future×feature  vol. 32

Interview

ビジュアルの違和感で原作を邪魔してはいけない。『約束のネバーランド』でみせた、板垣李光人の矜持

ビジュアルの違和感で原作を邪魔してはいけない。『約束のネバーランド』でみせた、板垣李光人の矜持

2016年から4年にわたって『週刊少年ジャンプ』で連載された、白井カイウ(原作)&出水ぽすか(作画)による『約束のネバーランド』。コミックス全20巻の累計発行部数が2,500万部を突破し、TVアニメ化もされた人気作が“日本で”実写映画化されると聞いて、「なかなかハードルが高いのでは?」と思った人も多いだろう。

ヨーロッパのお屋敷を思わせるハウスに、多国籍な子どもたち。なかでもメインのエマ、レイ、ノーマンは、キャスティングを誤ると作品の雰囲気すら壊しかねない。赤毛のエマ、黒髪のレイはまだしも、髪だけでなく太い眉毛まで白いノーマンのビジュアルを再現できる若手俳優がいるのだろうか? と思っていたが、キャスト発表で「板垣李光人」の名前を見て得心がいった。なるほど、中性的で美しいビジュアルをもつ彼ならばできるだろうと。当然、板垣李光人も自身のニーズをしっかりと理解し、役に臨んでいたのだった。

取材・文 / とみたまい 撮影 / 増永彩子


原作ファンが実写化に望むことを、自分は理解できている。

映画『約束のネバーランド』 板垣李光人 WHAT's IN? tokyoインタビュー

本作の出演はオーディションで決定したとのことですが、オーディション時にアピールしたことは?

ノーマンは漫画だと11歳、映画では15歳という設定でしたが、いずれにせよ、歳のわりにはすごい落ち着いていますよね。エマやレイと比べても、年上に感じるようなところもあるので、オーディションの際もガツガツいくというよりは……僕も普段、はしゃぐようなタイプではないので、そのままでいこうと意識していたかもしれません。

オーディションが終わってすぐに合格を告げられ、板垣さんご自身も「ノーマンを演じることができるのは自分しかいない」と思っていたとのことですが、その理由は?

いまお話ししたように、年齢のわりには落ち着いているところがノーマンに通ずるというのがひとつ。ほかには……原作のファンの方たちは、キャラクターのビジュアルを含めて作品のファンであると思うので、そこを理解したうえで実写の表現をしていかなければいけないと思うんです。そういう意味で僕は長けているというか、実写化に対してファンの方たちが望んでいることを理解できている。そういう点からも、自分にしかできないと思いました。

原作のノーマンのビジュアルを裏切らない、ということですね。

そうですね。『約束のネバーランド』はストーリーや世界観がとても良いので、ビジュアルの違和感で邪魔してはいけないと思いました。観てくださる方たちに伝わらなければいけないものを、違和感のないように伝えるためにも、なるべく原作に寄せていきたいという思いが最初からありました。

白髪に白い眉毛、グレーがかった瞳というノーマンのビジュアルが、これほどしっくりくる人ってなかなかいないと思います。

ノーマンは特に西洋的なビジュアルなので、それを邦画で表現するのは、なかなか難しいですよね。ノーマンは眉毛がすごく太いんですが、僕も眉毛は結構太いので、撮影中は整えないようにしていました(笑)。

ノーマンを演じるにあたって、クランクインの2か月前からリハーサルを何度もされていたとのことですが、どんなリハーサルだったのでしょう?

リハーサルでは、いわゆるノーマンらしさを練習するのではなく、例えばレイっぽく素っ気ない感じや、エマみたいに感情がすぐ表に出てしまう子どもっぽさを表現するようなことをやっていました。というのも、リハーサルのときには気づいていなかったんですが、クランクインして実際にノーマンを演じていくなかで感じたのは、ノーマンの根底にある強さやアツさみたいなものを、平川(雄一朗)監督は僕のなかに植えつけておきたかったんじゃないか。そのためのリハーサルだったのかなと思いました。

クランクイン後に、リハーサルに込められた監督の真意に気づいた。

そうですね。リハーサルで求められることが全然ノーマンっぽい感じじゃなかったので、最初は戸惑いましたが、本番でやっていくうちに気づきました。

『約束のネバーランド』を通して、人間の複雑さに気づいた。 

15歳のノーマンを17歳の板垣さんが演じる難しさもあったかもしれません。アニメのノーマンは参考にしましたか?

内田真礼さん(アニメでノーマンの声を担当)が演じるノーマンの声の雰囲気や喋るトーンみたいなものは、すごく参考にしました。原作のファンの方たちがイメージするノーマンの声や話し方は、内田さんが演じたアニメのノーマンに近いと思うので、なるべく意識するようにしていました。

漫画原作やアニメがあるなかでの実写版ですが、板垣さんが演じた実写版のノーマンにしかないものとは、何だと思いますか?

僕は“自分ならではの”みたいなものよりも、「とにかく原作を大事にする」っていうのを強く意識していたので、そういうものはないかもしれません。台本にも漫画のコマをコピーして貼って、「腕を組むときって、どういう風にしていたっけ?」とかって、すぐに照らし合わせることができるようにしていたので。コマの雰囲気やノーマンの表情を確認しながら演じていましたね。しいて言うならば……(しばらく考え込む板垣さん)原作よりも少し歳が上の設定ですし、声がアニメよりも低くなっているので、ノーマンの安心感というか、包容力みたいなものは増したかなと思います。

映画『約束のネバーランド』 板垣李光人 WHAT's IN? tokyoインタビュー

浜辺美波さんが演じるエマ、城桧吏さんが演じるレイの印象はいかがでしたか?

エマは太い芯が一本通っていて、浜辺さんから発せられる言葉に本当にウソがないんです。すごくキレイな言葉が出てくるんですよね。原作のセリフが美しいというのもあると思いますが、浜辺さんが発するエマの言葉を、自分がノーマンとなって受け止めると、改めてエマの清らかさや真っ直ぐさを実感できたというか……エマとノーマンが感情をぶつけ合うシーンなんかではとくに感じましたね。レイも、レイなりの考えがあって、レイなりの優しさがあるじゃないですか。それを桧吏が真っ直ぐに表現していて……とくに、ドンとギルダに計画を打ち明けるシーンでそれを感じました。原作で抱いていたエマやレイの印象が、実際にノーマンとなって二人と対峙したことで、さらに強く実感できました。

ノーマンを演じてみて、「ここは自信がある」と思ったところは?

シーンで言うとネタバレになってしまうので(笑)、そうですねえ……エマとレイは思ったことをポンって言うし、表情にも出しますが、ノーマンは何を考えているのか本当にわからないですよね。みんなの前では心の内を見せないので、映画を観ている人にも「ノーマンはいま何を考えているんだろう?」と思ってもらえるように、内心を悟られないようにしたいなと思ったんです。

そのためにも、“不親切なお芝居”を意識したというか……お芝居って本来、観ている人に伝えるものじゃないですか。でも序盤はとくにあんまり伝えないように、画面の向こうで観ている人たちとも駆け引きするようなイメージで演じたので、それがうまくできていたらいいなと思います。

映画『約束のネバーランド』 板垣李光人 WHAT's IN? tokyoインタビュー

本作に出演したことで、役者として新たに得たものは何だったでしょうか?

リハーサルについてお話しした際に言ったことと重なるんですが、ノーマンの一番奥深いところにアツさと強さがあって、そのうえに思慮深さと優しさがあるっていう……そういった、ひとりの人間を構成する要素が何層にも重なっているというのは、監督に演出をつけていただいて気づいたことでした。それをどう表現していくか、というのは、今後の課題としてずっとあると思うんですが、『約束のネバーランド』を通して人間というものの複雑さに気づくことができました。

中性的な役も演じることができるビジュアルが強み

映画『約束のネバーランド』 板垣李光人 WHAT's IN? tokyoインタビュー

現時点での、役者としての目標や理想の役者像はありますか?

僕は香川照之さんや堺雅人さんが好きなんですが、お二人とも、顔が画面にポンと出ただけで、画の空気がガッと変わる感じがしますよね。そういった凄みだったり圧みたいなものを操ることができたら面白いだろうなと思っていて。たぶんそれって、自分でやろうとしてできるものではなくて、経験を積んで自然に身についていくものだと思うんですが、お二人みたいに空気を操れるような役者になっていけたらいいなと思っています。

やってみたい役などはありますか?

『約束のネバーランド』もそうですが、普通に生きていたらできないようなことをやりたいので……殺し屋とかがいいですね(笑)。僕は『Diner ダイナー』みたいな雰囲気の作品がすごく好きなんです。

現時点での、ご自身の役者としての強みは何だと思いますか?

『仮面ライダージオウ』で演じていたウールは髪が長くて中性的な、ミステリアスな感じでしたが、今回のノーマンも……自分で言うのも恥ずかしいですが(笑)、顔がキレイじゃないといけない役だと思いますし、一方で胸を預けたくなるような、ある種の男らしさみたいなものもありますよね。そういった中性的な感じも、男性的な感じも、ビジュアルを含めて流動的に表現できるっていうのは、自分が持つオリジナリティなんじゃないかなと思います。

映画『約束のネバーランド』 板垣李光人 WHAT's IN? tokyoインタビュー

ノーマンたちのように圧倒的な壁にぶち当たったとき、板垣さんはそれをどのように乗り越えようとするタイプでしょうか?

登ろうとはしないですね(笑)。なるべく壁が低いところを探すか、抜けられそうなところを探すタイプだと思います。壁が高すぎて、それを登るためにすごい時間がかかってしまうくらいなら、半分ぐらいの高さの壁を2個越えたほうがいいなと思うタイプなので……効率を求めちゃいますね(笑)。

先ほど城さんをインタビューしたのですが、板垣さんに向けてのメッセージを預かってきました。

ふふ(笑)。なんだろう?

「李光人くんと一緒だったから、壁を乗り越えられた」と。

あははは!(嬉しそうに笑う板垣さん)

それを聞いてどう思いますか?

桧吏にとっての、あの高い壁を乗り越えたのは、完全に桧吏の力だと思います。僕は……なんかしたっけなあ?(笑)一応年上なので、いろいろ言ったりはしましたが……壁の上から縄を投げてもらっても、登れるか登れないかってやっぱり本人次第なので。それはもう、桧吏の力だと思います。僕は本当に何もしてないです(笑)。

映画『約束のネバーランド』 板垣李光人 WHAT's IN? tokyoインタビュー

城さんに声をかけるとしたら?

「本当によく頑張りました」と言いたいですね。撮影当時は12歳だった桧吏が、あれだけ監督にいろいろ言われながらも、一生懸命やっていて。自分が桧吏の立場だったらもう……現場に行かないんじゃないかな? っていうぐらい(笑)大変だったと思うので。「本当にお疲れさまでした」と言いたいです。

城 桧吏さんのインタビューはこちら
練習を積み重ねることでしか壁は登れない。『約束のネバーランド』の城桧吏から学ぶ“努力の姿勢”

練習を積み重ねることでしか壁は登れない。『約束のネバーランド』の城桧吏から学ぶ“努力の姿勢”

2020.12.15

【募集終了】抽選で2名様に板垣李光人さんの直筆サイン入りチェキをプレゼント!

板垣李光人さん直筆サイン入りチェキ

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応募期間

※募集期間は終了致しました。

12月15日(火)~12月22日(火)23:59


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板垣李光人

2002年、山梨県生まれ。2014年にスクリーンデビュー。大河ドラマ『花燃ゆ』(15/NHK)、『仮面ライダージオウ』(18/EX)、映画『悪と仮面のルール』(18)など、広い分野で活躍中。出演映画『ツナガレラジオ~僕らの雨降Days~』が2021年2月11日に公開予定。

オフィシャルサイト
https://www.stardust.co.jp/section1/profile/itagakirihito.html

オフィシャルTwitter
@itagaki_rihito

オフィシャルInstagram
@itagakirihito_official

フォトギャラリー

映画『約束のネバーランド』

12月18日(金)全国公開

出演:浜辺美波、城 桧吏、板垣李光人 渡辺直美 北川景子 ほか

原作:「約束のネバーランド」白井カイウ・出水ぽすか(集英社ジャンプコミックス刊)
監督:平川雄一朗
脚本:後藤法子
配給:東宝

オフィシャルサイト
https://the-promised-neverland-movie.jp/

©白井カイウ・出水ぽすか/集英社 ©2020 映画「約束のネバーランド」製作委員会

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