Interview

TVアニメ『呪術廻戦』映像、脚本、キャスト、OP&EDもスゴい“最強のアニメ化”の舞台裏。「これからさらに面白くなります」

TVアニメ『呪術廻戦』映像、脚本、キャスト、OP&EDもスゴい“最強のアニメ化”の舞台裏。「これからさらに面白くなります」

【TVアニメ『呪術廻戦』製作プロデューサーインタビュー・後編】

「週刊少年ジャンプ」にて連載中の大人気コミック作品を原作に、2020年10月より待望のTVアニメ化を果たした『呪術廻戦』。先日放送された第7話では、作中最強の呪術師・五条 悟がついに領域展開し、内容、映像ともに前半のクライマックスにふさわしい盛り上がりを見せた。そして物語は原作人気を確たるものとしたエピソード「幼魚と逆罰」(ようぎょとさかばち)編へ……。

本作の東宝・松谷浩明製作プロデューサーに製作の舞台裏を聞くロングインタビュー、その後編となる今回は、作品を彩るキャスティングやOP&ED主題歌、そして気になる今後の展開について訊く。

取材・文 / 山下達也(ジアスワークス) 構成 / 柳 雄大

インタビュー前編はこちら

ジャンプ作品ならではの“神”バトルアクションで注目。TVアニメ『呪術廻戦』製作プロデューサーが作品に惚れ込む理由とは?

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2020.11.19


原作者・芥見下々のアイデアも随所に盛り込まれたキャスティング

今回は、TVアニメ『呪術廻戦』の魅力的な映像に命を吹き込む、声優やアーティストに関したお話から伺っていきます。まずはキャスティングですが、主人公・虎杖悠仁(いたどりゆうじ)役に榎木淳弥さんが選ばれた経緯をお聞かせください。

松谷 実は虎杖に関しては、原作の芥見先生の中にもあまり明確な声のイメージがなかったようなんです。このため朴監督はじめスタッフ側でたくさんの方の声を聴いた上で、芥見先生とイメージをすりあわせていき、最終的に榎木淳弥さんにお願いすることになりました。

松谷製作プロデューサーは、榎木さん演じる虎杖をどのように感じましたか?

松谷 榎木さんにはすごく等身大かつ自然体なお芝居をしていただいてる印象です。虎杖の持つやんちゃなところ、繊細さも持ち合わせているのだけれども芯の太いところ、それでいて得体の知れないところ……。そうした「直球ど真ん中の主人公」的でない部分の魅力を、榎木さんの声がより一層引き出してくれたと感じています。

原作でも特に人気なキャラクターの1人である五条 悟についてはいかがでしょう? 声を担当する中村悠一さんは、原作単行本3巻(2018年12月発売)のPR動画でも五条役をやっていました。

松谷 この人しかないなって思っちゃいますよね。なにせ、作中最強の呪術師ですから、それを演じ切れるのは中村さんしかいません(笑)。

そのほか、個人的にいいなぁと思ったのが伊地知潔高役の岩田光央さんです。伊地知は見た目の割に26歳という比較的若いキャラだったりしますが、そのあたり、アニメではどういう基準でキャスティングされたのでしょう?

松谷 伊地知というキャラクターの情報の解像度を上げれば上げるほど、岩田さん以外考えられないな、と。あの中間管理職的にひぃひぃ言っている感じは“岩田節”というか、さすが岩田さん!という感じでした。アニメではこれからさらに伊地知の登場シーンが増えていくのですが、岩田さんのおかげで魅力が大きく引き出されていると思っています。

ところでキャスティングと言えば、放送直前にTwitterの『呪術廻戦』アニメ公式アカウントに掲載された芥見先生のイラストコメントには、「漏瑚(じょうご)の声を千葉繁さんにしてほしい」とお願いしたことが書かれていましたよね。

松谷 そうですね。漏瑚に関しては芥見先生から具体的に千葉さんのイメージだというお話があり、また、僕らとしてもイメージ通りだったということもあって千葉さんにお願いすることになりました。

呪霊サイドのブレーン的立場であり、それでいて少しコメディリリーフ的な描写もある漏瑚は、たしかに千葉さんがピッタリですね(笑)。

松谷 ちなみに第1話のアフレコには芥見先生もお越しくださったのですが、千葉さんの演技にとても喜んでくださっていたのをよく覚えています。

千葉さんは第1話で虎杖のおじいちゃん(虎杖倭助)も演じていますね。

松谷 はい。おじいちゃん役をどなたにお願いしようかという時に、芥見先生が昔のアニメでよく見られた「兼ね役」(1人の声優が複数のキャラクターを演じること)がお好きとおっしゃっていたこともあり、朴監督からも是非! ということでしたので千葉さんに演じていただきました。ちなみに、この配役について深読みする方がいらっしゃるようなのですが、ごめんなさい、ここに深い意味はありません(笑)。

実は私もちょっと深読みしていたんですが、そんなことはないと(笑)。それ以外に、キャスティングで松谷製作プロデューサーの印象に残っているエピソードはありますか?

松谷 そうですね、呪霊の花御(はなみ)が女性の声だと知った時には驚きました。ビジュアル的に男性声だと思い込んでいたのですが、芥見先生から「花御は凛として強い女性の声のイメ―ジなんです」というお話を聞きまして……。田中敦子さんにお願いしたのはそういうわけです。

「キャラクターたちのMVみたいにしたい」というオーダーから生まれたエンディング

先ほどの芥見先生のイラストコメントにはもう1つ「OPアニメを山下清悟さんにお願いできないかというワガママを言いました」という部分があります。

松谷 そうですね。芥見先生は本当に山下さんの大ファンで、当初から何かしらのかたちでアニメに関わってくれたらうれしいなとおっしゃっていたんです。そうしたところ、特に朴監督とアニメーションプロデューサーの瀬下恵介さん(MAPPA)が中心となって調整をしてくださり、山下さんにOPアニメをディレクションしていただけることになったんです。

山下さんの手掛けたOPアニメ、素晴らしかったですよね。今後登場するキャラクターのイメージがダイジェスト的に、前半は静、後半は動というかたちで躍動感をもって描かれているのが良かったです。

松谷 ものすごく作品理解度の高い、随所にまでこだわった素晴らしい映像に仕上がっていますよね。もちろん芥見先生はめちゃくちゃ喜んでくださったそうです。

Eveさんの手掛けた楽曲『廻廻奇譚』もすごくマッチしていました。

松谷 はい。Eveさんには、アニメーションのOPに相応しい疾走感とメジャー感、そして『呪術廻戦』ならではのエッジの立った部分をしっかりと表現していただけたと感謝しています。

エンディングについてはいかがですか? こちらも第2話で初お披露目となった際、かなり話題となりました。

松谷 エンディングに関しては、当初から「キャラクターたちのMVみたいにしたい」というイメ―ジが監督の中にあり、そういう話をした記憶があります。その上でALIさんからピッタリな素敵な楽曲をご提案いただいたのですが、このパワフルな楽曲(ALI「LOST IN PARADISE feat. AKLO」)にいざアニメの映像を付けるハードルは決して低いものではなくて。そこでOP同様、朴監督と瀬下プロデューサーが中心となって、長添雅嗣さんという、アニメだけでなく実写CMやMV(BOOM BOOM SATELLITES、ももいろクローバーZなどのMVを担当)の世界で活躍している映像作家の方に演出をお願いしています。これによって、いわゆるアニメのEDとは異なる、すごく振り切ったものができたのではないでしょうか。

気になる今後の展開は…「想像を上回るものが上がってきています」

TVアニメ『呪術廻戦』第7話までの放送時点をふり返って、松谷製作プロデューサーとして特に気に入っている、皆にもう一度観てほしいといったパートはありますか?

松谷 製作プロデューサーの立場からすると、全ての話数を何度でも見直してほしいということになってしまうのですが……個人的な感想としては、第2話アバンの五条先生と両面宿儺のバトルは口があんぐりでした(笑)。凄まじいと。第1話から続けて観たこともあって、「これはすごいことになる!」と思ったのをよく覚えています。

このアニメは、そうしたヒキからの盛り上げがすごく巧みというか、構成がとにかく見事ですよね。テンポ良くポンポン進んでいっているようで、ダイジェスト的になったり、分かりにくくなったりしていないのは見事だと思いました。こうしたシリーズ構成、脚本的な部分の作り込みについてもお話を聞かせていただけますか?

松谷 まず、そうした大きな流れを決めているのはシリーズ構成・脚本の瀬古浩司さんですね。第1話から3話までは、瀬古さんがシナリオを書き上げた後、キャラクターデザインの平松禎史さん(第1話では総作画監督、絵コンテも担当)がコアディレクターとしても参加し、平松さんならではのアイデアをかなり追加していただきました。

具体的に挙げるとどのあたりでしょうか?

松谷 第1話で言うと、虎杖が両面宿儺の指を飲み込むシーンが原作から変わっているのですが、ここもまず平松さんのアイデアがありました。そこに芥見先生からの提案が加わり、キャッチボールをしながら、最終的にあのような描写になっています。

瀬古さんのお仕事についても、少し具体的に聞かせてください。

松谷 これから始まる吉野順平の描写については瀬古さんの力が大きく活かされています。アニメ化に際しては、芥見先生から「原作では順平を嫌われるようなキャラクターに描いてしまったところがあるので、単行本のおまけコーナーを参考にフォローを入れてほしい」とお願いされていたんです。

確かに、あれを読むと順平に対する印象がかなり変わりますよね。

松谷 それを具体的にシナリオに落とし込んだのが瀬古さんなのですが、芥見先生からご指摘や調整などなく一発で決定稿になったのですが、見事というほかありません。

どんなふうにアレンジされたのか、今から放送が楽しみです。では最後に製作プロデューサーという立場から、読者へのメッセージをお願いします。

松谷 原作ファンの方々ならばご存じのよう、TVアニメ『呪術廻戦』はここからさらにもう一段、グッと面白くなっていきます。五条に代わって虎杖を指導することになる1級呪術師・七海建人(ななみけんと)や特級呪霊・真人(まひと)、虎杖と新たに知り合う吉野順平といった人気キャラクターが続々と登場していきます。そして唯一無二の存在感を誇る東堂葵(とうどうあおい)ら個性の強い京都校のメンバーたちも。彼らの活躍と、新たな展開にご期待ください。

私は立場上、一足早く映像を確認させていただくのですが、毎回、自分の想像を上回るものが上がってきて感動しています。OPから本編、ED、そして「アニメじゅじゅさんぽ」まで、余すところなくお楽しみいただければ、これに勝る喜びはありません。

TVアニメ『呪術廻戦』

毎週金曜日深夜1時25分~
MBS/TBS系全国28局ネット“スーパーアニメイズム”枠にて放送中

【スタッフ】
原作:芥見下々(集英社「週刊少年ジャンプ」連載)
監督:朴 性厚
シリーズ構成・脚本:瀬古浩司
キャラクターデザイン:平松禎史
副監督:梅本 唯
美術監督:金 廷連
色彩設計:鎌田千賀子
CGIプロデューサー:淡輪雄介
3DCGディレクター:兼田美希・木村謙太郎
撮影監督:伊藤哲平
編集:柳 圭介
音楽:堤 博明・照井順政・桶狭間ありさ
音響監督:藤田亜紀子
音響制作:dugout
制作:MAPPA
オープニングテーマ:Eve「廻廻奇譚」(TOY’S FACTORY)
エンディングテーマ:ALI「LOST IN PARADISE feat. AKLO」(MASTERSIX FOUNDATION)

【キャスト】
虎杖悠仁:榎木淳弥
伏黒 恵:内田雄馬
釘崎野薔薇:瀬戸麻沙美
禪院真希:小松未可子
狗巻 棘:内山昂輝
パンダ:関 智一
七海建人:津田健次郎
伊地知潔高:岩田光央
家入硝子:遠藤 綾
夜蛾正道:黒田崇矢
五条 悟:中村悠一
東堂 葵:木村 昴
禪院真依:井上麻里奈
三輪 霞:赤﨑千夏
楽巌寺嘉伸:麦人
吉野順平:山谷祥生
夏油 傑:櫻井孝宏
漏瑚:千葉 繁
花御:田中敦子
真人:島﨑信長
両面宿儺:諏訪部順一

©芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会

オフィシャルサイト

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