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山田孝之&賀来賢人&小関裕太&三浦宏規らが心の重い時代に愛ある笑いの歌を届ける。ミュージカル『モンティ・パイソンのSPAMALOT』上演中!

山田孝之&賀来賢人&小関裕太&三浦宏規らが心の重い時代に愛ある笑いの歌を届ける。ミュージカル『モンティ・パイソンのSPAMALOT』上演中!

ミュージカル『モンティ・パイソンのSPAMALOT』が開幕した。
イギリスの国民的人気コメディグループ「モンティ・パイソン」によるコメディ映画『モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル』(1975)を、モンティ・パイソンのメンバーであるエリック・アイドルが自らミュージカル化。トニー賞3部門を受賞した傑作ミュージカルだ。
日本では、福田雄一演出のもと、2012年に初演。さらに2015年に再演を果たすなど人気を博し、今回が堂々の3度目の上演。キャストを一新し、生まれ変わったミュージカル『モンティ・パイソンのSPAMALOT』として劇場に降り立った。
最高にバカバカしく、最高に愉快なステージの模様をお届けする。

取材・文 / 横川良明 撮影(取材会) / 竹下力 写真(舞台撮影) / 岩田えり


疫病が蔓延した10世紀、国を統べるためアーサー王が立ち上がる!

何かと心の重い時代だ。ネットを眺めていても明るいニュースなんてほとんどなくて。飛び込んでくるのは、誰かが誰かを誹謗中傷する声ばかり。外へ出ても大きく息は吸い込めない。友達と話していても、大声で笑うのをためらってしまう。そして、気づいたら眉間のシワばかりが深くなっている。そんな人たちにこそ『モンティ・パイソンのSPAMALOT』を観においでよと伝えたい。

ここには、羽目をはずしても「不謹慎だ」と怒る人はいない。何者かになんてならなくていいし、成功だってしなくていい。ただ肩の力を抜いて、笑おうよと。しょうもないことをいつまでも延々と話していようよと。そう言ってくれるような気がするのだ。

ミュージカル「モンティ・パイソンのSPAMALOT」featuring SPAM WHAT's IN? tokyoレポート

下敷きとなっているのは、かの有名なアーサー王と円卓の騎士の物語。西暦932年、イングランドでは疫病が蔓延し、民衆は不安と恐怖に怯えていた。民族は分断され、国が千々に乱れるなか、国家統一のためにある男が立ち上がる。それが、アーサー王(山田孝之)だ。従者のパッツィ(矢本悠馬)を連れ、円卓の騎士を集めたアーサー王は、神の啓示に従い、聖杯(ホーリーグレイル)を探す旅に出る。というのが大まかなストーリーだけど、そこはそんなに熱心に勉強しておく必要はない。

なぜなら大事なのは、物語を追うことではなく、その場で起きる出来事を楽しむことだから。門番に行く手を遮られ、不毛なツバメの話にふけったり。神様の股下を罰当たりにも覗いたり。アーサー王たちは本気なのかふざけているのかよくわからない。でも、そのゆるい感じがなんだか心地よくて、いつのまにか彼らのオフビートなやりとりが楽しくて仕方なくなってくるのだ。

ミュージカル「モンティ・パイソンのSPAMALOT」featuring SPAM WHAT's IN? tokyoレポート

福田雄一らしいパロディがこれでもかと盛り込まれ、クセのあるキャラクター揃いで飽きさせない。本番で思いきり楽しんでほしいから、細かい演出については伏せておく。その代わり、素敵なキャストたちの奮闘を紹介してみよう。

歌までうまい山田孝之、俳優として死角なし!

まず、主人公・アーサー王を演じるのが、山田孝之。山田孝之はもうその場にいるだけで、なんだか面白そうな匂いがしてくるところがズルい。今回もやたら低音域を効かせたイケボに、どんなときもひたすら真顔、そして普段よりかなり芝居がかった口調で、アーサー王のキャラクターを立ててくる。

このとぼけた世界観の中で、アーサー王だけが大真面目に見えるから、余計におかしい。こうしたパロディ色の強い作品との相性の良さは、『勇者ヨシヒコ』シリーズで証明済みだけど、福田作品のコメディを演じる山田孝之は本当にイキイキしている。

ミュージカル「モンティ・パイソンのSPAMALOT」featuring SPAM WHAT's IN? tokyoレポート

しかも、めっぽう歌がうまい。『ペテン師と詐欺師』(2019)などミュージカル作品に立つ山田孝之を知っている人間からすると周知の事実かもしれないけれど、映像作品でしか山田孝之を観たことがないという方なら、ちょっと驚くぐらいの歌唱力だ。もともと声質がいいのだろう。歌声が太くて艶がある。芝居の達者さは言うに及ばず。俳優として、あまりにも穴がなさすぎて、神様からいくつ才能を与えてもらったんだろうとため息が出るほど、俳優・山田孝之は魅力的だ。

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福田作品に欠かせない賀来賢人も痛快だ。今回は、本役のランスロット卿以外にもいろんな役をこなし、ジョーカーのように神出鬼没の活躍を見せる。賀来賢人のコメディ俳優としての魅力は、抜きのうまさと思いきりの良さだと思う。力を抜くところは抜く。そして、振り切るところは思いきり振り切る。その緩急が絶妙で、つい笑いのツボをくすぐられてしまう。

個人的には、◯◯◯◯人の門番を演じている賀来賢人が、ちょっと姑息な感じがいい味になっていて良かった。代表作『今日から俺は!!』の三橋もそうだけど、小ズルい役を演じているときの賀来賢人は水を得た魚のようだ。あの飄々とした憎めない感じは、賀来賢人の持ち味。その魅力を本作でも存分に発揮している。

三浦宏規&新妻聖子のデュエットに、もう笑いが止まらない

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小関裕太はヘタレな騎士・ロビン卿を演じている。すらりとしたスタイルに、騎士のコスチュームがよく似合う。歌声も伸びやかで耳にすっと入ってくるのが気持ちいい。役どころとしての見せ場は2幕。いつもより高めの声で、実は臆病者の勇者をコミカルに演じているので、そのヘタレっぷりを楽しみにしてほしい。

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予想以上の存在感を見せたのは、ガラハッド卿 役の三浦宏規だ。福田作品は初挑戦だが、キザなナルシストというおいしいキャラクターが実によくハマっている。爵位を授かる前の小汚い泥集めも関西弁を使ってがめつく演じているが、そこから一転して騎士へと転身したあとの華麗さは、三浦宏規の真骨頂。整った顔立ちに金色の長髪がよく似合っているし、やたら間をためる喋り方もいい感じにイラッとさせて笑いを誘う。

また、新妻聖子とのデュエットは、個人的には本作の中で最も笑った場面。ミュージカルファンにとってはたまらないシーンとなっているので、笑う準備をしてお待ち願いたい。

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“馬”役である矢本悠馬は、このカンパニーのツッコミ番長。次々と飛んでくる変化球のようなボケを鮮やかに打ち取る様は頼もしさすら感じるほど。小さな身体を大きく動かしながらキレのいいツッコミを入れていく姿は、なんだか愛らしくもある。また、ミュージカルは初挑戦とのことだが、歌もさることながら、踊りがとってもキュートなのだ。ちょっとマスコット感のある今回の役どころは、親しみやすい雰囲気の矢本にぴったりだと思う。

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シソンヌのふたりは、さすがの安定感。ハーバート王子 役を演じるじろうの素っ頓狂な高音と衣裳がインパクト大だ。ベディヴィア卿 役の長谷川 忍は本役もいいが、やっぱり王子を演じるじろうとの絡みにニヤニヤしてしまう。間合いの巧みさや、劇場の空気を自分のものにしてしまう力はさすがのもの。じろうの奇跡の歌声は一聴の価値ありだ。

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そして、そんな男優たちの奮闘をすべてかっさらってしまうような存在感を発揮しているのが、湖の貴婦人 役の新妻聖子だ。これぞミュージカル女優という圧倒的な声量と、抜けるようなハイトーン。技術がすごければすごいほど面白くなってくるから最強すぎる。こういうめちゃくちゃ実力のある人の才能の無駄遣いは、プロのステージだから楽しめるもの。しかも、この湖の貴婦人のキャラクターがまたひと癖もふた癖もあって面白い。メタネタもふんだんに盛り込んで、観客を楽しませる。

終演後は、口笛吹きながら家に帰ろう

ミュージカル「モンティ・パイソンのSPAMALOT」featuring SPAM WHAT's IN? tokyoレポート
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ゲネプロ前の会見では、見どころを聞かれた山田孝之が「賀来賢人のお芝居です!」とひと言で締め。そんな座長のあっさりしたコメントを補足するように賀来賢人が「『ああ、楽しかった』って思って、その2時間後くらいには『で、何の話だったんだろう?』って思ってもらえる、とても素敵なミュージカル」と魅力を解説。

ミュージカル「モンティ・パイソンのSPAMALOT」featuring SPAM WHAT's IN? tokyoレポート
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小関裕太が「大爆笑を取れるように頑張ります!」と意気込めば、三浦宏規は見どころに新妻聖子の歌唱シーンを挙げ、「オケつきで初めて観たときに、まじで泣きそうになりました」と感想を述べた。これには先輩の新妻も「ありがとう」と目を細め、福田雄一も「いいコメントするね」とニヤリ。

ミュージカル「モンティ・パイソンのSPAMALOT」featuring SPAM WHAT's IN? tokyoレポート
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矢本悠馬は「9~10キロくらいの重りをつけながら本番をしてるんですよ。相当汗と疲れがあると思うんで、そういうものを背負いながらやってるんだと思いながら観てほしい」と苦労を明かし、山田から「笑えないよ」とツッコまれていた。

ミュージカル「モンティ・パイソンのSPAMALOT」featuring SPAM WHAT's IN? tokyoレポート

最後に山田はあらためて「いろいろあるなかで、嫌なことを忘れて、笑ってもらうということを目標にスタッフ・キャスト全員頑張って稽古してきた」と振り返り、「とにかく僕らそれをぶつけるだけなんで、本気で受け取って笑ってもらえたらなと思います」と全力投球を誓った。

ミュージカル「モンティ・パイソンのSPAMALOT」featuring SPAM WHAT's IN? tokyoレポート

ミュージカル『モンティ・パイソンのSPAMALOT』は、2月14日(日)まで東京建物 Brillia HALLにて上演。その後、大阪公演が2月18日(木)から2月23日(火・祝)までオリックス劇場にて、福岡公演が2月26日(金)から2月28日(日)まで福岡市民会館大ホールにて上演される。

ミュージカル「モンティ・パイソンのSPAMALOT」featuring SPAM WHAT's IN? tokyoレポート

全編にわたっておふざけ満載ではあるのだけど、歌とダンスはちゃんと魅せるという、エンターテインメントとしてのバランス感覚がいい。きらびやかなステージングで、ミュージカルらしい華やかな気分をたっぷり味わえる。

最もシンボリックなのは、映画版では「Always Look on the Bright Side of Life」というタイトルの曲だろう。シンプルなメロディが自然と耳に残り、終演後、気づけば口ずさんでしまう。

つい顔をしかめて呼吸が浅くなってしまいそうな毎日だけど、そんなときはこの曲を思い出して口笛を吹きたい。人生楽に生きようよ。それは、生きるのがほんの少し楽しくなるおまじないの言葉だ。

ミュージカル『モンティ・パイソンのSPAMALOT』featuring SPAM®

東京公演:2021年1月18日(月)~2月14日(日)東京建物 Brillia HALL
大阪公演:2021年2月18日(木)~2月23日(火)オリックス劇場
福岡公演:2021年2月26日(金)~2月28日(日)福岡市民会館大ホール

【STORY】
神のお告げをうけたアーサー王は従者パッツィを連れ、家来となる円卓の騎士を集めて聖杯(ホーリーグレイル)を探す旅に出る。しかし、次々と起こる奇想天外なハプニングが、彼らの行く手を阻む……。
果たしてアーサーたちは、目的の聖杯を見つけることができるのか!?

脚本・詞:エリック・アイドル
音楽:ジョン・ドゥ・プレ&エリック・アイドル
原作:映画『Monty Python and the Holy Grail』より
協賛:SPAM®

上演台本・演出:福田雄一

出演:
アーサー王 役:山田孝之
ランスロット卿 役:賀来賢人
ロビン卿 役:小関裕太
ガラハッド卿 役:三浦宏規
パッツィ 役:矢本悠馬
歴史学者、ハーバート王子 役:じろう(シソンヌ)
ベディヴィア卿 役:長谷川 忍(シソンヌ)
湖の貴婦人 役:新妻聖子

<歌って踊るひとびと>
坂元宏旬、高橋卓士、常住富大、広瀬斗史輝、横山 敬、横山達夫、井上花菜、植村理乃、小山侑紀、竹内真里、永石千尋、森 加織

オフィシャルサイト
オフィシャルTwitter(@spamalot_jp)