Interview

阪本奨悟がラップに初挑戦。Broadway Musical「IN THE HEIGHTS イン・ザ・ハイツ」で照らし出される“希望”とは

阪本奨悟がラップに初挑戦。Broadway Musical「IN THE HEIGHTS イン・ザ・ハイツ」で照らし出される“希望”とは

2008年度トニー賞で最優秀作品賞を含む4部門に輝き、2009年度グラミー賞では最優秀ミュージカルアルバム賞を受賞したBroadway Musical「IN THE HEIGHTS イン・ザ・ハイツ」。2014年には日本版として初演された本作が、2021年春に再演される。
ニューヨークのマンハッタン北西部にある移民が多く住む町・ワシントンハイツを舞台に、従来のミュージカル作品にはなかなか取り入れられてこなかったラップ、サルサが散りばめられ、ヒップホップやラテンを基礎としたパワフルかつ情熱的な歌とダンスで多くの観客を魅了したミュージカルだ。
今作で、ドミニカ出身の主人公ウスナビ(Micro/平間壮一 Wキャスト)の従兄弟・ソニー役を演じるのは、阪本奨悟。2017年にシンガーソングライターとしてデビューし、音楽活動はもとより、ミュージカル『刀剣乱舞』などの2.5次元舞台をはじめ、近年ではアニメ『トライナイツ』の声優を務めるなど俳優としても注目を集めている。そんな彼に本作の見どころや意気込み、初挑戦になるというラップについて、舞台に立つことが音楽にもたらす影響などを聞いた。

取材・文 / 松浦靖恵 撮影 / 青木早霞(PROGRESS-M)
スタイリスト / 岡本健太郎 ヘアメイク / 宮内宏明(M’s factory)


新しい引き出しを作らせてもらえる作品

Broadway Musical「IN THE HEIGHTSイン・ザ・ハイツ」の脚本を読まれて、この物語にどのような第一印象を持たれましたか?

ひとりひとりのキャラクター、役柄に共感する部分が多かったです。貧しくてもみんなで手を取り合って生活をしている姿や、各々が何かを背負いながらも自分の夢を追いかけている姿に励まされました。

IN THE HEIGHTS イン・ザ・ハイツ 阪本奨悟 WHAT's IN? tokyoインタビュー

ブロードウェイ版や日本初演時の舞台映像などはご覧になりましたか?

このお話をいただいてから、映像配信されているブロードウェイ版の映像を観たり、オリジナルサウンドトラックも聴きました。音楽がラテンのリズムで構成されていたり、ラップで表現する場面も多い作品なので、ミュージカルの第一印象としてはかなり衝撃を受けましたね。ミュージカルにラップが組み込まれることってこれまでなかなかなかったと思うので、僕としてはかなり新鮮でした。

阪本さんはシンガーソングライターとして音楽活動をされていますが、これまでラップという表現手法はあったんですか?

自分の音楽ではやってこなかった表現なので、今回の作品で初挑戦になります。イチからのスタートになるのでプレッシャーはありますけど、新しいことに挑戦できることを楽しみにしています。

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オフィシャルサイトでも「いままで自分が経験したことのない要素がたくさんある作品」とコメントされていましたね。

はい。なかでもラップは自分にとって新しい要素だと思っているので、新しい引き出しを作らせてもらえる作品なんじゃないかと思いました。

新しいことに挑戦する際は不安に思う方も多いと思いますが、阪本さんご自身はどのような心境や感情になるんですか?

うまくできるかなって不安に思う部分はありますけど、やったことがないからこそ何もかもが新鮮に感じられると思うんですよね。吸収するためのプロセスが必要にはなるので大変ではあるけれど、自分の中に新しいことがどんどん入ってくる感じを楽しみたいという思いが強いです。なかなか経験できないことを体験することで今後の自分の表現にもつながっていくと思うので、そこをすごく楽しんでいきたいし、臆せずにやりきっていきたいなって。

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阪本さんが演じられるソニーに対して、現段階ではどんなキャラクターだと捉えていらっしゃいますか?

僕の中では、やんちゃで、遊び心をたくさん持っている少年というイメージです。年上のウスナビに対して“おまえ”なんて言っちゃったり、ぞんざいな言葉遣いをするので生意気なところもあるけど、政治や世の中に対する自分の思想や考えをちゃんと持っている。やんちゃだけど、実はいろんな知識を豊富に持っているソニーという人間の、そういうギャップやユニークさみたいなものを自分も楽しみながら演じたいし、お客さんにも彼のキャラクターを楽しんでいただけたらと思っています。

阪本さんご自身はやんちゃなところはあるんですか?

20代後半になった自分としては、やんちゃな部分は忘れかけている感情や行動なのかもしれませんね(苦笑)。ソニーの向こう見ずな感じとかやんちゃなところは、10代の頃の自分を思い出してやれたらいいな、と(笑)。

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歌稽古や本稽古が始まるまでに、どのような準備をしようと思っていますか?

今作の舞台になっている移民の人たちが暮らす街や、彼らが抱える人種問題というのは、自分のバックボーンにはなかったものなので、いろんな映像や本を見たりして、自分なりにではあるけれど勉強して挑もうと思います。彼らが貧しい生活の中でも自分の夢を追いかけているというところにおいては、いままで自分が生きてきたなかで感じてきたものと重ね合わせていきたいと思っています。それが自分にとってのリアリティだと思うので。

リズムや音が聴こえてくるので、楽しく言葉を読める

Microさんと平間壮一さんがソニーの従兄弟・ウスナビをWキャストで演じますね。

ソニーはウスナビと深く関わる役ですし、同じ役でもWキャストというところで、一公演一公演のお芝居がまったく違うものになっていくと思うんです。Microさんと平間さんがそれぞれ演じられる“ふたりのウスナビ”と向き合いながら、その場の空気を楽しみたいと思っています。あと、Microさんは初演時にもウスナビを演じられていますし、(ミュージシャンでもあるので)特にラップに関してたくさん学ばせていただこうと思っています。

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初演時に引き続き、ヒップホップ界のレジェンド・KREVAさんがラップ(歌詞)を手がけていらっしゃいますが、KREVAさんにはどのような印象を持たれていますか?

僕が小さい頃から、テレビの音楽番組などでKREVAさんがラップをされている姿をよく目にしてきたので、そんなすごい方が歌詞を手がけていらっしゃるなんて、と感激しました。光栄のかぎりです。台本に書いてある歌詞を読んでいるだけでも、リズムや音が聴こえてくるので、楽しく言葉を読めるんですよ。僕もそのリズムに乗っかっていけるように挑んでいきたいです。

ラテンミュージック、ヒップホップなど、様々な音楽が散りばめられている作品ですが、歌い方や表現で意識したいことは何ですか?

特にリズムです。ヒップホップもラテンミュージックもリズムやグルーヴが一番求められると思うんです。今作の音楽における特徴、個性がそこにあると思っているので、自分がしっかりそこに順応できるように、リズム感をしっかり鍛えていきたいです。

ご自宅でヒップホップをかけながらラップを練習している阪本さんがいるかも?

いると思います(笑)。この公演が終わる頃には、いままで以上にラップやヒップホップが好きになれるんじゃないかなって思ってます。

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歌だけでなく、ダンスも見どころですね。

僕も楽しみです! ダンスは自分にとってひとつの課題でもあるので(笑)うまくできるか心配ですが、思いっきりやりきりたいです。

阪本さんのファンの皆さんは、これまで見たことがない阪本奨悟を目撃できる舞台になりそうですね。

初めてのことが多いので、僕自身も新しい自分に会えるのが楽しみですし、ファンの方にも見たことがない僕に驚いていただけるんじゃないかと確信しています。こうしていろんな作品に出演させていただけるからこそ、新しい引き出しを作らせてもらえると思っているので、これからもどんどんいろんなことにチャレンジしていきたいです。

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新しいチャンネルで自分の音楽を構築できたら楽しい

ここ数年、音楽活動と並行して“刀ミュ”(ミュージカル『刀剣乱舞』)など舞台出演も増えていますが、2007年当時“テニミュ”(ミュージカル『テニスの王子様』)で立っていた頃と今ではステージから見える景色は変化しましたか?

当時14歳だった自分が今27歳になって。この13年間で本当にたくさんの経験をさせていただけて、環境も大きく変わりました。あの頃を振り返ってみると、ただ楽しいという感覚で舞台に上がっていたと思うので、心境の変化は大きいですね。今は何に対しても大事にやっていきたいと思っていますし、自分ができることをもっともっと本気でやるしかないと思っています。何事に対しても感謝しかないです。

2018年に俳優活動を再スタートしましたが、あらためて役者の面白さはどこにあると思いますか?

人と一緒に何かを作るということです。僕はシンガーソングライターとして音楽活動をしているので、ひとりで音楽を作ってひとりで表現することが多い。もちろん、プロデューサーさんやディレクターさんと一緒に制作はしているけれど、表現をするのは自分ひとりなので、俳優との違いはそこに感じています。役者は台詞を交え、演出を受け、誰かと一緒に表現を通して何かを伝えていくので、チームプレイなんだということをすごく感じていますね。そこの面白さに、ようやく最近楽しいと思える余裕ができたと言いますか……楽しいと思えるように自分の心が変わってきた気がするので、いろんな役者の方といろんなお芝居をして、たくさん経験を積んでいきたいなって。

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俳優活動をすることによって、ご自身の音楽にはどのような影響や変化が起きていますか?

影響は大きいと思います。去年リリースした2ndアルバム『=+』にはミュージカルの経験やそこで得た要素を取り入れて作った曲もあるので、もし音楽活動だけやっていたらそういう楽曲は生まれてなかったんだろうなって思っています。

となると、今回「IN THE HEIGHTS イン・ザ・ハイツ」でチャレンジするラップが、今後の阪本奨悟の音楽に影響を与えちゃうかもしれませんね。

僕もそれがすごく楽しみです。自分の中に新しく入ったものが、自分にどう影響して、どんな音楽として出てくるんだろうって。ラップは言葉のチョイスもそうですし、韻を踏むとか、リズムやグルーヴにどう言葉を乗せていくのかとか、これまで自分が歌詞を作るうえではそのチャンネルがなかったと思うので、新しいチャンネルで自分の音楽を構築できたら楽しいだろうなって思ってます。

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僕自身も希望の一部になれるように励んでいきたい

2020年を経て、2021年はどのような意気込みを持って過ごしたいですか?

僕自身もそうですが、これから世の中はどうなっていくんだろうというような不安を、2021年に入ってもまだ皆さん抱えていると思います。ただ、少なからず2020年よりは自分たちがどんな状況に置かれているのか、どう対処していけばいいのかとか、いろんなことがわかり始めている。こんな世の中だからこそ、“希望”と言いますか、エンターテインメントは希望の一部になれるもの、希望に向かう力を与えていけるものだと僕は思っているので、僕自身も少しでもその希望の一部になれるように励んでいきたい。そのためにも表現というものを突き詰めていけたらと思っています。

では最後に。「IN THE HEIGHTS イン・ザ・ハイツ」を観てくださる方、楽しみにしている方にメッセージをお願いします。

勇気や希望がふんだんに詰め込まれているので、日々の生活の中で抱えているモヤモヤだったり、うまくいかなくてもどかしい気持ちになっている方たちに観てほしい作品だなと思っています。コロナ禍になって人と人とが距離を保たなければならなかったり、会いたい人に会えなかったり、親しい友達や故郷に距離を感じてしまって寂しい思いをされている方が多いと思うんです。僕自身がこの作品の登場人物たちにすごく励まされたように、ワシントンハイツの人たちの絆やひとりひとりの夢や希望に、自分にとって大事な人や大切な場所を重ね合わせてもらえたら。きっと勇気や元気をもらえると思うので、今まさに観ていただきたい作品です!

IN THE HEIGHTS イン・ザ・ハイツ 阪本奨悟 WHAT's IN? tokyoインタビュー

Broadway Musical
「IN THE HEIGHTS イン・ザ・ハイツ」

プレビュー公演:2021年3月27日(土)・3月28日(日)鎌倉芸術館 大ホール
大阪公演:2021年4月3日(土)・4月4日(日)オリックス劇場
名古屋公演:2021年4月7日(水)・4月8日(木)日本特殊陶業市⺠会館ビレッジホール
東京公演:2021年4月17日(土)~4月28日(水)TBS赤坂ACTシアター

<チケット一般発売日>*全国共通
2021年3月13日(土)AM10:00〜

STORY:
マンハッタン北西部、移民が多く住む町ワシントンハイツ。
ドミニカ系移民のウスナビは両親の遺した商品雑貨店を守りながらドミニカで暮らす事を夢見ている。
タクシー会社で働くベニーは、経営者夫妻の娘ニーナに想いを寄せている。
ハイツの希望の星として名門大学に進学したニーナは、ある秘密を抱えて帰ってきた。
ウスナビが恋心を寄せるヴァネッサはダニエラの経営するヘアサロンで働きながらハイツの外の世界に憧れている。
そんな中、皆から慕われているアブエラに奇跡が起きる!
狂喜乱舞する住人達。
しかし予想もしなかった混乱と不安が突然ハイツを襲う。
ウスナビとヴァネッサ、ベニーとニーナの恋の行方は? ハイツの未来は?
大切にしたい自分の居場所はどこにあるのか──。

原案・作詞・作曲:リン=マニュエル・ミランダ
脚本:キアラ・アレグリア・ウデス

演出・振付:TETSUHARU
翻訳・訳詞:吉川 徹
歌詞:KREVA
音楽監督:岩崎 廉

出演:
ウスナビ役:Micro[Def Tech]/平間壮一(Wキャスト)
ベニー役:林 翔太/東 啓介(Wキャスト)

ニーナ役:田村芽実
ヴァネッサ役:石田ニコル
ソニー役:阪本奨悟

ダニエラ役:エリアンナ
カーラ役:青野紗穂
ピラグア・ガイ役:エリック・フクサキ
グラフィティ・ピート役:山野 光

ケヴィン・ロザリオ役:戸井勝海
カミラ・ロザリオ役:未来優希

アブエラ・クラウディア役:田中利花

ハイツの人々:
菅谷真理恵 ダンドイ舞莉花 SATOKO MORI 戸塚 慎 ICHI TokoLefty 東間一貴 加藤さや香

MUSICIAN:
ピアノ・コンダクター:阿部篤志
キーボード:伊東麻奈
ギター:齋藤隆広/渡辺具義
ベース:山口健一郎
ドラム:赤迫翔太
パーカッション:一丸聡子
リード:金山 徹
トランペット:田沼慶紀/大泊久栄
トロンボーン:石井 弦

主催:アミューズ/シーエイティプロデュース

公演オフィシャルサイト
オフィシャルTwitter(@intheheightsjp)

阪本奨悟(さかもと・しょうご)

1993年6月13日生まれ、兵庫県西宮市出身。シンガーソングライター、俳優として活動。過去にミュージカル『テニスの王子様』やNHK大河ドラマ『江~姫たちの戦国~』に出演後、音楽活動に専念。2017年5月に両A面シングル「鼻声/しょっぱい涙」でメジャーデビュー。俳優としても、2018年3月よりミュージカル『刀剣乱舞』シリーズ(堀川国広 役)、ミュージカル「王室教師ハイネ-THE MUSICAL II-」シリーズ(ユージン・アレクサンドルヴィチ・ロマーノ 役)へ出演するほか、2019年にはアニメ『トライナイツ』(遥馬理久 役)にて声優も務めるなど、幅広く活躍。昨年10月に2ndアルバム『=+』をリリースしている。

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