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心折れそうな高難度アクションRPG『Demon's Souls』PS5で増すプレイの中毒性の秘密

心折れそうな高難度アクションRPG『Demon's Souls』PS5で増すプレイの中毒性の秘密

2009年にPlayStation®3用ソフトとして発売された『Demon’s Souls(デモンズソウル)』は、フロム・ソフトウェアとSCE JAPANスタジオ(現社名・ SIE JAPANスタジオ)が共同開発し、世界的な人気を獲得したタイトルです。独特なダークファンタジーの世界設定と難解な物語は魅力的で、ネット上で盛んに考察と議論が交わされました。何度も何度もリトライして少しずつ突破口を見つけ、敵のパターンや攻略テクニックを覚え、高難度のアクションを楽しむ“死にゲー”としての認識も広く根付いたと言えます。筆者もオリジナル版の大ファンです。発売日から遊び始め、その世界に魅了されてきました。先日、Bluepointが開発を手掛けた『Demon’s Souls』のリメイク作がPlayStation®5のローンチタイトルとして発売されました。本記事ではしっかり遊んでたくさん死んでレポートしていきます。まずはトレーラームービーのプレイシーンで、進化したグラフィックを味わってみてください。ニューハードの性能を使って生み出された本作の手触りや魅力の一端を感じることができるでしょう。

文 / 内藤ハサミ


オリジナルに忠実な内容と美しく生まれ変わったグラフィック

初めてゲームを立ち上げたプレイヤーは、オープニングムービーの美しさに息をのむはずです。ボロボロの石畳、鉄製アーマーの硬くて重い質感、恐ろしいデーモンの不気味に光る肌など美しいものはより美しく、グロテスクなものはよりグロテスクに表現されています。筆者の場合はプレイを進めていても一新されたグラフィックによそよそしさを感じることはなく、懐かしい気持ちでいっぱいでした。

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▲おなじみボーレタリア城のボロを着た敵もよりリアルに……

簡単な本作の筋書きを公式の文言から抜粋して転載します。
北の国ボーレタリアの王であるオーラントは“ソウルの業”を発見したが、更なる力を求め楔の深奥に入り込み、そこに眠る古い獣を目覚めさせてしまった。そのために生じた濃霧はボーレタリアを覆い、デーモンは人々からソウルを奪って喰らう。ボーレタリアはすぐに亡国へとなり果て、そこから滲み出した濃霧が北の地の大半にも侵食していた。やがて濃霧は世界を覆い、焼失させてしまうだろう。
希望がまるでなさそうな状況から物語は始まります。主人公であるプレイヤーは亡者やデーモンが徘徊する亡国ボーレタリアに出向いてデーモンたちを殺し、禁忌の業であるソウルの謎に挑むことになるのです。主人公の拠点となる“楔の神殿”にある要石から5つのエリアにワープし、探索を進めていきます。探索するエリアの順番はある程度自由に決めることができますが、初めにクリアしなければならないのは“ボーレタリア王城”の1番目のエリアで、『Demon’s Souls』の基本が習得できるチュートリアルのようなところ。ここをクリアするころには、ひととおりの操作に加えて攻略の厳しさも実感することになるでしょう。でもこんなところで心を折られている場合ではありません。本当の『Demon’s Souls』はまだまだこれからなのです!

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▲筆者の作った主人公。人間ではありますが、グレーヘアにヤギのような瞳を選択してデーモンっぽい雰囲気を醸し出してみました。かなりのお気に入りです

プレイヤーキャラクター作成で、狙いどおりのキャラクターが作りやすくなったことには驚きました。……というのは、オリジナル版では顔の1パーツを動かすとほかの箇所も連動して動いたり、作成画面とゲーム中の画面での見えかたがだいぶ違ったりと、クリエイト難度の高さがたびたび話題になるほどだったからです。しかし思ったように作りづらいため偶発的に生まれた味わい深いキャラクターに、並々ならぬ愛着を持っていた人が筆者を含めて多かったのも事実。数段グレードアップしたリメイク版のキャラクター作成を喜ぶと同時に、少しだけ寂しい気持ちにもなるという複雑なファン心理がありました……。

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▲久しぶりのプレイなので、力みすぎて壁を斬ってしまう。これでもオリジナル版はクリア済みで、周回もしているんです。本当に!

初期ステータスや装備の個性を決める“生まれ”は、黒装束がかっこいいという理由だけで盗賊にしました。盗賊の初期ステータス値は技量と運がやや高いのが特徴ですがそこを育てることはせず、モリモリと筋力を伸ばしています。生まれはステータスの初期値と初期装備のみに関係するもので、その後の成長には何の関係も及ぼしません。騎士、神殿騎士、兵士、神職、魔術師、狩人、放浪者、蛮族、盗賊、貴族の10種類ありますが、厳密なキャラクタービルドを行う予定がなければ好みで決めて問題ないと思います。癖が少なくバランスのいいキャラクターで始めたいということであれば騎士、しっかりと計画を立ててステータスを振り分けていきたいなら初期レベルの低い貴族がおすすめ。レベルアップは、主人公の拠点となる楔の神殿にいる黒衣の火防女にソウルを渡すことで行います。その際、1レベルにつき1ポイントを体力や知力など8つのステータスに任意で振り分けることができます。

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▲一応、初期ステータスの適正から弓を使ってみたりもしました。でも結局はまどろっこしくて剣を持って突撃し、返り討ちに遭うのが常ですね。武器の選択やキャラクターの育てかたには、かなりプレイヤーの性格が表れると思っています

アクションRPGである本作が他作品と大きく違う点のひとつは、“ソウル”をすべての根幹としたシステムにあります。敵を倒すなどして手に入れることができるソウルは、レベルを上げるための経験値でもあり、商人や鍛冶屋などと取引をする際の通貨でもあるのです。ですが扱いはとても難しく、ソウルを持っている状態で死んでしまうと所持していたソウルはすべてその場に留まってしまいます。プレイヤー自体はエリアの入り口に戻されますから、落としたソウルを回収するためには前回倒された場所までもう一度辿りつかなければなりません。道半ばで再び死んでしまうと、留まったソウルは消滅します。そのときにどれだけ多くのソウルを持っていたとしても、きれいさっぱりなくなってしまうのです。実に無慈悲。この仕組みが、本作の高難度のアクションに更なる緊張感を与えています。強敵と対峙したときなどにソウルを失いたくないという焦りから、つい冷静さを失った行動で死んでしまった……ということは、プレイヤーなら一度は、いや何度も経験しているはずです。自分の心とも戦うゲーム、それが『Demon’s Souls』です!

リメイク版の変更点とは?

ゲーム内容は、ほぼオリジナル版に忠実です。各エリアの構成や敵の配置などもおそらくオリジナルどおりでしょう。特に操作感の忠実さにはこだわっているのではないでしょうか。キャラのモーションは一新され新しい動きも一部加わっているものの、違和感は覚えませんでした。条件を満たすと楔の神殿から行けるようになる左右反転世界フラクチャードワールドや、本作の発売直後にプレイヤーの間で話題になったオリジナル版には存在しないボーレタリア王城の奥にある謎の扉などの追加要素もありますが、ゲームの根幹に影響するものではありません。

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▲塔のラトリアにいる看守も相変わらずのいやらしいほどの強さ。今回も幾度となく殺されました。オリジナル版から続く積年の恨みを剣に込めます

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▲塔のラトリアで最初に出会うボス、愚か者の偶像。倒すためには、とある“気づき”が必要です

そのほかでは、PlayStation®5のスタンダードな操作に合わせて決定ボタン ×/キャンセルボタン ○に変更、デーモンを倒した、プレイヤーが死んだ、落としたソウルを回収したなどのときに表示されるメッセージのフォントが変更、日本語ボイスの追加、フォトモードの追加などがあります。フォントの変更は小さいことながら、ファンにはおなじみのいわばシンボルとも呼べるものだったので、個人的には今でも違和感があります。日本語ボイスの追加もおそらく好みが分かれるところでしょう。英語と日本語の音声は自由に選択可能なので、好きなほうで遊べるのはありがたいですね。本作に日本語ボイスは合わないと初めは考えていたのですが、早見沙織氏演じる火防女をはじめとした実力派声優陣のセリフを聞き、これはこれで新鮮な良さがあると思い直して今は日本語版を楽しんでいます。

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▲このフォントも現代的でオシャレなのですが……やはりここはオリジナル版に寄せてほしかった

フォトモードはとても嬉しい追加要素です。美しいグラフィックは撮影のし甲斐がありますから、攻略の合間にもいいフォトスポットを探すという新たな楽しみが生まれました。今まで素通りしていたような風景にも新たな趣きが感じられたりして、苦しい攻略の息抜きになっています。

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▲おびただしい数の遺体を目にし、へたり込む……という場面をイメージして撮影。主人公のポーズや表情は自由に選ぶことができます

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▲プレイヤーたちの間では親しみを込めて“かぼたん”と呼ばれる火防女は、実にフォトジェニックな存在。かなりの枚数を撮りました

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▲こんなおふざけ画像も撮影可能です

PlayStation®5コントローラーのハプティックフィードバックでリアルな振動が手に伝わるため、オブジェクトを壊したときの感触がたまらなく気持ちいいことも伝えておきたいです。ついローリングで壊しまくって、その先の崖から足を滑らせ、まっさかさまに落ちて死んでしまう……という情けない死にかたもしましたね。

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▲地面に残された他プレイヤーの助言メッセージ。なかには嘘も混じっているかもしれません。メッセージには評価ができるので、評価数を真偽の判断材料にできます

定型文を組み合わせて地面に書くメッセージで助言ができたり、他のプレイヤーが同じエリアで戦っている姿が別世界の幻影としてリアルタイム表示されたりするという、緩く繋がるオンライン要素は今作でも健在です。協力・対戦、別のプレイヤーが遊ぶ世界への侵入要素も変わりありません。マルチプレイには変更点があり、最大6人まで一緒に遊べるようになりました。パスワードを使って任意のプレイヤーとマッチングする機能も追加されたので、仲間と協力して強敵を倒したいというニーズにも応えてくれています。

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▲まったく勝ち目のない戦いでも心強い仲間がいれば……

本作の目的は、最深部に潜むデーモンを殺すことです。プレイ開始時はそれがどんなデーモンであるかは不明ですし、プレイを進めてもわかりやすく物語をまとめてくれるようなシーンは出てきません。おそらく1周した程度では、この世界で何が起こっていたのかすら正確に知ることができないかもしれません。世界を救う“最後の希望”として剣を振るい続け、最深部のデーモンを倒したあと、プレイヤーは重要なふたつの選択肢からひとつを選ぶことになります。選択の結果で世界はどう変わるのでしょうか。エンディングは簡素なものですが、心にしっかり残るものとなるでしょう。そして、2周目のプレイを始めたくなるはずです。
『Demon’s Souls』はすでにプレイしたゲームなので、内容にほとんど変更のないリメイク版は退屈に感じるかも……という不安は杞憂でした。グラフィックの違いや追加要素など、新しく生まれ変わった令和の『Demon’s Souls』には楽しみどころがたくさんあります。データ読み込みの速いPlayStation®5によってほとんど待つことがなくなったロード時間は、リトライへの意欲を増してくれます。もちろん、今回初めて『Demon’s Souls』に触れるプレイヤーにもおすすめ。『ソウル』シリーズの始祖を知るため、あるいは新しいゲーム体験として、ファンだけでなく当時プレイの機会がなかった人にもぜひ遊んでほしいです。

フォトギャラリー

■タイトル:Demon’s Souls(デモンズソウル)
■発売元:ソニー・インタラクティブエンタテインメント
■対応ハード:PlayStation®5
■ジャンル:アクションRPG
■対象年齢:17歳以上
■発売日:発売中(2020年11月12日)
■価格:パッケージ版・ダウンロード版 8,690円(税込)


『Demon’s Souls』オフィシャルサイト

©2009-2020 Sony Interactive Entertainment Inc.