Interview

須賀健太が挑む「朗読劇 #ある朝殺人犯になっていた」。SNSに翻弄される主人公を演じるにあたり、彼があらためて感じたこと

須賀健太が挑む「朗読劇 #ある朝殺人犯になっていた」。SNSに翻弄される主人公を演じるにあたり、彼があらためて感じたこと

思わぬ逆境に立たされたからこそ、見えるものがある。
俳優・須賀健太にとって、2021年初めての舞台となる「朗読劇 #ある朝殺人犯になっていた」。SNS上で女児ひき逃げ犯の疑いをかけられた主人公が、ネット民の怒りと暴走する正義に打ちのめされながら、事件の真相を追いかけていくジェットコースター・エクスペリエンスだ。
須賀が演じるのは、売れない芸人の浮気淳弥。同じ芸能人として、そしてSNS世代の一員として、須賀はこの作品からどんなことを感じているのだろうか。
その先には、難局に直面したからこそ実感できた人の温かさがあった。

取材・文 / 横川良明


原作を読んで、他人事じゃないなって気がしました

まずは原作を読んだ感想を聞かせてください。

ほんの数時間で読み終わっちゃうくらい、すごく読みやすかったんですけど、それは僕自身がSNSを身近に感じていて、本の中で書かれていることが想像がつきやすかったからなと思っていて。自分自身、SNSというものを武器にして仕事をしているところはあるので、こういうことって本当に起こり得ると思うし、他人事じゃないなって気がしました。

藤井清美 『#ある朝殺人犯になっていた』(発行元:U-NEXT)
©藤井清美/U-NEXT

須賀さんは、主人公の浮気淳弥を演じます。

リアルだなと思ったのが、この浮気がめちゃくちゃ真面目なやつではないじゃないですか。その感じが浮気が置かれている状況により拍車をかけていて。どんどん追い込まれていく浮気を見ながら、“そういうことになるよな”ってわかる瞬間もあって、僕も気をつけようと思いました(笑)。

浮気は悪いやつじゃないけど、口を滑らせたり不用意なところもあって。その一面だけを切り取られてしまうと、すごく悪い人間に見えてしまうというところに恐ろしさを感じました。

そうなんですよ。しかも芸人さんだから笑わせるつもりでやっていたことが、そこだけ切り取られるとすごく悪い人間に見えてしまうという。本当怖いですよね。

表に立つ人間として、SNSに晒される恐怖を感じることはありますか。

ありますね。ちょいちょい「同級生だったんだけど」って言っている人がいて、「誰だろう(笑)」ってなるときがあるんですけど。根拠がなくても、その人が言っていることを信じられちゃうときもあって、そういう怖さは感じますね。

朗読劇は、演者もお客さんもお話の世界に入っていくのがよくわかる

今回、小説を朗読劇として立ち上げるうえで、何か変わるところもあるのでしょうか。

まだ僕も稽古に入る前なのでわからないところが多いんですけど、朗読劇っぽい部分と、朗読劇っぽくない部分があって。そこは面白くなりそうな感じがします。

朗読劇っぽくない部分とは?

結構映像が使われるみたいで。今って人にスマホのカメラを向けることに抵抗が全然ない人が多いじゃないですか? 隠し撮りとかも、SNSにアップすると、悪気なく拡散されるところがあって。でも、それって本来はすごく怖いこと。その恐怖は、字面で読むよりも劇場でお見せすることで、よりストレートに伝わるのかなと思っています。

演じ手として感じる、ストレートプレイと朗読劇の違いはなんですか。

朗読劇は……噛めない(笑)。台本を持って読んでいるわけだから、言い訳できない感じはあります。あとは、動きが少ないぶん、言葉で伝えることをより意識づけないといけないのかなとか。

去年1年、コロナの影響もあって朗読劇のバリエーションが一気に増えた気がして。観客も目が肥えたぶん、次はどんなものがくるのだろうというハードルも上がっています(笑)。

うわ、怖っ(笑)。めちゃくちゃ怖いですね、それ。
この1年間は演劇界にとってマイナスなことが多かったけど、新しいことを試みていかなきゃいけないという意味では、表現のベクトルが広がったのかなという感覚もあって。僕自身、リモート配信ありきの演劇だったり、朗読劇もやらせてもらいましたし、演じることに対して今までとは別の意識ができた気がしますね。

朗読劇は手元に台本がありますが、やはり台詞は相手に向けてという意識なんでしょうか。

やっぱりこの台詞は相手の役者さんに飛ばしたいみたいな部分はあります。でも、そこは台本を見なくて済んでも、次の台詞があるとそうはいかないし。そこの兼ね合いが難しいんですけど、自分の組み立てたとおりにいくとすごく気持ちよかったりします。

個人的には、朗読劇のページをめくる瞬間が好きです。人によってタイミングも違うし、物語が進む感じがして。

そういう楽しみ方もできるんだ! 面白いですね。
演者側からすると、普通のお芝居と比べて温まっていく感覚がよりわかるかもしれないです。やっぱり1ページ目はめちゃくちゃ緊張するんですよね。そこから演者もお客さんもどんどんお話の中に入っていくのが伝わってくるというか。それこそページをめくりながら進んでいく感じがあるので、そこは朗読劇の魅力かもしれないです。

SNSをただのツールにはしたくない

本作はSNSが大きな作品の柱となっていますが、須賀さんの笑えるプチSNS失敗エピソードはありますか。

僕、SNSは結構気をつけてるんです。SNSのルールとして、自分でやるようにしていて。投稿する前に何回も下書き投稿とかしてます。だから、たまに公演の日付を間違えたりしますけど、それぐらいで。あとは……笑えない失敗ばかりです(笑)。

メディア側としては、記事をシェアするときにいつも媒体名まで書き添えてくれていて。そんなところに須賀さんの優しさを感じています。

忘れちゃいけないところだなと思うんです、そういうことって。記事になるのは、そこに載せてくれる媒体さんや書いてくださっている方がいらっしゃるおかげだから。ともすると、SNSって冷たくなりがちだと思うので、そういうのは大事にするようにしています。

インスタにはよくカッコいい須賀さんの写真がアップされていて。毎回、楽しみにしています。

これ言ったらめっちゃダサいんですけど、インスタはカッコいい路線にしようと思っていて。ファッショナブルにしてるんです。今、手の内を明かしちゃったからすべて崩壊しますけど(笑)。

ネタバラしをさせてしまいました……(笑)。

あはは。Twitterに関しては気軽に使いたくて。なんでもないようなことをつぶやくようにしています。ツールになりすぎたくないんです。そもそもファンの方と交流できたらいいなと思ってTwitterを始めたので、その感覚を忘れないようにしないとなとは常々思っています。

役者としてい続けたいという覚悟ができた

劇中では、浮気が身に覚えのない疑惑をかけられ窮地に追い込まれます。その中で、今まで気づかなかった周りの人の素顔や優しさを見つけていくところに面白さを感じましたが、須賀さんも同じようにピンチに陥ったからこそ人の優しさや温かさを知った経験はありますか。

そこで言うと、このコロナ禍は応援してくれている皆さんの存在を、気軽に会えなくなって距離としては遠くなってしまったぶん、より濃く感じるようになりました。
僕自身も舞台が中止になってしまったりで、自分は役者としていられるんだろうかということを今まで以上に感じた1年だったんですね。ミュージシャンや芸人さんだと歌を歌うとかネタをやるとか何かしら発信できることはあるけど、僕たち俳優は役がないと存在しないも同然だから。
そんなふうに役をもらえない状況のなかで、それでもSNSを通して応援してくれるファンの人の声に触れたときに、カッコ悪くてもちゃんと役者でいないといけないなって。どんなカタチでも楽しませてあげたいなという気持ちがより濃くなって。以前よりずっと強く役者でい続けたいという覚悟ができました。

須賀さんの場合、昨年5月に予定していた舞台『ワケあって火星に住みました~エラバレシ4ニン~』が中止になりました。当時はどんな心境でしたか。

去年、緊急事態宣言が出たとき、僕自身は舞台に立つことだったり、人前に立ってお芝居をすることは当分の間は無理なんだろうなってなんとなくわかっていたところがあって。最初はちょっと“長い休みだ”みたいな感じだったんです。だから始めのうちはわりと能天気でした。でも普段から長い休みもなかったし、やることもないから、すぐにお芝居がしたいな、仕事したいなという気持ちになって。それで、自分のやっているYouTubeの編集をするようになりました。
あれがなかったら本当にヤバかったかもしれない……。自分で撮って、編集して。そしたら、ありがたいことにチャンネル登録してくれる人が増えて。そういう目に見える“つながり”があったおかげで気持ちが軽くなったというか。これからのことを考えると内心は不安だらけなんですけど、YouTubeの作業をしているときはわりと落ち着いていられたというか。

芸能人・須賀健太としてやるべきことがある嬉しさですよね。

そういう意味ではSNSの力をすごく借りていた時期かもしれない。僕はSNSを活用させてもらっているほうだとは思っているんですけど、直で会うことに勝るものはないと思っていたんです。でも、直で会うことができない期間だったからこそ、こういうつながり方もできるんだと、SNSの良さを感じられた1年でもありました。

そんななかでキ上の空論の『うちの鼠は沈む船を見捨てぬ。』だったり、劇団朱雀の『ぎふ葵劇場幕引き公演』だったり、少しずつお芝居をする機会も取り戻していきました。久々に人前に立つことで感じたことはありますか。

対面でお客さんを入れた舞台に出演したのは、この間の劇団朱雀が初めてで。なんかやっぱりすごかったです。うまく言い表せないんですけど、お客さんの力のすごさを感じて。
声を出さないとか、観劇形態が変わって。そのぶん、拍手の大きさが今までとは全然違うんです。きっとお客さんも声を出せない代わりに拍手で気持ちを届けようとしてくれているんだろうなって、その想いがすごく感じられて。あらためてやっぱりお芝居が好きだなって感じました。

わかります。拍手って、いいですよね。

それから、より責任も感じるようになりました。このコロナ禍で、役者をやっている人はみんなこれからどうするかを一度は考えたと思うんです。中には残念ながら本当にこの世界から離れてしまった人もいて。
その中で僕はやっぱりお芝居がやりたいと思って残らせてもらって。そして今こうやって作品をもらえているわけだから。ちゃんと役者として自分が作品のためにできるかぎりを尽くさないといけないなって。月並みですけど、そう実感しています。

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「朗読劇 #ある朝殺人犯になっていた」

2021年1月29日(金)〜2月7日(日)こくみん共済coopホール/スペース・ゼロ
※U-NEXTにて生配信あり<2月6日(土)13:00開演回/18:00開演回>。詳細は後日発表。


<チケット一般発売>
2021年1月22日(金)AM11:00〜


STORY:
浮気淳弥(28)は、佐藤昌紀(25)と漫才コンビ「スレンダーズ」を組んで3年の売れない芸人。ある朝、目覚めた浮気は、SNS上に自分がひき逃げ犯だという噂が広がっていると知る。6歳の女の子がひき逃げされた悲惨な事件が時効を迎えようとしており、ネット民は怒り狂っていた──。
「俺は関係ない」と否定すればするほど、過去が暴かれ、プライバシーが晒され、ついには普通の生活を送れなくなってしまった淳弥。人生を取り戻すため、淳弥は真犯人を見つけることができるのか!

原作:藤井清美 『#ある朝殺人犯になっていた』(発行元:U-NEXT)
脚本・演出:藤井清美

出演:
須賀健太

山崎大輝 赤澤遼太郎 (Wキャスト)
美山加恋 宮澤佐江(Wキャスト)
真凛

馬渕英里何
山崎裕太

松本利夫(EXILE)

オフィシャルサイト
オフィシャルTwitter(@aruhan2021)

須賀健太(すが・けんた)

1994年10月19日生まれ、東京都出身。2006年に初主演を務めた映画『花田少年史 幽霊と秘密のトンネル』にて第30回日本アカデミー賞新人俳優賞、2007年には映画『ALWAYS続・三丁目の夕日』にて第17回日本映画批評家大賞審査員特別演技賞を受賞。近年の主な出演作品には【舞台】劇団☆新感線『けむりの軍団』、舞台『奇跡の人』、ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」シリーズ、劇団朱雀【映画】『遮那王-お江戸のキャンディー3』、『凛』【ドラマ】『女ともだち』、『江戸前の旬season2』などがある。1月よりドラマ『青のSP(スクールポリス)―学校内警察・嶋田隆平―』に英語教師・新津 清 役として出演中。

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