Interview

星野源 新作「創造」は奔放なクリエイティビティが炸裂した楽曲。その制作過程と彼自身のものづくりへの想いをインタビュー。

星野源 新作「創造」は奔放なクリエイティビティが炸裂した楽曲。その制作過程と彼自身のものづくりへの想いをインタビュー。

星野 源から新曲「創造」が届けられた。
任天堂のゲームソフト「スーパーマリオブラザーズ」35周年テーマソングとして制作されたこの曲は、星野 源の任天堂に対するリスペクト、そして、自身の“ものづくり”への思いが濃密に込められたナンバー。マリオシリーズのオマージュが散りばめられたサウンド、爆走するビートのなかに独創的なリズム、意外性に溢れた転調などが織り込まれたアレンジなど、星野 源の奔放なクリエイティビティが炸裂した楽曲に仕上がっている。
「創造」を制作する際にイメージしていたことは何か? 星野 源の現在のモードとは? 星野自身のインタビューを通して、紐解いてみたい。

取材・文 / 森朋之


「とにかくヤバいものを作りたい」という気持ちが高まってたんですよね。非常に漠然としてるんですけど(笑)

新曲「創造」は、任天堂のゲームソフト「スーパーマリオブラザーズ」35周年テーマソングのオファーから生まれた楽曲。星野さん自身も任天堂の“ものづくり”に大きな影響を受けているそうですね。

はい。年齢的にはファミコンからスーパーファミコンに移行する時期に小学校高学年くらいなんですけど、ファミコンが生れて、進化していく過程をリアルタイムで追えた世代なんですよね。任天堂は「任天堂にしかできないことをやる」という“独創”の歴史を歩んできていて、それがとてもかっこいいと思っています。

それが星野さんの創作活動にも影響を与えている、と。

そうですね。僕は音楽を作る前から……たとえば小学校でも社会があって、そこからあぶれることがすごく多かったんです。自分の好きなものが理解されなかったり、みんながいいと言うものをいいと思えなかったり。自分と社会や、自分と他人の間にはいつも深い川が流れていた。そういうふうに生きてきたので、音楽を作るようになってからは、「自分が好きなものを、自分が作ることで中心に持っていってやる!」という目標で、ものづくりを繰り返しているんです。そんななか、グローバル企業である任天堂が“独創”をやり続けているのはすごくカッコいいなと思うし、影響もすごく受けていると思いますね。

では、新曲「創造」について聞かせてください。最初に耳にしたときのインパクトもすごいし、何度リピートしても新しい発見があって、本当にすごい曲だなと。

ありがとうございます。「創造」は久しぶりにじっくり腰を据えて作った曲なんですよ。一昨年、去年は「自分にとって音楽の楽しさって何だろう?」と改めて見つめ直す旅みたいな期間だったと思っていて。海外のアーティストと一緒に楽曲を作ったり(スーパーオーガニズム、トム・ミッシュとの共作曲を含むEP「Same Thing」)、それまでやってないことをやって。去年はコロナ禍ということもあって、「この時期にどう動いたらいいか、何ができるか」と考えてやったことが「うちで踊ろう」だったり。自分の作品としてじっくり作った曲を発表するのは2年ぶりくらいだったんですけど、「とにかくヤバいものを作りたい」という気持ちが高まってたんですよね。非常に漠然としてるんですけど(笑)。

胸ぐらを掴まれて、引っ張られるような感じというか。そういう曲にしたかったんですよね

「すごいものを作りたい」という強い欲望があった、と。

はい。聴いてビックリするというか、ジャンルや世代を超えて、音楽を詳しくない人が聴いても「なんかわかんないけどすごい」と感じてもらえるような。そういうおもしろさ、ポップさーーポップというのは、簡単にしていくのではなくて、胸ぐらを掴まれて、引っ張られるような感じというか。そういう曲にしたかったんですよね。

まさに「何だこれ?! すごい!」という驚きや楽しさに溢れた曲だと思います。すごい情報量が込められてますが、ぜんぶ生演奏ですか?

いつもはギターで作曲してるんですけど、「創造」はキーボードで作曲したんですね。DAWで下地を作って、そのうえでミュージシャンに実際に弾いてもらったり、僕も弾いて。2番のAメロとかは打ち込みなので、混ざってる感じですね。あと、所々組み込まれているマリオシリーズを思い出すような旋律は、基本ゲームから持ってきているんじゃなくて、アナログシンセを使って手で弾いてます。

なるほど。それにしてもミュージシャンのみなさんの演奏技術、すごいですね。「人力の限界なのでは?」くらいのレベルで。

ハハハハ(笑)。本当、素晴らしいです。自分も限界を超えたものを作りたいと思ってたので。それまで培ってきたスキルの限界みたいなものを超えるような曲になったと思います。

しかも、ビックリするほど独創的ですよね。今のトレンドとは、いい意味でまったく関係ないというか。

ああ、確かにそうですね。いま何がトレンドなのかよくわからないというのもあるんですけど(笑)、今回は音楽的に参考にしたものがなくて。とにかく自分が想像する「やばいもの」「すごいもの」に向かって進んでいったら、こうなってたというか。たくさんアナログシンセを入れたいとは思ってたんだけど、あとは特に決めてなくて。作っていくなかで出来た、という感じなんですよ。

「創造」の歌詞を書くことで、星野さん自身のものづくりを見つめ直すきっかけにもなったのでは?

そうですね。以前だったら、「みんなが歌いやすいように」っていうことを考えて歌詞を書いてるんですけど、今回はそれよりも、とにかく自分が書きたいことを全部詰め込みましたね。

“独(いち)”は“一つ”でもあるし、居場所の“位置”でもあって。なおかつ独創でもあるので、全部つながってるのかなと

個人的には「独(いち)を創り出そうぜ そうさYELLOW MAGIC」というラインにグッと来ました。

“独創”という言葉を入れたかったんですけど、それは任天堂の経営理念なのでちょっと社歌っぽくなってしまうと思って。もっと広く、想像、ものを作る歌にしたかったので、タイトルを“創造”にして、歌詞には“独”を“いち”と読むかたちで入れました。この“独(いち)”は“一つ”でもあるし、居場所の“位置”でもあって。なおかつ独創でもあるので、全部つながってるのかなと。聴感上も“どく”より“いち”のほうが良いですよね(笑)。“YELLOW MAGIC”は、僕は細野晴臣さんにすごく影響を受けているし、まずはそのことが思い出されますよね。

細野さんはYELLOW MAGIC ORCHESTARを創り出した人ですからね。

でも、このイエローマジックは、スーパーマリオブラザーズのことなんです。スーパーマリオの初代のゲームカセットは黄色なので。そこから始まったマジックという意味なんです。

「次はあれをやろう」というより、「此処にいちゃいけない」という気持ちが強くて

星野さんのルーツとマリオが“YELLOW”でつながってるんですね! 星野さんのものづくりは、時期によって変化と進化を繰り返している印象がありますが、そこは意識しているんでしょうか?

自然と変わりたくなるんですよね。同じこと、同じ作業を続けるのが苦手だし、自分のなかに「変わっていきたい」という思いはいつもあるんですけど、「次はあれをやろう」というより、「此処にいちゃいけない」という気持ちが強くて。そこからやりたいことが見えてきて、次のフェーズに入っていく感じですね。

どんなに上手くいっていても、「此処にいちゃいけない」と思うんですね。

何でなんですかね? 自分でもよくわからないんですけど。飽き性というのもあると思います。

目の前に迫ってる大変な状況に対峙するために、どうにかアイデアで乗り越えたい

コロナ禍によって、今後の星野さんの作品にも影響が出そう?

それを思いっきり真正面から対峙してやったのが去年だったんだと思います。緊急事態宣言の3日前に「うちで踊ろう」を公開して。目の前に迫ってる大変な状況に対峙するために、どうにかアイデアで乗り越えたいと思い発表しました。あれから1年経って、今は状況関係なく「作りたいものを作る」という気持ちになってますね。でも、世の中の状況も自然に反映されるだろうと思います。

今年は音楽をいっぱいやりたい

星野さんの作品を通して、「自分は自分のままでいい」というメッセージを受け取っている人も多いと思います。今後の作品も楽しみにしてます!

ありがとうございます。去年は映画、ドラマが中心だったので、今年は音楽をいっぱいやりたいと思ってます。

その他の星野 源の作品はこちらへ。


https://jvcmusic.lnk.to/Souzou

星野 源

1981年、埼玉県生まれ。音楽家・俳優・文筆家。
2010年に1stアルバム『ばかのうた』にてソロデビュー。2015年12月にリリースしたアルバム『YELLOW DANCER』がオリコン週間アルバムランキングで1位を獲得。
2016年10月にリリースしたシングル『恋』は、自身も出演したドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』の主題歌として社会現象とも呼べる大ヒットとなる。
2017年8月に10枚目となるシングル『Family Song』をリリースし、オリコン週間シングルランキングにて自身初の1位を獲得、同年度のソロアーティストによるシングル作品として最高売上枚数を記録する快挙となった。
2018年は国民的アニメ映画「映画ドラえもん のび太の宝島」の主題歌、挿入歌を担当。さらに4月から放送のNHK連続テレビ小説「半分、青い。」の主題歌『アイデア』は初の配信リリースながら大ヒット、12月19日には約3年ぶりとなる5th Album『POP VIRUS』をリリース、同年のソロアーティストのアルバム作品の初週最高売り上げを記録するなど、オリコン/ビルボードなど主要ランキングで軒並み1位を獲得する大ヒットを記録。
2019年2月からは自身初の5大ドームツアー「星野源 DOME TOUR 2019 『POP VIRUS』」を開催、日本人男性ソロアーティストとして5人目の快挙となる同ツアーは計33万人を動員。
ツアーの模様を収録した映像作品『DOME TOUR “POP VIRUS” at TOKYO DOME』がオリコン映像ランキング3部門で映像作品として4作連続1位を獲得し、「映像3部門同時1位連続獲得作品数」「~通算1位獲得作品数」の男性ソロアーティスト歴代1位の記録を樹立した。8月30日に全楽曲のストリーミング配信を解禁、10月には国内外のアーティストを迎え制作したEP『Same Thing』を全世界配信リリース。11月からは自身初のワールドツアーを開催し、大成功させた。2020年6月23日にソロデビュー10周年を迎え、7月12日に初の配信ライブ「Gen Hoshino’s 10th Anniversary Concert “Gratitude“」を開催、10月21日にはこれまでにリリースした全シングルの初回限定盤を復刻した『Gen Hoshino Singles Box “GRATITUDE”』をリリース4月に自身のInstagramで発表した「うちで踊ろう」は大きな反響を呼び、コロナ禍の日本を元気付けた。
俳優として、映画『箱入り息子の恋』(13/市井昌秀監督)、『地獄でなぜ悪い』(13/園子温監督)、『引っ越し大名!』(19/犬童一心監督) 、『罪の声』(土井裕泰監督)等に出演し、第37回日本アカデミー賞新人俳優賞等の映画賞を多数受賞。ドラマ『コウノドリ』シリーズ(TBS)、大河ドラマ『真田丸』(16/NHK)、『逃げるは恥だが役に立つ』(16/TBS)、『プラージュ』(17/WOWOW)、『MIU404』など出演作多数。アニメ映画『夜は短し歩けよ乙女』(17/湯浅政明監督)では声優として初主演を務め、アニメ映画『未来のミライ』(18/細田守監督)にも出演。 2021年1月に『逃げるは恥だが役に立つ』が新春スペシャルドラマとして放送され、大きな話題となった。
また、作家として著書『蘇える変態』、『働く男』、『そして生活はつづく』、『星野源雑談集1』『いのちの車窓から』を刊行。幅広い活動が評価され、2017年3月には第9回伊丹十三賞を受賞。
2016年3月からはニッポン放送でレギュラー番組「星野源のオールナイトニッポン」がスタート。2017年には第54回ギャラクシー賞ラジオ部門 DJパーソナリティ賞を受賞した。

オフィシャルサイト
https://www.hoshinogen.com