Interview

SUPER BEAVER ニューアルバム『アイラヴユー』。進化し続けるバンドの、今一番伝えたいことを編んだ1作について訊く。

SUPER BEAVER ニューアルバム『アイラヴユー』。進化し続けるバンドの、今一番伝えたいことを編んだ1作について訊く。

SUPER BEAVERのメジャー再契約第一弾アルバム『アイラヴユー』は、老若男女すなわち幅広い層に届くであろう傑作に仕上がっている。現場叩き上げの生粋のライヴ・バンドとして観客を魅了してきた彼らだが、どんな試練や困難があろうとも、様々な手段を用いて発信し、常に聴く者・観る者に元気や勇気を与え続けてきたバンドのタフな精神性が今作では見事に開花している。SUPER BEAVERらしい個性はそのままに、伝え方や届け方のバリエーションを広げた今作の魅力について、メンバー4人にじっくりと話を聞いた。

取材・文 / 荒金良介 撮影 / 森崎純子


実際にやってみて楽しかったですね。届いているんじゃないかな、という実感はありました(渋谷)

SUPER BEAVER WHAT's IN? tokyoインタビュー

昨年12月8、9日に横浜アリーナにて2デイズのライヴを行いましたが、そのときの感想から聞かせてもらえますか?

渋谷龍太 2020年は結成15周年ということで、いろんなことをやりたいと思い、その一つにアリーナ・ツアーがあったんですよ。そのファイナルを横浜アリーナで2デイズやる予定だったけど……コロナ禍でお客さんを入れてやることが難しくなりましたからね。年の瀬ですし、何か面白いことはできないかなと思って、1日目はチケット払い戻しを希望されなかった人のために配信、2日目は全方位に向けて無料生配信をやろうと。実際にやってみて楽しかったですね。届いているんじゃないかな、という実感はありました。かなりたくさん方に観ていただけたし、反響も大きかったですからね。

柳沢亮太 僕もシンプルにやって良かったなと。配信に関してもいろいろやったけど、最後の最後に生配信の無観客をやって良かったなと思いました。ツアーや映像のスタッフの方たちもいて、みんながやり甲斐をもって作り上げることができたから。自分たちにとってもいい2日間でした。いろんな楽しみが減る中で、新たな楽しみ方を届けられたかなと。

上杉研太 2020年はうまくいかないことも多かったけど、その中でSUPER BEAVERはどう動いていくのか、その都度考えたし、その集大成を魅せられたと思うんですよ。で、再びソニーとタッグを組んで新曲を出したけど、それをアウトプットする場所もなかなかなかったので。配信ではあるけど、思いっきり届けることもできたので嬉しかったですね。やって良かったという充実感もありつつ、バンドとしてもタフになれた気がします。2021年に繋がる2日間になったんじゃないかと。

藤原“32才”広明 僕も楽しかったですね。まだ会場に行けない方もいたと思うし、2日目は無料で簡単に視聴することができたので、そこで何か感じてもらえたんじゃないかと。

上杉さんの「バンドとしてタフになれた」という言葉通り、2日目の横浜アリーナは無観客であることを忘れてしまうほどの凄まじい熱量とエネルギーでした。ライヴ終了後、渋谷さんは地べたに座り込んでましたよね?

渋谷 そうですね、くたびれました(笑)。善し悪しがわからないくらい、思いっきり出し切ることができたから。

そして、今作の話に移りたいんですが、本当に素晴らしいアルバムが出来ましたね。SUPER BEAVERらしさはありつつ、前作と聴き比べると、別物と思えるほどの進化と変化が刻まれてます。バンドとして作り上げた手応えはいかがですか?

柳沢 いいアルバムができたと思いますね。変化を求めながら作ったわけではないけど、いい意味で変化を感じてくださるのであれば嬉しいなと。今やれるSUPER BEAVERの表現を丁寧に丁寧に紡いだ印象が強くて。

自然と歌が聴こえてくるようなバランスは意識したので、それが曲の温かみにも繋がっている(藤原)

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それは伝わりました。今作でまた届け方が変わり、1曲1曲の楽曲に厚みと深みがより一層増してきたなと。

上杉 緻密にストイックに制作できましたからね。レコーディング・スタジオでせーの!で録るスタイルは変わらないけど、一つひとつを深いところまで追求できたから。音色もそうだし、曲が持っているカラーを突き詰めようと。

柳沢 楽器陣に関して言うと、デモをメンバーで共有する中でプリプロの前にこういうイメージで行こう、というラフスケッチをして。あと、エンジニアと話して、スタジオ選びも考えました。それを踏まえて、アルバムを聴いたときに1曲1曲耳触りが違って、1曲1曲がちゃんと立つように綿密にやれましたからね。実際にレコーディングした時間は短かったけど、3人のアンサンブルにどれだけ説得力を持たせられるかはいままで以上に考えました。

藤原 今回は音色から決めることが多くて、そこからイメージして、曲に合うリズムやフレーズを考えたので必要な音しか入れてないんですよ。手数は減ってないけど、シンプルに伝わっているならヨッシャ!という感じですね。自然と歌が聴こえてくるようなバランスは意識したので、それが曲の温かみにも繋がっているんじゃないかと。

本当に必要な場所に音があって、すべてのものが歌にフィーチャーされている(柳沢)

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今作は聴き手の表情を見つめながら、同じ歩幅で走ってくれるような親密さや温度感をいままで以上に感じます。

柳沢 嬉しいですね。音数が極端に減ったかと言えばそういうわけでもないけど、本当に必要な場所に音があって、すべてのものが歌にフィーチャーされているので……いままでも歌やメロディに中心を置いたアレンジでしたけど、より情景が見えるアレンジだったり、サウンドメイクができたんじゃないかと。それが前のめりにガンガン走るよりも、聴き手の横にいてくれるという印象に繋がるのかもしれない。そこは狙ってやったところはありますね。

曲のテンポ感も大きいと思いますが、渋谷さんの歌声のアプローチも変わりましたよね?

渋谷 正直、そこまで自覚はないんですけど、前作から2年半経っているので、そこが一番でかいと思います。この2年半にいろんなことをやったし、会場のキャパシティも広がったし、フェスにも何本も出るようになったから。いままでになかった景色をたくさん見たので、そこで自信も付きましたからね。

自信に満ち溢れた「堂々」とした佇まいを今作から感じます。

渋谷 そうですね。やることに自信を持てたり、関わってくださる人との絆も深まっているし、心地よいプレッシャーを感じるようになったから。それが成長に繋がっているんでしょうね。

2020年1月には1万2千人を動員した国立代々木競技場第一体育館の単独公演を大成功に収め、冒頭でも触れたように同年12月には横浜アリーナ2デイズを決行したりと、ライヴのキャパシティも大きくなってきたことも自信に繋がっているんでしょうね。

渋谷 一人ひとりに届けられているという実感を持てるうちは、キャパは広げることはいいことだと思うので。代々木競技場のときにも一人ひとりに届けられている実感がありましたからね。もっと大きな会場でやってみたいと思ったし、伝えるためには現場で1対1というスタンスを大切にしてきたけど、個人の付き合いではメールや電話もするわけで、気持ちを伝えるための手段は一つじゃないことも実感できた一年でしたからね。

なるほど。今作の話に戻しますが、曲のテンポ感に関してはグッと落としたナンバーが増えてませんか?

柳沢 意図したわけじゃないけど、結果としてそういう曲が多くなりましたね。BPMを下げたのは、確かにそういう会話はしたんですよ。だからこそできることも増えるだろうし。

というと?

柳沢 リズム的なことで言えば、ただ重ねるよりも、空間が作れるから。歌に対する自由度も上がるだろうし、プレイも空白というグルーヴも作りやすくなるだろうから、それも懐の深さに繋がるのかなと。

「mob」、「パラドックス」辺りは特に空白を活かしたアンサンブルがとても心地良くて。

上杉 隙間があるからこそのアレンジになってますからね。BPMが速いと、せわしなく聴こえるだけになっちゃうこともあるので。BPMを下げることで休符を気持ちよく感じられるだろうから。アレンジの自由度はBPMを下げたことで上がったと思います。それも、この曲はどのテンポが一番いいのかなって考えた結果ですね。それだったら、このアレンジもありえるよねって。

適材適所にメンバーみんなが持ち場を担当できるようになったことで、最小限で構築できるようになったおかげかなと(上杉)

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新しい引き出しを開けた感覚はありました?

上杉 無理して開けたというよりも、適材適所にメンバーみんなが持ち場を担当できるようになったことで、最小限で構築できるようになったおかげかなと。ネクストスダンダードというか、また新しいことが一つできるようになった感覚に近いですね。

柳沢 見てきた景色の経験値がそうさせたのかなと。ホールやアリーナでライヴをやったときに、あっ、こういう響き方もするんだと思って。だったら、こういう大きなリズムで刻んだら気持ちいいだろうなって。それはイメージではなく、実際にその場で経験したことが楽曲制作にも影響を与えていると思います。いろんな経験値の賜物ですね。

藤原 BPMと音色はアレンジにも作用するので、「mob」は途中でBPMを下げたんじゃないかな。隙間が増えると、どんどんグルーヴィーになりますからね。こういう曲ってちゃんと演奏できないと、バレちゃうんですよ。経験を重ねたことで、そういうアプローチもできるようになったのかなと。ドラムは相当タイトに叩かないといけないし、「mob」はぶーちゃん(渋谷)の歌もハマッてますからね。「パラドックス」もドラムはシンプルだけど、ヴォーカルに安心してまかせました。

具体的な言葉を使わないエールとして、この曲はどうにかできるんじゃないかと(渋谷)

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あと、今作の1曲目「今夜だけ」は耳元で語りかけてくれるような優しいアプローチで、メランコリックな幕開けがまた印象的でした。この曲を冒頭の置いた理由は?

柳沢 作ったときは1曲目にしようと思ったわけじゃなかったけど、ぶーやん(渋谷)が「1曲目でいいんじゃない?」と言ったんですよ。この曲から始まると、アルバムの物語性も高まるんじゃないかと。

渋谷 SUPER BEAVERとしては珍しい立ち位置の曲だと思ってて。歌詞の内容もそうですけど、一歩も前に進んでいないし……一人称がその場に停滞しているような内容で、答えらしい答えもないんですよ。内省的に聴こえすぎないアプローチができるんじゃないかと思い、具体的な言葉を使わないエールとして、この曲はどうにかできるんじゃないかと。この曲から始まることで、アルバムのバリエーションが増えると思ったんですよ。僕はあまり曲順に対してこだわりはない方だけど、これが1曲目がいいなと。

「今夜だけ」で始まり、その後にシングル既発曲の「ハイライト」、「突破口」が続くことで、どんどん上昇していく気分を煽られます。作品のドラマ性やストーリー性が一気に高まる曲順ですよね。

柳沢 そうですね。今作は作った曲のタイミングもそれぞれバラバラだったりするけど、お互いの曲が作用し合っている感覚があるので。ブレない軸があるからこそ、柔軟性も付いてきたので、それをこのアルバムでも表現できるようになったんじゃないかと。「今夜だけ」を1曲目を置くことで、既発のシングル曲の聴こえ方にも新たな表情が見えた気がして。アルバムの中で聴く「ハイライト」、「突破口」が隣にいてくれるような近さも感じたんですよ。あっ、そういう懐の深さも孕んでいたんだなと。今思うと、「今夜だけ」は1曲目以外にどこに置けたんだろうと思えるくらいで(笑)。ほかに「アイラヴユー」という曲もあり、それがアルバム名にもなっているけど、それだけでは表現し切れない気持ちも出せたかなと。

今何を伝えたいかと言えば、“アイラヴユー”という言葉だったのかなと(柳沢)

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今回のアルバム名、『アイラヴユー』もド直球ですよね。

柳沢 いろんなことを考えて、今何を伝えたいかと言えば、“アイラヴユー”という言葉だったのかなと。SUPER BEAVERはそういう気持ちも大事にしてきたバンドだし、“アイラヴユー”というのは素直な気持ちですからね。

特に<泣いてもいいよ アイラヴユー>の歌詞は胸に突き刺さりました。渋谷さんの歌声もエモーショナル極まりなくて。

渋谷 言葉にするのは簡単とは言わないけど、そこに真意を持たせられるのかどうかですよね。根本から生まれてきた言葉を自分がどう膨らませられるかなと。それは前作よりも深いところで伝えたいと思ったから。それは15年目の重みもあるのかなと。

個人的に「アイラヴユー」に匹敵する名曲が「時代」で、この曲も素晴らしいですね。

柳沢 実はこの曲自体は前からあったものなんですよ。約2年前ぐらいですかね。

前作『歓声前夜』リリース前後ですか?

柳沢 その後ぐらいですね。「時代」という曲名も既にあったもので、意図してこういう曲を作ろうと思ったわけではないんですけどね。「時代」は大きなことよりも、生活に密着した曲ができればいいなと。それぞれの場所で、それぞれの頑張りや懸命さに寄り添える曲があればいいなと。確かにこれまでにない大きさや温かさを持つ曲になったと思うけど、それが局所的な生活で鳴る音楽になったらいいなと。

スケールは大きな曲調ですけど、一人ひとりの生活に寄り添える曲を作りたかったなと。あと、最後を締め括る「さよなら絶望」もある種SUPER BEAVERらしいパンキュッシュなサウンドです。

柳沢 それは最後の方にできた曲なんですよ。こういう勢いのある曲ができたことで、このアルバムが完成した気もして。バンド然としたSUPER BEAVERらしい曲だから、これも必要だったんだなと。歌詞の内容としては自分たちが今、絶望的な気持ちを抱えて活動しているかと言えばそうじゃないけど……この曲を聴いてどう感じるかは聴いてくれた人それぞれの気持ちに託したいと思ってます。何か気持ちが沸き上がるきっかけになればいいなと。それはアルバム全体にも言えることですね。何かを感じてくれたらいいなと。

2020年よりはいい年だったなと言える1年を、自分たちで明確に作れたら(渋谷)

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では、最後の質問になりますが、2021年はどんな年にしたいと思っていますか?

渋谷 そうですねえ、やれることをちゃんとやれる1年にしたいなと。いつでもしっかり動けるように、自分たちも準備しながら、楽しいこと、面白いことをその時の速度でやれたらいいなと。2020年よりはいい年だったなと言える1年を、自分たちで明確に作れたらいいですね。

上杉 1日1日、状況も変わったりして、ライヴに関してもやれることやれないこともあると思うけど、やれることを想定して準備して、やれなくなったらやれないなりに何かを考えなきゃいけない。2020年はそういう経験をたくさんしたので、足元を救われないように頑張らなきゃいけないなと。2021年は何がなんでも納得できる活動をしたいですね。

藤原 いいアルバムができたと思っているので、ちゃんとツアーもやれたらいいなと。僕らはライヴが主軸ですけど、ほかにもいろんなことをやれると思うので、いろんな形でメッセージを届けられたらいいなと。

15th ANNIVERSARY 特設サイト
https://www.sonymusic.co.jp/Music/Info/superbeaver/15th/

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ライブ情報

詳細はオフィシャルサイトにて

SUPER BEAVER

渋谷龍太(Vo)、柳沢亮太(G)、上杉研太(B)、藤原“32才”広明(Dr)の4人によって2005年に東京で結成された。
2009年6月にEPICレコードジャパンよりシングル「深呼吸」でメジャーデビュー。
2011年に活動の場をメジャーからインディーズへと移し、年間100本以上のライブを実施。
2012年に自主レーベルI×L×P× RECORDSを立ち上げたのち、2013年にmurffin discs内のロックレーベル[NOiD]とタッグを組んでの活動をスタートさせた。2018年4月には初の東京・日本武道館ワンマンライブを開催。11月にはインディーズながらシングル「予感」がテレビドラマ『僕らは奇跡でできている』の主題歌に抜擢され話題を呼ぶ。
2019年11月に兵庫・ワールド記念ホールと2020年1月には東京・国立代々木競技場第一体育館で初のアリーナ単独公演を行った。
結成15周年を迎えた2020年、Sony Music Recordsと契約を結んだことを発表。約10年ぶりのメジャー再契約となる。5月27日に発売された『LIVE VIDEO 4 Tokai No Rakuda at 国立代々木競技場第一体育館』が6/8付オリコン週間総合音楽DVD・BDランキングにて第1位を記録。6月10日に発売された両A面シングル『ハイライト / ひとりで生きていたならば』の表題曲である「ハイライト」と「ひとりで生きていたならば」がiTunes ロックチャートにて1位と2位を獲得し、バンドの勢いがそのまま表れた結果となった。「ひとりで生きていたならば」が11月13日(金)より公開の中条あやみ主演映画『水上のフライト』の主題歌に起用される。10月21日にはメジャー再契約第2弾シングル『突破口 / 自慢になりたい』がリリース。表題曲「突破口」は10月2日(金)よりMBS,TBS,BS-TBS “アニメイズム” 枠にて 放送中のTVアニメ『ハイキュー!! TO THE TOP』第2クール オープニングテーマに起用されている。12月9日に横浜アリーナにて無観客で開催されオフィシャルYouTubeチャンネルにて無料生配信された公演では、同時視聴数7万人、アーカイヴ無しにも関わらず総視聴数36万回と話題を呼んだ。公演の最後に待望のニューアルバム『アイラヴユー』のリリースを発表した。
今最も注目のロックバンド。

オフィシャルサイト
http://super-beaver.com

YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCB3pkYGb_ykRHniDx8Jftsw