Interview

見事 “主役の座”をつかんだ三浦海里。「毎日が必死だった」と語る『主役の椅子はオレの椅子』を経て初主演する舞台「青空ハイライト」

見事 “主役の座”をつかんだ三浦海里。「毎日が必死だった」と語る『主役の椅子はオレの椅子』を経て初主演する舞台「青空ハイライト」

2020年秋にABEMAチャンネルで放送された俳優育成オーディションバトル番組『主役の椅子はオレの椅子』。19人の若手俳優が共同生活のなかで、舞台の主役と堤 幸彦監督映画の主演の座をかけて“芝居”、“ダンス”、“殺陣”、“歌”など役者として必要な要素はもちろん、時には精神力が試される過酷な課題に挑み、熱いバトルを繰り広げた。
そして舞台出演の権利を獲得した10名が12月23日(水)に生配信された番組内で最終審査に挑んだ結果、三浦海里が“主役の椅子”を勝ち取った──。
稽古初日を迎えた2021年1月中旬、三浦に番組出演時のエピソードや今後の役者としての夢・目標、そして初主演舞台「青空ハイライト」~from主役の椅子はオレの椅子 への意気込みを聞いた。

取材・文 / 近藤明子


主役になりたいというよりも、ただお芝居がしたかった

昨年放送されたオーディション番組『主役の椅子はオレの椅子』(通称:オレイス)で、見事主役の座に輝きました。おめでとうございます!

ありがとうございます。でも正直、まだあまり実感がなくて……。今日から舞台稽古が始まるんですけど、みんなと一緒に芝居を創っていくなかでだんだんと噛みしめていくのかなと思います。

まずは、番組への出演を決めた理由から伺えますか?

昨年は新型コロナウイルスの影響でいろんな舞台やイベントが中止になってしまったじゃないですか。僕も出演を予定していた未発表の作品が次々とキャンセルになってしまって、お芝居をできない状況になってしまったことが悲しくて。でも“オレイス”に出演すれば、演技の勉強ができる環境に身を置くことができるし、自分と近い年齢の人たちと競い合うという刺激的な経験もできる。「とにかく芝居がしたい!」という気持ちから番組に参加することを決めました。

「青空ハイライト」~from 主役の椅子はオレの椅子 三浦海里 WHAT's IN? tokyoインタビュー

“主役の座を競い合う”というテーマなだけに、ギスギスした雰囲気になってしまうのではと想像していたのですが(苦笑)、三浦さん自身は参加するにあたって不安はありませんでしたか?

不安はなかったですね。役者のオーディション番組ってあまり聞いたことはなかったけれど、アーティストのオーディション番組はあるじゃないですか? EXILEの新メンバーオーディションとか、最近だと、Nizi Projectもあったし。だから、そういったものの役者版という感じだろうなというイメージでしたね。僕はとにかくお芝居をやりたくて参加したので、最初の頃は「みんなと仲良くなろう」とかは考えていなかったし、そもそも人見知りな性格ということもあって「仲良しこよしをしに来たわけじゃないぞ」みたいな雰囲気を出していたかもしれないです(苦笑)。

三浦さんは芝居経験がありますし、あのメンバーの中ではスタートラインから一歩先に立っていたと思います。参加メンバーは、役者を始めたばかりの人、モデルなど、ほかのジャンルから演技の勉強を始めたばかりという人も多かったですよね。

でも、この企画に関しては、僕は経験や技術ってあまり関係ないと思っていて。いくらお芝居が上手でも主役になれない役者は大勢いるし、逆にお芝居を始めたばかりなのにいきなり主役に選ばれる人もいる。“タイミング”、“運”、“まとっている雰囲気”や“その日の自分のコンディション”など、選ばれる理由は様々ですし、何が審査する人の目に留まるかはわからない。参加者はみんな僕にはない魅力や引き出しを持っている方たちだったので、余裕なんていっさいなかったです。

「負けたくない」というライバル心も芽生えていきました

合宿初日から順を追って印象に残っていることを話していただけますか?

まず、順位のつけ方がポイント制っていうのは、教室で発表されたときに僕らも初めて知ったんですけど、「どうやって芝居に順番をつけていくんだろう?」って不思議に思っていましたね。最初は完全に気を抜いていたので、内容を知って「やられたな」って感じでした(苦笑)。

合宿場所に足を踏み入れた瞬間から審査は始まっていましたからね。玄関で掃除をしている人に挨拶ができたか(30ポイント)、教室に敷いてあるカーペットに上がる前に靴を脱ぐか(20ポイント)なども審査対象と知って驚きましたが、演劇人にとっては“できて当たり前”のことなんですよね。でも参加者19人中、6人が挨拶をしましたが、靴を脱いでカーペットに乗った人はたった1人(相馬 理)でしたね。

僕、どっちもできませんでした。あのときはめちゃめちゃ緊張していたし、まったく周囲が見えていなかった。教室に入ったあとも、隣りの教室から椅子を持ってくるように言われたので取りに行ったんですけど(椅子確保で50ポイント)、椅子は10脚しか用意されていなかったから、出遅れた人は椅子がなくて床に体育座りで。椅子を取りに行けって「そういうことか!」って、そのときにこのオーディションの本当の過酷さを垣間見た気がしましたし、教室の空気も変わった気がしました。

集まった19名の参加者の顔を見渡してどう感じましたか?

知っている人がいなかったので、まずはどんな人か探るところから入りましたね。志茂星哉くんは人見知りしないタイプらしく、積極的にみんなに話しかけて明るい雰囲気を作ってくれていました。稽古場で共演者の方たちと長時間過ごすことはあっても、合宿で四六時中一緒という経験はこれまでなかったので、男子校のノリで日を重ねるごとに楽しくなっていきました。仲良くなった人たちがひとりずつ脱落していくのは寂しかったけど、逆に「負けたくない」「絶対に最後まで残るんだ」という強いライバル心も芽生えていきました。

「青空ハイライト」~from 主役の椅子はオレの椅子 三浦海里 WHAT's IN? tokyoインタビュー

毎回いろんな課題がありましたが、特に印象に残っているものは?

2日目のマラソンです。僕は一番最初にリタイアしちゃって、自分の不甲斐なさや情けなさにイラついたり、「俺は芝居の勉強がしたくてこのオーディションに参加したのに、なんで走っているんだろう?」ってモヤモヤしたり(苦笑)。体力面・精神面でみんなに遅れを取っているのを実感させられてショックでしたね。合宿後半にも座禅や腕上げという精神力が試される課題があって、「俺は以前とは違うぞ!」と気合いを入れ直して挑んで1番になったんです。その瞬間「この合宿で自分はひとつ成長できた」と思いました。

「信じているぞ」っていう言葉をもらいました

合宿では、演出家の丸尾丸一郎さん(劇団鹿殺し代表、劇作家、俳優)が講師として皆さんを指導していましたが、丸尾さんの印象はどうだったんでしょう?

最初はすごく怖い人っていうイメージだったんですけど、カメラが回っていないところではすごく優しかったです。普段はあんなに怒鳴ってばかりいる人じゃないんですよ、本当は(笑)。

丸尾さんは参加者ひとりひとりのことをよく見ていて、的確なアドバイスや、その人に足りないものをズバッと言うけど、遠回しな言い方をしないからこそ、言われた人は胸に刺さる。本音で愛情に溢れる指導をされているなと画面を通しても伝わってきました。

そうなんです。放送はされていなかったけど、毎回審査前にその時点で最下位の人に声をかけてくれるんですよ。僕のときは、たったひと言「信じているぞ」っていう言葉をもらいました。どういう意図で言ってくださったのかはわからないですけど、僕は“お前ならここから上がっていくと信じている”と受け取って、それでスイッチが入ったので最下位を脱出することができました。ひと言ひと言がすごく胸に刺さりますよね。ほかの講師の先生方も厳しくも温かく見守ってくださって、その環境は本当にありがたかったです。

“演劇を愛する人たちで作った番組”っていう感じがありました。

そうですね。一緒に参加したみんなも芝居に対して熱い人たちばかりで、それに毎日触発されていました。

皆さんの団結力も回を重ねるごとに強くなっていって、誰かが脱落すると泣きながら肩を叩き合って、落ちてしまった人はサポートに回って仲間を支えるっていう……。こんな熱い青春、昨今では経験できないことだなって思いました。

本当に。それを新型コロナで大変な時期に経験できたことは、すごい財産だなと思います。

お芝居の勉強がしたくて参加したオーディションでしたが、番組が終わった今、振り返ってみて、三浦さんが得た一番大きなものって何でしょう?

ハングリー精神です。僕は争いごととか人と競い合うのが苦手で、今までの人生で極力避けてきたんです。そういうものに挑戦したとしてもいい経験が残らなかったですし、本当に苦手だったけど、今回の企画に参加して、人生をかけて本気で挑んでいる人たちが脱落して涙を流しながら想いを語るのをそばで見ていたら、「俺はこんなに生半可でいいのかな」みたいな気持ちがどんどん増していって、「怖がらずに本気で頑張らなきゃ」とか「泥くさくてもカッコ悪くてもいいから、全力でぶつかって競い合おう」みたいな意識が初めて自分の中に芽生えた気がしました。

そのハングリー精神が今後のお芝居の中に出てくれば、俳優・三浦海里の魅力がどんどん膨らんでいくんでしょうね。楽しみにしています。

はい。“ハングリーな三浦海里”に期待してください(笑)。

“芝居で信頼してもらえる役者”になりたい

今日から舞台「青空ハイライト」の稽古が始まるとのことなので、意気込みを聞かせてください。

11人で舞台を創っていくんですけど、合宿ですごく仲良くなって団結力が増した状態で稽古に入れるので、そのチーム感を舞台上でも見せられたらなと思っています。今回の舞台は“書道”がテーマなんですけど、書道の舞台というのもあまりなかったと思うので、どういう見せ方をするのか、そういう新しい挑戦も楽しみです。個人的には、今回が初主演=初座長なので、自分に何ができるかわからないですけど、僕なりの座長像を見つけていけたらなって思っています。

番組で講師を務められた丸尾丸一郎さんが演出を担当されます。舞台に向けて何か言われたことはありますか?

番組が終わってからお会いできてなかったので、まだ舞台については何も言われていないけど、短い稽古期間で、丸尾さんが求めている八雲(※主人公の名前)像に僕なりに寄せていきたいなと思っています。僕は“オレイス”で丸尾さんに初めてお会いしたんですけど、丸尾さんの舞台に出たことがある俳優仲間から「稽古が始まったら人が変わるよ」みたいなことを聞いているんですよ。どう変わるのかちょっとドキドキしていますが、いろんな勉強や経験につながると思うので、頑張って食らいついていきたいです。

「青空ハイライト」~from 主役の椅子はオレの椅子 三浦海里 WHAT's IN? tokyoインタビュー

これから先、俳優・三浦海里としては、どんな役者を目指すのか、目標みたいなものをぜひ伺いたいです。

僕がこういう役者になりたいと思っているのは、「もう一度コイツと仕事がしたい」と共演者やスタッフに思ってもらえる役者。それは人柄もあるんでしょうけど、プラス、お芝居をやるうえで信頼してもらえる役者になりたいです。そう思ったのは、演劇「ハイキュー!!」のときに最初の3作品ぐらいまで「役者として信頼されていなかったかな」と感じたことがきっかけで……。

そうなんですか!?

でも4作目の“進化の夏”では僕の演じた山口(忠)がすごくフィーチャーされて、原作を読んでいてずっとやりたかった“プライドのシーン”(※山口が憧れていた月島に「プライド以外に、何が要るんだ!」と詰め寄るシーン)の稽古~本番で、共演者やスタッフさんたちの期待を感じるようになったんです。そのあとから「あいつなら何をやっても大丈夫だろう」「アドリブを入れても平気だな」みたいな感じで普段と違うこともしてくれるようになって、自分も相手がやりやすいお芝居を意識したり、お芝居でキャッチボールができるようになった気がしたんですね。なので目標は、スタッフさんやキャストに信頼してもらえる役者。めっちゃ難しいことなんですけどね。

共演者やスタッフに「コイツ、どんな芝居するんだろう。見てみたい」って思わせるのは難しいことですけど、ワクワクしながら見てくれているのは、とても嬉しく誇らしいことですよね。

はい。応援してくれるファンの方々の言葉もすごく嬉しいし、励みになっているんですけど、一緒に作品を創っている仲間たちからかけてもらう言葉は自信になりますからね。

19人分の魂を背負って舞台に立つ

では最後に、舞台「青空ハイライト」〜from 主役の椅子はオレの椅子の上演を楽しみにしている皆様にメッセージをお願いします。

合宿からスタートして、競い合ってきた僕ら11人で今回の舞台を創っていきます。出演するのは11人ですが、悔しい想いをしたほかのメンバーの分まで責任をもって芝居をすることが、僕たちの使命だと考えています。そして、そのメンバーが観て「出たかった」「悔しい」「うらやましい」と思ってもらえる芝居をすることが、僕らのやるべきことだし、そこを目指さなきゃいけない。劇場に観に来てくださる方にも、いろんな感情を持ってもらえるような作品に絶対してみせます! みんなの力を借りながら、19人分の魂を背負って舞台に立つので、ぜひ楽しみにして劇場にお越しください。

「青空ハイライト」~from 主役の椅子はオレの椅子

2021年2月11日(木・祝)~2月21日(日)Mixalive TOKYO Theater Mixa


<千秋楽公演を「ABEMA PPV ONLINE LIVE」にて独占生配信>
配信日時:2021年2月21日(日)開場16:30 開演17:00
詳細はこちらにて


脚本・演出:丸尾丸一郎(劇団鹿殺し)

出演:
三浦海里/
河島樹来 清水田 龍 曽田陵介 園村将司 髙橋祐理(※「祐」は正しくは「示」(しめすへん)に「右」)
中三川歳輝 飛葉大樹 松井遥己 森田力斗 新美直己

オフィシャルサイト
オフィシャルTwitter(@aozorahighlight)
オフィシャルBlog
『主役の椅子はオレの椅子』番組アーカイブ

©ネルケプランニング/ABEMA

三浦海里(みうら・かいり)

1996年10月26日生まれ、埼玉県出身。第24回JUNONスーパーボーイコンテストファイナリスト。2013年にデビュー。ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」シリーズ(山口 忠 役)、舞台劇「からくりサーカス」シリーズ(白銀 役)、舞台版「誰ガ為のアルケミスト」シリーズをはじめ、近年の主な出演作品には【舞台】「THE INSTANT」、舞台版「誰ガ為のアルケミスト」~聖ガ剣、十ノ戒~、舞台「私のホストちゃん」THE LAST LIVE ~最後まで愛をナメんなよ!~【映画・ドラマ】『八王子ゾンビーズ』などがある。

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