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鈴木拡樹が叫び、椎名鯛造が跳ぶ! ヘイゼル編最終章、『最遊記歌劇伝-Sunrise-』が絶賛公演中!!

鈴木拡樹が叫び、椎名鯛造が跳ぶ! ヘイゼル編最終章、『最遊記歌劇伝-Sunrise-』が絶賛公演中!!

峰倉かずや原作の大人気コミック『最遊記』『最遊記RELOAD』を原作とするミュージカルシリーズ、通算9作目となる最新作『最遊記歌劇伝-Sunrise-』が現在上演中だ。
人間と妖怪、科学と妖術が共存する無秩序な世界“桃源郷”を舞台に、西域・天竺国に向かって旅をする三蔵一行と、旅の途中で出会う謎の司教・ヘイゼル=グロースと従者ガト。そして、彼らの前に姿を現す烏哭(うこく)三蔵法師。
2019年6月上演の「-Darkness-」と2020年2月上演の「-Oasis-」に続く“ヘイゼル編”最終章となる本作は、2008年9月のシリーズ1作目「-Go to the West-」上演時からの出演キャストである鈴木拡樹、椎名鯛造、唐橋 充らが“ひとつの通過点”として目標に掲げていた作品。昨年末に行ったインタビューで鈴木が「(約13年と)時間はかかったけれど、三蔵一行の旅がようやく“ここ”まで来られたことを嬉しく思います」と語っていたように、キャスト&スタッフ待望の公演であったことは想像に難くない。
2月18日(木)に品川プリンスホテル ステラボールで行われた、東京公演ゲネプロの模様をレポートする。

取材・文 / 近藤明子 撮影 / 渡部俊介、山下大輔、黒瀬友理


“光”と“闇”の狭間で紡がれる命の物語

ほの暗いステージ上に姿を現した光明三蔵(三上 俊)と烏哭三蔵(唐橋 充)が物語の世界へと観客を誘(いざな)う。
白い僧衣をまとう光明は、死してなお愛する者を導こうとする“月”のように輝き、対照的に漆黒の僧衣姿の烏哭は、周囲に溶け込みすべてを飲み込むように静かに、しかし確実に闇の領域を広げていく。

時計の針を巻き戻すように時間は過去へと遡り、玄奘三蔵(鈴木拡樹)と孫悟空(椎名鯛造)の出会い、沙悟浄(平井雄基)と猪八戒(藤原祐規)の間に芽生える友情、そして運命に引き寄せられた4人が“仲間”となって旅に出るまでのストーリーが、およそ40分におよぶ壮大なプロローグとなって描かれる。
『最遊記歌劇伝』ファンにとってはお馴染みのテーマソング「Go to the West」のイントロが流れ、全員の声が重なった迫力ある歌が会場内に響きわたると、曲のリズムと同期するように心臓の鼓動が早くなったような感覚を覚えた。

新たな物語は、仲間と離れ別行動をとっていた玄奘三蔵と、ヘイゼル=グロース(法月康平)と彼の従者・ガト(成松慶彦)とのシーンから幕を開けた。

前作「-Oasis-」には登場しなかった鈴木拡樹は、約1年8ヵ月ぶりのシリーズ出演となるが、そんな空白は微塵も感じさせず、背筋の伸びたスッとした立ち姿も、険しい表情も、口の悪さも、一分の隙もなく“玄奘三蔵”として板の上に立っていた。素の鈴木とは180度違う役だからこそ、初演から現在までずっと悩み、研究し、演じることを全身で楽しんでいるのが伝わってくる。

一方、砂漠の村でオアシスの水を巡る人と妖怪の対立に巻き込まれた孫悟空、沙悟浄、猪八戒は、悲しみを乗り越え、三蔵を探すために再び歩き出す。

無邪気で天真爛漫な孫悟空 役の椎名鯛造は、冒頭に見せた数々のシーンもあって、どこか幼さが残る印象。自身の身長より高いセットの中段からヒョイと飛び降りたり、バネを生かした高い跳躍でキレッキレなアクションを元気いっぱいに決めてみせる。ただでさえ多くの体力を必要とする舞台なのに、公演を重ねるごとにパフォーマンスを向上させ、進化していく。今では舞台上で発する台詞や動きのひとつひとつが孫悟空にしか見えないから不思議だ(カーテンコールで仲間の手を取りキャッキャとはしゃぐ姿は、まさに孫悟空のイメージそのものだった)。

猪八戒 役の藤原祐規は、安定の芝居で“三蔵一行の保父さん”として仲間をつなぐ潤滑剤の役割をしっかり果たしていた。猪八戒という知的でクールなキャラクターを演じているということ以前に、俳優仲間から日頃慕われている藤原の気質も役ににじみ出ているのだろう。本作が初参加の沙悟浄 役の平井をリードし、“親友”としての関係性を自然に表現していたのが印象的だった。

一方、平井雄基は粗暴な態度や言葉の裏に悲しみや心の痛みを抱えた沙悟浄を好演。丸山敦史や鮎川太陽が演じてきた歴代の沙悟浄とはまた違う、新たな魅力溢れる沙悟浄を、まっすぐに演じてみせた。

そして、この物語のもうひとりの主役、ヘイゼル=グロース 役の法月康平は、今作でも魂を浄化するような美しい歌声で『最遊記歌劇伝』の世界観を広げる。子供の頃を回想するシーンでは、彼の親代わりでマスターであるフィルバート=グロース(うじすけ)との心温まる交流が描かれると同時に、「強くなって師を支えられるようなエクソシストになりたい」と願う幼いヘイゼルを言葉巧みに追い詰める烏哭三蔵との緊張感溢れるシーンが描かれ、京都弁の陽気な彼が抱える過去のトラウマが明らかになる。絶望の淵へと突き落とされたシーンを経て耳に届く彼の歌声は、哀しみと後悔、鎮魂の想いが込められているように感じられ、より一層胸が締めつけられた。

ガトを演じる成松慶彦は、「-Darkness-」「-Oasis-」の前2作を通じて、ぶれることなく寡黙で感情を表に出すことのない難しいキャラクターを演じてきた。今回、ヘイゼルの過去やガトのバックボーンが描かれると、ヘイゼルを家族のように愛おしみ大切に想う気持ちが加わり、単なる主従関係を超えて、ふたりの絆の強さを感じることができた。

全編を通じてシリアスな印象で進んでいくストーリーの中にコミカルなシーンが散りばめられているのも、『最遊記歌劇伝』シリーズの楽しみのひとつ。本作でも、アドリブを含むツッコミどころ満載の台詞や思わずクスッと笑ってしまうシーンが多数あり、特に烏哭三蔵 役の唐橋 充が、スキあらば随所にアドリブを入れて共演者たちを翻弄。光明三蔵 役の三上 俊もおいしい場面でたびたび登場して観客の笑いを誘っていた。

中盤からラストに向けての烏哭三蔵vs三蔵一行の対決シーンは、ただただ圧巻。すべてを無にし、存在した事実をも消滅させる「無天経文」を発動するシーンでは、4人を相手に激しい立ち回りを見せる唐橋のオーラがステージを支配していた。

圧倒的な存在を前に、ボロ雑巾のようになりながらも果敢に挑んでいく孫悟空と沙悟浄。深手を負った三蔵をかばいながら猪八戒も果敢に攻撃を繰り出す。
人間と妖怪の混血・禁忌の遺伝子を持つ沙悟浄。
人間から妖怪へと体組織そのものを変貌させた猪八戒。
人間でも妖怪でもない、エネルギー体として独立した魂を持つ伝説の精霊・孫悟空。

そして過去の因縁の相手・光明三蔵の愛弟子である玄奘三蔵に執着する烏哭は、彼のもうひとつの顔である科学者・你健一(ニィジェンイー)として、異質な存在である孫悟空、沙悟浄、猪八戒を研究対象として興味を示す場面もあり、ちょっとした身のこなしの変化や声色など細かい部分でふたつの役を瞬時に演じ分ける唐橋の繊細な芝居にもワクワクさせられた。

命のエネルギーに満ち溢れた、ノンストップ・アクション。
生きるか死ぬか──
──Dead or Alive

手に汗握るストーリー展開はもちろん、歌、アクション、芝居など見どころがギュギュッと詰め込まれた140分を心ゆくまで楽しんでほしい。

本作は、2月24日(水)まで品川プリンスホテル ステラボールにて上演。WOWOWでは大千秋楽(19:00~)の生中継と、過去8作品の一挙放送が決定している。
また、2021年の夏にはDVDも発売予定で、現在特典付きDVD先行予約を受付中(2月28日(日)23:59まで)。収録内容などは、後日公式サイトより発表されるので要チェックだ。

『最遊記歌劇伝-Sunrise-』

大阪公演:2021年2月11日(木)〜2月14日(日)COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール
東京公演:2021年2月18日(木)〜2月24日(水)品川プリンスホテル ステラボール


<大千秋楽生中継!『最遊記歌劇伝-Sunrise-』>
放送日時:2月24日(水)19:00〜
放送局:WOWOWライブ
※品川プリンスホテル ステラボ-ルより生中継。
●放送詳細、過去8作品の放送予定はこちらにてご確認ください。

<『最遊記歌劇伝-Sunrise-』公演期間限定 先行予約特典付属版DVD発売>
発売日:2021年夏予定
価格:8,800円(税別)
予約受付期間:2021年2月28日(日)23:59まで
先行予約特典:オリジナルミニフォトブック(予定)
※DVDは一般販売も行う予定。一般販売時の各店舗法人特典は未定。
※DVDの収録内容(付属の特典以外)は一般販売商品と同内容。
発売元:最遊記歌劇伝旅社
販売元:株式会社フロンティアワークス
●詳細はこちらにてご確認ください。


原作:峰倉かずや『最遊記』『最遊記RELOAD』(一迅社刊)
演出・脚本:三浦 香
音楽:浅井さやか

出演:
玄奘三蔵 役:鈴木拡樹
孫悟空 役:椎名鯛造
沙悟浄 役:平井雄基
猪八戒 役:藤原祐規
ヘイゼル=グロース 役:法月康平
ガト 役:成松慶彦
フィルバート=グロース 役:うじすけ
光明三蔵 役:三上 俊
烏哭三蔵 役:唐橋 充

夏目航太朗・土方柚希(Wキャスト)
橋本有一郎
大澤信児
轟 大輝
森田 龍
在沢寛大
宮田龍平
坂田大夢

オフィシャルサイト
オフィシャルTwitter(@saiyuki_kgkdn)

©峰倉かずや・一迅社/最遊記歌劇伝旅社 2021