Report

「テニミュ」の新たな幕が開く。リョーマらの次なる戦いの始まり──ミュージカル『新テニスの王子様』The First Stage

「テニミュ」の新たな幕が開く。リョーマらの次なる戦いの始まり──ミュージカル『新テニスの王子様』The First Stage

ミュージカル『新テニスの王子様』The First Stageが12月12日(土)、日本青年館ホールにて開幕した。
本作は、ミュージカル『テニスの王子様』(通称「テニミュ」)シリーズの10年ぶりとなる完全新作。つい先日3rdシーズンのメンバーが卒業し4thシーズンの上演が決定した「テニミュ」では、主人公・越前リョーマの所属する青学(せいがく)テニス部が全国中学生テニストーナメント全国大会で優勝を遂げるまでの激闘が、ワンシーズンを通して描かれている。今回の「新テニミュ」で描かれるのは、その全国大会優勝後のエピソードである。中学生たちが日本テニス界のトップを育成するU-17(アンダーセブンティーン)日本代表合宿へと呼ばれ、トップレベルの高校生たちに立ち向かっていくのだ。
越前リョーマ 役・今牧輝琉ら新キャストのほか、「テニミュ」3rdシーズンから立海・切原赤也 役の前田隆太朗、四天宝寺・遠山金太郎 役の平松來馬が続投。さらに、U-17(アンダーセブンティーン)選抜メンバー・徳川カズヤ 役には小野健斗(1stシーズン立海・柳 蓮二 役)、Wキャストの入江奏多 役には相葉裕樹(1stシーズン青学2~3代目・不二周助 役/アニメ『新テニスの王子様』入江奏多 役)とOBキャストも名を連ねる本公演のゲネプロの模様をお届けする。

※ゲネプロ時の入江奏多 役は泰江和明がキャスティング。

取材・文・撮影 / 友安美琴


この先に広がっているまだ見ぬ世界

激闘が繰り広げられた全国大会の数ヵ月後、U-17(アンダーセブンティーン)日本代表合宿へと呼ばれた全国大会出場校の中学生たち。もちろんその知らせは、全国大会3日後に渡米しアメリカで過ごしていた青学(せいがく)1年・越前リョーマ(今牧輝琉)のもとにも──。
合宿に参加するためにアメリカを発とうとするリョーマのソロナンバーから新たな戦いの幕が上がった「新テニミュ」。誰もがこの日を待ちわびていた。“リョーマの帰国”という出来事に、この状況下でも「テニミュ」シリーズが帰ってきてくれたことを重ね合わせずにはいられない。

ミュージカル『新テニスの王子様』The First Stage WHAT's IN? tokyoレポート

中学選抜メンバーが合宿所に到着したところで、いよいよ今回の物語の主軸である合宿が始まる。1軍が韓国遠征で不在の間、2軍の合宿に中学選抜を加えてみようという試みで、彼らを迎えたのがコーチの黒部由起夫(村上幸平)、齋藤 至(和泉宗兵)、三船入道(岸 祐二)だ。荘厳なナンバーに乗せて厚みのある歌声を響かせ、圧倒的な存在感を放つベテラン俳優陣の風格も相まって、これから待ち受ける過酷な試練を予感させるよう。

対して、遅れて合流したリョーマを含む中学選抜のメンバーは、「俺たちがテニスの王子様だ」と決意を爽やかに歌い上げる。この合宿では、勝手な試合は厳禁であること。実力のある者から順に1~16番のコートに分けられていること。毎朝コーチからシャッフルマッチが発表され、コートナンバーを上げるにはそれに勝つしかないこと。3番コートの入江奏多(泰江和明)からそんなルールを聞かされた直後の強い意志が表れており、歴代の「テニミュ」を彷彿とさせるフレーズも楽しい一曲だった。しかし、その思いもすぐに打ち砕かれてしまうのが本作。

圏外の状態から5番コートとの入れ替えをかけて初めてU-17(アンダーセブンティーン)選抜と対決することになったのは、青学(せいがく)2年・桃城 武(寶珠山 駿)だ。対戦相手はこれまで多くの挑戦者を退けてきた、「地獄の番人」とも呼ばれる5番コートの鬼 十次郎(岡本悠紀)。「テニミュ」から引き継がれた軽快なラリービート(=各試合に合わせて作られる音楽)に合わせて試合が展開される。これは同じ“ジャックナイフ”の使い手同士での戦いだ。熱血漢で、手首を負傷しても1球だけでも打ち返そうともがく桃城のプレーは、中学生たちを見下すような態度を取っていた鬼を感化させた。

ミュージカル『新テニスの王子様』The First Stage WHAT's IN? tokyoレポート

初回マッチのコートを離れ、1番コートの徳川カズヤ(小野健斗)に勝手にシングルス対決を申し込んでいたのはリョーマ。未知の世界に興味津々でU-17(アンダーセブンティーン)選抜メンバーにも食って掛かるという“いかにも”な言動を見せてきたが、トップレベルの徳川を相手に戦い、自身の実力不足を思い知らされる。これまでに描かれてきたリョーマを思い返すと、ずば抜けたテニスセンス&テクニックによりアメリカJr.大会4連続優勝の経験を持ち、青学(せいがく)入学後も、手塚に惨敗したことはあるものの予選から全国大会決勝まで無敗で優勝に貢献するなど、ほとんど負けを知らない男……。そんな彼が、初めて屈辱を感じたと言うのだ。この合宿所に集うU-17(アンダーセブンティーン)候補たちがこれまでの対戦相手とは桁違いの実力者であることを物語っている。
リョーマについていった四天宝寺1年・遠山金太郎(平松來馬)も、桃城とのマッチを終えた鬼と対戦。ガットをフルに張って本気で挑んできた鬼には敵わなかったようだが、さすがは抜群の身体能力を持つルーキーといったところで、リョーマとはまた違ったやんちゃな性格とその野性的なプレーは愛らしくも感じた。

終盤にかけての5番コートと3番コートのチームシャッフルを行う場面では、5番コートリーダーの鬼が、リョーマ・遠山・桃城らを除く中学選抜の7人を率いて、3番コートの入江たちと対決。あの鬼が中学生を引き連れてリーダーシップを発揮する姿には少し驚かされるが、それだけ中学選抜チームにも実力があったということだろう。

ミュージカル『新テニスの王子様』The First Stage WHAT's IN? tokyoレポート

第1試合は名古屋星徳1年・リリアデント蔵兎座(新谷デイビッド) vs 中河内外道(チャンへ)のシングルス。蔵兎座は全国大会のために招集された留学生で、全国大会では自身がテニス後進国と蔑んでいた日本人選手を相手に負けてしまったために、決勝後も日本に残る選択をした選手だ。ロボットのようにコーナーを狙い続けて蔵兎座を翻弄する中河内と、倒れるたびに立ち上がり、苦しさを押さえ込んで何度も中河内に十字架を背負わせる蔵兎座……。長きにわたるふたりの応戦は、中河内が蔵兎座を抱えて退場するその瞬間まで見どころたっぷりである。

そして、四天宝寺3年・白石蔵ノ介(武本悠佑)&立海2年・切原赤也(前田隆太朗) vs 都 忍(鈴木凌平)&松平親彦(田内季宇)。パートナーを巧みにコントロールする白石と、”悪魔(デビル)化”状態をうまく制御できるようになった切原。高校生組もパワー、スピードに長けており、この試合のスピード感と松平の特徴的なサーブは、ぜひ注目したいポイントのひとつ。あのバネのようなしなやかさは見ていて気持ちがいい。

第3試合は青学(せいがく)3年・手塚国光(山田健登) vs 青学(せいがく)OB・大和祐大(松島勇之介)の新旧部長対決ということで、このふたりによる感動的なデュエットナンバーが聴けるのも「新テニミュ」ならではないだろうか。青学テニス部の部長を務めていた大和は、腕の怪我を理由にテニスをやめようとしていたが、当時1年生の手塚と出会い復帰を決めたのだ。そんな過去を思いながら大和から手塚へ、手塚から大和へと贈られる言葉に耳を傾けていると、ひと言ひと言に胸をぎゅっと締めつけられる。手塚を演じる山田は、難しいメロディもさらりと歌いこなしていた印象があり、大和 役の松島とともに素晴らしい掛け合いを聴かせてくれた。

ミュージカル『新テニスの王子様』The First Stage WHAT's IN? tokyoレポート

元”九州二翼”ペアである不動峰3年・橘 桔平(GAKU)&四天宝寺3年・千歳千里(松島博毅)と鈴木 惷(高橋駿一)&鷲尾一茶(釣本 南)とのダブルスを経て、2勝2敗の状態で氷帝3年・跡部景吾(高橋怜也) vs 入江の最終試合へともつれ込んだシャッフルマッチ。比較的穏やかに見える入江だが、相手の思惑や行動をすべて見透かすことができるうえ、この試合の序盤では迫真の演技で跡部を勝利に誘導するなど、窺い知れない人物だ。繰り広げられる持久戦の行く末はぜひ劇場で。跡部様の美技にも酔いしれてほしい。

さて、ここまで熱い戦いの模様が描かれてきたが、本当の戦いは1軍が帰ってきてから始まるのである。貫禄たっぷりの三重唱で選抜メンバーへメッセージを贈るコーチ陣に、中学選抜を挑発するU-17(アンダーセブンティーン)選抜。中学選抜は「テニミュ」らしいキラキラとしたサウンドに合わせて……。この先に広がっているまだ見ぬ世界に向けて、ラストは3つのナンバーから成る組曲で幕を閉じる。
中学選抜とU-17(アンダーセブンティーン)選抜。それぞれの纏う雰囲気はたしかに中学生であり、高校生であるのだが、その違いは歌唱ナンバーの音域でも表現されていたように感じる。3曲目に向けてメロディの音域が徐々に上がっていき、最後にキャスト全員による低・中・高音域の歌声が重なったとき、この上ない高揚感と多幸感を味わった。

「テニミュ」ではライバル同士であった中学生たちが、チームメイトとなり戦う本作。全体を通してしっかりと「テニミュ」の系譜が受け継がれるなかで、特に刷新された印象を受けたのはサウンド面だ。「新テニミュ」ではリプライズを含む全22曲が披露されるので、ぜひ期待を胸に劇場へと足を運んでもらいたい。

そして今回、完全新作とはいえ、冒頭でこれまでの文脈をひとりで背負って舞台に上がることとなったリョーマ役の今牧について。彼は子役時代からの舞台出演経験を持っており、2.5次元の世界に憧れ「テニミュ」への出演を夢見るようになってからは、アニメシリーズを全話見たり、ひたすら役の研究をしたりしていたという。その熱意もあってか見事主役を掴み取って今日を迎えたわけなのだが、やはり公演初日。堂々とした佇まいで歌い上げる一方で、そこには初々しさと緊張も少し感じられた。この代替わりのタイミング特有のフレッシュさは、今後の公演を通して見せてくれるであろう今牧自身とリョーマの成長を楽しみに思わせてくれた。

ミュージカル『新テニスの王子様』The First Stage WHAT's IN? tokyoレポート

これからの「テニミュ」の歴史を貴方も一緒に創りましょう!

下記は開幕に向けて発表されたキャストコメントを紹介。

●越前リョーマ 役:今牧輝琉
①意気込み
今回、『新テニスの王子様』が初の舞台化ということで、たくさんの方に注目されていると思います。キャスト一同、お客様にこの作品を届けることを心から楽しみに稽古してきました。本日から開幕となりましたが、1公演1公演を大切に、来年2月の大千秋楽まで、全力で駆け抜けたいと思います!!  そして、僕自身リョーマと共に成長していけるように頑張ります!

②見どころ
今までライバル同士だった他の学校の選手達がひとつになってU-17(アンダーセブンティーン)選抜メンバー(高校生)に立ち向かう所や、負け組の特訓シーンが見所だと思います。それと、テニミュボーイズの方々が大活躍しています!
色々な場面が忠実に再現されているのでお楽しみに!!

③お客様へのメッセージ
長いようで短い稽古期間でしたが、とても団結力が高まりました!!  カンパニー一丸となって素晴らしい作品をお届けいたします!!
初めての「新テニミュ」を、ぜひお楽しみください!!

●手塚国光 役:山田健登
①意気込み
キャストの皆さん、沢山のスタッフの方々に支えられ必死に稽古をしてきました。
稽古で作り上げた作品をお客様に誠心誠意届けられるよう努めます。

②見どころ
僕は今回の「新テニミュ」が初出演ですが、「新テニミュ」の手塚国光は全国大会を経ての登場です。
諸先輩方が演じてきた手塚国光に敬意を払い、新しい彼を演じたいと思いますのでぜひ注目してください。

③お客様へのメッセージ
「新テニミュ」の初代・手塚国光を演じさせていただくこと、とても嬉しく思っています。その分プレッシャーも感じているので、その重圧をしっかりと受け、全力でこの作品をお届けできたらと思っております。

●切原赤也 役:前田隆太朗
①意気込み
「テニミュ3rdシーズン」で切原赤也 役を演じていたときは立海のために頑張るという気持ちでしたが、今回は中学選抜メンバーとして頑張るという新たな気持ちで本番に臨みたいと思います!

②見どころ
「テニミュ」では悪魔(デビル)化を演じましたが今回は天使(エンジェル)化なのでその違いを見ていただきたいです!
また「新テニミュ」ならではの学校の垣根を越えたキャラ同士の絡みにも注目していただきたいです!

③お客様へのメッセージ
今作は「新テニミュ」初演なので僕が初代・切原赤也になります。
今まで遠い存在だった初代が自分になるというのはすごく不思議で同時にプレッシャーも感じます。
新たな切原赤也を皆さんにお届けできるよう誠心誠意努めますので何卒温かい目で見守ってください。

●徳川カズヤ 役:小野健斗
①意気込み
再び「テニミュ」のコートに立てる日がついにきました。
高鳴るこの感情を全てステージ上で発揮し、この物語に貢献したいと思います!

②見どころ
昔と比べて進化した内容と代々受け継がれている熱い魂の融合はとても見応えがあります。
最後までぜひ楽しんでください!

③お客様へのメッセージ
日々お客様には感謝しております。
最高のステージをお届けしますので、引き続きこれからもよろしくお願いします。
新しい時代の幕開けです。

●三船入道 役:岸 祐二
①意気込み
歴史ある「テニミュ」に参加出来て光栄です。
お世話になった方や過去共演した卒業生達の期待も背負いつつ、
新しい(と言っても最年長ですが(笑))風を吹かせられたらと思っています。

②見どころ
やはり皆が見たかっただろう対戦のシーンですかね?
対戦しながら歌う皆に拍手です!
それと、私の歌で劇場が壊れたらすみません(壊れませんので安心して下さい(笑))。

③お客様へのメッセージ
これからの「テニミュ」の歴史を貴方も一緒に創りましょう!
こんなご時世ですが…あなたの人生の数時間を末永い想い出に出来るよう、楽しんでもらえるよう、心して努めます!

本作は、12月24日(木)まで東京公演を日本青年館ホールにて上演、そして12月29日(火)よりメルパルクホール大阪にて大阪公演を行なったのち、2021年2月5日(金)に再び日本青年館ホールにて東京凱旋公演を開幕する。

ミュージカル『新テニスの王子様』The First Stage

東京公演:2020年12月12日(土)~12月24日(木)日本青年館ホール
大阪公演:2020年12月29日(火)~2021年1月10日(日)メルパルクホール大阪
東京凱旋公演:2021年2月5日(金)~2月14日(日)日本青年館ホール

原作:許斐 剛『新テニスの王子様』(集英社「ジャンプSQ.」連載)

出演:
中学選抜メンバー
越前リョーマ 役:今牧輝琉
手塚国光 役:山田健登
桃城 武 役:寶珠山 駿/
橘 桔平 役:GAKU/
跡部景吾 役:高橋怜也/
切原赤也 役:前田隆太朗/
白石蔵ノ介 役:武本悠佑
千歳千里 役:松島博毅
遠山金太郎 役:平松來馬/
リリアデント蔵兎座 役:新谷デイビッド/

U-17選抜メンバー
徳川カズヤ 役:小野健斗
鬼 十次郎 役:岡本悠紀
入江奏多(Wキャスト)役:相葉裕樹 泰江和明
中河内外道 役:チャンヘ
大和祐大 役:松島勇之介
都 忍 役:鈴木凌平
松平親彦 役:田内季宇
鈴木 惷 役:高橋駿一
鷲尾一茶 役:釣本 南/

コーチ
黒部由起夫 役:村上幸平
齋藤 至 役:和泉宗兵/
三船入道 役:岸 祐二/

テニミュボーイズ
飯島康平 小黒直樹 中西智也 福冨玄刀 古田伊吹 持田悠生 山野 光 吉川康太

オフィシャルサイト
テニミュ・モバイル

©許斐 剛/集英社・新テニミュ製作委員会