Interview

役者として飛躍を続ける宮沢氷魚。映画『騙し絵の牙』の撮影を振り返る。「自信になりました」

役者として飛躍を続ける宮沢氷魚。映画『騙し絵の牙』の撮影を振り返る。「自信になりました」

『盤上のアルファ』『罪の声』などで知られる作家・塩田武士が、俳優・大泉 洋を主人公に当て書きしたことで大きな話題を集めた小説を、『桐島、部活やめるってよ』などの名匠・吉田大八監督が大泉主演で映画化した『騙し絵の牙』。

大手出版社を舞台に、変わり者として有名な速水(大泉)が廃刊寸前の雑誌の編集長となり存続のために策を仕掛ける本作で、キーパーソンを演じているのが宮沢氷魚。大泉を筆頭に、松岡茉優、國村 隼、木村佳乃、リリー・フランキー、佐藤浩市ら、錚々たるキャストが並ぶなか、天才新人小説家・矢代聖としてミステリアスな魅力を振りまいている。

ファッション誌『MEN’S NON-NO』の専属モデルとしてだけでなく、俳優としても目覚ましい活躍を見せている宮沢。特に昨年は、初主演映画『his』で多くの賞に輝き、舞台『ピサロ』では大物・渡辺 謙と共演。NHK連続テレビ小説『エール』にも出演するなど、大活躍を見せた。そんな宮沢を「WHAT’s IN? tokyo」は「2021年ネクストブレイク俳優 TOP10」で1位に選出。そこで『騙し絵の牙』にまつわる質問はもちろんのこと、1位の結果についても伝え、感想をもらうとともに、昨年の自粛期間明けに経験した舞台で感じたことや高まる役者業への思いを聞いた。

取材・文 / 望月ふみ 撮影 / ヨシダヤスシ


待機部屋で突然モノマネ合戦!?「メリハリのある素晴らしい姿勢が勉強になった」

騙し絵の牙 宮沢氷魚 WHAT's IN? tokyoインタビュー

本作の登場人物は曲者ぞろいです。そのなかでどうアプローチしていこうと意識しましたか?

確かにクセの強いキャラクターばかりですよね。しかも、演じている役者さん自身も個性的な方々ばかりで(笑)。みなさんのエネルギーがすごかったので、僕も負けていられないと思いつつ、無理にそこで戦うのも違うと思ったので、僕は僕らしくいようと意識しました。それに僕の演じた矢代は、とにかく何を考えているのか分からない人物なので、ミステリアスさに意識を集中していきました。

そうしたミステリアスさはどう出していったのですか?

自分のうちに秘めているもの、考えていることと、表情がリンクしていないほうが面白いと思ったので、気持ちと表情を逆に表現する、といったことを考えていきました。

名匠・吉田大八監督と組まれました。監督の言葉や演出で印象に残っていることは?

監督は、キャラクターの気持ちの面に関しては委ねてくれるんです。役柄のことを一番深く考えてきた役者を信じてくれているというか。その分、セリフの間とか、タイミング、立ち位置といった部分はすごく細かい演出がありました。あと0.何秒欲しいとか、とても細かく。もともと広告も撮られているからか、フレームインの立ち位置に関しても、数ミリ単位での指定なんです。仕上がった映像を観たとき、少しずれただけでも違う画になることが分かりました。他の現場ではなかなか体験できないことで、すごくプラスになる経験でした。

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出版業界が舞台です。宮沢さんはもともとモデルとして活躍されていますし、馴染みの深い世界だとは思いますが、ビックリした部分もありましたか?

僕は5年以上、『MEN’S NON-NO』でモデルをさせてもらっていて、編集部にもよく行くので、ビックリしたというよりは、「あるある」を感じました。とにかく物がいっぱいあるとか。人と人との関係性とか。同じ会社(出版社)内でも、それぞれの編集部があって、どの雑誌はどことタイアップを取ったとか、誰を表紙に持ってくるとか、互いに意識していたりして、仲間でありライバルでもあるんですよね。僕の周りの人たちがお互いに騙し合っているかは分かりませんが(笑)、いろいろ作戦を練って勝負をかけている姿勢は見てきているので、この作品の登場人物たちのように、熱くなる気持ちはよく分かります。

速水編集長は、大泉さんにあて書きされたキャラクターで、光だけでなく影も感じさせる人物でした。大泉さんと共演されてみていかがでしたか?

大泉さんは表情の変化がすごくある方だなと思いました。ひとつのシーンではなく、僕が登場したほぼ全シーンそうなのですが、すごく明るい日の光を浴びているような瞬間もあれば、何かを企んでいるような影を感じさせる瞬間を、セリフや行動ではなく、ちょっとした表情の変化で表現されていました。間近で見ていて、すごくドキッとしたり、脅威を感じたりして、大泉さんご本人にもそうした一面があるのかなと想像しながらお芝居させていただけたことは、すごく刺激的でした。

確かにゾクっとするような表情もありますね。大泉さんとお話は?

お昼休憩の時に、「中華を食べに行こう」と誘っていただいて、松岡さんと3人で一緒に食べに行ったんです。そのとき、本当にたわいもない話をしてくださって。お子さんがとにかく可愛くて仕方がないとか。俳優・大泉さんから、オフに戻ったときのギャップがすごくステキで、とても家族思いな方なんだなと思いました。今回、初めてご一緒しましたが、僕のことも、『MEN’S NON-NO』やほかの作品で見てくださっていたようで、知っていてくれただけで嬉しいのに、誉めていただいて、すごく嬉しかったです。

ほかの共演者の方々とはどんなお話を?

大泉さん、松岡さん、リリーさんと同じ待機部屋だったんですけど、突然モノマネ合戦が始まったり、みなさんすごく自由な方々で(笑)。僕はまだまだ自分のことでいっぱいで、不安になったりして、待ち時間にも演技のことを考えたり相談したりしているのですが、今回ご一緒したみなさんはキャリアも長くてベースが出来ている方たちばかりだったので、そういったことがありませんでした。木村さんにも、「最近ご飯作った? 自炊はしてる?」といったことを話しかけていただいて。ある一定のレベルまでいくと、そういう話もなくなってくるんだなと感じました。

騙し絵の牙 宮沢氷魚 WHAT's IN? tokyoインタビュー

その空気で逆にリラックスできていたのでしょうか。

そうですね。お芝居のことばかり考えているとプレッシャーになってしまいますから。オフの時はオフ、オンのときは120%の力を注ぎこむというメリハリのある素晴らしい姿勢は、とても勉強になりました。

本作を通じて、学んだことはありましたか?

学びというか、経験として、こんなに豪華なキャスト陣のなかでお仕事させていただくことって、そうそうないことだと思うんです。たとえば、記者会見のシーンなんかは、檀上で、僕の隣に佐野史郎さんがいて、近くに木村さんがいて、松岡さんと大泉さんが会場で聞いている。そんななかで僕は喋るんです。今後プレッシャーを感じることがあっても、あのときのことを思い出すと、なんでも出来ちゃいそうな気持ちになるくらい、本当にすごい緊張感でした。もちろん役を通して得た知識や経験もありますが、この作品においては、こうした方々と共演できたことがすごく自信になっていて、今後の役者人生で迷っているときや辛い時にも、思い出して強くなっていけると思っています。

30歳まであと3年。「歩んでいきたい道、なりたい自分をを見つけていきたい」

騙し絵の牙 宮沢氷魚 WHAT's IN? tokyoインタビュー

矢代は天才新人小説家で賞を取っています。宮沢さんご自身も俳優として賞を取られていますが、学生時代に何か賞を取った思い出は?

野球部だったんですが、学校のなかではうまい方で、いろんな賞をいただきました。中でも、オールスターとMVPと首位打者を同じ年、高校2年生のときに取ったんです。オールスターでは、インターの学校と米軍基地のなかにある学校とで対戦して、中にはタイ代表とかブラジル代表とかもいたんですが、そうしたなかで、賞を取れたのはすごく嬉しかったです。

それはすごい! ここでタイトルにちなんでお伺いしたいのですが、宮沢さん自身が隠している「牙」というか、このことになると牙をむきますよ、という部分はありますか?

みなさんもそうだと思いますが、責任とプライドを持っていることを軽視されると牙をむくかもしれないですね。僕の場合は、役者という仕事に対して、あまり理解のない発言をされると違和感を覚えます(苦笑)。

例えば?

例えば、「キラキラしている世界で毎日いろんな人に出会えて楽しいっしょ」みたいに言われると、やっぱり嫌ですよね。好きな仕事なのでもちろん楽しんでやっていますが、その分自分の体力と精神を削らないといけないこともあったりしますし、何よりも自信をもってやっている仕事なので…嫌ですね(苦笑)。時には、もっと頑張らないといけないなというモチベーションにもなりますが。

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仕事に対してのプライドがあるからこその「牙」ですね。

そうですね。応援してきてくれているみなさんにも、一緒にお仕事している方にも失礼に値するということを踏まえると、自分がプライドを持っていることに関しては譲れないです。

どうしても色眼鏡で見られがちだし、評価もつきものですが、そういったアツいお考えをもっていたとは…素敵です。ちなみに、役者として周囲からの期待に変化があると感じることはありますか?

言葉でというよりは、ステキな作品にたくさん呼んでいただくことが多くなって。それが僕にとっては一番のみなさんからの期待の表れだと感じています。僕の知らないところで、「氷魚くんとお仕事したいんです」と話してくださる監督さんやプロデューサーさんがいたということを、別現場やスタッフさんから聞くことも増えているので、すごく嬉しいです。なので、そのとき持っている力を出し切りたいという思いでやらせていただいていますし、それは今後も変わりません。

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実は「WHAT’s IN? tokyo」では、年明けに「2021年ネクストブレイク俳優 TOP10」を選出しました。そこで宮沢さんを1位に選ばせていただきました。

そうなんですか! うわ、ありがとうございます。(ページを見て)本当だ! めちゃくちゃ嬉しいです。ネクストブレイクにあがるような方ってたくさんいると思うんですけど、そのなかでトップ10に入るだけでもすごいのに、1位なんて! すごく嬉しいです。期待に応えられるように頑張ります。

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2021.01.02

昨年は本当に大活躍でした。初主演映画が公開されて賞を取り、コンスタントに出られている舞台でも渡辺 謙さんと共演したり、朝ドラにも出演しました。特に大きな出会いだったのは?

昨年は本当にたくさんの経験をさせていただいたのですが、その中でも大鶴佐助くんとの二人芝居(『ボクの穴、彼の穴。』)は思い出深いです。春に渡辺 謙さんとやらせていただいた『ピサロ』が10回で中止になってしまって、自粛期間に入り、それが明けてから久々の作品だったんです。プレッシャーもありましたし、二人芝居ということでセリフもすごく多くて。それに、感染対策は万全にしていたとはいえ、観客のみなさんもリスクを背負ってきてくださっているということも感じていました。舞台の上でお芝居をするのが、当たり前じゃないんだと気づかされた作品ですし、あの経験は本当に大きかったです。

お芝居への強い思いを再確認した?

そうですね。そのとき、客席は半分しか入れられない状態だったのですが、公演の最後の方で入場50%の規制が解除されて。千秋楽の日に、満席に近い席が埋まった状態で舞台に立つことができたんです。こんなにたくさんの人が見に来てくれたんだなと、すごく感動して。この仕事をしていてよかった、この景色を忘れちゃいけないと思いましたし、役者としても一回り大きくなったように思います。

騙し絵の牙 宮沢氷魚 WHAT's IN? tokyoインタビュー

これからもさらに期待しています。

ありがとうございます。今年27歳になるのですが、友達に「もうアラサーだしね」と言われて、「うそー!」とビックリしたんです(笑)。これからは、自分がどう生きていきたいのか、どういう役者になりたいのかということを考えながら、変わらず、いろんな役と経験をさせていただくなかで、今後歩んでいきたい道、なりたい自分を見つけていきたいなと思っています。

【募集終了】抽選で1名様に宮沢氷魚さんの直筆サイン入りチェキをプレゼント!

宮沢氷魚さん直筆サイン入りチェキ
応募期間

※募集期間は終了致しました。

3月22日(月)~3月29日(月)23:59


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宮沢氷魚

1994年、アメリカ・カルフォルニア州サンフランシスコ生まれ、東京育ち。2015年から雑誌『MEN’S NON-NO』の専属モデルを務める一方で、ドラマ『コウノドリ』(17/TBS)で俳優デビュー。ドラマ『トドメの接吻』(18/NTV)『偽装不倫』(19/TBS)、連続テレビ小説『エール』(20/NHK)、『映画 賭ケグルイ』(19)『his』(19)、舞台『BOAT』(18)などに出演。2020年に公演中止になった舞台『ピサロ』の再演(5/15~6/6)が決定している。

オフィシャルサイト
https://hio-miyazawa.com/

オフィシャルTwitter
@MiyazawaHio

オフィシャルInstagram
@miyazawahio

フォトギャラリー

映画『騙し絵の牙』

3月26日(金)全国公開

出演:大泉 洋 松岡茉優 宮沢氷魚  池田エライザ 斎藤 工 中村倫也
佐野史郎 リリー・フランキー 塚本晋也 國村 隼 木村佳乃 小林聡美 佐藤浩市

監督:吉田大八
脚本:楠野一郎 吉田大八
原作:塩田武士「騙し絵の牙」(角川文庫/KADOKAWA刊)

オフィシャルサイト
movies.shochiku.co.jp/damashienokiba/

©2021「騙し絵の牙」製作委員会