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君沢ユウキ&七海ひろきらが極道として生きる人間の悲哀と人生の喜びを表現。舞台『ROAD59-新時代任侠特区-』上演中!

君沢ユウキ&七海ひろきらが極道として生きる人間の悲哀と人生の喜びを表現。舞台『ROAD59-新時代任侠特区-』上演中!

ブシロード発のメディアミックスプロジェクト第1弾となる舞台『ROAD59-新時代任侠特区-』が、12月24日(木)に、なかのZERO 大ホールで幕を開けた。
記念すべき第1弾のテーマは“新時代の任侠物”。春雲組(しののめぐみ)、狛浪組(はくろうぐみ)、黒条組(くろじょうぐみ)、PHOENIX(フェニックス)という4つの組織が勢力争いを繰り広げながら「神祇(ジンギ)」と呼ばれる特殊能力をめぐり極道の人間たちの物語が描かれる。
舞台版では、脚本を毛利亘宏、構成・演出・映像をヨリコジュン、主題歌をGACKTが担当。出演者には君沢ユウキ、鮎川太陽、砂川脩弥、七海ひろき、京本政樹ら錚々たるメンバーがプロジェクトに華を添える。
初日前に公開ゲネプロと記者会見が行われたのでレポートしよう。

取材・文・撮影(記者会見)/ 竹下力 撮影(舞台写真)/ 岩田えり


舞台を観ることの幸福感が終演後の劇場に満ちていた

ROAD59-新時代任侠特区- WHAT's IN? tokyoレポート

今作には“新時代の任侠物”と惹句(じゃっく)があるけれど、“任侠物”といえば、“カチコミ”に代表される組同士の壮絶な斬り合いの殺陣、耳にすることもはばかれる言葉の応酬、そんな暴力シーンが生み出す、破壊的なカタルシスに魅力があると思われるかもしれない。しかし、加藤 泰監督の映画『緋牡丹博徒・花札勝負』(1969年)で絶賛されるような、悲しい運命を背負わざるを得ない極道の人間たちの出会いと別れを織り込んだ繊細な人間ドラマにこそ、観衆のハートを掴む魅力がある。今作はそれを体現した“任侠物”の極みといえる舞台だった。

近未来の極道の世界が描かれてとはいえ、かつて興隆を極めた任侠映画のように、出会いと別れ、生と死、義理と人情、支配と被支配、極道とカタギ、そういった相対する“任侠物”のモーメントになる要素がさりげなく、それでいて惜しげもなく表現されている。殺陣や特殊能力を使ったバトルも素晴らしく、“任侠物”の本質を掴んでいた脚本の毛利亘宏と構成・演出・映像のヨリコ ジュンのタッグは素晴らしい仕事をしたと思う。

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今作の舞台は東京湾に浮かぶ近未来都市の「天海区」。そこは、「春雲組」、「狛浪組」、「黒条組」という3つの組の極道の人間たちに支配された危険な街だった。そんな夜のネオンきらめく街中を疾走するひとりの女子高生がスクリーンに映し出され、物語は始まる。

彼女の名前は、華夜(河内美里)。天海区を牛耳る極道の人間たちに追われていた。一方、父の死の知らせを聞き、久しぶりに故郷の天海区へ戻ってきたカタギの八薙バクト(君沢ユウキ)。母親や子供を無下にした父親を毛嫌いしていた彼は、用事を済ませてさっさと帰るつもりでいた。そんな矢先、バクトは華夜と運命的な出会いする。

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果てない抗争。終わることのない暴力。春雲組、狛浪組、黒条組の争いは日に日に激しくなる。そこに海外マフィア「PHOENIX」も介入し、事態はさらに複雑に。彼らが求めているのは、街を、東京を、日本を、やがて世界を支配すること。そのためには、華夜が必要な存在だった。彼女には、この世で推し量れない人智を超えた力があった。

華夜と関わりをもったために、予期せず極道の組の思惑に巻き込まれていくバクト。彼は父親の真実を知ることになり、この街で生きるため、極道として生きる決心をするのだった……。

本作の大きな特徴は、“任侠物”に神話的な要素を盛り込んだことだ。天海区の地下に封印された「夜真多大蛇(やまたのおろち)」のエピソードがそれに当たる。何千年もの昔より実在している異形の存在。その血を飲めば神と同じ力を手にできるという。その夜真多大蛇を地上に引きずり出すキーパーソンが華夜だった。人外なる力を手に入れるために生贄となる人柱を求め、様々な人間たちが欲望のままに争う。それこそ神話の世界だし、それを“任侠物”に落とし込み、聴衆が期待する極道に生きる人々のきめ細やかな心象風景も描きつつ、ファンタジーとして成立させることで、普遍的な物語に仕立てた。その普遍性を担っているのが、父=神との確執、和解というモチーフ。神話の世界でも描かれる、絶対権力との争いと和解は、おそらく、皆が感情移入できるテーマだろうし、リアルな人間ドラマも相まって、エンターテインメントな舞台として楽しめる。

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脚本の毛利は、“任侠物”に必要不可欠なテーマを忠実に体現しながら、神話的な側面を付与することで多層的な世界を作り上げ、エンターテインメントとしてだけではなく、ふと自分のあり方さえ見つめ直してしまう深みのある脚本に仕上げた。世界と自分の関係。私という存在とは? そんな問いを観客に投げかけながら、解答を提示せず、作品に潜む答えを自ら見つけ出さねばならないレトリックを駆使して観客を少しも飽きさせない。

構成・演出・映像のヨリコ ジュンは、スクリーンに映し出される映像を使い、現実と未来の世界を違和感なく表出する。また、同じ時間に違う場所で起こるふたつの出来事を、同時に舞台上で見せる対位法的な演出を巧みに使い、抗争する組同士の緊迫感をも垣間見せた。演劇でしかできない表現をうまく操りながら、舞台ならではのダイナミズムを表現する演出は相変わらず見事だった。

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また、多くの人間たちが徒党を組み、入り乱れぶつかり合う。かつて“集団抗争時代劇”と言われたテーゼを取り入れ、群像劇として成立させることでも面白さが際立っていた。様々な思惑の錯綜、人間同士の騒乱を上手に取り込み、どの人物にも背負っている悲しい宿命、バックボーンが感じられる。俳優たちもそれぞれの役を懸命に生きているので、どのキャラクターを追いかけても思い入れができる。

ヒロイン・華夜を演じた河内美里は、彼女の高校生という若さゆえの自己中心的な正義感溢れる芝居を見せ、桐宮ユウト 役の鮎川太陽のあっけらかんとしたユーモアのある芝居も見どころだった。
その中でも、今作において特に目を引いたのは、君沢ユウキと七海ひろき。

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日向汐音 役の七海ひろきは、病弱で忠誠心が強い極道の人間を凛と演じていた。つい最近まで、宝塚歌劇団で男役を数多くこなしたスターだけれど、忠義深い極道の男性にしか見えないと誰もが納得できる、隙のない芝居で、すっと伸びた体躯は美しくて居様だけで目を惹きつける。伸びやかで色気のある声、関西弁を自在に操る淀みのない台詞回し、華麗な殺陣。宝塚の時分から追いかけて感じるけれど、どの役を演じても当たり役になりそうな雰囲気があって、カリスマ性をまとった表現力は圧巻だった。

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八薙バクト 役の君沢ユウキは、抜群の身体性でリズミカルな動きがとにかく印象的。殺陣は派手さの中にも繊細さがあったし、上手から下手に普通に歩いてもグルーヴがあって見飽きない。彼の人を魅了する運動性は鍛え上げられた肉体に宿っているし、彼の芝居の根幹を支えている。今作ではちゃきちゃきの江戸っ子芝居も安定感があって頼もしく、啖呵を切る台詞回しがカッコよかった。しかも、憂いのあるバリトンの声質はバクトが抱える暗い影をリアルに表現していたと思う。極道を生きる人間が抱える寂しさや悲しさに、楽天的な性格を加えたアンビバレンツな雰囲気を醸し出すことに成功している。そして、どのキャストも引き立たせながら、主役としてもしっかりと佇んでいる。彼の実直で真摯な性格が芝居に反映され、透明なフォルムを獲得していて、観ていて清々しさを覚える。

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現代的なエンターテインメント作品でありながら、1960年代後半の任侠映画が隆盛を極めたホットな時代に飛び込んだようなワクワク感も味わえる。どこかで彼らに憧れを抱いてしまういじらしさにも溢れ、“任侠物”らしい人生の余儀なさと奥深さを感じさせてくれた。この時勢に憧れや希望といったポジティブな感情を抱くことができ、舞台を観ることの幸福感までもが終演後の劇場には満ちていた。

皆さんに愛されるプロジェクトにしていきたい

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公開ゲネプロの前には記者会見が行われ、君沢ユウキ、前田誠二、白又 敦、鮎川太陽、山本康平、京本政樹、砂川脩弥、相羽あいな、美波わかな、七海ひろき、井上正大、工藤晴香、岡田夢以、末野卓磨、渡辺和貴、加藤里保菜、さかいかな、河内美里が登壇。舞台にかける意気込みをひと言ずつ語った。

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まず春雲組のメンバーから紹介され、君沢ユウキは「“ROAD59”は、実際に存在しない国道59号線を意味しています。この道なき道を全員で切り開いて、皆さんに愛されるプロジェクトにしていきたいと思います」とコメント。

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前田誠二は「多くの方に愛される作品にしたいです」と意気込み、白又 敦は「メディアプロジェクトの第1弾のスタートになる舞台を成功させるために頑張ります」と語った。鮎川太陽は「メリークリスマス!(笑)こうしてキャスト・スタッフ全員で無事に初日を迎えられたことを嬉しく思います」と述べ、山本康平は「いろいろなカラーの極道の組があって、お客様も楽しめると思いますよ」と作品をアピール。京本政樹は「この座組では最高齢でありますが(笑)、極道の老人という役を演じるのは初めてで、皆さんに助けていただきました。最後まで頑張りたいと思います」と笑いを交えて語った。

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続いて、狛浪組から砂川脩弥は「自信を持って素晴らしい作品になったと思います」と語り、相羽あいなは「新しいプロジェクトに携わらせていただくので、気合いを入れて頑張りたいです」とコメント。美波わかなは「“ROAD59”の世界を一生懸命に生き抜きます!」と元気に挨拶。七海ひろきは「今、舞台に立てることを幸せに感じ、新しいプロジェクトとしてどんどん発展していくことを願いながら頑張りたいと思います」とコメント。

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さらに、黒条組から井上正大は「私事ですが、今年初めての舞台になってしまいました。このような情勢のなかで無事に幕が開いて感謝しています。舞台からメディアミックスが広がっていくプロジェクトなので、まずは今作の応援をよろしくお願いします」と語り、工藤晴香は「無事に初日を迎えることができて興奮しています。私にとって初舞台なので頑張ります」と初々しさを覗かせた。岡田夢以は「この状況のなか舞台に立てることに感謝して役を演じたいと思います」とコメント。末野卓磨は「この作品で、素晴らしいキャストやスタッフに巡り会うことができました。お客様にとっても、この作品が素晴らしい出会いだと思ってもらえるようにしたいです」と意気込んだ。 ROAD59-新時代任侠特区- WHAT's IN? tokyoレポート

PHOENIXから渡辺和貴は「自分の役の信念を貫いて頑張ります!」と述べ、加藤里保菜は「女性陣はかなり殺陣が多いので、怪我なく素敵な姿を見せたいと思います」と語った。

また、天海区の住人たちとしてさかいかなは「伝説の幕開けとなる舞台になるように頑張ります」とコメントし、河内美里は「末長くたくさんの方に愛される作品にするために、大切に物語を紡いでいきたいです」と語った。

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最後に君沢が「原作のない作品ですので、ここからがスタートです。まだまだ始まったばかりのプロジェクトですが、皆さんに助けていただけたら幸いです」と記者会見を締め括った。

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公演は12月27日(日)まで、なかのZERO 大ホールにて。また、12月27日(日)の12時と16時の公演のライブ配信も行われ、チケットは発売中だ。さらに、2021年4月14日(水)には、Blu-rayが発売される。詳細はオフィシャルサイトをチェックしよう。

舞台『ROAD59-新時代任侠特区-』

2020年12月24日(木)〜12月27日(日)なかのZERO 大ホール


<ライブ配信>
配信公演:12月27日(日)12:00公演/16:00公演
チケット・詳細はこちらから

<舞台『ROAD59-新時代任侠特区-』Blu-ray発売>
発売日:2021年4月14日(水)
価格:9,800円(税別)
収録内容:本編+特典映像
映像特典:全景映像、バックステージ映像(予定)
詳細はこちらにて


【STORY】
東京湾に浮かぶ近未来都市、天海区。
きらびやかに見える街の陰では、任侠者たちが信念と生き様を賭けてシノギを削っていた。
“親”から“子”へ、“兄”から“弟”へ……
彼らは「神祇(ジンギ)の盃」という儀式をもってその血に秘められた“力”を分け与え、受け継いできた。
父の死の知らせを聞き、久しく離れていた故郷の天海区へと戻った八薙バクト(君沢ユウキ)。
もとより長居するつもりはなかった──
「狛浪組」と出会い、父が裏社会に繋がりがあったと聞かされるまでは。
一方、「黒条組」に追われる少女──華夜(河内美里)。
自分がジンギに狙われる覚えはないはず……天海区を逃げ惑う中、「春雲組」に助けられる。
時を同じくして第4の脅威が姿を現す。
「PHOENIX」──天海区の利権を奪おうとする組織。
いよいよ血煙濃くなる天海区。
時代のしがらみにとらわれない、自由を生きる「春雲組」。
家族のような絆を持ち、伝統を重んじる「狛浪組」。
金と権力でのし上がり、飛ぶ鳥も落とす勢いの「黒条組」。
世界規模の繋がりを持つ、海外マフィアの連合組織「PHOENIX」。
欲望渦巻く摩天楼を舞台に、4つの組織の思惑が絡み合い、全ての状況が加速していく──。

原作・主催:ブシロード
脚本:毛利亘宏
構成・演出・映像:ヨリコ ジュン
主題歌:GACKT「Exterminate」

出演:
【春雲組】
八薙バクト 役:君沢ユウキ
成山誓吾 役:前田誠二
大井町高久 役:白又 敦
桐宮ユウト 役:鮎川太陽
藤堂時雨 役:山本康平
結津万清信 役:京本政樹(特別出演)

【狛浪組】
氷室ショウ 役:砂川脩弥
氷室 静 役:相羽あいな
氷室涼香 役:美波わかな
日向汐音 役:七海ひろき

【黒条組】
皇 賢誠 役:井上正大
柊 蓮花 役:工藤晴香
柊 彩愛 役:岡田夢以
黒鉄一臣 役:末野卓磨

【PHOENIX】
ベネディクト・ロレンツォ・ヴァザーリ 役:蒼井翔太(映像出演)
アンソニー・チェロ 役:渡辺和貴
イリーナ・スペシフツェワ 役:加藤里保菜

【天海区】
沖野伊奈葉 役:さかいかな
華夜 役:河内美里

アンサンブル:細川 洪、松田一希、土佐 寛、佐織 迅、和田啓汰、深澤悠斗

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公演オフィシャルサイト
オフィシャルTwitter(@ROAD_59)
公式YouTubeチャンネル「ROAD59チャンネル」