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ALI 渋谷発・多国籍音楽集団。1st EPから見えてくる、ディープな音楽性をポップフィールドで解き放つパワーと存在感

ALI 渋谷発・多国籍音楽集団。1st EPから見えてくる、ディープな音楽性をポップフィールドで解き放つパワーと存在感

渋谷発の7人組バンド・ALIは、優れたハイブリッド感覚を備えた音楽集団だ。

渋谷生まれ、渋谷育ちのLeo(Vo)をはじめ、メンバー全員が日本、ヨーロッパ、アメリカ、アジア、アフリカなど様々な国や地域にルーツを持っているALI。その多様性は音楽にも反映され、ソウル、ファンク、ジャズ、ラテン、ロック、ヒップホップなど幅広いエッセンスを注入した多国籍感たっぷりのサウンドは、既に早耳の音楽ファンにキャッチされている。世界中の音楽、あらゆる時代の音楽に簡単にリーチできる時代を背景にした、きわめて現代的なバンドと言えるだろう。バンド名のALIは“ALIEN LIBERTY INTERNATIONAL”の頭文字。“異邦人、異質の”“(闘いや運動によって得た)自由”“国際的な”を組み合わせたこの言葉は、ALIのコンセプトにつながっていると言っていい。ちなみに結成日の(2016年)6月3日は、モハメド・アリの命日。ボクサーとしての才能、圧倒的なカリスマ性を持ち合わせ、1960年代の公民権運動にも寄与したアリもまた、ALIを理解するために欠かせない存在なのだと思う。

2019年に個人事務所であるAlien Liberty Internationalを設立し、1st音源集『ALI』を配信&アナログでリリース。HERMES主催のインターネットラジオなどと連動したイベント“ラジオエルメス”に参加し、TVアニメ『BEASTARS』のオープニングテーマとし制作された1stシングル「Wild Side」を発表するなど――ハイブランドとのコラボから、大人気アニメ作品とのタイアップまで――幅広いフィールドで存在感を強めてきたALI。2020年11月には1stシングル「LOST IN PARADISE feat. AKLO」でメジャーデビューを果たした。

表題曲「LOST IN PARADISE feat. AKLO」はMBS / TBS系アニメ『呪術廻戦』のエンディングテーマ。心地よいギターカッティング、ファンク〜ソウルの本質を射抜くようなリズム・セクション、官能的なホーンセクションが絡み合うトラックのなかで、Leoの野性味溢れるボーカル、AKLOの鋭利なラップが響き渡るこの曲は、ALIの持つディープな音楽性をポップフィールドで解き放つナンバー。MVの再生回数が1200万回(1月12日現在)を超えるなど、既に大きな支持を集めている。(たとえばKing Gnuと同じように)コアなサウンドを維持したまま、大衆にアプローチできるセンスと技術の高さを証明する楽曲と言っていいだろう。

2021年の最初のアクションは、1月27日にドロップされる1st EP『LOVE,MUSIC AND DANCE』。梅田サイファー(KOPERU, peko, KZ, R-指定)、J-REXXX, RUEED、なみちえ, 6B, ALONZO、KAZUO、HIYADAM、SHIGO02、DOS MONOSという世代、ジャンルを超えた先鋭的なアーティストが参加した本作は、様々なジャンルを融合させ、個性溢れるシンガー、ラッパーを繋げながら進化してきたALIの本質を改めて際立たせている。

「FEELIN’ GOOD feat. 梅田サイファー(KOPERU, peko, KZ, R-指定)」はファンクとヒップホップを有機的に結びつけた楽曲だ。JBマナーを感じさせるオーセンティックなファンク・ビート(LeoのシャウトもJBを想起させる)のなかで、関西のヒップホップを牽引し続ける“梅田サイファー”のメンバーが独創的かつ攻撃的なフロウをぶつけ合い、融合し合う様子は驚くほどにスリリング。<Kick it out frustration>に象徴される、リスナーを煽りまくり、鼓舞しまくるLeoのリリックには、この時代にはびこる同調圧力を蹴破るようなパワーが確かに宿っている。

ALIのメンバーと同じく、ミックスルーツを持つなみちえ、6B、ALONZOが参加した「MUZIK CITY feat. なみちえ, 6B, ALONZO」が放つメッセージ性も素晴らしい。個人的にもっともグッと来たのは、なみちえの<みんな違うって事がおんなじなんじゃない? ならば透明人間御用達する無意味な同調はdie>というライン。コロナ禍以降、さらに分断、差別、格差が前景化する日本の社会の病巣を照らし出し、リスナーに思考と行動を促すようなフレーズは本気で強烈だ。高速のファンクビートのなかで3人のフロウとLeoのコーラスがせめぎ合い、唯一無二としか言いようがないグルーヴを生み出すプロセスもこの曲の聴きどころだろう。

90年代から活躍を続けるSHIG02をフィーチャーした「DAZE N SUNSHINE feat. SHING02」も紹介しておきたい。ソウルとブルースを行き来するようなトラックとともに響くのは、“DAZE”(呆然とさせる、ぼーっとさせる)という言葉通り、どこかゆたりとしたフロウ。もちろん単なるチルソングではなく、<remember to relish the freedom when you’re in a pickle jar>(窮地に立たされた時は自由を噛みしめろ)というSHING02のフロウが示唆するように、その奥には豊かにして真摯な人の営みが描かれている。穏やかでメロウな共鳴のなかに、人生の本質を射抜くような言葉が広がるこの曲も在り方もまた、ALIの奥深い魅力につながっている。

現在の日本のヒップホップを象徴する才人が顔を揃えた本作を引っ提げ、2月5日には東京・渋谷CLUB QUATTOROでALI presents『LOVE, MUSIC AND DANCE 2021』を開催。アンダーグラウンドとオーバーグラウンドをつなげ、様々なアーティストを結び付けながら発展し続けるALIは2021年、さらなる飛躍を遂げるはず。その先にあるのは間違いなく、ワールドワイドな光景だろう。

文 / 森朋之

その他のALIの作品はこちらへ。

ライブ情報

■ALI presents 『LOVE, MUSIC AND DANCE2021』ビルボードライブ大阪
2月2日 ビルボードライブ大阪
■ALI presents 『LOVE, MUSIC AND DANCE2021』
2月5日 SHIBUYA CLUB QUATTRO
※詳細はオフィシャルサイトにて

ALI/-ALIEN LIBERTY INTERNATIONAL-

LEO(Vo)/ KAHADIO(Dr)/ YU(Sax)/ LUTHFI(Ba)/ ALEX(Per)/ JIN(Key)/ CÉSAR(Gt)。
Funk/Soul/Jazz/Latin などのルーツ・ミュージックにHipHopをクロス・オーヴァーした東京/渋谷発のバンド。
リーダーでボーカルの LEOを中心にメンバー全員が日本とヨーロッパ、 アメリカ、 アジア、 アフリカなどをルーツにもつ多国籍音楽集団となる。

オフィシャルサイト
https://alienlibertyinternational.com/