Review

可愛いビジュアルとハードな世界のギャップ……パワーアップした『ピクミン3 デラックス』の魅力とは

可愛いビジュアルとハードな世界のギャップ……パワーアップした『ピクミン3 デラックス』の魅力とは

大人のゲームファンであれば多くの人が知っている、任天堂を代表する人気シリーズ『ピクミン』が7年ぶりに帰ってきました。『ピクミン3 デラックス』は、2013年に発売された『ピクミン3』に新要素を加えパワーアップさせたタイトルです。長い宇宙の旅の末にたどり着いた未知の星を舞台にして繰り広げられるAIアクションゲームは、不思議な生態をもつ可愛らしいピクミン、彼らがプレイヤーの操作ミスひとつで大量に死んでいく儚さの衝撃、忙しいながらも自分のペースで楽しめるゲーム展開、ボリュームたっぷりのコンテンツ……と注目するところが盛りだくさん。さらにキャッチーで完成度の高い作品に仕上がっています。まずは公式の紹介映像を見てピクミンの可愛らしさを堪能しつつ、記事を読み進めてください。

文 / 内藤ハサミ


忙しくて楽しい惑星探索

爆発的な人口増加と、無計画すぎる人々により食糧危機に見舞われている“コッパイ星”。そこから食料資源を探すため宇宙に旅立った調査隊のアルフ、ブリトニー、チャーリーの3人は、とある惑星に不時着します。そこには動物にも植物にも見える不思議な生き物“ピクミン”が住んでいて、なぜかアルフたちのあとをついてくるのです。調査隊の3人は彼らの力を借りながら惑星探索を進め、故郷のコッパイ星に食料を持ち帰るために動き出します。

ピクミン3 デラックス WHAT's IN? tokyoレビュー

▲投げる操作を練習。チャーリーの周りに集まるピクミン……カワイイ!

オブジェクトをターゲットし、ピクミンの種類を選んでオブジェクトや倒したい敵に投げつけることがピクミンへの命令となります。操作は非常にシンプルで簡単なため、すぐに慣れるでしょう。隊列に加えていないピクミンや指定の行動を終えたピクミンはその場でボーっとしているので、ホイッスルを吹いて再び自分の隊列に加え、次の行動をさせることを繰り返しながら進んでいきます。ホイッスルは、吹いた位置でなく任意の指定地点から円状に音が広がっていき、ある程度遠いところにいるピクミンも呼び寄せることができます。ピピーッとホイッスルを鳴らすと、あわてて駆け寄ってくるピクミンは大変にいじらしい……。

ピクミン3 デラックス WHAT's IN? tokyoレビュー

▲おいしそうな果実を運ぶピクミンたち。「エッホエッホ」と言っているようにも聞こえる声が愛おしい。本作をプレイして、ピクミンを好きにならないはずがない……

ピクミンは体の色によって得手不得手が大きく異なります。赤ピクミンは攻撃力が高く火に強い、黄ピクミンは遠くまで投げることができ電気に強い、羽ピクミンは空を飛び水上も移動できるといった個性があり、ほかに青ピクミン、岩ピクミン、白ピクミン、紫ピクミンがいて全部で7種類。白と紫のピクミンはミッション、ビンゴバトルにのみ登場します。それぞれの特性を考慮してピクミンたちに指示を出し、ものを運ばせたりギミックを解除させたりしてステージ攻略を進めていきます。ピクミンを投げる操作には独特の爽快感があり、ずっと投げていられる楽しさです。ピクミンはターゲットされたものによって、必ず決まった行動をします。原生生物にぶつけられれば戦う、脆そうな壁であれば叩いて壊す、フルーツや倒された原生生物などを運ぶ……など、できることは多岐にわたりますが、水中に入っていくことができる青ピクミン以外が水中のものを運び出すなど、極度に不得手なことはできません。自分の操作するコッパイ星人3人はピクミンのように働けず、できることはピクミンをけしかけることのみですが、未知のギミックに対しピクミンがどう動くのかを予想してそれぞれに適した仕事をさせてゲームの流れを積極的に作っていきます。アルフ、ブリトニー、チャーリーの3人は別行動をさせることができるので、それぞれがピクミンを引率して敵を倒す、壁を破壊する、マップを探索する、と分業することでさらに効率よい作業ができるようになるでしょう。ゲーム全体の目的としてはコッパイ星に食べ物を持ち帰ることですが、仲間との合流や落としたアイテムを取り戻すなど短期目標がいくつも設定されているので、ストーリーに沿って達成することでエンディングに近づいていきます。

ピクミン3 デラックス WHAT's IN? tokyoレビュー

▲羽ピクミンが重い板の取っ手を持ち上げると……なかには原生生物がギッシリ! ちょっとコワイ

とても可愛らしく、発する声もとてもファニーで癒されるピクミンたちとの共同作業……。こんなふうに一見のんびりした印象の本作ですが、実際のプレイは非常に忙しいものとなるでしょう。アルフたちは日が出ている時間にだけ行動し、日没後は宇宙船に戻り休みます。そして手もちの食料をひとつ消費するのです。つまり、プレイには時間制限があるということ。最初は数個しか食料を持っていませんが、マップに落ちている果実を拠点に運び込むことで増えていきます。食べ物が尽きてしまえばゲームオーバーなので、効率的にゲームを進めることが本作のプレイにおいて重要です。ゲームの難易度は“ふつう”、“むずかしい”、“ゲキカラ”の3種類から選べるようになりましたが、“ゲキカラ”以外は比較的食料が手に入りやすい設定なので、雑すぎるプレイをしなければ食料不足が起こることはめったにないでしょう。過去の日付けにさかのぼってプレイをしなおすこともできますしね。ただしクリアに直接関係のない収集要素をコンプリートしようとすると、話は変わってきます。何も考えず、ピクミン全員を引き連れてのんびり惑星探索……とはいきません。作業をしないピクミンがなるべく出ないよう采配し、無駄を排したプレイを追求していかなければ達成は不可能です。しかしそれは、プレイヤーにとって大きな楽しさとなります。レースゲームのタイムアタックにも似たストイックな挑戦は、牧歌的なビジュアルから受ける印象とは全く違うもので筆者が最も気に入っている点です。

ピクミン3 デラックス WHAT's IN? tokyoレビュー

▲アルフとブリトニーで受け持つピクミンを分け、それぞれ別の作業へと出発! マップの指定場所に自動で移動させる機能を上手く使って、片方が目的地に移動しているあいだにもう片方を操作します

本作で敵となるのは、狂暴な原生生物たちです。基本的にピクミン単体は脆弱極まりない生き物なのですが、数があつまれば大きな力が発揮できピクミンの何十倍も大きい生物だって倒せてしまいます。しかしそれもプレイヤーがピクミンと敵の特性を熟知していなければ上手くいきません。たとえば炎を吐いて攻撃してくる生物は、炎に強い赤ピクミンをけしかけて倒します。この生物に黄や青のピクミンを投げつけると、攻撃は通るものの炎攻撃を受けると簡単に倒されてしまうのです。敵との戦いに最も適したピクミンを戦わせるのが一番ではありますが、実際のプレイではたまたま赤ピクミンが死んでしまっていたり、隊列に加わっていなかったりなどベストの選択を選べない場面もあります。そんなときに残りのピクミンたちで工夫して乗り切る方法を編み出すのも楽しい局面です。柔軟に対処できる余地も十分にあるのが、非常にいいゲームバランスだと感じます。

ピクミン3 デラックス WHAT's IN? tokyoレビュー

▲岩ピクミンは硬いものを破壊するのが得意! 丈夫なので敵に襲われても死ににくいです

ピクミンは“オニヨン”と呼ばれる住処を持っていて、倒した生物やペレットという数字の書かれた丸いオブジェクトを運び込むことによって繁殖します。ピクミンは100匹まで連れ歩くことが可能です。多くのピクミンを利用しないと解けないギミックもあるので、積極的にピクミンを増やしつつ攻略も同時に進めていくことが必要となります。同時に考えることが多くて最初は混乱することもありますが、操作にまごつかない程度に慣れてくればちょうどいい感じのプレッシャーにきっとハマるはずです。体験版もリリースされているので、まずはプレイの手触りを味わってみてください。体験版はストーリー序盤を丸ごと遊べるボリュームで、セーブデータを製品版に引き継ぐこともできます。

ピクミン3 デラックス WHAT's IN? tokyoレビュー

▲隊列から外れてピンチになったピクミンをホイッスルを吹いて呼び寄せます。ピクミンは増やせますが、なるべく犠牲を最小限に抑えたいと思うのが人情です

ピクミン3 デラックス WHAT's IN? tokyoレビュー

▲本作に出てくる原生生物で特に中ボスクラスの“巨大生物”は、どれもビジュアルがすごく不気味。このような生物にピクミンがペロリと飲み込まれてしまう場面はゾッとします

それにしても従順についてくるからといって、こんな危険な作業ばかりをピクミンだけにさせてしまっていいのでしょうか……。ピクミンたちはコッパイ星人に従っているように見せて、実は彼らを利用しているという説もあり、考察の余地がたっぷりあります。1日の終わりにキャラクターの誰かが書く航海日誌やマップのあちこちに落ちている秘密のメモなどには、本作の世界設定を読み解くヒントが満載で必見です。

メインストーリー以外にも豊富なコンテンツ

ストーリー中盤以降は、『ピクミン2』までの主人公オリマーやルーイといったおなじみのキャラクターも登場します。実はオリマーたちはコッパイ星人たちとは別にこの星に降り立ち、ある理由で探索を続けているのですが、どうやらトラブルに巻き込まれているようなのです。そんな彼らが惑星探索をする様子や目的などを追いつつ遊べるのが、今回追加された“オリマーの冒険”というサイドストーリーです。目的は、制限時間内に果実とキンカイを出来るだけたくさん集めること。4ステージのみとステージ数は少なめですが、何度も挑戦してフルコンプリートを目指すのが楽しいモードです。

ピクミン3 デラックス WHAT's IN? tokyoレビュー

▲クリアするともうひとつのストーリーも解放されます。どんな物語なのでしょうか……?

ピクミン3 デラックス WHAT's IN? tokyoレビュー

▲オリマーを操作できることはファンにとって嬉しいですね

サイドストーリーのほかにも制限時間内に目的の行動をこなし高いスコアをねらう“ミッション”、ビンゴシートに描かれた原生生物や果実などを集めてビンゴ完成の早さを競う2人プレイ専用の“ビンゴバトル”というふたつのコンテンツがあります。ピクミンへの命令や操作など基本は同じですが、戦略はモードによって大きく変わってくるでしょう。また前述のとおりミッションとビンゴバトルにしか登場しない種類のピクミンもいるので、メインストーリーをひととおり遊ぶだけではまだ本作のプレイは半分と言ったところですね。ちなみにミッションでは、オリジナル版『ピクミン3』で追加販売されたダウンロードコンテンツがすべて収録されています。

ピクミン3 デラックス WHAT's IN? tokyoレビュー

▲2人プレイは二分割画面です。表示される範囲が半分になりますが、そこまで不便は感じません

可愛くてヘンテコな生物と楽しく戯れる内容かと思いきや、実は彼らを効率的に動かして緻密に流れを作り上げていく硬派なゲーム。自然の残酷さ、コッパイ星人とピクミンの関係性は本作に深みと意外性を与えています。終盤になると、3人のコッパイ星人とオリマー&ルーイが接触します。同じように惑星探索を進めていた彼らは、どういう関係になるのでしょう。またコッパイ星に食べ物を持ち帰ることはできるのでしょうか。その結末は実際のプレイで見届けてください。メインストーリーのクリアまでは10時間かからないくらい。ゲーム内日数にして30日弱でした。さっくりクリアできる印象ですが、見逃したままにしている未知の要素がたくさんあるので、まだまだ探索は終わりません。何度も何度も遊んでスルメのように味わいたいゲームです。

フォトギャラリー 

■タイトル:ピクミン3 デラックス
■発売元:任天堂
■対応ハード:Nintendo Switch™
■ジャンル:AIアクション
■対象年齢:全年齢
■発売日:発売中(2020年10月30日)
■価格:パッケージ版・ダウンロード版 5,980円+税


『ピクミン3 デラックス』オフィシャルサイト

© 2013-2020 Nintendo