LIVE SHUTTLE  vol. 443

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奥田民生 ロック・スピリットに貫かれた2年半ぶりのツアーは有観客+オンライン同時開催。3日目の人見記念講堂のステージをレポート!

奥田民生 ロック・スピリットに貫かれた2年半ぶりのツアーは有観客+オンライン同時開催。3日目の人見記念講堂のステージをレポート!

MTR&Yの2018年以来となる待望のツアーだ。しかし2年半ぶりということより、この状況下でツアーが実現したことをまずは喜ぶべきだろう。そして、さまざまな制約をクリアして実施されたライブは、実力派バンドMTR&Yの真価が発揮された痛快なものになった。最初から最後までロック・スピリットに貫かれ、これまでのツアーの中でも屈指のタフな演奏が繰り広げられたのだった。 

まず、音がデカい。自粛生活で萎縮してしまった耳が、オープニングでビックリする。だが、2曲目、3曲目へと進むと、かつてのMTR&Yの爆音の快感の記憶が呼び覚まされる。パワフルなサウンドに包まれながらステージに目をやれば、奥田民生(Vo/G)、小原礼(B/Cho)、斎藤有太(Key/Cho)、湊雅史(Dr)の4人が笑いながらアイコンタクトしていて、彼らの楽しさがびんびん伝わってくる。

その笑顔が「俺たちは大丈夫だぜ!」とこちらに語りかけてくるようで、心底、安心する。「あぁ、ライブってこんな感じで楽しかったんだ」と、以前の感覚が戻ってくる。間もなく、オーディエンスの身体が動き始める。大声を出したり、一緒に歌ったりはできないが、みんながそれぞれのやり方でMTR&Yのパフォーマンスと一体になっていったのだった。

奥田民生 WHAT's IN? tokyoライブレポート

1月31日の山梨YCC県民文化ホールから始まった“MTRY TOUR 2021”の3本目、2月8日の昭和女子大学 人見記念講堂のライブを観に行った。僕にとって、今年に入って初めてのリアルライブになる。それまではテレビ番組収録のためのスタジオライブや無観客配信ライブしか観ていないので、少しドキドキする。配信ライブにも慣れてきたので、今回はリアルと配信の両方をイメージしながら観ようと思う。 

緊急事態宣言が延長され、早くライブを終わらせなければならないため、開演時間が急遽18時に繰り上げられた。三軒茶屋駅から急ぎ足で会場に向かう。校門を入って、検温と手の消毒を済ませて館内へ。観客数は通常の半分で、一つおきに空いている椅子には“スマイルぼうず”や“ときめきさん”など、オリジナル応援キャラクターのパネルが置かれていて、いつもの客席よりカラフルに見える。これはオーディエンスのためでもあり、MTR&Yのメンバーが客席を見たときに淋しくならないようにとのスタッフの配慮だろう。少しでも楽しいライブになるように、関係者たちは全力を尽くしている。 

一方、配信を観ている人のために、開演前は奥田自身によるグッズ通販番組が流されている。その映像が開演直前、120秒からのカウントダウンに切り替わった。いよいよ開演だ。自宅でスクリーンの前にいる人も、僕の隣にいる人も、同じタイミングでワクワクしているのが面白い。そして最初に書いたように爆音でライブが始まった。

爆音ナンバーで凄かったのは「イナビカリ」だった。アルバム『Fantastic OT9』(08年)の1曲目を飾るこの曲は、奥田のギターサウンドの金字塔になっている。アルバム完成を祝うレコード会社主催の試聴会で、初めて「イナビカリ」を聴いた時の衝撃はいまだに忘れられない。鋭く尖っているのに重量感たっぷりのギターの音に驚かされた。その音が、今回のライブでも再現される。いや、08年の時より、さらに重量感が増しているかもしれない。湊のヘヴィーなドラムが非常に効いている。配信で観ている人も、ボリュームを上げて聴いていてくれたらいいなと思いながら、今年最初のリアルOTギターを堪能したのだった。

また今回のセットリストは、ミディアムテンポの曲が割りと多く、中でも「The STANDARD」がとても良かった。奥田の声がよく伸びて、それを包み込む斎藤のオルガンが優しく響く。配信のコメント欄にはきっと感動のコメントが嵐のように飛び交っていることだろう。 

そういえば配信のコメント欄は、このところ、新しいライブの楽しみ方としてすっかり定着した感がある。ライブ会場で隣の人と、「この曲いいね」とか「きた~!」とかリアルで話すことはない。それが配信だと普通に互いの思いを交歓できる。コロナ禍が生んだ、数少ないラッキーの一つだろう。

奥田民生 WHAT's IN? tokyoライブレポート

“MTRY TOUR 2021”は全11本のすべてが配信されるのだが、全国のファンに楽しんでもらえるように、たくさんのアイデアが詰め込まれている。

まずライブの中盤にある“ひとり股旅”コーナーは、毎回違う曲が演奏される。その日だけのセットリストというわけだ。人見記念講堂ではユニコーンの「ツイストで目を覚せ -Twistin’ in Suits ’85-」(88年)と「メリハリ鳥」(07年)の2曲を奥田が弾き語った。かなりレアな「ツイストで目を覚せ -Twistin’ in Suits ’85-」は、コアファンを喜ばせたことだろう。「メリハリ鳥」では、声を出さずに歌詞を口ずさんでいるオーディエンスがいることが、マスク越しに見てとれた。

またこの“ひとり股旅”コーナーでは、Twitter企画「民生に届け!ご当地自慢写真選手権」に投稿された写真のスライドショーが配信の画面に流れる。この日は三軒茶屋の風景を中心とした東京の映像で、会場でも小さなスクリーンで見ることができた。ご当地感が味わえるのはツアーの醍醐味だが、それをバーチャルで体験できるように工夫されている。

その他、配信では、宅飲み用のビールグラスなどが付いたチケットが用意されていたり、コロナ禍の制約を逆手にとったお楽しみを提供するあたりが実に奥田のライブらしい。

奥田民生 WHAT's IN? tokyoライブレポート

もちろんユーモラスなアイデアばかりでなく、演奏そのものも素晴らしい。豊富なキャリアを持つミュージシャン4人が、全力でぶつかり合う。特にロックンロール・ナンバー「MTRY」での小原のグルーヴが抜群だった。このメンバーで演奏できる歓びを歌った「MTRY」では、音楽でメンバー紹介しながら、それぞれのソロパートで互いに火花を散らす。おそらく毎回、異なるフレーズが飛び出すのだろう。その日その日で変わるセットリストも嬉しいが、同じ曲でも二度と同じ演奏はしないというプライドと即興性がこのバンドの真骨頂なのだ。

ちなみに小原は今年、古希(70歳)を迎える。彼が10年前、還暦を迎えたとき、MTR&Yは“おとしのレイら”と銘打ったツアーを敢行。あれから10年が経ったわけだが、小原のプレイはますます深みを増している。同じメンバーで年を重ねていく良さを、オーディエンスと分け合うバンドの姿勢がありがたい。

コロナ禍で聴く「最強のこれから」は、全国のMTR&Yファンを励ましているように聴こえたのだった。アンコール曲はネタばれするので書けないが、「丑年だから」という奥田のコメントがヒントになるかも。

三茶でリアルを楽しんで、帰宅してから見逃し配信をサカナに一杯呑むという、この時期ならではのライブ三昧の一夜となった。

文 / 平山雄一 撮影 / 三浦憲治

▼詳細は『MTRY TOUR 2021』特設サイトをご覧ください。
https://okudatamio.jp/special/mtry2021/

奥田民生『MTRY TOUR 2021』

1月31日(日) 山梨県 / YCC県民文化ホール(山梨県立県民文化ホール)
2月5日(金) 北海道 / カナモトホール(札幌市民ホール)
2月8日(月) 東京都 昭和女子大学 人見記念講堂
2月11日(木/祝) 宮城県 東京エレクトロンホール宮城(宮城県民会館)
2月13日(土) 群馬県 ベイシア文化ホール(群馬県民会館)
2月15日(月) 岡山県 倉敷市民会館
2月16日(火) 福岡県 福岡市民会館
2月18日(木) 兵庫県 神戸国際会館 こくさいホール
2月20日(土) 静岡県 富士市文化会館 ロゼシアター
2月23日(火/祝) 長野県 上田市交流文化芸術センター サントミューゼ
2月26日(金) 東京都 府中の森芸術劇場 どりーむホール
※政府が定めた収容率制限内での開催。(開催月時点)
※新型コロナウイルス感染予防対策を万全にした公演を行います。
※公演ガイドラインは『MTRY TOUR 2021』特設サイトをご覧ください。

全公演、LINE LIVE-VIEWINGにて生配信いたします。
各公演終了後より1週間、見逃し配信も行います。

【チケット】

各チケットは、ツアーオフィシャルサイトよりお買い求めいただけます。
https://okudatamio.jp/special/mtry2021/

来場チケット
■内野席:前売 1枚 9,350円(税込)
※全席指定。未就学児童入場不可。お1人様1枚のみ購入可能。

配信視聴チケット
■外野席:早割3,500円 (税込) 当日・見逃し4,000円 (税込)
※生配信終了後も1週間見逃し配信されますので、好きな時に何度でもお楽しみ頂けます。
※見逃し配信期間のチケット購入も可能です。

■パネル席(オリジナルグッズ付き配信視聴チケット)
・パネル席をご購入頂きますと、ライブ会場のソーシャルディスタンスを考慮した空席に“OT画伯作の観客イラストパネル”が設置されます。ご自宅でご覧頂いていても、ステージ上のOTにしっかりお客様の存在が伝わります!是非、自宅からもOTを応援しよう!生配信終了後も1週間見逃し配信されますので、好きな時に何度でもお楽しみ頂けます。見逃し配信期間のチケット購入も可能です。(※パネルはご購入頂けません。)

・さらに!今回はサッポロビール株式会社様のご協賛で、全てのセットに、「OT×SAPPOROコラボグラス」が1個付いてきます!
(協賛:サッポロ生ビール黒ラベル)

①自宅で見るなら、家飲みじゃ!ちょい飲み配信セット
チケット料金:早割6,500円(税込・送料込) 当日・見逃し7,000円 (税込・送料込)
(ライブ配信視聴+OT×SAPPOROコラボグラス・栓抜き・箸置き付き)

②自宅で見るなら、くつろぎじゃ!ぬくぬく配信セット
チケット料金:早割6,900円(税込・送料込) 当日・見逃し7,400円 (税込・送料込)
(ライブ配信視聴+ブランケット付き)

③自宅で見るなら、テレビで見た~い!大画面満足配信セット
チケット料金:早割7,500円(税込・送料込) 当日・見逃し8,000円 (税込・送料込)
(ライブ配信視聴+HDMIケーブル・アクリルキーホルダー付き)

★ATTENTION
本ツアーは、新型コロナウイルス感染予防対策ガイドラインに従い、公演を二部制としての換気、マスクの着用や入場時の検温、手指の消毒、声を出しての鑑賞を禁止するなどのお願いをさせて頂きます。また、来場チケットの申し込みは、お1人様1枚のみとさせて頂きます。来場者のキャパシティは政府が定めた収容率の制限内とし、客席はソーシャルディスタンスを考慮した配置とさせて頂きます。コンサートグッズは全て通信販売とし、会場での対面販売は行いません。ご来場の皆様の安全安心を第一に、感染予防対策を万全にして公演を実施致します。詳しくは「ガイドライン」をご覧ください。

ガイドライン
https://okudatamio.jp/special/mtry2021/assets/img/guideline_mtry.jpg

奥田民生

1965年広島生まれ。1987年にユニコーンでメジャーデビューする。
1994年にシングル「愛のために」でソロ活動を本格的にスタートさせ、「イージュー★ライダー」「さすらい」などヒットを飛ばす。また井上陽水とコラボ作品を発表したり、PUFFYや木村カエラのプロデュースを手がけたりと幅広く活躍。
バンドスタイルの「MTR&Y」、弾き語りスタイルによるライブ「ひとり股旅」や、レコーディングライブ「ひとりカンタビレ」、YouTubeで繰り広げる宅録スタイルのDIYレコーディングプロジェクト「カンタンカンタビレ」など活動形態も多岐にわたる。
さらに世界的なミュージシャンであるスティーヴ・ジョーダン率いるThe Verbsへの参加、岸田繁(くるり)と伊藤大地と共に結成したサンフジンズ、斉藤和義・トータス松本ら同世代ミュージシャンと結成したカーリングシトーンズの一員としても活躍している。
2015年に50歳を迎え、レーベル・ラーメンカレーミュージックレコード(RCMR)を立ち上げ、2019年にソロ活動25周年を迎えた。
現在はテレワークでゲストと繋がりトークや演奏を繰り広げる『カンタンテレタビレ』やバーチャル背景で演奏する『カンタンバーチャビレ』などをYouTubeにて次々と公開している。

オフィシャルサイト
https://okudatamio.jp

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