発掘!インディーゲーム総研  vol. 31

Review

他人の携帯電話を覗き見る背徳感と恐怖『REPLICA(レプリカ)』立ちはだかる高難度アドベンチャーに挑む!

他人の携帯電話を覗き見る背徳感と恐怖『REPLICA(レプリカ)』立ちはだかる高難度アドベンチャーに挑む!

数多くのインディーゲームを世に送り出しているPLAYISMより、アドベンチャーゲーム『REPLICA(レプリカ)』のNintendo Switch™版がリリース。本作でプレイヤーは見知らぬ人の携帯電話をいじり、テロ画策の証拠を探し出すことになる。他人の私生活を覗くという衝撃的なテーマと携帯電話の画面で完結するデザインが評価され、先駆けて配信されているPC版は多数のインディーゲームアワードで受賞。そのうえかなり難しいと評判で、アドベンチャーゲーム好きの心をくすぐる一本となっている。そんな本作のプレイを解法のネタバレを避けながら紹介しよう。

文 / 小泉お梅


安易なパスワードはいけません!

ゲームは、手に携帯電話を持った状態で始まります。目的や背景、主人公が誰なのかすらまだわかりませんが、とりあえずロックの解除を試みてみます。画面上には当然ながらパスワードのヒントらしきものは見当たりません。あらゆる箇所をポチポチしてもさっぱりです。ちなみに本作はタッチ操作と、Joy-Conで指紋型のカーソルを動かしての操作に対応しています。

REPLICA WHAT's IN? tokyoレビュー

▲周囲は暗くてよく見えませんが、何となく刑務所を思わせる光景が広がっています

そこへ、いきなり音と振動とともにメール通知がポップしました。この携帯電話の持ち主を心配するメッセージが流れます。そのなかに引っかかるキーワードがありました。4ケタのパスワードで使われがちなアレです。ただ直接数字が出たわけでなくちょっと推理が必要でしたが、ビンゴ! ロックが外れホーム画面が映し出されました。解けたのはうれしいけれど、人の携帯電話を勝手に見る後ろめたさもありますね……。

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▲家族か親しい人からのようです。短い文章ですが持ち主が失踪してしばらく経っていること、持ち主の無事を信じてメッセージを送り続けていることが伺えます

メールの履歴などを見ているところへ、今度は突然鳴り響く着信音。慌てて通話ボタンを押すと「パスワードがわかったのか」と話しかけてくる声が。といっても本作にボイスはないので、チャット風に会話が表示されています。電話の相手はどうやら主人公にこの携帯電話を渡した人物であり、国家安保部に所属しているようです。

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▲国家安保部の人物の名前はわからないので、電話番号から4885さんと便宜上呼ぶことにします

4885さんは、「この携帯電話を調べ、隣の部屋にいるテロリストを起訴する手掛かりを見つけよ」という任務を突きつけてきました。つまり、この携帯電話の持ち主はテロの容疑者で、主人公の隣室にて取り調べを受けている模様。でも、なぜ主人公が任務を任されたのか? それは主人公も何らかの疑いをかけられ、勾留されているからのようです。潔白を示すために任務をこなせというわけですね。

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▲任務を達成すれば、自分や家族がただの国民であると証明できる? 服と電話を取り返せる? これって脅しじゃないの! ……って、主人公はいま全裸なの!?

理不尽だと思いつつもやるしかないようです。4885さんの言うとおり、まずはToDoアプリをダウンロードしてみます。ここに調べるべきことがタスクとして表示されるので、何から手をつけたらいいのかという不安は解消されました。しかも行き詰まりを感じたときは、4885さんからメールで助言が届きます。本作は難しいって噂だったけど、意外と親切な作りに驚きつつ調査は加速していきます。

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▲ToDoアプリの使いかたとして、クエストのチュートリアルが表示されます

その矢先、また電話がかかってきました。今度は4885さんではなく、電話帳に登録してある人からの着信です。出てみると、無言で切られてしまいました。持ち主の声じゃないとわかって警戒したのでしょうか。通話を終えるや否や、間髪入れずに4885さんからのコール。「自分以外の電話を取るな、掛けるな」と怒られてしまいました。やっぱり通話も監視されているんですね……。その後、4885さん以外からかかってくる電話は無視することにしました。

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▲持ち主と親しい人からでしょうか。この国の電話番号は基本的に4ケタみたいですね

しぶしぶ携帯電話の調査に戻り、SNSなど各種アプリのパスワードを探ってみますが、やはり簡単ではありません。私がとくに悩んだのが、カメラロールにある秘密のアルバムのロック解除です。野次馬根性とともに「この持ち主だったら、どんな番号に設定する?」と想像を膨らませながら、あらゆる可能性を試していきます。あくまで主観ですが、メールや写真などを見ると電話の持ち主はリア充でマメなタイプ。活動的ですが真面目な一面もあるといったイメージです。この性格がパスワードにも反映されていれば……?

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▲このなかにどんな写真が隠されているのか!?

そうしてパスワードを突破する快感に押され、疑似的な罪悪感がだんだんと薄れていきましたが、その一方で進捗を喜ぶ4885さんの言動に不信感が募るばかり。証拠になりそうな情報を挙げているのは自分ですが、そこまでテロを示唆するものではないような……。

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▲4885さんはちょっとしたことでもテロに結びつけようとするので、なんだか冤罪の片棒を担いでいる気分です

写真やSNSでの発言など、持ち主がテロリストと疑わしい証拠は数こそ揃いましたが、どれも決定的とは言えないものばかり。それでも4885さんは十分と判断したようで、ここでひとつの結末を迎えることに。このエンディングで携帯電話の持ち主はどうなったのかは明かされませんでしたが、語られるまでもなく無事では済まされないでしょう。
あっけない幕引きに驚きつつも、まだ未解決だったパスワードがあったことに気づかされました。こうした推理モノや脱出ゲームなどは得意だと思っていた手前、自力で解けなかったのは悔しい! 

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▲ムッソリーニのスローガンが引用されたラスト。重い効果音も相まって、恐ろしい……

2周目からが本番!? 思いつく限りのことを試せ!

主人公の任務はひと区切りついたものの、このままでは終われません。すぐさま2周目をスタートしました。今回も携帯電話を持った状況は変わらずで、パスワードなどにランダム性もない様子。勝手知ったる他人の携帯電話なので、スイスイとロックを解きつつ4885さんの指示に沿って進めていきますが、今回は新たなアプリ“Lawウィジェット”が追加されました。それは、テロ画策の証拠がどの罪に値するか決めるものでした。例えば「この写真が怪しい」となったとき、「法の、この条項に違反する」という理由づけもセットで行うのです。

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▲組み合わせがマッチしていれば、証拠として採用されるわけですね

ただ、このまま証拠を挙げ続ければ「また持ち主がテロ犯とされ、前回と同じ結末を辿るのでは?」という思いがよぎります。そこで、今回はいろいろと4885さんに歯向かってみることにしました。電話をかけてみたり、4885さんの連絡をあえて着信拒否にしたり……。

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▲多くは悲惨な結末に直行でしたが、そのフックとなった行動のまえからリスタートできるのが便利

そうした経験を積み重ねていくたびに、奇妙なワードを目にするようになりました。暗号のようですが、これを解いてもどこで使うのやら……? その逆で「きっとここで何か起こるはず」という部分は見つけているのに、入れるべき答えがわからない。ゆったりとしたBGMが流れるなか、もどかしい時間だけが過ぎていきます。

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▲BGMは携帯電話のMusicアプリからリピート再生されています。行方不明の意味もある『Missing』という曲名があったりと、ちょっと不穏な感じも。曲調自体は作品にぴったりだけど、持ち主は若いわりに渋い好みですね

もうどうしてもわからないので、ついに禁断の手段に踏み切りました。有志が運営する攻略サイトを家族に見てもらい、そこから最小限のヒントを出してもらうことに。ああ、本当に悔しい……。それでようやくいくつかの謎が解けたのですが、近いところまで迫っていたものもあれば、まったく想像が及ばなかったものもありました。
ネタバレを回避するためふんわりとしか語れないのですが、振り返れば本編中にもさりげなくヒントが出ていたんですよね。それを活かせなかった。ただ、個人的には○○○○○○のネタは「わかるかーい!」とツッコミたくなりました。世界的に知れた事柄かもしれませんが、覚えてないよ……。ある行為が必要なものは、なんだか昔懐かしいファミコンの迷作の薫りがしましたね。自力で解いた人に賞賛を贈ります。
本作は複数のエンディングのほかにもちょっとしたチャレンジが仕込まれていて、発見&解決する楽しみもあります。開発者さんの遊び心なのでしょうか、目を疑う結果になることもありました。確かにあの一家も世界的に知られていますものね。こうした仕掛けはインディー作品ならでは。何のことを言っているかは、ぜひプレイして確かめていただければ!

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▲画面の上隅に電池アイコンなどが並んでいますが、それらがエンディングやチャレンジを達成した証として点灯する仕組みになっています

今回、『REPLICA(レプリカ)』に挑んでみて善戦したつもりですが、スタッフロールの出る重要なエンドを自力で迎えられなかったことは痛恨の極み。改めて噂どおりの手強いアドベンチャーゲームだったと実感します。ときには力業を使う仕掛けもありましたが、そこもまた頓智が必要だったり。謎解きの難しさだけでなく、思いつく限りのアクションに何らかの反応がある細やかさも光っていました。1周目で国家安保部の闇を匂わせることで、そこからプレイヤーが「何かできないか」と試行錯誤するように自然な誘導にも成功していました。最初は「テロリストの秘密を赤裸々にしてやるぜ」とゲスな根性丸出しだったくせに、こうも心持ちが変わるとは不思議です。
この作品で主人公や携帯電話の持ち主に降りかかった出来事は、自分や身内にも起こり得る事態として想像できるものです。そのリアリティが、不気味さや監視社会への恐ろしさをより濃くしているとも感じました。じつは自分も以前に携帯電話を置き忘れた経験があり、そのときは大事にならなかったものの、もし運が悪ければ彼らのように事件に巻き込まれたかもしれないと思うとゾッとしました。フィクションとはいえ、あっさりと起訴されてしまうほど個人情報の宝庫である携帯電話。それを持ち歩いている日常も少し怖いですね。自分の携帯電話のパスワードは大丈夫かな、と不安にもなりました。他人が想像しやすいパスワードに設定している方は、見直してみることをおすすめします。え、自分のは大丈夫? 本作『REPLICA(レプリカ)』をプレイしたら、そうは言っていられなくなるかも……?

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■タイトル:REPLICA(レプリカ)
■発売元:PLAYISM
■対応ハード:Nintendo Switch™ 
■ジャンル:インタラクティブノベルアドベンチャーゲーム
■対象年齢:12歳以上
■発売日:発売中(2020年11月7日)
■価格:ダウンロード版 498円(税込)


『REPLICA(レプリカ)』ニンテンドーeショップ

©2016, 2020 SOMI Inc., Licensed to and published by Active Gaming Media, Inc.

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