。

BAOBAB MC うん。

NOLOV この曲のビートは本当にドラマーが叩いている感じをイメージしていて。ループというよりはラップに呼応して変わっていくようにしました。いろいろ計算して作ってたんですけど、ROVINのラップはそれを上回ってたんですよ。すごい相乗効果だったし、最高だなって。これがJABBAの良さださなと改めて感じましたね。

BAOBAB MC 作りこんだ“SASUKE”のファイナルステージ、クリアされた!みたいな(笑)。

JUQI (笑)「天上天下〜」や「アイスクリーム デイドリーム」は、ちょうど1年前くらいからあった曲なんですよ。その後、ビートを作り替えたり、ギターを弾き直したりして、今の形になって。月日を感じますね。

1年かけてブラッシュアップしてきたと。

JUQI そうですね。「ハニートースト・ロマンス」は、それを経て出来たという感じがありますね。音数が少ないんですけど、ビートやノリがしっかり保たれていて。いろいろな経験があったからこそ、こういう曲が出来たのかなと。

“おいしいところをどう聴かせるか?”ということなんですけど、音の抜き差しがだいぶ分かってきましたね(BAOBAB MC)

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「ハニートースト・ロマンス」は、現行のヒップホップのトレンドも反映されている?

BAOBAB MC 最初のタネの段階では、今っぽいビートに寄ってましたね。そこから音を引き算にして、このアレンジになって。これまでは音をモリモリにすることが多かったんですけど、アルバムの新曲では音数を減らすことも意識してたんですよね。“おいしいところをどう聴かせるか?”ということなんですけど、音の抜き差しがだいぶ分かってきましたね。

NOLOV うん。今っぽいトレンドを狙ったいうより、ROVIN、JUQIのラップをどうやって聴かせるか?ということを一番意識しました。まずスペースを開けて、彼らに入ってもらって。二人のラップがしっくりくるように音色を選んで、音を減らして……今まではそういう感覚が足りなかったと思うんですよね。例えばROVINのラップはリズムの把握の仕方がすごく特殊で。それをプレゼンしたかったんですよ。

BAOBAB MC 「ROVINはこういうふうにリズムを刻んでるんですよ」というのがわかるような音を入れたり。

ROVIN ありがとうございます(笑)。

NOLOV ROVIN、JUQIの魅力をより伝える方法がわかってきたのも、NAOTOさんと一緒にやって気付いたことですね。

BAOBAB MC NAOTOさんは(JABBAとのコラボレーションを)“セッション”って言ってくれてるんですよ。

NOLOV バンドっぽい作り方だよね。

JABBAのオリジナルソングとして今までやってきたことが昇華できた1曲(NOLOV)

なるほど。NOLOVさんのなかで思い入れのある曲は?

NOLOV 「フレンズ」ですね。いちばんパブリックというか、J-POPのテイストを出せた曲だし、JABBAのオリジナルソングとして今までやってきたことが昇華できた1曲だなと。

<あなたといれた それだけで/これ以上ない 何もいらない>というフレーズ、素晴らしいと思います。本当に普遍的なラインだなと。

NOLOV 僕もずっと聴いてもらえる曲になると思います。そのことに気付いたのは、マスタリングが終わった後なんですよ。全部終わって、出来上がったときに「この曲、すごくない?」と思って。……僕、RIP SLYMEの「運命共同体」という曲が大好きで。アルバム『FIVE』(2001年)に入っているんですけど、PESさんが未来から自分たちを見るように書いているリリックがあるんですよ。それを今聴くと、当時とは全く違う意味が感じられるし、勝手に僕自身のことも重ねることができて。経年変化に耐えるというのかな。「フレンズ」もそういう曲になり得ると思うし、すごくパブリックなパワーがある曲だなと。今までの結晶みたいな曲ですね。

このアルバムの作り上げる過程で、みなさんが得たものは本当に大きいですね。

BAOBAB MC やれることがすごく増えましたね。まだ1回やっただけなので、これを自分の身に着けて、血と肉にするためには、何度も反芻しながら曲をいっぱい作るしかないと思っていて。定着させたいマターがいろいろあるんですよ、ホントに。

自分たちとしては、1対1で歌っているつもりなので、聴いてくれる人もそういう気分になってくれたらなと(JUQI)

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もちろん、アルバムをリスナーに届ける作業も必要だと思いますが、そこに関してはどんなビジョンがありますか?

NOLOV いまの社会の状況は災害に近いと思うし、それに抗おうとすれば、どうしても迷惑をかけてしまう場面もあると思うんです。状況を見ながら動くしないですね。ただ、すごくいいアルバムが作れたし、焦ってはいないんですよ。「1ヵ月の間にプロモーションしなくちゃいけない」みたいな価値観も変化してくるだろうし、まずはしっかりリリースすることかなと。

ROVIN 理想を言えば、全国民がこのアルバムを聴いてくれて、ワッショイワッショイお祭り状態になってほしいです(笑)。でも、このアルバムが完成したときに、「そうじゃなくてもいいな」と思って。大勢の人に届けるというより、一人ずつでもいいから、「すごく響いた」「めちゃくちゃ好き」という感じで刺さってほしいなと。大事に聴いてほしいという気持ちになってますね、今は。

JUQI 自分たちとしては、1対1で歌っているつもりなので、聴いてくれる人もそういう気分になってくれたらなと。このアルバムでドカン!ってなってほしいけど、その前に一人一人のリスナーにじっくり聴いてほしいというか。その人たちが前に進めてくれると思うんですよね、このアルバムを。

その他のJABBA DA FOOTBALL CLUBの作品はこちらへ。

JABBA DA FOOTBALL CLUB

2014年結成の4人組ラップグループ。
2017年に2nd Album『OFFTHE WALL』発売。
リード曲「STAY GOLD, LIFE GOES ON」がカルトヒット。
Spotifyの”Early Noise”にも選定され、サマーソニックへ出演も果たす。
2018年のEP『FUCKING GOOD MILK SHAKE』が、タワーレコード”タワレコメン”に選出。“Tempalay”「革命前夜」のサンプリングも行ったこの作品で一気に認知度を広げ、フジロックへの出演も果たす。
同年シングル「i&i」を引っ提げての全国ツアーファイナルでは“Creepy Nuts”とのツーマンライブを行う。
2019年6月、SG『新世界』にてソニー・ミュージックレーベルズよりメジャーデビュー。
同年9月、全国の結婚式場からBGM使用のリクエストが相次いでいる配信シングル『きみは最高』をリリース。
2020年3月には、強力なアンセム『国道9号線』をリリースするなど、メジャーデビュー後も精力的に活動中。
グループとしてのリリース以外にも、2019年12月には“ヒプノシスマイク”への楽曲提供も行い、iTunes総合チャート1位を獲得。

オフィシャルサイト
http://jbfc.jp

オフィシャルTwitter
https://twitter.com/jabbadafootball?s=20

オフィシャルInstagram
https://www.instagram.com/jabbadafootballclub/?hl=ja

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