世代じゃないけど観てみたい!名作アニメ“初見”レビュー  vol. 5

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名作とのファースト・コンタクト『超時空要塞マクロス』挑戦記 38年を経ても語りたい“三角関係”の面白さと“斬新さ”の理由

名作とのファースト・コンタクト『超時空要塞マクロス』挑戦記 38年を経ても語りたい“三角関係”の面白さと“斬新さ”の理由

「世代じゃないアニメ」観てみない? 往年の名作&最新の名作を、これまで触れる機会のなかった“若者世代&おじさん世代”がそれぞれ観た初見の感想をご紹介。今回のお題は、1982~83年放送のTVアニメ『超時空要塞マクロス』! 恋愛+SFドラマ+歌という要素から大ヒットを記録したロボットアニメの名作にして、現在まで38年続く『マクロス』シリーズの原点となる作品です。

レビューしてくれたのは、自称“ポケモンライター”として『ポケモン』関連の記事を数多く執筆、ほかに好きなアニメは『戦姫絶唱シンフォギア』シリーズだという20代ライターの竹内白州さん。今回の『マクロス』だけでなく、これまで『ガンダム』シリーズや『エヴァンゲリオン』も観たことがなかったとのことで、当企画を機に歴史あるロボットアニメシリーズに初挑戦。人間ドラマとしての視点を中心にじっくりと楽しんでもらいました。

構成 / WHAT’s IN? tokyo編集部


『マクロス』シリーズ視聴歴ゼロでも入り込めた意外な理由

筆者は、幼少期に『ポケットモンスター』のアニメを毎週観ていたいわゆる“ポケモン直撃世代”。ゲームも『ポケットモンスター 赤・緑』に始まり『金・銀』、『ルビー・サファイア』……と、新作が発売されるたびにプレイしてきており、もはや“ポケモンといっしょに育った”といっても過言ではない。

そんな僕にとって、放送当時は生まれていなかったり物心がついていなかったりした時代の「不朽の名作」、「絶対に見るべき作品」とされるアニメは数多い。しかし、後になって作られたシリーズものを途中から見始めるという行為にはなんとなく抵抗を覚える。かといって一から見るのも腰が重い……というどうしようもない駄々を脳内でこね続けているのだが、アニメ好きでも同じような人は意外と多いのではないかと思う。

そんなわけで、この企画は個人的にかなりありがたい。今回僕が視聴したのは、1982年に放送開始された『超時空要塞マクロス』のTVアニメシリーズだ。『マクロス』は、まさしく僕が先述の理由で興味はありつつもまったくノータッチだったシリーズである。

さっそくHuluにて視聴を開始。いきなり第1話から戦艦マクロスが主砲をぶっ放したり(ぶっ放してしまった、と言うべきか)、民間人の主人公がひょんなことから可変戦闘機“VF-1 バルキリー”に乗り、さらには敵機に撃墜されかけたところを初めての変形で九死に一生を得たりと、かなり見どころが満載だ。また、1話の段階ですでに「マクロスをめぐって地球人と異星人が争う話」であることがしっかり示されており、アニメ作品の第1話としてかなり親切な作りであると感じた。一発で視聴者を引き込むこの構成は、現在にまで至る『マクロス』人気を生み出した要因のひとつなのかもしれない。

そうは言っても、38年も前の作品だ。自分が絵柄を古臭く感じてしまうのは避けようがない。それでも僕が最後まで楽しく視聴できたのは、ふたつの理由があったと思う。ひとつは、非常に個人的なことだが、僕に少しだけ『マクロス』に関する知識が備わっていたことだ。『マクロス』のアニメはまったく見たことがなかったのだが、声優ラジオ(とくに男性声優)が大好きだった僕は『マクロスF』のラジオを、おもにMCを務めていた中村悠一さんと神谷浩史さん、そして中島 愛さんのトークを目当てに聴いていたのだ。

そのなかで出てきた単語をなんとなく覚えていたため、「え、ゼントラーディ人って敵だったのか」なんてことを思いながら楽しめた。また、本作のヒロインであるリン・ミンメイ(CV.飯島真理)が作中で歌う曲も、ラジオ内で流されたものを聴いていた覚えがある。なので、『私の彼はパイロット』や『小白龍(シャオパイロン)』などが作中で歌われるたびに、ちょっと違った意味で懐かしい気持ちになれた。

コミュニケーション不足ぎみの“三角関係”が醍醐味

もうひとつの理由は、本作がロボット同士のバトルばかりにフォーカスした作品ではなかった点だ。これがゴリゴリのバトルアクションアニメであれば、映像の古さがより気になって見えてしまったかもしれない。本作はどちらかというと戦争そのものよりも、戦時下における人間ドラマがメインに描かれていると感じた。とくに、主人公の一条輝(いちじょうひかる/CV. 長谷有洋)とヒロインのミンメイ、そして作中で輝の上官となるマクロスのオペレーター・早瀬未沙(CV. 土井美加)が織りなす三角関係の恋愛ドラマが中心となっている。

ロボットアニメと言えばエースパイロット同士のアツいバトルがお決まりだと勝手に思っていたので、この点はわりと衝撃的だった。物語後半で出てきた敵軍の女性パイロット=ミリア・ファリーナ(CV.竹田えり)が“エース”と呼称されていたが、戦闘シーンはほとんどない。後に惹かれ合うことになる地球人パイロット=マクシミリアン・ジーナス(※愛称はマックス。CV.速水奨)との戦闘は3度描かれるが、うち1回はゲームセンターのビデオゲームでの対戦、もう1回は公園でナイフを持って襲い掛かるというリアルファイトと、まともにやり合ったのは1度のみである。ちなみに、そのすべてでマックスが勝利した結果、ナイフで襲い掛かった事件の直後にふたりは結婚する。これには僕も驚いたし、登場人物たちもみんな驚いていた。

話を輝・ミンメイ・未沙の「三角関係」に戻すが、これがまたもやもやさせられるのだ。ひとことで言えば、3人とも“コミュニケーション不足”である。「このふたり、付き合っていなかったのか」という感想を輝・ミンメイペアと輝・未沙ペアに対して1度ずつ持ったほどで、自分の気持ちを相手にはっきり伝えることの重要性を改めて考えさせられる。33話で未沙の部下であるオペレーターが口にした「結局、愛は言葉よ」というセリフには心底共感した。

もやもやさせられる、というとネガティブに聞こえるかもしれないが、恋愛ドラマにおける三角関係とはむしろそこが醍醐味なのだと思う。実際、僕は(いっしょに観ていた妻も)ミンメイより未沙派だったので、輝とミンメイがなかなかうまくいかないのを見て「これは未沙にもワンチャンある?」と思ったり、未沙が「私って嫌な女」と落ち込んでいるのを見て「未沙はいい女だよ! 自信持って!!」と応援したりして楽しんでいた。

物語序盤から中盤にかけては輝がミンメイ一筋だっただけに、終盤になって未沙にもチャンスが巡ってきたところからはかなりワクワクしながら見ていた。一方で、輝の優柔不断で無責任な行動にはよりいっそうやきもきしてしまうのだが……。最終的にどうなったかについては、ラストシーンのネタバレになるので(約38年前のアニメにネタバレも何もないとは思うが)、一応ここでは触れないでおきたい。

ゼントラーディ人との関わりにみる「異世界転生もの」的な面白さ

本作は人間ドラマがメインに描かれているとはいったものの、戦闘シーンももちろん充実している。本作の設定でおもしろいところは、戦力のバランスが圧倒的に敵側(ゼントラーディ軍)に傾いている点だ。戦艦・マクロスという巨大な戦力こそあるものの、物量の差は歴然で完全なる「多勢に無勢」状態。しかもゼントラーディ人は生身で地球側の可変戦闘機とやり合えるほどのパワーとサイズを持った巨人なのだ。

その戦力差を知恵と工夫で覆していく様は見ていておもしろい。中でも、本作におけるキーワードは“文化”だ。戦争のためだけに生きるゼントラーディ人は文化を持っていない。そのすべてが軍人で民間人は存在せず、男女は絶対に交わらず、娯楽も存在しない。約38年前の作品に対して正しい表現ではないかもしれないが、斬新な設定だと思った。目の前で男女がキスをして見せるだけでショックのあまり動けなくなるほどのピュアさには、思わず笑ってしまった。

そんな文化を用いた攻撃の最たる例が、アイドル歌手のミンメイによる歌だ。キスと同様にゼントラーディ人の動きを止めてしまうだけでなく、彼らを虜にすることで地球人への戦意を削ぎ、ついには内乱まで起こさせてしまった。27話「愛は流れる」で、マクロスや味方艦隊からミンメイの生歌を流しながらゼントラーディの大艦隊と戦闘を行うシーンはかなり盛り上がると同時に、一種のシュールさも感じつつ楽しめた。「歌で戦う」という面では、毛色は異なるが後の『シンフォギア』シリーズと通ずるところもある。

こうした、主人公(および視聴者)は当たり前に知っているが、敵側は知らない知識(および技術)を用いて相手を圧倒するという展開は、最近の「異世界転生もの」に似ているところがあるかもしれないと感じた。若干強引だが、こんな感じで現代のアニメとの共通点を探しながら観ると昔のアニメもより楽しめるかもしれない。

ところで、27話はとにかく衝撃的な内容だった。上記の戦闘シーンもそうだが、その前になんと大艦隊からの一斉砲撃によって地球全体が攻撃され、地球人はほぼ全滅したのだ。軍人も民間人も幼女も容赦なく吹き飛んでいく光景に「え、嘘でしょ……」と絶句してしまった。民間人への攻撃は戦時国際法違反だろうと反射的に思ったが、直後に「なるほど、ゼントラーディには民間人が存在しないもんな」となぜか納得してしまった。これ、「じつは地下シェルターに避難していて無事でした」なんて救済もなく、ごくわずかな生き残りを除いて本当にほぼ全滅状態となってしまうのだ。これだけの人間が作品の本編中に死んでしまったアニメはほかに存在するのだろうか。存在しないでほしい。

20代アニメファンが今さら観ても楽しめた!

戦争終結後を描いた28話以降は作風がガラリと変わり、「突然昼ドラが始まったな」と思いながら観ていた。後にこれは、当時のシリーズ放送延長の影響によるものらしいと知ったが、僕は先述のとおり未沙を応援しながらそれなりに楽しむことができた(ミンメイの従兄であるリン・カイフンの話なんかもしたいところだが、ここだけは100%悪口しか出てこないので自重しておく)。

何はともあれ、これだけ書き連ねてなお、まだ書き足りないくらいなのだ。『超時空要塞マクロス』は20代のアニメファンから観ても間違いなくおもしろかったと言うべきだろう。せっかく重い腰を上げてシリーズ第1作を見終えることができたので、このまま『マクロス7』、『マクロスF』、『マクロスΔ』とシリーズ作品を見進めていきたいと思う。

(文 / 竹内白州)

TVアニメ『超時空要塞マクロス』

dアニメストア、バンダイチャンネル他にて配信中

【スタッフ】
企画:大西良昌
原作:スタジオぬえ
原作協力:アートランド
シリーズ構成:松崎健一
キャラクターデザイン:美樹本晴彦
メカニックデザイン:宮武一貴・河森正治
チーフディレクター:石黒 昇
美術:多田喜久子・勝井和子
音楽:羽田健太郎
製作:ビックウエスト・毎日放送・タツノコプロ
制作:タツノコプロ 他

【キャスト】
一条 輝:長谷有洋
リン・ミンメイ:飯島真理
グローバル:羽佐間道夫
クローディア:小原乃梨子
早瀬未沙:土井美加
ロイ・フォッカー:神谷 明
ヴァネッサ:佐々木るん
キム:鶴 ひろみ
シャミー:室井深雪
ブリタイ:蟹江栄司
エキセドル:大林隆介
ナレーター:小原乃梨子 他

『マクロス』シリーズ・インフォメーション

完全新作『劇場版マクロスΔ 絶対 LIVE!!!!!!』が 2021 年公開に向けて制作中と、まだまだとまらない『マクロス』シリーズ。配信情報やライブ開催情報もチェック!

YouTube「マクロスch」

『超時空要塞マクロス』『マクロス7』『マクロスΔ』各第1話無料配信中!

https://www.youtube.com/channel/UCKeM8HXpwR0qc0RtH0GKyMg

『マクロスΔ』ライブ開催情報

■公演名:
SANKYO presents ワルキューレ プレミアム LIVE TOUR 2020-2021~ワルキューレはあきらめない!!!!!~

■公演日・会場:
2020年12月17日(木) Zepp Fukuoka
2020年12月19日(土) Zepp Osaka Bayside
2021年1月2日(土) Zepp Nagoya
2021年1月13日(水) Zepp Sapporo
2021年1月21日(木) Zepp Haneda(TOKYO)
2021年1月22日(金) Zepp Haneda(TOKYO)

■出演:
戦術音楽ユニット”ワルキューレ” are 美雲ΔJUNNA、フレイアΔ鈴木みのり、カナメΔ安野希世乃、レイナΔ東山奈央、マキナΔ西田望見

※上記内容は予告なく変更になる場合があります。予めご了承ください。

■チケット:
マクロス公式ホームページ先行(抽選制)受付
受付期間:2020年12月17日(木)23:00~2020年12月24日(木)23:59
※対象公演:2021年1月13日 Zepp Sapporo、2021年1月21,22日 Zepp Haneda(TOKYO)

『マクロスF』ライブ開催情報

■公演名:
SANKYO presents マクロスF ギャラクシーライブ 2021~まだまだふたりはこれから!私たちの歌を聴け!!~

■公演日:
2021年2月5日(金)開場18:00、開演19:00(予定)
2021年2月6日(土)開場16:00、開演17:00(予定)

■会場:
代々木第一体育館(東京都)

■出演:
シェリル・ノーム Starring May’n / ランカ・リー=中島 愛

※上記内容は予告なく変更になる場合があります。予めご了承ください。

新作劇場版情報

最新作『マクロスΔ』の完全新作『劇場版マクロスΔ 絶対LIVE!!!!!!』が2021年公開!

(『マクロスΔ』キャラクターデザイン まじろ氏描きおろし)

ライブやイベント、グッズなどの『マクロス』シリーズ最新情報はこちらでチェック!
公式ポータルサイト(PC・スマートフォン) macross.jp
オフィシャルTwitterアカウント @macrossD
オフィシャルYouTubeチャンネル「マクロスch」

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