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稲垣吾郎が天才音楽家ベートーヴェンの半生を全身全霊で演じる舞台『No.9-不滅の旋律-』が開幕!

稲垣吾郎が天才音楽家ベートーヴェンの半生を全身全霊で演じる舞台『No.9-不滅の旋律-』が開幕!

舞台『No.9-不滅の旋律-』が、12月13日(日)よりTBS赤坂ACTシアターにて開幕した。
2015年の初演、2018年の再演に続く再々演。奇しくも今年はベートーヴェン生誕250周年の節目の年。演出は白井 晃、脚本は中島かずき(劇団☆新感線)、音楽監督を三宅 純が担当し、繊細かつ大胆に天才作曲家の波乱の半生をドラマチックに描き出す。
今回が3度目のベートーヴェン役となる稲垣吾郎が、ピアノソナタ「悲愴」「月光」、交響曲「運命」など、国や時代を超えて今なお人々を魅了する名曲の数々を生み出した偉大な“楽聖”を舞台上でどのように“生きる”のか──。公演前日に行われた取材会とゲネプロの模様をお届けする。

取材・文・撮影 / 近藤明子


ベートーヴェンとの共通点は髪形!?

No.9-不滅の旋律- WHAT's IN? tokyoレポート

ゲネプロの前に行われた会見には稲垣吾郎と剛力彩芽が登壇。

3度目のベートーヴェン役への想いについて稲垣吾郎は「とても嬉しいです。今回はコロナの影響もあって、どうなるかなという気持ちがあったんですけど、スタッフの方々に作っていただいたルールをもとに皆さんで感染対策をしながら稽古に臨んで約1ヵ月が経って、今日のゲネプロと明日から本番を迎えます。観に来てくださるお客様と素敵な時間を過ごせると思うと楽しみで仕方がないです」と笑顔を見せた。

2018年の再演・そして今回の再々演でマリアを演じる剛力彩芽も「私自身、2回同じ役を演じることができてすごく嬉しいですし、今のこのご時世だからこそ『No.9』を通して皆さんに“何か”を伝えることができるんじゃないかなと思っています。時代は違っても通じるメッセージがあると思いますし、最後までカンパニーのみんなで力を合わせてやりきりたいなと思います」と意気込みを語った。

前回の公演から約2年ぶりとなる剛力との共演について稲垣は「信頼していますし、尊敬する女優さんです。マスクをしながら緊張感を持って稽古をしていたので、和気あいあいという感じではなかったんですけど、マリアとベートーヴェンとして心と心は繋がっているので、そういう姿を感じていただければと思います」と話し、「わかり合えたと感じた瞬間は?」との質問に「ベートーヴェンはゴジラみたいな感じで暴れるので周りの人がとても大変なんですね(苦笑)。僕が感情に振り回されてたまに冷静さを失ってしまっても、役柄のマリアのように剛力さんが支えてくれるので心が通じていると思っていますが……どうですか?」と隣に視線を向ける。

それを受けて剛力は「稲垣さん自身がベートーヴェンのように人を引きつける魅力がある方。マリアはベートーヴェンを支えているようで実は支えられている感じなのかなと思います。それが稲垣さんと重なって、私も安心して寄り添うことができます」と笑顔を返す。

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また、稲垣は自身とベートーヴェンの似ている部分を聞かれ、「似ているところを意識してお芝居をすることがないからな(笑)。たしか前回は『ヒステリックなところ』と答えたんです。人前では出さないけれど、ひとりでエレベーターを待っているときなどに、ちょっと“いらちなゴロち”が顔を出します(笑)」と茶目っ気たっぷりに回答。

前回公演とベートーヴェンの髪形が変わった気がするとの指摘には「実はこれウィッグなんですよ(笑)。稽古場でも地毛と間違えられたんですけど、劇中では時間経過と共に3種類のウィッグを使い分けています。だんだん音楽室の肖像画のベートーヴェンに近づいていく姿も楽しんでください」と見どころ(!?)を語った。

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会見の最後には「今年は皆さんコロナ禍でいろんな思いで過ごされてきたと思いますが、『No.9』はベートーヴェンからの大きな愛のメッセージなので、僕らがエネルギーを持って作品をお届けして、2021年に皆さんが一歩を踏み出す力になれれば幸いです。千秋楽まで頑張りたいと思いますので、よろしくお願いします」と稲垣がコメント。

続いて剛力も「正直まだ明日初日を迎えるという実感が湧いていなくて『本当にできるんだ』『本当にやるんだ』といった不安や緊張、いろんな感情が混ざっています。“小さな希望”じゃないですけど、皆さんに光を届けるぐらいの愛と素晴らしい音楽が詰まった舞台をお見せできればと思っています」とメッセージを寄せて締め括った。

時代を超えて鳴り響く、不滅のメッセージよ届け!

取材会の後、ゲネプロが上演された。
舞台『No.9-不滅の旋律-』は、1800年代オーストリアの首都ウィーンを舞台に、ベートーヴェンの苦悩に満ちた半生と彼の音楽に魅せられ集まる人々との波乱の日々が描かれる。

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ベートヴェン(稲垣吾郎)は、ピアノ職人のナネッテ(村川絵梨)とヨハン(岡田義徳)夫妻の工房を訪れるが、「どいつもこいつもガラクタばかりだ!」と暴言を吐き店内にはピリピリした空気が漂う。

そんな気難しい兄・ベートヴェンに振り回されるふたりの弟、次男のカスパール(橋本 淳)と末弟のニコラウス(前山剛久)は、兄の耳が聞こえないことを周囲に悟られないように献身的にサポートをしていたが、メイドとしてベートーヴェン家に潜り込んだマリア(剛力彩芽)に秘密を知られてしまう。

音楽家として致命的な病を抱えながらも、頭の中に鳴り響く音を形にしようと憑りつかれたように創作活動を続けるベートーヴェン。そんな彼の生み出す音楽に魅了され、最初は彼に対し好意的ではなかったマリアが、いつしか彼の音楽の一番の理解者となり献身的に支えるに至るまでの心の揺れが繊細に描かれていた。

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音楽の才能に満ち溢れ、自信家で傲慢。すべて自分の意のままにしようとするベートーヴェンは人間的には決して素晴らしいとは言えないが、彼の音楽を前にすると人々は屈服せざるをえない。そんなカリスマ性溢れる孤独な天才を稲垣が熱演。初演よりも再演、再演より今回の再々演と、演じるたびに表情が豊かになっていて、気難しさの中にもどこか愛らしい一面のある人物として一歩掘り下げられていたように感じた。特に最愛の恋人のヨゼフィーネ(奥貫 薫)に幾度となく裏切られてもあきらめきれず、ただただ怒りの感情を爆発させる芝居には、怒り以上の複雑な感情が絡み合って、ベートーヴェンの心情をこれまで以上に感じることができた。

また、剛力が演じるマリアもベートーヴェンに対してはっきりものを言う芯の強い女性として描かれる一方で、ベートーヴェンが気にかけるまだ幼い甥のカール(小川ゲン)を母親から引き離す裁判の手続きを進めるなど、盲目的な愛情でベートーヴェンの心の渇きを癒そうとする哀しい女性を演じてみせた。

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ふたりを取り巻く実力派俳優陣も、実に個性的で魅力的。ベートーヴェンの名声を利用しようと近づくヴィクトルを演じた長谷川初範が醸し出すどこか憎めない飄々とした雰囲気や、片桐 仁が演じる発明家メルツェルの胡散くささが漂うポップなキャラクター、ベートーヴェンの父・ヨハンとラヴィック医師の二役を演じた羽場裕一の緩急のある幅広い演技など、ベテラン俳優陣がいいエッセンスとなって物語にリズムを生み出すのも実に楽しい。
ピアノ職人の仕事にプライドを持って取り組む男勝りの性格のナネッテを演じる村川と、そんな妻を優しく見守り寄り添う夫・ヨハン役の岡田のオシドリ夫婦っぷりも観客の目には微笑ましく映ったことだろう。

前回に引き続きカスパールを演じた橋本と今回が初参加ながらニコラウス役を瑞々しく演じた前山も、一幕のコミカルな芝居から二幕の兄弟の絆ゆえに兄を見限ることができない苦悩を丁寧に描き出していたのも印象的だった。

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フランス革命後の混沌としたヨーロッパ諸国、ナポレオンの台頭……刻々と変化する世界情勢を背景に、音楽家の地位向上などそれまでの習慣を大きく変えたベートーヴェンの功績もストーリーの中に出てくる著名人との交流エピソードの中にさりげなく盛り込まれていて興味をそそられる。

そして、シーンの随所で奏でられるふたりのピアニストによる素晴らしい生演奏や、20人のアンサンブルが会場に響かせる「第九」の迫力ある歌声に心が震える感覚を味わうことができる。

天才音楽家の半生が極上の音楽をもってステージに立ち上る本作は、2021年1月7日(木)までTBS赤坂ACTシアターにて上演される。

木下グループpresents『No.9-不滅の旋律-』

東京公演:2020年12月13日(日)~2021年1月7日(木)TBS赤坂ACTシアター

演出:白井 晃
脚本:中島かずき(劇団☆新感線)
音楽監督:三宅 純

出演:
稲垣吾郎/剛力彩芽
片桐 仁 村川絵梨 前山剛久
岡田義徳 深水元基 橋本 淳 広澤 草 小川ゲン 野坂 弘 柴崎楓雅
奥貫 薫 羽場裕一 長谷川初範

オフィシャルサイト
オフィシャルTwitter(@No9stage2020)