LIVE SHUTTLE  vol. 437

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ポルノグラフィティ 約1年3ヵ月ぶりとなるライブは初の配信。ポルノ流“ハイブリッド型”のステージを振り返る。

ポルノグラフィティ 約1年3ヵ月ぶりとなるライブは初の配信。ポルノ流“ハイブリッド型”のステージを振り返る。

「会いたかったぜEverybody」――これまでのライブでも岡野昭仁は同じ言葉を客席に向かって叫んできたが、この日、この短い言葉の中には、1年3か月ぶりという時間の流れだけはなく、ポルノグラフィティの二人が、2020年という“特別”な時間を過ごす中で感じた様々な感情が込められていたに違いない。熱を帯びて客席へ、そして配信ライブを視聴しているファンの元に届いたはずだ。

ポルノグラフィティが12月4日、東京・LINE CUBE SHIBUYAで昨年のメジャーデビュー20周年を記念して開催した東京ドーム2DAYSライブ以来、約1年3ヵ月ぶりとなる初の配信ライブ『CYBERロマンスポルノ’20~REUNION~』を行なった。“お客さんがいて初めてLIVEは完成する”という変わらない二人のライブイズムの元、会場には入場者数を制限して観客を入れ、配信ではAR(拡張現実)を駆使した演出の映像を届ける“ハイブリッド型”の公演として行われた。

オープニングナンバーは「アポロ」。<僕らが生まれてきて/半世紀後の世界/サイバー空間で/あなたとつながりたい>と替え歌で“REUNION”の意味を伝える。チャットも「会いたかった~」の文字で埋まる。岡野昭仁(Vo)、新藤晴一(G)、そして玉田豊夢(Dr)、山口寛雄(B)、皆川真人(Key)、tasuku(G)という豪華サポートメンバーの圧巻の音が、一曲目から炸裂する。スパニッシュフレーバーが心地いい「オー!リバル」では、二人が3DCG化されデジタルヒューマンとして登場。客席に飛び出すというAR演出で視聴者を驚かせる。「会場の人は気持ちで、配信を観ている人は大きな声で歌って」(岡野)と語りかける。岡野のボーカルの瑞々しさと迸る力強さに引き込まれる。久々のライブということもあるかもしれないがその“響き”は明らかに“深化”している。「星球」では星をイメージさせるライトが飛び交い、会場内を無数のモニュメントが浮かび上がるAR演出が、幻想的な世界観を作り出していた。

「今回のライブも何年か経ったら、そんなこともあったなって思える」(新藤)、「ネガティブをポジティブに変えて新しいエンターテイメントを作ろう」(岡野)という前向きなメッセージを投げかけ、ロックチューン「ワンモアタイム」へ。バンドの分厚い音が襲い掛かってくるような「2012Spark」、ライブでは久々に披露する「リビドー」では、声を出せない客席の代わりにチャットが湧く。「ヴォイス」の切ないメロディと強い歌は、全て人を抱きしめるような感覚だ。この日はMCも、声を出せない客席の反応に最初は手探りという感じだったが、盛り上がっているチャットの反応も見ながら、ファンと共に改めてライブの楽しさをかみしめているようだった。

岡野の「1年3ヵ月ぶりのライブで、僕らもポルノグラフィティに“REUNION”しています。色々な曲があるので、そういう曲にも“REUNION”していきたい」という言葉通り、ライブ中盤はレア曲が次々と投下されファンを喜ばせた。美しい色彩を捉えた歌詞が印象的な「シスター」では、無数の光がステージ上に木の像を描き出す。そしてピアノのイントから胸を打たれるロックバラード「ルーズ」、さらに「カメレオン・レンズ」では、歌詞をARで立体的に映し出された歌詞が会場を飛び交う。「海月」では色とりどりのクラゲが会場全体を覆う幻想的な光景が現れる。楽曲、歌詞の世界観をより際立たせる配信ライブならではの照明の演出は、美しく刺激的だ。

とにかく楽しい、そして感動しているという意志表示を拍手で懸命に二人に送る客席を見渡した新藤は「我々は拍手にも魂を込めれることを再認識しました」と語り、代表曲のひとつ「アゲハ蝶」へ。リズムのアプローチを強く感じさせてくれるサウンドと、言葉数が多い歌詞を圧倒的な“歯切れの良さ”で歌う岡野のボーカルが相まって、何度聴いても高揚感と切なさが迫ってくる。間奏ではTwitterで募集したメッセージがLEDビジョンに映し出され、それが次々とARの蝶に変わり会場中を飛び交い、会場にいるファン、視聴しているファンの思いが集まり“つながっている”ことを実感させてくれるシーンだった。

そして「ひと足早いけど、クリスマス気分で盛り上がってくれ!」という岡野の言葉から「Hard Days, Holy Night」へ。過去と現在を対比し<あの少年よ こっちも戦ってんだよ>と、ロックバンドとして戦い続ける意志を高らかに宣言した記念すべき50thシングル「VS」を力強く届けた。そして岡野は「この1年3カ月の間、いろんなものを見ていろんなことを感じてきた。でも君たちの声はずっと届いとったけ! ポルノグラフィティの歯車を動かしてくれるのは君らなんよ」と全てのファンに熱いメッセージを届け、ピアノのイントロに乗せた岡野と新藤のハーモニーから「ハネウマライダー」へ。この曲に欠かせないタオルもこの日は使えない。しかし会場のファンは“エアタオル”を回し、チャット欄にも渦巻の絵文字が次々と現れ、熱狂が生まれる。

本編ラストは「一雫」。美しいイントロから始まるこの曲は、50thシングル「VS」のカップリング曲で、「VS」同様、“まだ途中、これからも戦っていくんだ”という二人の決意が表れている歌詞を、岡野が情感豊かに表現した。

アンコールを求める拍手は会場、チャットからうねりとなって二人に届けられる。それに応え再びステージに登場した二人は、岡野が「気持ちが落ちちゃっていた人もいるかもしれない。だから恩返しをしたいと思って今日のライブのテーマに沿った、力強い一歩が踏み出せるような新しい曲を届けます」とライブタイトルにもなっている新曲「REUNION」を歌い始める。二人とファンの間を繋ぐ希望の光が言葉とメロディになったロックナンバー。会場にもチャットにも感動が広がっていく。新藤は「今日わかったのは、会いたいと思ったらどうやってでも会えるんだなということ。この先もコロナに負けずやり抜いてやりましょう」とメッセージを贈り、岡野は「今日から新しい世界を作っていけばいいと思います。わしらのホームを作ってくれてる皆さんをもっと遠くに運びたい。ポルノグラフィティの全盛期はこれからです」と力強く宣言し、大きな拍手が湧き起こった。

そしてポルノグラフィティのライブの締めといえばこの曲。ラストナンバーは「ジレンマ」。最後にこの高揚感は、観ている全ての人の心を終わりたくないという気持ちでいっぱいにする。すべての演奏が終わり「今日は会えてうれしかったです。ありがとう」(新藤)、「ほんまに会えてうれしかった。そして、また会おう」とノンマイク、生声でファンにメッセージ。“お客さんがいて初めてLIVEは完成する”という二人と、そしてファンの思いが結実した瞬間だ。改めてポルノグラフィティというバンドの底力と、変わらない旺盛なチャレンジ精神を実感したライブだった。

文 / 田中久勝

ポルノグラフィティ
CYBERロマンスポルノ’20 〜REUNION〜
2020年12月4日 LINE CUBE SHIBUYA

セットリスト

1.アポロ
2.オー!リバル
3.星球
4.ワンモアタイム
5.2012Spark
6.リビドー
7.ヴォイス
8.シスター
9.ルーズ
10.カメレオン・レンズ
11.海月
12.アゲハ蝶
13.Hard Days, Holy Night
14.VS
15.ハネウマライダー
16.一雫
【ENCORE】
EN1.REUNION ※新曲
EN2.ジレンマ

ポルノグラフィティ

岡野昭仁(Vo)、新藤晴一(Gt)によるロックバンド。広島県因島出身。
1999年に1stシングル「アポロ」でメジャーデビュー。以降、「ミュージック・アワー」「サウダージ」「アゲハ蝶」「メリッサ」「オー!リバル」など多くのヒット曲を生み出す。メジャーデビュー20周年となる2019年は、アリーナツアー「16th ライヴサーキット”UNFADED”」の完走、50作目となるシングル「VS」をリリース。9月7日8日には東京ドーム公演を開催し10万人を動員した。

オフィシャルサイト
http://www.pornograffitti.jp

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