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SEKAI NO OWARI 初のベストアルバムをリリースした“セカオワ”の唯一無二の音楽世界10年の軌跡(後編)

SEKAI NO OWARI 初のベストアルバムをリリースした“セカオワ”の唯一無二の音楽世界10年の軌跡(後編)

1stアルバム『ENTERTAINMENT』のリリースと前後して、東名阪のZEPPツアー(2012年5月)、全国ホールツアー(2012年7月〜10月)、そして初のアリーナツアー(2013年1月〜2月)を開催。ライブの規模を拡大し、独創的なステージを更新し続けてきたSEKAI NO OWARI。2013年10月に行われたセルフプロデュースによる初の野外ワンマンフェスティバル「炎と森のカーニバル」は、その最初の頂点であり、セカオワのエンターテインメントの真骨頂とも言えるライブだった。メインステージには、高さ約30mの巨大樹を設置。ステージ近くの広場には火が炊かれ、メンバーの考案によるフードエリア、ゲームコーナーもあり、一大アミューズメントパークの様相を呈していた。セットリストはアルバム『ENTERTAIMENT』の楽曲が中心だったが、楽曲の世界観を増幅させる演出と映像、そして、普遍的なメッセージ性を真っ直ぐに伝えるステージングを含め、楽しさと深さを共存させた圧巻のステージだった。

“セカオワのライブはすごい、あんなの見たことない”――そんな評価が高まるなか、2013年以降のセカオワはシングルヒットを次々と放つ。まずは「RPG」。アニメ映画『クレヨンしんちゃん バカうまっ!B級グルメサバイバル!!』の主題歌になったこの曲は、マーチングバンド的なサウンドと解放感のある旋律、そして、仲間の絆を描いた歌詞が共鳴する楽曲。「RPG」制作時はメンバー同士の切磋琢磨がピークに達し、ときには言い合いをすることもあったそうだが、Saoriが紡いだ「怖いものなんてない / 僕らはもう一人じゃない」というフレーズは、セカオワの結びつきの強さをはっきりと示していた。アレンジにはゲーム音楽クリエイターの保本真吾氏が参加。結成以来、基本的にセルフプロデュース、セルフアレンジを続けてきたが、この時期を境に様々なジャンルのクリエイターを迎え入れ、自らの音楽世界を奔放に広げ始めた。

「Dragon Night」(2014年10月)も、外部のアーティストとのコラボによって生まれた楽曲だ。共同プロデューサーに選ばれたのは、オランダ出身のDJ/ビートメイカーのニッキー・ロメロ。世界的な潮流となっていたEDMを取り入れたトラックは、J-POPとダンスミュージックのもっとも幸福な邂逅だったと言っていい。インタビューの際にFukaseは「EDMをやろうと思ったら、自分たちだけではなく、本物と一緒にやったほうがいい」とコメントしていたが、この大胆にして真っ当な発想もまたセカオワのクリエイティビティを支えているのだろう。<百万年に一度太陽が沈んで夜が訪れる日>(=“Dragon Night”)を描いた歌詞も秀逸。“正義とは?”というテーマをファンタジックに昇華させたこのリリックは、詩人としてのFukaseの才能を端的に示している。

メジャー2ndアルバム『Tree』(2015年1月)で初のチャート1位を獲得した後も、4人は自らの活動を意欲的に広げてきた。7月18日、19日には日産スタジア公演「Twilight City」を開催。「炎と森のカーニバル」で登場した巨大樹、アジアの街並みを思わせる巨大なステージセット、さらに進化したサウンドとFukaseの歌――この時期、Fukaseのボーカル力は明らかに上がっていた――が有機的に絡み合い、誰も見たことがない壮大なエンターテインメントへ繋がっていたのだ。2日間で14万人を集めたこのライブによって4人は間違いなく、自分たちの過去をすべて肯定してみせたのだと思う。

大きな成功を手にしたSEKAI NO OWARIは、そこに留まることなく、新たなトライを続けてきた。カルフォルニア出身のヒップホップ系プロデューサーDan The Automatorとタッグを組んだ全編英語の楽曲「ANTI-HERO」(映画『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』の主題歌)、ケルト民謡を取り入れたサウンド、カントリー風のメロディ、そして、<この嵐の中、船を出す勇気なんて僕にあるのかい>というラインが一つになった「Hey Ho」、シックで切ない旋律と“雨”をポジティブに描いた歌詞が溶け合う「RAIN」、そして、夢を追い続ける人間を(賛美しすぎず)描き切った「サザンカ」。多様性に溢れたサウンドメイク、さらに深みを増したメッセージ性を含め、作品を重ねるごとにセカオワは自らの音楽性を成熟させた。2019年2月にリリースされた『Eye』『Lip』を聴けば、10年代後半における4人の進化の過程をはっきりと感じ取ってもらえるだろう。

2021年2月10日、SEKAI NO OWARIは初のベストアルバム『SEKAI NO OWARI 2010-2019』をリリース。“自分たちでライブハウスを作る”“打ち込みとバンドサウンドを融合させる”から始まった4人は、まさに徒手空拳でバンドを立ち上げ、10年という時間のなかで、日本の音楽シーンを代表する存在へと駆け上がった。言うでもなく本作には、その軌跡のすべてが刻まれている。ファンタジーとリアルを結び付け、極上のエンターテインメントへと昇華させてきたSEKAI NO OWARIの10年をぜひ、このベストアルバムで追体験してほしいと思う。

文 / 森朋之

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SEKAI NO OWARI 初のベストアルバムをリリースした“セカオワ”の唯一無二の音楽世界10年の軌跡(前編)

SEKAI NO OWARI 初のベストアルバムをリリースした“セカオワ”の唯一無二の音楽世界10年の軌跡(前編)

2021.02.10

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【「SEKAI NO OWARI 2010-2019」 特設サイト】
https://sekainoowari2010-2019.com

SEKAI NO OWARI

2010年、突如音楽シーンに現れた4人組バンド「SEKAI NO OWARI」。同年4月1stアルバム『EARTH』をリリース後、2011年8月にTOY’S FACTORYよりメジャーデビュー。圧倒的なポップセンスとキャッチーな存在感、テーマパークの様な世界観溢れるライブ演出で、子供から大人まで幅広いリスナーにアプローチ、「セカオワ現象」とも呼ばれる加速度的なスピード感で認知を拡大する。2015年アルバム『Tree』をリリース、同年7月18日、19日には日本最大規模の会場日産スタジアムにて「Twilight City」、2016年アリーナツアー「The Dinner」、2017年ドーム・スタジアムツアー「タルカス」を完遂。2018年、その圧倒的なスケールで彼らのライブエンターテインメントを世の中に知らしめた野外ライブの全国版「INSOMNIA TRAIN」を開催することを発表。また、同年2月平昌オリンピック・パラリンピックNHK放送テーマソング「サザンカ」を担当。2019年、約4年振りのアルバム『Eye』と『Lip』を2枚同時リリースした。名実ともに、日本を代表するグループとなったSEKAI NO OWARI。新しい音楽シーンの最前線の旗手として、止まることなく、攻め続ける新世代の才能である。

オフィシャルサイト
https://sekainoowari.jp/