LIVE SHUTTLE  vol. 440

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これがLiSAの“現在地”。2020年のLiSAの集大成であり、新たな可能性をはっきりと示唆する記念碑的な公演をレポートする。

これがLiSAの“現在地”。2020年のLiSAの集大成であり、新たな可能性をはっきりと示唆する記念碑的な公演をレポートする。

LiSAが12月12日(土)、初のオンラインライブ『ONLiNE LEO-NiNE』を開催した。

「紅蓮華」(TVアニメ『鬼滅の刃』オープニングテーマ)、「炎」(映画『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』)の記録的ヒットにより、国民的アーティストに上り詰めたLiSA。この日の公演では最新アルバム『LEO-NiNE』の収録曲を中心に、「Catch the Moment」「Rising Hope」などの代表曲も披露。日本のエンターテインメントを象徴する存在になった彼女の“現在地”をダイレクトに見せつける圧巻のステージを繰り広げた。卓越した歌唱力とカラフルな表現力に溢れたパフォーマンスによって、幅広い音楽ファンを魅了してきたLiSA。ライブという“遊び場”でこそ、その真価は発揮される――この日、彼女はそのことをはっきりと証明してみせたのだ。

「炎」(映画「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」主題歌)、ニューアルバム『LEO-NiNE』の大ヒット、数多くの音楽番組でのパフォーマンスによって、音楽シーンを一気に駆け上がったLiSA。まさに待望のオンラインライブとあって、チャット欄には「あと10分でデート!」「ペンラつけた」「この緊張感ひさびさ」といったコメントが大量に寄せられていた。さらに“#LiSA”がTwitterのトレンド入り。開演前からファンの盛り上がりは最高潮に達していた。

オープニングは、ペーパークラフト風のアニメ。炎のような姿のライオン“レオナイン”が愛、希望、生きる目的を探しながら旅をする物語を映し出した後、“ONLiNE LEO-NiNE”という文字が浮かび上がり、ついにライブが幕を開けた。ギターのフィードバック・ノイズが鳴り、画面が切り替わると、そこにはバンドメンバーとLiSAの姿が。「“ONLiNE LEO-NiNE”開幕!」というシャウトに導かれた最初の楽曲は、アルバム『LEO-NiNE』の収録曲「マコトシヤカ」。疾走感のあるビートと熱量の高いメロディが響き渡り、画面から生々しい高揚感が伝わってくる。デニムジャケットとミニスカートで躍動するLiSAのパフォーマンス、ミュージシャンの手元を交えた映像も現場の臨場感をリアルに描き出していた。

さらにLiSAの代表曲の一つである「Catch the Moment」が放たれると、視聴者からは「最初から飛ばしていくね!」「アガるのに泣ける」などのコメントが寄せられた。「ようこそ、“ONLiNE LEO-NiNE”へ! 今日、この特別、全部届けるからね。受け取って!」という言葉に導かれたのは、「晴レ舞台」。いろいろな願いや思いを込めて、“晴レ舞台”に上がる決意を描いたこの曲は、初のオンラインライブに臨むLiSA自身の感情ともリアルに重なっていたはずだ。

カラフルな衣装に着替えたLiSAは、「1年ぶりじゃない?ライブするの。この日を待ってました、私」と笑顔で挨拶。「ライブに敵うものはないし、みんなで特別の“ねりねり”しました」「今、どのへんですか?! 姿は見えないけど、想像できます。みんなの姿、見えてるから」と視聴者に呼びかける姿からは、“オーディエンスと直でつながりたい”という思いがはっきりと感じられた。

「愛と思いやりを大切に、ここにいるみんなで最高に楽しんでいきましょう。ピース!」というキメ台詞の後は、女性ダンサー2人とともに「エレクトリリカル」を披露。アナログシンセの音色、可愛い振り付け、8ビット風(ファミコン風)の映像によって、楽曲の世界観を際立たせる。<バーチャルの彼方 おいでよ / いつだって扉 開いてるから>というフレーズも、オンラインライブにピッタリだ。

華やかな雰囲気を一気に変えたのは、「愛錠」。哀切な恋愛に身を沈める女性を描いたバラードナンバーだ。切なさ、哀しさを生々しく表現するボーカルに強く引き付けられる。マイクスタンドに添わせる指の動き、叙情的な美しさをたたえたピアノ、歌声と絡み合うベースラインも絶品。草野華余子の楽曲とLiSAの歌が生み出す世界は、やはり格別だ。

続く「わがままケット・シー」では、白のセクシーなドレスに着替え、官能的なステージを展開。靴を脱いだLiSAは、床にLEDが設置されたステージに移動し、横たわった状態で<もっと掻き回して / そっと髪を撫でて>というラインを描き出す。LEDに映し出される映像を含め、このままMVにできるようなクオリティは、まさにオンラインならではだ。

さらに雨の音と水紋の映像から始まった「unlasting」は、四方をLEDの壁に覆われたステージで披露された。炎を想起させる映像、幾何学模様のコスチュームを着たダンサーの振り付けとエレクトロ系のサウンド、和の要素を取り入れたメロディが一つになった世界観は、この日のライブの演出の素晴らしさを証明していたと思う。

インダストリアル系のSEが鳴り響き、セットチェンジ。凄まじい光量のライティングとともに放たれたのは、アルバム『LEO-NiNE』のなかでも、もっともヘビィロック感の強い「cancellation」だ。画面に映っているのはシルエットだけだが、ヘッドバンキングを交えたステージングの迫力はしっかりと感じられた。さらにメンバーと一緒に別のステージに移動し、「赤い罠(who loves it?)」へ。高速のパンクナンバーにジャズの要素を加えたこの曲は、様々なジャンルを融合させるLiSAのハイブリッド感覚を示す1曲。黒のミニワンピース姿でモニターに足を掛け、激しいシャウトを響かせる姿からは、ロックシンガーとしての強烈な存在感が改めて伝わってきた。

ここからライブは後半へ。まずはアニメ『鬼滅の刃』の楽曲を続けて歌唱。4本の炎が置かれたステージで披露されたのは、もちろん「炎」。赤い羽織りをまとったLiSAは深い悲しみと“それでも生きていく”という決意を込めながら、2020年のエンターテインメントを象徴する名曲を歌い上げた。一瞬の呼吸に続いて放たれたのは、「紅蓮華」。鬼の面を被ったダンサーとともに激しく動きながら、ドラマティックなメロディを高らかに響かせるLiSAのステージングは本気で強烈。凄まじい高揚感と深遠な精神世界を同時に感じさせるボーカルに、視聴者からも絶賛の声が数多く届けられた。エンディングでは背後の赤い壁を自らの手で殴り壊す演出も。歌い終わってもほとんど息が乱れることがないフィジカルの強さにも驚かされた。

続いては、アメ車や工事用具が無造作に置かれた秘密基地のようなステージに移動。迷彩柄の衣装に着替えたLiSAは、PABLO(G)とともに「play the world! feat.PABLO」を披露し、ライブのテンションをさらに引き上げる。“この世界を遊び尽くせ!”というメッセージは、アルバム『LEO-NiNE』の軸であり、LiSAというアーティストの本質にもつながっていると思う。特に<愛し抜くと決めたよ / そして愛される覚悟も決めたんだ>というラインは、ライブで聴くとさらにグッと来てしまう。

LiSAのアンセムである「Rising Hope」でライブはクライマックスに突入。間髪入れず放たれた「ADAMAS」ではLiSAはドラムを叩きまくり、<何度だって立ち上がって 僕ら明日を行くんだ>と前向きなメッセージを高らかに歌い上げる。

「今日はありがとうございました。ラスト、あなたに、あなたに届ける最後の曲!」という声にリードされたのは、「ハウル」。ダンサー、バンドメンバーに囲まれながら華やかなメロディを響かせ、心地よい解放感を生み出した。そして曲のエンディングに合わせ、LiSAはこんな言葉をオーディエンスに投げかけた。

「いつも当たり前のようにあった幸せが特別なんだって気付いた2020年。君のことをたくさん思って、どうしても君に会いたくなった2020年。不安があったり、不安になったり、立ち止まったりしそうになっても、今日、私たちはここに辿り着いた。いつも、本当にありがとう。もっともっと最高な未来が私たちに待ってますように。今日を越えてゆけ! もっともっと超えてゆけー!」

世界中が停滞を余儀なくされ、会いたい人に会えなくなった2020年。ライブを主軸に活動をしてきたLiSAにとっても、大きな不安と悲しみに包まれた1年だったことは想像に難くない。しかしLiSAと、彼女を支えるバンドメンバーやスタッフ陣は、数多くのトライ&エラーを繰り返しながら、初のオンラインライブを実現させた。セットリスト、演出、ステージング、そして、演奏と歌。すべてが完璧だったこの日のライブは、2020年のLiSAの集大成であり、新たな可能性をはっきりと示唆する記念碑的な公演だったと断言したい。

「また遊ぼうね! ありがとう! ピース! ばいちっ!」という恒例の挨拶で、ライブは終了。バンドメンバーやスタッフを紹介するエンドロールが流れた後、再び画面に登場したLiSAは、「ライブしたい! でも、ライブした! みんなと作った物語感というか、みんなで歩んだ物語があった気がしました。だから最後めちゃくちゃエモくて、泣いた(笑)」と初のオンラインライブに対する手ごたえを語った。

『ONLiNE LEO-NiNE』のアーカイブ映像は、12月19日23:00まで視聴可能。LiSAの最新スタイルが刻まれたライブをぜひ、多くの音楽ファンに体感してほしいと思う。

文 / 森朋之 撮影 / 上飯坂一

見逃し配信期間
配信終了後、見逃し配信公開から 2020/12/19(土)23:00まで
※詳細はオフィシャルサイトにて

LiSA ONLiNE LEO-NiNE
2020年12月12日(土)

SET LIST

ーOPENiNGー
1.マコトシヤカ
2.Catch the Moment
3.晴レ舞台
4.エレクトリリカル
5.愛錠
6.わがままケット・シー
7.unlasting
8.cancellation
9.赤い罠(who loves it?)
10.炎
11.紅蓮華
12.play the world! feat.PABLO
13.Rising Hope
14.ADAMAS
15.ハウル

LiSA

岐阜県出身、6月24日生まれ。
’10年春より放送されたTVアニメ『Angel Beats!』の劇中バンド「Girls Dead Monster(通称:ガルデモ)」2 代目ボーカル・ユイ役の歌い手に抜擢され、ガルデモ名義でのシングル・アルバム累計40万枚以上をセールスし、人気を集める。
’11年春にミニアルバム『Letters to U』にてソロデビュー。
その後、TVアニメ『Fate/Zero』、『ソードアート・オンライン』、『魔法科高校の劣等生』など数々の人気作品の主題歌を担当し、国内のみならず世界中にてヒットを記録。 2018年5月には初のベストアルバム『LiSA BEST -Day-』『LiSA BEST -Way-』を2タイトル同時リリース、オリコン週間アルバムランキング(5/21付)にて1位・2位を独占した。 2019年4月に配信開始した楽曲「紅蓮華」は、配信直後に数々のデイリーチャートを席巻、配信デイリーチャートにて38冠を達成。iTunes週間ソングランキングでは初登場第1位、オリコン週間デジタルシングル(単曲)ランキング(5/6付・5/13付)にて2週連続で1位を獲得し、平成最後・令和最初の週間デジタルシングル(単曲)で首位を獲得。9月には2019年に配信された女性ソロアーティスト楽曲として初めて30万ダウンロードを突破し、日本レコード協会の有料音楽配信認定にて「プラチナ」を獲得、2020年1月には「ダブルプラチナ」を獲得。年末には、「第70回NHK紅白歌合戦」への初出場を果たす。
また、圧倒的な熱量を持つパフォーマンスと歌唱力、ポジティブなメッセージを軸としたライブは瞬く間に人気を集め、次々と完売公演(日比谷野外大音楽堂、日本武道館、幕張メッセ、横浜アリーナ2days、さいたまスーパーアリーナ2daysなど)を記録。アニソンシーンにとどまらず、数多くのロックフェスでも活躍するライブアーティストとして、その存在感を示している。

オフィシャルサイト
https://www.lxixsxa.com

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