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YouTubeで気軽に見られる超リアルロボットアニメ。『OBSOLETE』最新エピソードで激安ロボットの驚くべき性能が明らかに

YouTubeで気軽に見られる超リアルロボットアニメ。『OBSOLETE』最新エピソードで激安ロボットの驚くべき性能が明らかに

シナリオライター・虚淵 玄(ニトロプラス)が原案・シリーズ構成を務め、気鋭のCGアニメーションスタジオ・武右ェ門が制作をてがける、YouTube Originalsのオリジナルのロボットアニメ『OBSOLETE(オブソリート)』。2014年以降の地球をベースに、宇宙人によってもたらされたロボット“エグゾフレーム”が世界を変えていく様が、毎回異なる場所、人物の視点から描かれている本作は、リアルを追求した設定やフルCGのアニメーション、各話約13分という手軽さなどが特徴的で、海外でも大きな話題に。2019年12月よりEP1~EP6がYouTubeのみで無料配信され、現在に至るまで全世界総再生回数3,000万回を突破している。

そんな注目作の最新エピソード(EP7~EP12)が、2020年12月より順次配信中。本稿ではEP7からの内容を中心に、作品の魅力を紹介していく。なお、「WHAT‘s IN? tokyo」ではEP6までの内容について取り上げた記事も掲載中なので、こちらもぜひチェックしてほしい。

今すぐ観られるTV未放送の名作ロボットアニメ――虚淵 玄の緻密な設定が光る『OBSOLETE』はロボットが弱い…でも、そこがいい

今すぐ観られるTV未放送の名作ロボットアニメ――虚淵 玄の緻密な設定が光る『OBSOLETE』はロボットが弱い…でも、そこがいい

2020.02.29

文 / 長田雄太


世界で暗躍する部隊の黒幕は……

地球にありふれている石灰岩たった1,000kgで手に入るロボット。EP1~EP6では、そんな圧倒的廉価性を誇るエグゾフレームを積極的に運用する後進国が、利益を生まないからと利用に制限をかけた先進国に対して有利な戦局に立つなど、戦場を一変させた様子が描かれていた。石灰岩で買える兵器が、何百万ドルもの兵器を鉄くずにする場面の衝撃は、何度見返しても強烈だ。

さらに、各エピソードでは戦場で暗躍する、ドクロのエンブレムが特徴的なエグゾフレーム部隊がたびたび登場。アメリカ海兵隊のエグゾフレーム部隊と交戦し、世界各地でエグゾフレームを扱う組織の練度を飛躍的に向上させるなど、存在感はあるものの謎に包まれていたが、最新エピソードで遂にその黒幕と彼らの目的も明らかとなる。部隊を裏で指揮するのは、架空の国であるアザニア共和国(アフリカ)の大統領ライラ・レシャプ。彼はエグゾフレームを普及させることで南北の技術格差をなくそうとしており、その立役者として影で活躍しているのが、ドクロの部隊というわけだ。

ちなみに、EP7ではアザニア共和国の建国記念日にエグゾフレームで構成された新たな舞台がお披露目となるのだが、行進曲とともに登場するロボットと兵士たちの姿は、本作の企画プロデューサー・髙橋良輔が監督を務める『装甲騎兵ボトムズ レッドショルダードキュメント 野望のルーツ』のラストシーンさながら。口パクで何かを語る大統領の姿が映し出されるなど、血生臭いリアルロボットアニメが好きな筆者にとっては垂涎で、同じ場面を何度も繰り返し観てしまうほど興奮してしまった。レシャプなら、神をも恐れぬ一手で今後視聴者を驚かせてくれそうだ……。

明らかになっていくエグゾフレームの新たな機能

本作を観るうえで最もワクワクさせられるのが、何と言っても未知の機体エグゾフレームの性能だ。安価ないっぽうでとても脆く、素体の状態では人間がむき出しの状態で跨るため、あまり戦闘向きに見えなかったエグゾフレーム。しかし、操縦桿がない代わりにイメージした通り動く独特の操作方法から、物語が進むにつれ機体を自身の身体と同じように扱える者が現れ、スキー板を付けて雪山を滑走したり、遂には遠隔操作で狙撃できたりと、秘めたる性能が少しずつ明らかになっていた。

最新エピソードでは、そんないまだ謎多きロボットが研究されるなか、機体に中枢と呼べるものがなく、破損しても内部にある“ゲルシステム(液体)”が3割以上残っていれば動かせること。さらには、手足を吹き飛ばされても使えるパーツがあれば、なんとその場で繋ぎ合わせられる、人知を超えたモジュール構造も明らかに。ただでさえ安価な兵器にもかかわらず、コクピット以外に弱点と呼べる箇所がなく、パーツが破損しても壊れた機体同士で補い合えばすぐに復活する……まさにコスパ最強ロボットというわけだ。知れば知るほど、ほかにはどんな機能があるのだろうかと興味が尽きない。

戦場以外でも活躍を見せるエグゾフレーム

『OBSOLETE』では、兵器として運用されているロボットが戦場以外でも見られるのが特徴的。本編ではエグゾフレームを使って田畑を耕したりと、身近な生活にも影響を与えていることがわかる描写が映し出され、絶妙なリアリティを生み出していた。最新エピソードでは、そんな戦場以外で活躍する機体にもスポットを当てた回も配信されている。

なかでも印象的だったのは、麻薬の運び屋にされたメキシコの少年少女が、希望を求めてアメリカへ向かうエピソード。場所が違えば戦争の道具として使われているロボットを、運搬の手段として利用している様子には新鮮さを感じた。加えて、その麻薬を横から奪い取ろうと襲撃してきた一団もエグゾフレームを扱っており、ロボットが一般人や犯罪者たちにも普及していることが端的に見て取れるのだが、いっぽうで国境を越えてアメリカに入ると、今度は機関銃などで武装した車両が強襲。利用が制限されている影響からなのか、先進国側の人間がロボットを使っていないというチグハグなシーンが、本作の世界を如実に表しており、とても観ごたえのあるストーリーになっていた。

これ以外にもエグゾフレームが深海に潜ったりもするエピソードもあるので、こちらも必見。ほかのロボットアニメではあまり観られない、戦場と一般社会の両面で活躍するロボットの新たな可能性が感じられるはずだ。

最新エピソードも残すところあと1話となった『OBSOLETE』。約1年ぶりの配信ということもあり期待も大きかったが、リアリティや泥臭さはそのままに、エグゾフレームの研究や様々な場面で利用されている姿など、EP1~EP6とはまた違った魅力にあふれ見ごたえのあるものになっていた。

最後のEP12では何が描かれるのかはまだわからないが、宇宙人の存在はもちろんエグゾフレームについてもまだまだ謎の部分が多い。何よりドクロ部隊の黒幕であるレシャプも登場したばかりで、EP12でひと区切りついたとしても作品自体はまだまだ続きそうだ。もしまだ視聴していないという方は、YouTubeで過去の配信をいつでも観られるので、ぜひ試しにEP1を視聴してみてほしい。なにより、本作は人間がイメージで操作する(人間味のある動きをする)ロボットとリアルなフルCGが見事にマッチしているので、CGに苦手意識を持っている方にも観ていただきたい作品だ。

YouTube Originals『OBSOLETE(オブソリート)』

2020年12月1日よりYouTube「バンダイナムコアーツチャンネル」にて最新エピソード(EP7~EP12)配信中
※YouTube Premiumメンバー対象で全エピソード視聴可能
※EP8以降は毎週火曜日に1話ずつ無料公開
2021年3月26日(金)Blu-ray発売

【配信情報】
EP 1 OUTCAST
EP 2 BOWMAN
EP 3 MIYAJIMA REI
EP 4 LOEWNER
EP 5 SOLDIER BRAT
EP 6 JAMAL
EP 7 RESHEP
EP 8 AREA 51
EP 9 CARHUINCHO
EP 10 SANTA MUERTE
EP 11 FREYJA 
EP12 九葉このか ※2021年1月5~無料公開

【STORY】
2021年。アメリカ合衆国ら先進工業諸国が中心となったザンクトガレン協定による規制もむなしく、異星人ペドラーがもたらした意識制御型汎用作業機械「エグゾフレーム」は、全世界に拡散していた。世界各地でエグゾフレームを調査してきたボウマンたちは、その背後に、戦場でのエグゾフレームの利用を拡大させようと目論む何者かの存在に気づく。全ての情報はアフリカの新興国・アザニア共和国大統領ライラ・レシャップを示していた。彼は世界中の誰もがタダ同然で入手できるエグゾフレームの利用を拡大させることで発展途上国の技術的独立を促すべく、新しいアフリカ連合の実質的なリーダーとして、あるいは謎の武装組織アウトキャスト・ブリゲードの黒幕として動いている。だが、その危険性を訴えるボウマンたちの報告書は、上層部に握りつぶされてしまう。彼らは、アザニアに対抗すべく、エリア51において秘密裏に海兵隊専用エグゾ開発プロジェクト「ガビアル」を推める。

【STAFF】
原案・シリーズ構成:虚淵 玄(ニトロプラス)
監督:山田裕城(武右ェ門)、白土晴一
メカニックデザイン:石渡マコト(ニトロプラス)
キャラクターデザイン:吉田明彦・永井悠也(CyDesignation)
設定監督:白土晴一
武器考証:鈴木貴昭
CG監督:中島智成(武右ェ門)
撮影監督:小久保将志(武右ェ門)
美術監督:谷口淳一(武右ェ門)
美術設定:曽野由大
デザインワークス:本田大助(オールサンデー)
編集:瀬山武司(瀬山編集室)
音響監督:鶴岡陽太(楽音舎)
サウンドデザイン:笠松広司(デジタルサーカス)
音楽:石川智久(TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND)
企画プロデュース:髙橋良輔
アニメーション制作:武右ェ門

【CAST】
ボウマン:田中正彦
ミヤジマ:森川智之
レブナー:山野井 仁
フェルナンド:高木 渉
ミシェル:鶏冠井美智子
ジャマル:本城雄太郎
カイラ:杉本ゆう
ザーヒル:大友龍三郎
レシャップ:手塚秀彰

【主題歌】
OPテーマ:「obsolete」 Skrillex and Nightwatch
EDテーマ:「ORB-SOLUTION」TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND

©PROJECT OBSOLETE

『OBSOLETE』オフィシャルサイト
https://project-obsolete.com/
『OBSOLETE』オフィシャルTwitter
https://twitter.com/obsolete_anime