Interview

ゲーム実況者わくわくバンド “王道の邦ロック”と“ゲーム実況”。唯一無二の存在、その正体と魅力とは?

ゲーム実況者わくわくバンド “王道の邦ロック”と“ゲーム実況”。唯一無二の存在、その正体と魅力とは?

ニコニコ動画、YouTubeなどの動画投稿サイトで人気のコンテンツ『ゲーム実況』 シーンで活動中の湯毛(Vo&G)、ヒラノ課長(G)、フジ(B)、フルコン(Dr)、せらみかる(Key)により、2014年に結成された、ゲーム実況者わくわくバンド。“王道の邦ロック”と呼ぶべきサウンド、音楽とゲーム実況を融合させたライブによって支持を得た彼らは、既に日本武道館でのイベントにも出演。1stシングル「デンシンタマシイ」はTVアニメ『BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS』エンディングテーマに起用されるなど、活動の幅も確実に広がっている。
1月27日に3rdシングル「心誰にも」をリリースする“わくバン”。湯毛、フジ、せらの3人にこれまでの軌跡と新作について語ってもらった。

取材・文 / 森朋之


ゲーム実況の界隈でバンドを組むという行動に出る人は聞いたことなかったから、おもしろいんじゃない?って(湯毛)

ゲーム実況者わくわくバンドは、ゲーム実況のシーンで活動している5人が結成したバンド。みなさん、バンド結成前から音楽をやっていたんですよね?

湯毛(Vo&G) そうなんですけど、常に音楽をやってたのは僕だけですね。ドラムのフルコンは大阪で僕と一緒にアニメソングのコピーバンドをやっていて。せら君は以前から曲を作ってたんですよ。ゲームの「ロックマン2」を題材にした「エアーマンが倒せない」(2007年)がインターネットで話題になったことがあって。楽器が弾けるかどうかは知らなかったんですけど(笑)。

せらみかる(Key) (ゲーム実況者わくわくバンドでは)最初は縦笛とパーカッション担当でした(笑)。

湯毛 ギターのヒラノ課長はもともと別のバンドをやってて。

フジ(B) 僕は学生時代バンドをやってました。趣味の範囲ですけど。

湯毛君が力強く歌う「フライングゲット」を聴いて、「いいじゃん!」って(フジ)

その5人が2014年に、とあるイベントでバンドを組んだと。

湯毛 はい。イベントで何やろうか?って話していて、その流れで。ゲーム実況の界隈でバンドを組むという行動に出る人は聞いたことなかったから、おもしろいんじゃない?って。

せら 新鮮さはありましたね。自分たちも楽しめたし。

湯毛 うん。最初はせら君の「エアーマンが倒せない」をカバーしようと思ったんですけど、正直、人が歌える曲じゃなくて。メロディのレンジが広すぎるんですよ。

フジ ハハハハ(笑)。

せら “歌ってみろ”みたいな曲だからね(笑)。

湯毛 で、僕がAKB48の「フライングゲット」をやろうと提案したんです。有名な曲でお客さんも楽しんでもらいやすいだろうし、バンドアレンジもしやすいかなと。

フジ 最初は「嘘でしょ?」って思ったんだけど(笑)、湯毛君が力強く歌う「フライングゲット」を聴いて、「いいじゃん!」って。

せら 熱く歌う感じで。

湯毛 イベントで演奏したら、お客さんに想像以上に喜んでもらえたんですよ。自分たちも楽しかったけど、観てくれた人が盛り上がってくれたのが嬉しくて。すごい緊張しましたけどね。力みすぎて、ギターを弾いてた手から血が出ちゃって(笑)。

フジ 自分も久々にベースを弾いたので、だいぶ緊張しましたね。

湯毛 バンドを組んだ時点では、フジ君がどれくらい弾けるのか知らなかったからね。初めてのリハでキーを間違えて覚えてきたときもなんとか対応してくれて、「なんだ、やれるじゃん」って。

せら 逆に言うと、あの時ダメだったらバンドはなかったよね。

(笑)。その後、オリジナル曲をやり始めた?

湯毛 そうですね。イベントで演奏したのが楽しかったし、せら君が曲を作れたので。ライブのときも、ゲーム実況を挟むんですけど、そういうやり方もおもしろいかなと。

ロックバンドという大枠のなかで、(音楽的に)いろんなことをやってる感じですね。湯毛君が歌うことで、“わくバン”の色にまとまるという信頼感もあるので(せら)

音楽性についてはどうですか? 「こういう曲をやっていこう」みたいな話もした?

せら ジャンルを決めていたわけではないですね。ただ、以前から湯毛君の“歌ってみた”動画は見ていたし、ストレートなロックが合うだろうなと。ロックバンドという大枠のなかで、(音楽的に)いろんなことをやってる感じですね。湯毛君が歌うことで、“わくバン”の色にまとまるという信頼感もあるので。

湯毛 大変ですけどね、せら君が作る曲を歌うのは。

フジ 確かに最初は対応するのが大変でした(笑)。

みんないろいろな音楽を聴きつつ、5人で何となくまとまってる感じかなと(湯毛)

難易度が高い曲が多いですからね。みなさんの音楽的なルーツもやはりロックなんですか?

フジ 僕は一貫してV系が大好きで。このバンドは5人中3人がV系の影響を受けてるので、すり合わせは意外とすんなりいってますね。

湯毛 90年代の邦楽はみんな通ってますね。僕は“歌い手”としてアニメソングなどを歌っていて。せら君はゲーム音楽、音ゲーが好きだよね?

せら いちばんやり込んだのは、DrumManiaやGUITARFREAKSなど、バンドサウンドに特化したゲームで。バンドサウンドが好きだし、ゲームを通して、各パートのことを学べたところもありますね。

湯毛 なるほど。考えてみたら、アニメソングも音楽的にはジャンルがないですからね。みんないろいろな音楽を聴きつつ、5人で何となくまとまってる感じかなと。

みなさんは2018年にはTVアニメ『BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS』エンディングテーマ曲「デンシンタマシイ」をリリース。日本武道館のイベントに出演したりと、着々と活動を重ねていると思いますが、やはり「バンドとしても上に行きたい」という気持ちはあるんでしょうか?

湯毛 何をもって“上”なのかが難しいところですけどね。タイアップに関しては、スタッフのみなさんのおかげで。アニメソング好きとしては『NARUTO』シリーズに関われてすごく嬉しいんですけど、いい意味でイレギュラーな出来事だったんですよね。

せら そうだね。

湯毛 いま思ってるのは……こういうバンド名なので、敬遠される要素もあると思うんですよ。ただ、楽曲的には普通に聴いてもらえるよう真剣に向き合ってますし、お客さんの層をもっと広げていきたい、もっと聴いてほしいという気持ちはありますね。

フジ それが自分たちにとっての“高み”だよね。

では、3rdシングル「心誰にも」(TVアニメ『シャドウバース』エンディングテーマ)について。“作詞:ゲーム実況者わくわくバンド、作曲:せらみかる”ということですが、歌詞はみなさんで書いたんですか?

湯毛 どこを誰が書いたんだっけ?

フジ もうわかんないね(笑)。最初に俺が書いた歌詞、すごく暗かったんですよ。

湯毛 そうだった(笑)。みんなで意見を出しつつ、せら君がまとめてくれた感じですね。

せらさんの最初のイメージはどんな感じだったんですか?

せら 原型を作ったのはちょっと前なんですけど、そのときから大事にしたい曲だなと思ってたんですよね。イザというときにちゃんと活躍してくれそうな曲だなと。

それがこのタイミングだった、と。

せら そうですね。TVアニメ『シャドウバース』のタイアップ曲なんですが、アニメ自体も中盤に差し掛かって、さらにシリアスな展開になりそうで、そこに向かっていける熱い曲にしたかったんですよね。歌詞もサウンドの力強さに寄り添う感じで。攻撃的と言ってもいいかもしれない。

湯毛 すごくストレートだよね。

諦める潔さ、諦める強さというか。“わくバン”ってそういう曲が多い気がする(フジ)

しかもめちゃくちゃ前向きですよね。<目覚めろ僕よ まだ見ぬ先の/あの光さえ 追い越して>っていう。

湯毛 確かにサビは前向きだとは思うんですけど、Aメロで提示されている問題提起が後ろ向きなんですけどね。ちょっと世の中を諦めているというか。

フジ 諦める潔さ、諦める強さというか。“わくバン”ってそういう曲が多い気がする。

せら 完璧を目指さない感じだよね。

湯毛 しっかり励ます歌詞もあるんだけど、こういう温度感になりがちかも。

「もっと自分で考えてモノを言ってほしい」みたいな主張も、「心誰にも」に出てるのかも(せら)

「心誰にも」の冒頭は<天才・秀才・凡才なんて 声は/大体・曖昧・まわりの モノサシで>。みなさんも活動しているなかで、世の中の評価が気になることもありますか?

せら ネットの活動がメインなので、いろんな人の声を聞ける環境にありますね。

湯毛 活動をはじめたのは10年以上前なんですけど、その頃はネットのカルチャーに対しての偏見みたいなものも感じることもあって。その頃の経験がベースにあるのかも。

フジ 顔を出して活動するとか、考えられない時代だったからね。僕は今も出してないけど(笑)。

湯毛 今は当たり前だけどね。まだまだ大変なことはあるけど。

せら うん。右に倣えで意見を言っちゃうこともあると思うんですよ。「もっと自分で考えてモノを言ってほしい」みたいな主張も、「心誰にも」に出てるのかも。

湯毛 そのまま読み上げるとイヤだけど(笑)、音楽に乗せるとエモーショナルになるんですよね。

確かに。みなさんはゲーム実況者としての活動に加え、バンドもやってて。いまや憧れる方もいますよね。

湯毛 そういう指標になろうと思ってるわけではないんですけどね。ただ、今はインターネットで聴いた曲が音楽のスタート地点になることも多くて。「わくバンを聴いて、楽器を始めました」みたいな人がいると、音楽人生の始動に立ち会えたみたいで嬉しいですね。

配信でも、黒夢さんの話で盛り上がったりしてるので(笑)(湯毛)

ゲーム実況者わくわくバンドを聴いて、90年代の邦ロックやV系に興味を持つ人もいそうですね。

湯毛 そうですね。配信でも、黒夢さんの話で盛り上がったりしてるので(笑)。

せら ぜんぜんファンの年代に寄せてないね(笑)。

湯毛 ライブで「ROSIER」(LUNA SEA)をカバーしたりね。

せら ギターのヒラノ課長、「ROSIER」をやってるときのテンションがすごいんですよ。

湯毛 自分たちの曲より上手くなるよね(笑)。自分たちのライブで「ROSIER」をはじめて聴いた人もいるかもしれないし、そういう役割を担えるのも嬉しいです。

2曲目の「Masterkey」、3曲目の「毎分毎秒」も前向きなアッパーチューン。シングル全体を通して、“わくバン”らしさが全開だなと。

湯毛 「Masterkey」は既にライブでもやっていて。今回、アレンジを見直して収録しました。「毎分毎秒」は新しく作った曲ですね。

せら 「毎分毎秒」は冒険のわくわく感を出したくて。ファンタジーの要素もありますね。

湯毛 今までの“わくバン”にはなかった感じの曲ですね。“全曲、A面でいけるように”というのはずっと意識してるので、それは変わってないんですが。……“A面”の意味、読んでる人わかるかな?

フジ 大丈夫じゃない?(笑)

湯毛 歌うのはめっちゃしんどいし、思った以上にタフな曲ですけどね。もちろん、歌うのは楽しいんですけど。

フジ 休むところがないんだよね。

せら (笑)。湯毛君の声のいちばん熱い部分を出し切ってもらいたくて。

湯毛 もう少しキーが低かったり、展開がユルいと、スーッと流れていっちゃう気がするからね。と言いつつ、いいように(せらに)コントロールされてるのかも(笑)。ファンのみなさんから「上手く歌えない」って言われると嬉しいんですけどね。

フジ ベースも結構大変で。今回のシングルで言えば、「Masterkey」はかなり練習しましたね。テンポがすごく早くて、大事なキメが多いので。

“5人全員が主役”という感じにしたくて(せら)

ギター、ベース、ドラムと、各楽器に聴きどころが用意されているのも印象的で。

湯毛 そこはせら君がかなり意識してるみたいです。

せら “5人全員が主役”という感じにしたくて。個々の活動もあるし、それぞれにスポットが当たってほしいなと。

フジ 優しいな(笑)。確かにファンのみなさんもそこを楽しんでくれていると思うからね。

ライブがないのは寂しいですけど、YouTubeチャンネルで配信は続けていて。ゲーム実況も配信もあるし、やってることは変わらないかも(フジ)

最後に今後の展開について聞かせてください。2021年もライブの状況は不透明ですが、こういう時期だからこそ、ゲーム実況者わくわくバンドのネット発信力が活かせるのでは?

フジ 情報発信のチャンネルはそれぞれ持ってますからね。ライブがないのは寂しいですけど、YouTubeチャンネルで配信は続けていて。ゲーム実況も配信もあるし、やってることは変わらないかも。

せら むしろこの環境下だからこそ、普段以上に見てもらえるタイミングもあったのかなと。

フジ ライブがないぶん、曲を作ったりもしてたし。

湯毛 うん。こうやってリリースできるのもありがたくて。自分たちの強みを生かして活動を続けたいですね。

その他のゲーム実況者わくわくバンドの作品はこちらへ。

ライブ情報

ゲーム実況者わくわくバンド 11thコンサート ~77777~

2月27日(土) LINE CUBE SHIBUYA
※詳細はオフィシャルサイトにて
http://wkwkproject.com/wkwkband/

ゲーム実況者わくわくバンド

ニコニコ動画やYouTubeなどの動画投稿サイトで大人気のコンテンツ『ゲーム実況』。
そのシーンで活躍している、湯毛、ヒラノ課長、フジ、フルコン、せらみかる5人が、2014年3月にひょんなことからバンドを結成。その名も『ゲーム実況者わくわくバンド』!!
ゲームコントローラーを楽器に持ち替え、楽しく仲良く活動中。

オフィシャルサイト
http://wkwkproject.com/wkwkband/