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神木隆之介「失いたくないものを作りたくなるし、守りたくなる」ドラマ『おじさまと猫』インタビュー

神木隆之介「失いたくないものを作りたくなるし、守りたくなる」ドラマ『おじさまと猫』インタビュー

1月6日より放映が開始された新ドラマ『おじさまと猫』(テレビ東京ほか)。原作はTwitterを中心にインターネットで話題となり、「このマンガがすごい!2019 オンナ編」など様々な賞を受賞している人気作品。妻を亡くして以降、孤独に暮らす世界的ピアニストの‟おじさま”こと主人公・神田冬樹(草刈正雄)とペットショップで売れ残ってしまったブサイクな猫・ふくまる(声:神木隆之介)が偶然出会ったことで始まる、心温まる日々を優しく描いた作品となっている。

今回WHAT’s IN? tokyoでは猫の“ふくまる”役を演じた神木隆之介へインタビューを実施。漫画、そして人気声優が出演したコミックスPVとも異なる、実写の‟ふくまる”をどのように捉え、作り上げたのか。様々なキャリアを積んでいる神木でも「難易度は10段階中、10」だったそうだが、真摯に作品、そして役柄と向きあい深堀した結果得た役作りの方向性、実写の中での違和感の無いキャラクターのバランス感、そして神木から見た本作の持つ魅力まで、たっぷり語ってくれた。

取材・文 / 佐藤早雪


キャラクターに寄せすぎず、リアルになりすぎず「絶妙なバランスでやりたい」

まずは本作について、神木さん自身がどのような感想を持たれたのか教えてください。

原作もそうですが、「優しい気持ちになれる作品」だなと思いました。例えば今すごく心がささくれ立っていたりする方がご覧になったら、瞬時に心が軽くなったり、優しくなれるんじゃないかなと思います。おじさまとふくまるの関係性をみていると、失いたくないものを作りたくなるし、守りたくなると思うんですよね。僕は周りにあるもの、全てのものに対して優しくしたくなりました。例えば目の前にある携帯電話とかも含めて(笑)。誰かや、何かに対してこんな風に思えることや、そういう風に思い合える相手がいるというのはすごく素敵なことですし、自分がこれまで見ていた世界とは少し違う世界にも気付かせてもらえた気がしました。

今回のふくまるは人形です。演じるにあたり難しさもあったかと思いますが、どのように‟ふくまる”を作り上げていかれたのでしょうか。

監督から「最初はやさぐれた感じで」と指示を頂いていたのもあり、初めは卑屈な印象でやっています。ペットショップで引き取り手がなく、孤独を味わっていたし、神田さんと出会った直後も、拾ってもらって嬉しいけど、警戒心や不安もあって「結局は失ってしまうんだろうな」と考えるような子だったんです。だけど、‟パパさん”(=神田)に出会い、パパさんや周りの人の愛情に触れ、ふくまるの中にあった孤独や寂しさ、心を冷たくしていたものが、ゆっくりじんわりと溶けていって……少しずつ可愛く優しくなっていき、あるタイミングでは大きな変化も出てきたりして。なので、おじさまとの会話のリズムの中に、そういった変化を乗せるように意識しました。

キャスト発表時のコメントでふくまるを「フィクションだけど、ノンフィクションになるように」と仰っていました。こちらについて具体的にどういったことなのかを教えてください。

今回は実写ドラマですが、登場するふくまるはキャラクターでもあります。現実世界の中で、人間が出ている以上、漫画と同じトーンでキャラクターに寄せすぎてしまうと、ふくまるの存在自体が実写ドラマの場から浮いてしまうと感じたんです。ふくまるもドラマの中では現実の世界で、皆さんと同じ場所に存在しているので、そうした雰囲気や存在感を出さなければいけない。でも、リアルすぎてもキャラクターではなくなってしまうので、絶妙なバランス感でやりたいなと思いましたし、ご覧になっている方に「ふくまるってこう思っているのか」と、(ふくまるの)心の声が自然に馴染むようにしなければ…と思っていました。ただ、今はそれに加えて「自分の家の子(ペット)が、こう思っているのかな?」「うちの子にもこんな風に思っていて欲しいな」などと想像していただきながら、お家にいるその子たちと皆さんとのコミュニケーションがより増えるきっかけになれば嬉しいな…とも思っています。

今回のふくまるは本物の猫ではありませんが、人形の動きにとてもリアリティがあるんです。本物の動物だと表現が難しい彼の心もきちんと表現されていて、動物ですが人間にも通じるものを醸し出しており、とても分かりやすくなっていると思います。

今回のふくまるは、これまで人間以外も含めて様々な役に挑戦してきた神木さんにとって難易度は10段階中いくつですか?

難しさは10段階中10、マックスです!(笑)。声優の釘宮さん(釘宮理恵)がコミックスのPVでふくまるの声を担当されましたが、我々アニメファンから言わせてもらうと、釘宮さんの声は“可愛いの体現”なんです。僕の声は、釘宮さんとは性別もトーンも違うので、最初にお話をいただいた時は不安でしたが、どんなトーンがいいのかを色々工夫しましたし、方向性が決まるまでは、試行錯誤をしていました。

その“方向性”はどのようなものになったのでしょうか。

やっぱり可愛いという方向性は大切にしたくて、ご覧になっている方にも‟可愛い”と思っていただけたら嬉しいなと思っています。ただせっかくなら、僕なりの、僕が演じるふくまるを、自由に作り上げられたらと思っているので、‟可愛いさ”に加えて、どこか「男らしさ」や「勇敢な部分」を出すことができたらと思っています。例えばパパさんとお話をしている時は基本甘えているし可愛いイメージですが、1人になった時やふくまるが立ち上がらなければならない時は、気合を入れて敢えて勇敢な‟人物”になるように切り替えをしています。

最近ほっこりしたのは「口が悪かった姪が自分を心配してくれたこと」

パパさんを演じられている草刈さんとの共演はいかがですか?

いつ見ても紳士的ですし、“おじさま”という言葉が本当に似合う方だと思います。実は1度お会いした際、僕がふくまるのセリフを話していると草刈さんが「うわぁ~素晴らしい!本当に可愛いよ!」と褒めてくださったんです。その草刈さんのリアクションを見たことで、ふくまるという役をやらせていただいて良いんだなと思えましたし、この方向性で大丈夫なんだ、と確信できました。そこからは自信を持ってふくまるに取り組めるようになりました。

ちなみに神木さんご自身は、今ペットを飼われていますか?

今は飼っていませんが、ふくろうやみみずくのYouTubeをよく見ています。もう本当に、可愛いんですよ! 懐いている姿も可愛いし、呼ぶと来るし、反応をするのも可愛い。ペットを飼うというのは色々な責任も出てきますので、今は我慢しています。

癒しや優しさがキーワードとなる本作にちなみ、神木さんが最近“ほっこりした出来事”を教えてください。

姪が「大丈夫?体調崩してない?」と言ってきてくれたことです。少し口が悪くて、かなり年下なのに生意気なんですが(笑)、最近事あるごとに心配をしてくれて、「大きな地震があったけど大丈夫?」「仕事忙しいの?」とか連絡をくれて。実はすごく良いやつだったんです。“良い子”ではなく、“いいやつ”です(笑)。これに対して僕も「心配してくれてすごく嬉しいよ」じゃなくて、「おう、サンキューな」という感じで返すんですが(笑)。最近はそういう言葉がすごく心に刺さりましたし、嬉しくてほっこりしましたね。

神木隆之介

1993年、埼玉県生まれ。近年の主な出演作にドラマ『集団左遷!!』(19)『連続ドラマW 鉄の骨』(20)、映画『フォルトゥナの瞳』(19)『屍人荘の殺人』(19)『ラストレター』(20)などがある。

オフィシャルサイト
https://www.amuse.co.jp/artist/A0106/

オフィシャルTwitter
@kamiki_official

フォトギャラリー

ドラマ『おじさまと猫』

毎週水曜深夜0時58分〜1時28分

放送局:テレビ東京、テレビ大阪
※BSテレ東、テレビ愛知でも放送予定

主演: 草刈正雄
声の出演:神木隆之介
出演:小関裕太、武田玲奈、平山浩行、高橋ひとみ、升毅

脚本:ふじきみつ彦、伊達さん(大人のカフェ)
監督:椿本慶次郎、副島正寛
制作:テレビ東京、ソケット
原作:桜井海『おじさまと猫』(掲載 ガンガン pixiv/月刊「少年ガンガン」スクウェア・エニックス刊 )

オフィシャルサイト
https://www.tv-tokyo.co.jp/ozineko/

©「おじさまと猫」製作委員会