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ラップバトルに飲み比べ!?『アサシン クリード ヴァルハラ』ヴァイキングの暮らしにどっぷり浸かって楽しむ

ラップバトルに飲み比べ!?『アサシン クリード ヴァルハラ』ヴァイキングの暮らしにどっぷり浸かって楽しむ

さまざまなアサシンたちの人生を追うユービーアイの人気シリーズ『アサシン クリード』の最新作、『アサシン クリード ヴァルハラ』。屈強なヴァイキング団の戦士エイヴォルを主人公として、9世紀のイングランドを中心に物語が繰り広げられるオープンワールドアクションRPGです。前回の記事では戦闘の手触り、スキルツリー式でプレイヤー好みの性能に高めていくことができる成長システム、引きこまれる物語など盛りだくさんの成熟したゲーム内容について紹介しました。今回はさらに世界に入り込み、細部に目を向けて楽しんでみましょう。ヴァイキングの生活様式や思想などの考証をしっかり行い、それらを軸にして作られたコンテンツがプレイヤーの探求心を引き出す本作。その魅力を語っていきます。

文 / 内藤ハサミ


イングランドだけにとどまらないエイヴォルの行く先

生まれ育ったノルウェーを出て、イングランドに小さな定住地を作ったエイヴォル。定住地を発展させるための物資を略奪で賄ったり、近隣の州で要人たちと触れ合い困りごとを解決するなどで信頼を得て同盟を結んだりと、精力的に新天地での活動を始めます。まっすぐな武力だけの時期は過ぎ、政治的な判断を行使する機会(邪魔は入りますが……)も増えていきます。ある者はどんな汚い手を使おうとも地位と権力を求めることに躊躇せず、またある者は自身の信仰のためであれば冷酷に他人を排除する。9世紀のイングランドは、そんな諍いが絶えない混沌とした状況です。そのなかでエイヴォルは信頼に足る人物を探し、関係を築いていかなければならないのです。第一印象のいい人が本当の味方になってくれるとは限りません。彼らには立場があり、思惑や野心もそれぞれです。友好的に接してくれていた人物に残忍な裏の顔があったり、おかしな動きをしていた不審人物にそうせざるを得ないわけがあったりもします。どんな人物でも出会ったらじっくりと本質を観察して判断しましょう。敵地で見かけた書簡、誰かの何気ないセリフなどにもヒントは隠れています。ただ漫然とイベントシーンを追っているだけでは見えてこない人間社会の複雑さは、物語を深く面白くしています。

アサシン クリード ヴァルハラ WHAT's IN? tokyoレビュー

▲味方に仇なす軍勢との戦闘もあります

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▲人物に対する評価も人によってさまざま。明らかに「今すぐにでも仲間から排除したほうがいい危険人物」とまで思うキャラクターに対しても評価は分かれます

そんな入り組んだ世界でも、エイヴォルはたびたび行動を選択しなければなりません。誰を州の首長にするか、傷心の仲間にどう声をかけるか、次に同盟を結ぶために出向く州はどこにするか……。いくつかの選択結果によって、エンディング内容は分岐します。エイヴォルという人物からプレイヤーが受ける印象も大きく違ったものになるでしょう。

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▲とある修道士に言うことを聞かせたい。そんなときにも武力行使、賄賂を渡す、話術で納得させるの選択から決定します。どちらにしろ有無を言わさずこちらの主張を通すことに違いはないのですが、エイヴォルに斬られる人間の数は確実に違ってきます

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▲隠密行動を心がけて最低限の犠牲者に留めるよう努めるか、目についたものはすべて斬って倒すか。目標達成までの方法はプレイヤーの自由です

エイヴォルの行き先はイングランドだけにとどまりません。エイヴォルの出身地ノルウェー、北欧神話に出てくるアース親族の住む国アースガルズ、巨人族の住む国ヨトゥンヘイム……。冒険できるマップはかなりの広さです。特にアースガルズとヨトゥンヘイムという神話の世界は、とても不思議な体験になります。神話の世界でエイヴォルは、北欧神話の主神であるオーディンが持つ数ある名前のひとつ、“ハーヴィ(高き者)”の名で呼ばれます。いったいどういうことかと明言することは避けますが、エイヴォルが何者なのかということも含め、この物語を解き明かす大きなヒントになることは間違いありません。

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▲神話の世界アースガルズ。リアルな北欧の森林風景とは違った、幻想的な美しさを持つマップです

神話世界でのハーヴィ(オーディン)としての体験は、実際の世界で起こることとも徐々に繋がりを見出せるようになってきます。世界のあちこちで正体を隠しながら怪しげな活動をしている結社。各地でエイヴォルが解決した事件の真相が実は結社の人間がたくらみを実行に移した結果だった、と言うような話もたびたび出てきたりなど、結社の存在は次第にエイヴォルに立ちはだかり無視できなくなってくるのです。

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▲唯一の家族でお互いに強い信頼を寄せている兄シグルドとエイヴォルの関係も、結社の存在によってヒビが入り始めます……

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▲ヴァイキング軍団を率いて大規模な戦闘を繰り広げることも。特に何隻ものロングシップで相手の領地に攻め入るシーンは、スケールが大きくてワクワクします!

本作のメインストーリーはかなりボリュームがあり、あまり寄り道をしないでプレイを進めたとしてもおそらく50時間程度かかるのではないでしょうか。大勢の仲間とともに襲撃し、破城槌で城門を次々に破りつつ城主のところまで突き進む攻城戦は、今までのシリーズにはなかった新しい面白さです。野心、陰謀、それぞれの想いを巻き込んで物語は進んでいきます。エイヴォルとともに体験する長い旅は、驚きに溢れて見届ける価値のあるものです。どういう結末を迎えるかを実際のプレイで確認してみてください。

ヴァイキング体験ができるミニゲームの数々

本作には、メインストーリーの合間に楽しめるミニゲーム的なコンテンツが盛りだくさん。街中にいる対戦相手と大量の酒を早飲みする“飲み比べ”は、酒を飲むタイミングに合わせてボタンを押し、ふらついた反対側にキー入力をするという単純なルールでカジュアルに始められるでしょう。豪快で無鉄砲なところがじつにヴァイキングらしいですし、勝利すれば掛け金の倍額が貰えます。特に序盤はまとまったお金を稼ぎづらいですから、積極的に飲み比べで資金稼ぎをしていました。がっぽり大儲けはできなくても路銀の足しにはなるでしょう。ちなみに通貨はリアルの当時と同じ“銀”です。装備や矢などの消耗品だけでなく、拠点の装飾やエイヴォルに施せる入れ墨の図案なども銀を使って購入できるので、持っているに越したことはありません。

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▲実際にこんなことをしたら、めちゃくちゃ危険ですよね……ヴァイキングは丈夫だなぁ

続いて、ヴァイキング流ラップバトル“口論詩”を紹介します。これは当時の宴席で行われた余興のひとつだそうで、ラップバトルの名のとおりリズムに乗って相手を罵倒し戦います。相手の発言に合わせた内容であること、韻を踏み文のリズムもマッチしていることが求められるので、豊富な語彙と文章を組み立てる力や想像力が求められる、粗野さと知的さを併せ持った遊びです。こちらも掛け金を用意します。勝利するとその倍額を手に入れることができ、エイヴォルのカリスマレベルも上がります。カリスマが高いとイベントシーンで特殊な選択肢を選び、相手を説き伏せることができるようになりますから、口論詩も積極的にチャレンジしていきたいコンテンツのひとつですね。

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▲相手が自分の武功を自慢するターン。自信満々の顔ですね

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▲それに対し、3つの選択肢が示されます。相手を唸らせることができる選択肢はそのうちのひとつだけです。制限時間があるので素早く選びましょう

さらに珍しいものが、ヴァイキングのサイコロゲーム“オーログ”です。これは実際にヴァイキングが遊んでいたものではなく、当時もし遊ばれているとしたらこんなゲームなのでは……と制作チームが創作したものです。プレイヤーと対戦相手がそれぞれ6個のサイコロを3回まで振って絵を合わせ、攻撃、ブロックなどの行動を決めます。相手がいくつか持っているライフを示す石を全部減らすと勝利。基本のルールは単純ですが、トークンを消費して発動できる必殺技“神の恩寵”の存在によって駆け引きに深みが出て、よりゲームが面白くなります。飲み比べと同じく各地にオーログのプレイヤーがいて、勝負を挑むことができるのですが、ついついメインシナリオの手を止めてプレイをしてしまう中毒性があります。先日などはいざ敵地に襲撃という段階でオーログにハマりこみ、本来の目的を忘れて数時間遊びふけってしまいました。寒い野営地で焚火をして待っている味方NPCには悪いことをしましたね……。

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▲木皿の上でサイコロを転がすカラカラ……という音が小気味いい

ほかにも川や海にいる魚をロープや弓を使って獲ったり、森や野原にいる動物を狩ったり、各地に隠されている財宝を探したりとメインコンテンツ以外にも楽しめることはたくさんあります。メインだけでも相当のボリュームですが、サブ要素をしっかり遊んでいくと100時間を軽く超えるプレイ時間になるのではないでしょうか。エイヴォルの尽力により次々とイングランドがひとつになっていく物語の後半、長らく謎に包まれていた結社のトップが誰であるかもわかってきます。エイヴォルは強大な敵とどう戦っていくのか。シリアスで緊迫した展開の多いメインストーリーの合間の息抜きというだけにとどまらず、当時の生活や風習を自然に取り入れアレンジされたコンテンツの数々はこの世界の理解を深め、ヴァイキングの生きかたに浸るための大事な演出を担っていると感じました。しっかりと作られたゲームの基礎に、ヴァイキングへの愛に溢れた華やかなコンテンツがいくつも取り入れられている『アサシン クリード ヴァルハラ』。オープンワールドアクションRPGとなった新しいシリーズが、正当進化した形と言えるでしょう。

フォトギャラリー

■タイトル:アサシン クリード ヴァルハラ
■発売元:ユービーアイソフト
■対応ハード:PlayStation®4、PlayStation®5、Xbox One、Xbox Series X/S、PC
■ジャンル:アクションRPG
■対象年齢:18歳以上
■発売日:発売中(2020年11月10日)
■価格:各種価格はオフィシャルサイトでご確認ください


『アサシン クリード ヴァルハラ』オフィシャルサイト

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