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崎山つばさ、郷本直也らが“少年漫画独特の熱量”ほとばしる舞台を一丸となって立ち上げる──舞台「幽☆遊☆白書」其の弐 いざ開幕!

崎山つばさ、郷本直也らが“少年漫画独特の熱量”ほとばしる舞台を一丸となって立ち上げる──舞台「幽☆遊☆白書」其の弐 いざ開幕!

舞台「幽☆遊☆白書」其の弐が、12月5日(土)品川プリンスホテル ステラボールにて開幕した。
大人気原作の舞台化・第2弾。浦飯幽助 役・崎山つばさ、桑原和真 役・郷本直也、蔵馬役・鈴木拡樹、飛影 役・橋本祥平、コエンマ 役・荒木宏文らメインキャラクターを演じるキャストたちが継続しており、より磨きのかかった必殺技を発揮している。
さらに今作は人気の敵キャラクターである「朱雀」や「戸愚呂兄弟」も登場! 朱雀 役は木津つばさ、戸愚呂兄は中河内雅貴、戸愚呂弟は片山浩憲が演じる。彼らの怪演ぶりにも注目だ。
随所から“少年漫画”らしい熱量が噴出しているステージ。ゲネプロの模様を収めたオフィシャル写真と、ゲネプロ配信の観劇レポートをキャストコメントと合わせてお届けする。

取材・文 / 片桐ユウ


どんな困難があろうが前を向いて進む。立ち向かっていくしかない

“少年漫画を舞台でやろう! 全力で!!!”という闘志がメラメラと燃えているような舞台だ。

『週刊少年ジャンプ』(集英社)にて1990年から1994年にわたり冨樫義博が連載した人気作品の舞台化。
2019年8月の初演では原作ファンからの注目と、その期待に応えるべく舞台を作り上げてきたカンパニーの高まりが一体となり、“2.5次元”創生期の頃にも似た緊張感と高揚感を生み出していた。

今作は待望の続編。不良学生・浦飯幽助が不慮の事故からの蘇りを経て「霊界探偵」となり、蔵馬、飛影ら仲間と出逢うまでを描いた第1弾から続く物語である。

以下は【ネタバレ】を含んでのレポートとなるので、ご承知おきいただきたい。

冒頭は、浦飯幽助(崎山つばさ)、桑原和真(郷本直也)、蔵馬(鈴木拡樹)、飛影(橋本祥平)が次々に登場して必殺技を披露していく、胸の高鳴るオープニング。

そのラストにコエンマ(荒木宏文)が登場して、前作で修行シーンがカットされたことを嘆く幻海(エリザベス・マリー)と共に、メタ要素たっぷりのコミカルな会話を繰り広げる。
コエンマはビデオテープ(VHS!)を再生して、これまでの幽助たちのバトルを振り返っている……という大枠があり、この設定が前作の説明や次作への布石として大いに生かされる。

コエンマ 役の荒木宏文は、開幕直前コメント(ゲネプロ配信後のVTR)にて「“どうしてもやりたい演劇”を考えたうえで作品を作ってきました。舞台演劇として隅々まで楽しんでもらえる作品に仕上がっていると思います。アナログ的な舞台表現と、最新技術を織り交ぜたハイブリッドな表現を“舞台『幽☆遊☆白書』の色”として今回もたくさん取り入れています。役者一人ひとりが課題を持ってチャレンジしているので、取りこぼさないように見ていただければ幸いです」とメッセージ。

その言葉どおり、舞台でこそ生きる演出が今作にも多彩に取り込まれている。荒木は脚本を手がける伊藤栄之進、そして加古臨王と共に演出としても参加している。

演出家3人、という新たなトライも話題を集めていた第2弾。新型コロナウイルスの影響で初日が1日ずれ込んでの開幕となったが、浦飯幽助 役の崎山つばさは「配慮することはたくさんあるのですが、それを逆手に取るように全員一丸となって、前作よりさらに勢いのあるカンパニーとなって、皆様へ作品を届けられるように頑張ってきました」とコメント。
さらに「後ろ向きな事は何一つ感じていません。どんな困難があろうが前を向いて進む。それが幽助であり、与えられた試練なのだとしたら、立ち向かっていくしかないと思っています。もちろん現実はそう甘くはないので最大限の対策と調整をしながら、その中で座組一丸となって最後まで戦い続けられればと思います」と意気込みを見せた。

第一幕で描かれるのは、原作「霊界探偵編」に登場する「四聖獣」たちとのバトル。

ある日の幽助は不良に絡まれて相手を瞬殺するが、そこに現れた霊界案内人・ぼたん(平田裕香)によって、それが妖魔街から放たれた魔回虫の影響であることが明かされる。
陰湿な心を持つ人間に寄生する魔回虫を倒すためには、妖魔街に住む「四聖獣」が持つ蟲笛を破壊しなければならない。

「霊界探偵」の任務として、しぶしぶ「四聖獣」を倒すために向かう幽助に、彼のライバルである桑原と、元・盗賊の妖怪である蔵馬と飛影が助っ人に加わる。

こうして4人のチームが結成されるが、蔵馬と飛影が協力するのは減罪のための社会奉仕活動として。スマートに事情を説明してくれる蔵馬に対し、飛影は幽助への闘争心バリバリだ。
だが、そんなチグハグな4人に信頼関係が芽生えるキッカケこそ、このエピソードだといえる。

飛影 役の橋本祥平は、感染症対策を徹底してきた稽古期間を振り返り「仲が良い座組なだけに、ご飯を食べに行ったりふざけ合ったりということをしたいなという気持ちをグッと堪えて、しっかり作ってきました」と開幕直前にコメント。さらに「3人の演出家さんが目指す方向性は同じでありながら、面白いくらいに別の角度からのアドバイスだったので、スキのない舞台に仕上がったのではないかと実感しております」と自信を覗かせていた。

いわゆる“尖っていた”飛影が徐々に幽助のまっすぐな性根に感化され、その強さを認めるようになるまでを、橋本はクールなスタイルを貫きながらも繊細に表現している。

飛影の心情をフォローしつつ、柔和な微笑みでキザに薔薇を掲げる蔵馬を演じる鈴木拡樹は、初演よりさらにキャラクターが板についた印象。優美な立ち姿に加え、「薔薇棘鞭刃(ローズ・ウィップ)!」を繰り出す掛け声には痺れるものがあった。

鈴木拡樹は開幕コメントにて「(本来初日であった)4日の公演を楽しみにしてくださっていた皆様、大変申し訳ありません。配信、Blu-ray、DVDなどでこの作品にふれていただける機会があれば嬉しいです」と前置きしつつ、「今回また出ることを本当に嬉しく思います。少年漫画独特の熱量と舞台だからこそできる熱量がうまく組み合わさった、最高の作品に仕上がったのではないかと自負しています。この作品が皆様の元に安全に届くことを願っています」と観客に向けてメッセージを送っている。

この「四聖獣」戦では、各キャラクターが繰り広げる舞台ならではのバトル表現に注目だ。

プロジェクションマッピングを使った「裏切りの門」に始まり、全身岩石の妖怪・玄武は身体のパーツをそれぞれに黒子が持ち、舞台を駆け巡って死角から繰り出す攻撃を表現。巨大な虎のような妖怪・白虎との戦いは桑原 役の郷本直也が一人芝居で死闘の模様を伝え、青龍(榎木智一)と飛影によるバトルは、コエンマがビデオテープを巻き戻したり、スロー再生したり……といった様々な演出で行われる。

特に桑原VS白虎戦に関しては、桑原を演じる郷本は相当なプレッシャーを感じていた模様。開幕直前コメントでも「なかなかの課題を与えられて、役者人生の中で一番といっていいほどのプレッシャーと戦っています。お客様が入って初めて完成する場面だと思いますが、自分の中で稽古中に完成形が見えないのは初めて。このことを話すだけで手汗もすごいのですが(苦笑)、全身全霊をお届けする役者冥利に尽きる場面だと思っております」と、覚悟のほどを明かしていた。その全力っぷりをぜひとも感じて欲しい。

我が道を行くキャラクターが多い中で、状況説明や間を取り持つのも桑原に与えられた役割のひとつ。どんな相手にも真っ向から突っかかっていく彼のおかげで、関係性がクリアに見えてくる。物語に欠かせないキャラクターを、郷本は持ち前の明るさとひたむきさで好演している。

バラエティ豊かといえるバトルシーンの中でも、「四聖獣」のリーダー・朱雀(木津つばさ)と幽助の戦いは“THE・少年漫画”。術の表現もさることながら“ガチンコ”感が胸を打つ。

朱雀に目をつけられて追われる身となった雪村螢子(未来)、彼女を守りながら戦うぼたんの場面が別空間で展開されるため、より緊迫感のある場面に仕上がっている。朱雀を演じる木津つばさの独特の色気も悪役にハマっており、ファンも納得のキャスティングだったのではないだろうか。

第二幕から登場する、原作屈指の人気キャラクターである戸愚呂弟(片山浩憲)と戸愚呂兄(中河内雅貴)、そして左京(荒木健太朗)と雪菜(田上真里奈)のハマり具合も同様。再現度をクリアするのみならず、“舞台”にこだわった彼らの表現に注目だ。

戸愚呂兄は身体を変形させる能力を持つが、中河内雅貴はその卓越した身体能力で戸愚呂兄の不気味さ、身軽さを見事に表現。原作で戸愚呂弟の肩に乗っているビジュアルは舞台セットを使って違和感なく見せた。
中河内は開幕に寄せて「今は公演がやれる事だけでも有り難いので、公演中止とならないよう皆が安心して仕事が出来る環境を日々作ってくださっている方々に感謝しています。なので、舞台では役を演じることを思いっきり楽しみたいと思います!! そしてお客様に戸愚呂兄の素晴らしさをお届けしたいと思います!(笑)」とコメントしており、闇の美しささえ感じさせるような、魅力ある戸愚呂兄を体現している。

戸愚呂弟 役の片山浩憲は「『幽☆遊☆白書』の中でも大好きな戸愚呂弟というキャラクターを演じさせていただくにあたって、自分の中で色々と模索し続けてきました。戸愚呂弟として生きることの幸せを噛み締め、最後まで精進していきます」と、開幕コメント。
蠢く兄に対比するように落ち着いた佇まいで存在感を見せた。意気込みに違わない戸愚呂弟としての威圧感を大いに発揮し、大物の敵であることも示していた。

第二幕は汚い金持ち・垂金権造から、囚われの身の少女・雪菜を助け出す救出劇がメインとなる。軽快な曲に乗せて次々と敵を倒していく幽助と桑原のコンビネーションの良さ、タッグ感が楽しい。
幽助 役の崎山つばさは、初演よりずっと肩の力が抜けた印象。周囲の人を惹き付けてやまないカリスマ性や優しさ、幽助のまっすぐさが違和感なくフィットしている。

第二幕も、第一幕に続き丁寧な作りだ。冒頭こそ“バサッといく”という舞台化として避けられないエピソードのチョイスや、シリーズモノとしてのフォローがメタ要素によって述べられていたが、舞台化に選んだエピソードは皆でとても大事に形作ってきたのだろうと感じられた。

舞台、映像を問わず“第2弾”作品には様々な役割が課せられていると思う。始まりの物語としての新鮮さを持つ第1弾から、その良さと期待を落とさぬように引き継ぎ、さらに膨らませて第3弾へとつなげなければならない。
第1弾でなされた説明も新規の観客に新たに向けて必要とされるし、次へ続く伏線を引きつつも、ひとつの作品としての面白さも要求される。

その面で、舞台「幽☆遊☆白書」其の弐はいずれの役割もキッチリ果たしたといえるのではないだろうか。第1弾から続く楽しさと、次回作に寄せる期待がさらに大きくなった。
もちろん、チェック項目を淡々とこなしたということではない。その面白さの下にはキャスト&スタッフの諦めない熱量があったからこそ、という漲る情熱もしっかり伝わってきた。

今作は、戸愚呂弟が幽助との再戦を願って闇世界の一大イベント「暗黒武術会」に招待するところで幕引き。
コエンマの「約束は守る」という誓いを信じて、第3弾を待ちたい。

本作は12月15日(火)まで品川プリンスホテル ステラボールにて上演。その後、大阪公演が12月18日(金)~12月20日(日)COOL JAPAN PARK OSAKA WWホールにて、京都公演が12月23日(水)~12月30日(水)京都劇場にて上演予定。
ファンキャス配信とニコ生配信も行われる。

舞台「幽☆遊☆白書」其の弐

東京公演:2020年12月5日(土)〜12月15日(火)品川プリンスホテル ステラボール
※12/4公演が中止、東京公演初日が12/5に変更となりました。
大阪公演:2020年12月18日(金)〜12月20日(日)COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール
京都公演:2020年12月23日(水)〜12月30日(水) 京都劇場


<ファンキャス配信・ニコ生配信も実施>
詳細はこちらにてご確認ください。


原作:冨樫義博「幽☆遊☆白書」(集英社「ジャンプコミックス」刊)
脚本:伊藤栄之進
演出:伊藤栄之進/加古臨王/荒木宏文

出演:
浦飯幽助 役:崎山つばさ
桑原和真 役:郷本直也
蔵馬 役:鈴木拡樹
飛影 役:橋本祥平

雪村螢子 役:未来
ぼたん 役:平田裕香
幻海 役:エリザベス・マリー
朱雀 役:木津つばさ
青龍 役:榎木智一
雪菜 役:田上真里奈

左京 役:荒木健太朗
戸愚呂弟 役:片山浩憲

戸愚呂兄 役:中河内雅貴

コエンマ 役:荒木宏文

中村哲人/秋山皓郎/安藤勇雅/高間淳平/田﨑直輝/田邊 謙/戸舘大河

主催:舞台「幽☆遊☆白書」製作委員会

オフィシャルサイト
オフィシャルTwitter(@yuhaku_stage)

©舞台「幽☆遊☆白書」其の弐製作委員会
©Yoshihiro Togashi 1990年-1994年

舞台「幽☆遊☆白書」其の弐 Blu-ray&DVD発売

発売日:2021年5月26日
価格:Blu-ray:9,680円(税込)
DVD:8,580円(税込)
発売元:バンダイナムコアーツ
販売元:バンダイナムコアーツ
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