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フレディー・マーキュリーとのユニゾンを体験!『レッツ・シング・クイーン』伝説のボーカリストに食らいつけ!

フレディー・マーキュリーとのユニゾンを体験!『レッツ・シング・クイーン』伝説のボーカリストに食らいつけ!

ミュージックビデオに合わせて、歌う。こんな日常的な行為にスコアが反映される画期的なゲーム『レッツ・シング』シリーズに、フレディー・マーキュリー率いるイギリスの伝説的ロックバンド、クイーンの楽曲を全面的にフィーチャーした怪作が登場した。それが『レッツ・シング・クイーン』で、このたびNintendo Switch™でも遊べるようになった。本作は“音ゲー”ならぬ“歌唱ゲー”。ボタンを押したり画面に触れたりといったゲーム的な操作ではなく、文字どおりプレイヤー本人がマイクに向かって実際に歌い上げてスコアを競うのだ。そんな個性的な一本をアフター・クイーン世代のライターがリポートする。

文 / カタカメーン


マイク必須だがスマートフォンで代用可能

長くなるが、まずリポートするまえに筆者とクイーンとの距離感を正直に述べておく。この記事を執筆した筆者は1975年、最大のヒット曲『Bohemian Rhapsody』が発売された年に生を受けた45歳。物心がついた頃の音楽シーンはヒップホップの台頭を感じつつ、グランジやオルタナティヴ、ブリットポップのバンドが人気を博していた。ディスコからヒップホップへ、巨大なホールからライブハウスへ、クラシカルなアプローチからパンク的なアプローチへ。そんな渦中に多感な年齢を過ごした筆者にとってクイーンは長年、最もイケていないバンドのひとつとして存在している。
よってクイーンが残した光跡も、どこかコミカルに受け止めているのも事実。白いタイツの男性がボトムレスのマイクスタンドを巧みに操りながら歌唱する独特のパフォーマンスは、本家のフレディー・マーキュリーより先に、深夜のテレビ番組『三宅裕司のいかすバンド天国』に出演(1990年)していたコピーバンド、GUEENのフレディー波多江に見せつけられた。“デンデンデンデケデンデン”のベースラインを聴いても、クイーンが盟友デヴィッド・ボウイとコラボレーションした名曲『Under Pressure』ではなく、フロリダ出身の白人ラッパー、ヴァニラ・アイスがガッツリとサンプリングした『Ice Ice Baby』(1991年発売)を思い浮かべてしまう。そして、クイーンが生み出した楽曲のダイナミックさを初めて感じた瞬間も本家の歌唱ではない。フレディーの没後(1992年)にロンドンのウェンブリー・スタジアムで開催された追悼コンサートで、ジョージ・マイケルが完璧なパフォーマンスを披露した『Somebody to Love』の映像だったりする。筆者の評価は近年も変わらず、クイーンの伝記映画『ボヘミアン・ラプソディ』(2018年公開)のヒットが聞こえてきたが、映画館に足を運ぶことはなかった。
そんな、クイーンにスレた筆者に本作のリポート依頼が舞い込んだ。クイーンに触れるいい機会と考え、快諾。何やらプレイにはマイクが必須のようなので、準備へと取り掛かった。本作は、Nintendo Switch™ドックのUSB端子や本体のヘッドホンマイク端子に挿せるものに限るが、ダイナミック型マイクロフォンやヘッドセットマイクなどにも対応している。ユニークかつ手軽なのが、スマートフォンにも対応していること。専用の無料アプリをダウンロード&インストールするだけで簡単に同期できた。歌唱中にボタンを操作することがなく、片手でスマートフォンを持ちながらプレイしても問題がなかったので、筆者はこちらを採用。スケルトンマイクを抱えるようにスマートフォンを左手に持ち、ゲーム本編を立ち上げると30曲ほどのタイトルがズラリと並んだ。『We are the Champions』など、うっすらとサビだけが口ずさめそうな曲が3~4曲。曲名を選択するとミュージックビデオのプレビュー画面が再生された。そのなかにも『I Want to Break Free』など既視感のある映像が3~4曲。こんな状態でゲームをスタートした。

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▲メインの画面はミュージックビデオが背景。楽曲の決めどころは音符が金色になり、獲得スコアが5倍になるので慎重に

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▲プレイヤーのアイコン(アバター)は、プレイを重ねレベルが上昇するたびに解放されていく

歌詞の発音より正しい旋律こそ正義!

メインのモードは、ソロはもちろん最大4人までが参加可能な“Classic”だ。歌詞が重なるカラオケ風(ボーカルのパートはONのままなのでカラのオーケストラではない)の画面を観ながら、楽曲を歌い上げることになる。音符とガイド線が重なったタイミングで発声し、波線で表示される自身の音程が画面の左から右に流れてくる枠に収まる範囲であればスコアが加算し続ける。簡単に説明すれば、テレビ番組の“歌うま○○”が家庭でも楽しめる感覚。音程を正しく発しているか否か。ピッチがブレる許容範囲を絶妙に調整した技術力に感心するも束の間、クイーンが手がけた楽曲の難度に辟易してしまうことに。
いざ楽曲が始まるとイントロからアウトロまでがしっかりと流れ、早送りもできない骨太な仕様。よって最初の難関は、サビ以外の旋律を覚えることだった。楽曲ごとに難度が5段階の星印で表示されており、どの楽曲も最後まで一度プレイすればミュージックビデオが鑑賞できるようになるので、ひとまず難度が星1つの『We Will Rock You』と『Radio Gaga』をプレイし、しばらく鑑賞を繰り返した。なお、おおよそ歌とは言えない「Ooh」や「Yeah」といった旋律にも、しっかりとスコアの判定基準となる枠が設定されているので、フレディーの興が乗りまくっている楽曲はおのずと難度が高まりそうだ。筆者はクイーンに疎いのでこう感じたが、楽曲が頭に叩き込まれているファンならばいきなりバリバリと各楽曲にチャレンジできるだろう。

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▲複数人でも同時にプレイ可能。いっしょに歌うだけでなく、ボーカルパートを順番に歌ったり、コーラスパートが回ってきたりと旋律は楽曲やモードによってさまざま

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▲歌詞への理解を深めるのはあと回し。まずは曲全体の旋律を掴み、ハミングで口ずさめるようになればスコアは伸びていく。自信ができたら“World Contest”に挑戦だ!

しばらくプレイしていると、正しい音程さえ取れていれば歌詞の発音は曖昧でもスコアが変化しないことに気づく。「フンフンフーン」でも「ニャニャニャーン」でもスコアは伸びていくので、原曲の旋律を掴んだあとはハミングでも乗り切れることが判明したのだ。英単語力に自信のない筆者は、この発見でずいぶんと気持ちが楽になった。また、どんなに自分とキーが合わなくても原曲キーのまま、フレディーとともにユニゾンで歌いきるとスコアが伸びた。カラオケ機とは違って本作ではキーの上げ下げができないので、高音部ではついついオクターブ下の歌唱に逃げてしまいがち。オクターブ違いで歌っても正しく採点してくれるが、筆者の音感では瞬時かつ確実にオクターブ下で歌唱できず、音程がブレてしまってスコアを加算できずにいた。
スマホのマイクアプリの反応は優秀で、かなり小さな声でも拾ってくれることに気をよくして、高音域に突入しても裏声ハミングで歌い続ける。そんなダイナミクスの欠けらもないボーカルスタイルの筆者の歌唱の側では、つねに圧倒的な声量で歌い上げるフレディーの歌唱が聞こえてくる。調べてみると、彼は4オクターブもの音域が発せるらしい。このようにユニゾンでの歌唱を強引に続ければ続けるほど、レジェンドの凄みを実感できるだろう。

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▲ボーカルパートの細かな詞割りを徹底的にゲームに落とし込んでいるため、完コピできれば本当に歌唱力がつきそうだ

AIが相手してくれるデュエットやボーカルバトルも用意

最後は、搭載されている各種モードも簡単に解説しておく。本作には“Classic”以外にも、デュエットしながらプレイヤー同士の相性バーを満たす“feat.”、5曲を選んでサビだけを歌い続けられる“Mixtape 2.0”、ただただミュージックビデオを鑑賞する“Jukebox”、エントリーしている世界中のプレイヤーが歌唱したデータ(あくまでもポインターが動作するだけで実際の声が入っている訳ではない)と非リアルタイムで対戦する“World Contest”、チームに分かれて4ラウンドの先取を競う“Let’s Party”と、いろいろなモードが用意されている。
筆者のおすすめは、断然“Mixtape 2.0”だ。どこかで耳にしたことのある楽曲を手軽かついいとこ取りで歌い上げられるので、音程を探りながらしょっぱく歌うことから解放される。ただし、一度は“Classic”で曲の最後までプレイしないと“Mixtape 2.0”の選択リストに加わらないので注意。よって筆者のようなライトなファンは、まずスコアを気にせず有名曲だけを“Classic”で歌い、アンロックされた楽曲が溜まったら“Mixtape 2.0”でプレイすると気持ちよく遊べるだろう。なお、どのモードでもプレイヤーの歌唱力に合わせてAIが相棒や好敵手をまかなってくれるので、ソロプレイでもひととおり楽しめる。

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▲名作とされるミュージックビデオもたっぷり観賞できる。『I Want To Break Free』で見られるメンバーの女装姿はリリース当時、物議を醸した

いろいろなスタイルでクイーンの楽曲にチャレンジしていると、歌唱面でフレディーの巧みさを何度も感じた。情感たっぷりのヴォリュームコントロール、艶やかなロングトーン、大胆かつ繊細なポルタメント(異なる音と音とを滑らかに音程を変えながらつなぐ技法)など、とても真似できないものばかりだが、実際に歌ってみたからこそ偉大さが伝わってきた気が強くする。そして何より、本作ではプレイヤー自身が持つ歌唱の実力が数値として残ることも特筆すべき機能だ。クイーンが題材のタイトルではあるが、自身の弱点を視覚的に把握し克服するツールと考えれば、安い買い物だ。フレディーの表現力を盗む勢いで、この冬は『レッツ・シング・クイーン』で自身の歌唱力を鍛えてほしい。筆者もこの冬に、もう少しクイーンに触れてみることにする。


■タイトル:Let’s Sing Queen(レッツ・シング・クイーン)
■発売元:Ravenscourt
■対応ハード:PlayStation®4、Nintendo Switch™、Xbox One
■ジャンル:歌唱ゲーム
■対象年齢:12歳以上
■発売日:発売中(2020年10月2日)
■価格:ダウンロード版 PlayStation®4 4,180円(税込)/Nintendo Switch™ 4,200円(税込)


『レッツ・シング・クイーン』オフィシャルサイト

Let’s Sing Queen © Voxler SAS. Published 2020 by Ravenscourt. Ravenscourt is a division of Koch Media GmbH, Gewerbegebiet 1, 6604 Hofen, Austria. © and developed 2020 by Voxler SAS, 8 passage Brulon, 75012 Paris, France. ©2020 Queen Productions Limited. Under license to Bravado Merchandising. All rights reserved.