Interview

BLUE ENCOUNT まさにバンドの“存在証明”ともいうべき1枚。圧巻の内容に仕上がったアルバム『Q.E.D』について訊く。

BLUE ENCOUNT まさにバンドの“存在証明”ともいうべき1枚。圧巻の内容に仕上がったアルバム『Q.E.D』について訊く。

BLUE ENCOUNTの2年8ヵ月ぶりになる4thアルバム『Q.E.D』は、強力なシングル表題曲を揃えながら、ほかの楽曲もそれに全く聴き劣りしない楽曲クオリティを誇示している。作品トータルで”最高到達点”を記録した密度の濃い作品と言っても過言ではない。TVドラマ『ボイス 110緊急指令室』主題歌の「バッドパラドックス」、TVアニメ『僕のヒーローアカデミア』第4期オープニング・テーマの「ポラリス」、TVアニメ『BANANA FISH』第2クール オープニング・テーマの「FREEDOM」、映画『青くて痛くて脆い』主題歌の「ユメミグサ」、TVアニメ『あひるの空』オープニング・テーマの「ハミングバード」と耳馴染みの深いヒット曲を網羅した今作の中身について、メンバー4人に話を聞いた。ちなみに表題は数学などで使われる用語であり、田邊(Vo,G)曰く“現段階で証明したかったこと”という意味を込めているそうだ。

取材・文 / 荒金良介 撮影 / 森崎純子


全部が濃いから、いままでのアルバムの中で一番好きですね(田邊)

BLUE ENCOUNT WHAT's IN? tokyoインタビュー

前作ミニアルバム『SICK(S)』はBLUE ENCOUNTの核を叩き付けるような直球作でしたが、今作はバンドの芯が図太くなった上で多彩な表情や色合いが加わった印象です。とりわけ田邊さんの歌声を含めた圧倒的なメロディの良さ、圧倒的な楽曲の良さが伝わってくる素晴しい内容ですね。

江口雄也 仰ってもらった通り、自分たちでもいいアルバムができたと思ってます。僕も同じ印象で、田邊の歌がすげえ良くなったなと。それはここ1年くらい一緒にやっている中で感じた部分ですね。いい歌、いい曲ができたので、それに負けない背景を作らなきゃいけないなと。

高村佳秀 シングル曲もそうですけど、今回の新曲は昔からあったものが多いんですよ。昔の曲に今の自分たちのエッセンスを入れているから、新旧織り交ぜっているなと。自分のフレーズも中学の頃にやっていたものを入れてますからね。

辻村勇太 仰っていただいた通り、幹が太くなっているなと。『SICK(S)』から太くなって、今作は多色になっているから季節感も出てますからね。でも同じ木を見ているような感覚があるから。

田邊駿一 すごく濃い作品ができたと思ってます。なんか1曲1曲、力強い楽曲がある印象なんですよ。もちろん流れは意識してますけど、流れを全く気にせずに1曲1曲作れましたからね。一昨年、去年とシングルもたくさん出したけど、それもその都度吐き出したいものを出しているし、今回はさらに等身大で伝えることを意識しました。全部が濃いから、いままでのアルバムの中で一番好きですね。今は曲を作れば作るほど、次のアイデアが見つかるんですよ。今回はそういう意味でも書きたいことにさらに出会えた一枚ですね。既にこれを超える作品を作れそうだなと。

本質は変わっていないから、何年後の自分の不安にも寄り添ってくれる楽曲ができたと思います(田邊)

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それは凄いですね。今作はシングル曲以外に関しても、1曲1曲に対して純粋に制作に向き合えたと?

田邊 そうですね。特にこのご時世に歌詞を書いたし・・・でも本質は変わっていないから、何年後の自分の不安にも寄り添ってくれる楽曲ができたと思います。逆にこういうご時世で良かったのかなと。ライブが延期・中止になったけど、それを自分の中でポジティヴに捉えて考えられるようになったから。あのときも希望を持ってやっていたんだぞって、自分の応援歌にも繋がる曲ができたと思います。

「ユメミグサ」は7年前に作った曲のようですが、ほかにシングル曲以外で昔の曲というと?

田邊 新曲5曲中3曲は昔のもので、機が熟すのを待ってました。「STAY HOPE」は3年前にプリプロを終えて、即戦力だなと思っていたので、いつ出そうかなとうかがっていたもので。

江口 原形はあったけど、それをリアレンジしたんですよ。

田邊 そのリアレンジしたパーツもめっちゃ昔のものですからね(笑)。10年前のインディーズの頃にあった曲だから。当時ライブでやっていたフレーズの一つなので、古(いにしえ)のBLUE ENCOUNTが入ってます。

古き良きBLUE ENCOUNTらしさも今作には詰まっていると。

田邊 今にも通じるリズムワークがあの頃にあったんだなと。確固たる信念を持って当時もやっていたんだなと思いました。「STAY HOPE」はなかなかみんなの腑に落ちるものができなくて、いつかあのフレーズを入れようと思って、ようやくハマりました。

もう1曲はどれになるんですか?

田邊 「VOLCANO DANCE」は5、6年前ですね。もともとこの曲でメジャー・デビューしようと思っていたくらいで。「もっと光を」が生まれた頃にあった曲なんですよ。この曲のパーツを別の曲に入れたりして、Aメロとサビ以外は解剖し切っていたんです。それを今の気分でアレンジを考えて作りました。

「VOLCANO DANCE」は3rdアルバム『VECTOR』に入ってもおかしくない曲調ですが、今作の流れの中でもいいフックになってます。ミクスチャー感が炸裂してますね。

田邊 歌詞を作って、そこにアプローチできるメロディにしたのでテンポ感のある譜割になってますからね。悪口がたくさん溜まったので、それを吐き出そうと思って。

はははは、この曲だけ歌詞で毒を吐いてますからね。楽器隊も大暴れしていますよね?

辻村 結構攻めてますね。曲によって引くこともダサくないと大人になってわかってきたけど、たまに隙間ができると、行っちゃえ!って。仮デモの田邊の歌い方が気怠くてダーティーだったから、それでベース・ラインも浮かんで来たんですよ。

中盤にはブレイクダウンの要素も取り入れて、面白い曲調になってます。

辻村 あそこは自分がアレンジしたのもありますけど、いままであったようでなかった感じだから。EDMやダブステップとか、クラブ系も好きなので、それをバンドに落とし込めたらなと。

高村 僕はそんなに暴れたつもりはないんですけど、ギターとベースがガンガンやっているので、さすがに抜いた方がいいかなと(笑)。その方がスピード感が出ますからね。

BLUE ENCOUNTはこうです!と提示するためにアルバムを作っているわけではない(田邊)

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今作は奇を衒ったり、トリッキーなことをやるよりも、威風堂々とした楽曲が揃ったなと。

田邊 うん、分厚い作品になったと思います。ここ1、2年で出会ってくれた方はBLUE ENCOUNTはどういうバンドなの? って、まだわからないところがあると思うんですよ。改めて、まだわからないと思ってもらえるかなと(笑)。BLUE ENCOUNTはこうです!と提示するためにアルバムを作っているわけではないし、もっと深い森に招き入れるような感覚で作ってますからね。『VECTOR』の頃は引き出しをいっぱい魅せることで、「なんだろう、この人たちは!」と思わせたかったけど。今回はメロディだったり、楽曲のメイキングの部分でそれができたなと。

BLUE ENCOUNTは多彩な曲調があるので、聴き手によって好きな曲も分かれると思うんですが。今作はどこから切り取ってもらっても大丈夫みたいな。

田邊 そうですね。歌詞に対して、ほかのメンバーがフレーズで寄り添ってくれているので。「VOLCANO DANCE」は鋭角な部分を辻村がさらにサウンド・メイキングしてくれたし、シングル曲も江口のフレーズに助けられたり、よっちゃん(高村)のドラムのセンスに支えられたところもありますからね。いい意味で投げっぱなしというか、これよろしく! みたいな感じでワクワクしながら投げてますからね。僕の原案に対して、それ以上のものを作り出すのがバンドだと思うから。特に「STAY HOPE」、「VOLCANO DANCE」は頭の中で完成しているものをどう伝えていいかわからなかったけど、考えていた以上のものを返してくれましたからね。最近のBLUE ENCOUNTはこれまで以上に血の通ったものを作れているから、曲の印象も変わってきたのかなと。

歌と演奏が有機的に絡まって、楽曲のスケール感も大きくなってますよね。「棘」はファルセットを多用した曲調で、これも新鮮に聴けました。

田邊 これも実は2年前にあったもので、当時から輝きを放っていた曲だったんですよ。

あっ、この曲も昔に作ったものなんですね。

田邊 そうなんですよ。2年前の年末にたくさん曲を作って、自分の中でBLUE ENCOUNTのメロディ感を壊したい時期があったんです。それで裏声を武器として使おうと。ただ、技法として使うというよりも単純に伝えたいことがあるから、そのために使おうと。ギターでエフェクターをかましているような感覚です。「棘」はファルセットを使った曲の中でも特にキーが高くて。キレイな歌声だけど、汚いことを書きたいなと(笑)。バッドエンドな恋愛の曲というか。

恋愛で起こりうる感情の動きを全部詰め込もうと思って(江口)

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確かに悲しい結末ですよね。

田邊 洋楽の曲でそういうテイストが好きな自分がいるんですよ。今回はあえて英語を使わずに最悪な部分だけを抽出して書いてみようと。ライブで歌って気持ちいい曲だし、唯一の恋愛系ですからね。

辻村 この曲は各々の歌詞の捉え方が違ってビックリしました。歌詞で起きている複雑な感情は純粋だから来ていることだと思うから、すごくキレイな曲だと思ったんですよ。それで男女でお互いに食い違いが生じるけど、それは純粋な感情から来ているものだと思うから。ベースもがちゃがちゃ動くよりも、スッと激しく弾こうと思いました。

高村 僕はコケそうなくらい自分の限界を超えて走っている姿を想像してフレーズは作りました。最後まで息切れしながら走ってるようなイメージで、正直ライブでやることをあまり考えなかったんです。ひたすら16ビートを刻んでいるので、ガムシャラ感が出ているかなと。

江口 恋愛で起こりうる感情の動きを全部詰め込もうと思って。途中のCメロでタッピングしているパートは過去を回想しているイメージで、そこからまた現実に戻ったりとか、自分の中で様々な感情を想像して作りました。

4人4様で話を聞くと、面白いですね。

田邊 僕の頭をほかの3人が持っていたら、完成しないと思うんですよ。僕の頭にないものを持ってきてくれるから、スパークするという。

僕らが幹になり、田邊が花になっているから。昔はそういうイメージも沸かなかったので(辻村)

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4人が違うものを描いていても、曲の中でいいケミストリーを生まれると。

辻村 そうですね。以前はぶつかり合ってましたからね。「ユメミグサ」もその結果だと思うんですよ、ちゃんとシンクロしてますからね。そういう曲たちが詰まった作品だなと。

田邊 「ユメミグサ」は歌えば歌うほどいい曲だなと感じますね。ある時はすごくキレイな桜が舞っているときもあるし、ある時は散り際の切なさが出ていたり、自分が見えなかった部分も感じられますからね。今回唯一のバラードですけど・・・昔だったらもっとバラードを入れていた気がするんですよ。今はより自由にアルバムを作れてますからね。それは「ユメミグサ」の力のおかげなのかなと。

辻村 僕らが幹になり、田邊が花になっているから。昔はそういうイメージも沸かなかったので。

田邊 4人全員で花を咲かそうとしていたからね。

辻村 誰も幹がいなかったから。

はははは。今はメンバーの役割分担もはっきりしてきたと。

田邊 そうですね。曲もさることながら、音作りも無駄がないので、よりクリアに聴こえてくると思うんですよ。それは玉井(健二)さんと一緒に何作かやって気づけてことですし、それに負けない歌を歌わなきゃいけないと思いましたからね。アーティスト然としたものを伝えるためにも、個々がもっと頑張らなきゃいけないから。今回は引き算して、それが重なったときにどうなるのかなと。実験的かつ、本質的なところにコミットできたと思います。

みんなで合唱できる雰囲気もあるし、一緒に歌いたい気持ちもありましたからね(高村)

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なるほど。「あなたへ」はストリングスやゴスペルの要素を入れたりと、この曲も胸にグッと来ました。

田邊 今年頭にゼロの状態から作ったものなんですよ。ラジオ番組『SCHOOL OF LOCK!』とコラボしたもので、キズナプロジェクトという企画があり、親、友達、大切な人との絆って何だろう、というところからスタートしました。最後まで絆という言葉を出さずに・・・テーマ性が大きいからこそ、細かく噛み砕いて言葉にできたなと。今年の自分のマインドが象徴された1曲ですね。曲にはストンプを入れたり、ゴミ箱を叩いたりして、プリプロの音もがっつり使っているんですよ。コロナ前に余裕を持って作ったもので、こういう曲ってなかなか作りたくても作れなかったりするから。ちょっとゴスペル風にしたいと提案して、そこからアレンジも始まったんですよ。

高村 この曲は歌詞をどう伝えるのか、どうみんなに届くかなって想像しながら作りました。みんなで合唱できる雰囲気もあるし、一緒に歌いたい気持ちもありましたからね。

田邊 配信ライブで一度披露したんですよ。この曲をたくさんの人前でやったら、壮観な景色が見えるだろうなと。

江口 ギターのアレンジは時間がかかりました。ストリングスは昔からお世話になっている板井さんという方にお願いして作ってもらったんですけど、ギターとかウワモノを含めて全部お願いしたらどうだろうと。で、戻って来たときに、これも違うなあって。もう一回最初の形に戻したりしたので、行ったり来たりしたんですよ。田邊のイメージもポップだけど、ポップじゃなくしてみたいな・・・どっちみたいな(笑)。ま、言ってることはわかっていたから、イメージの芯をつく作業が大変でした。

「喝采」はあの頃の自分への手紙みたいな感じで、濃い部分を綴れたなと(田邊)

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なるほど。そして、最後を飾る「喝采」も感動的なナンバーで、新旧を織り交ぜた今作の内容を総括した楽曲とも言えますよね。

田邊 コロナ禍にできたもので、アルバムの最後を飾る曲はどうしようかなと。メロディだけの状態のときに、田邊だったらこの曲に思いを馳せてくれるでしょうって、みんなが見えない期待をかけてくれるときがあるんですよ。これはそういう曲ですね。歌詞も最後に書こうと決めて、「あなたへ」、「ハミングバード」、「ユメミグサ」と今年リリースした曲の集大成みたいな気持ちがありました。あのときは何もできなかったけど、それがあったからこそ、今頑張ろうと思えるんだって。「喝采」はあの頃の自分への手紙みたいな感じで、濃い部分を綴れたなと。30代の自分から、夢しか見ていなかった過去の自分に対して書いたので力が入りましたね。やっぱり自分から自分へという曲が熱くなるし、表現にも厚みが出ますよね。それが誰かの耳に入って、その人なりの解釈をしてくれるのが音楽のあるべき形だと思うから。BLUE ENCOUNTの今のマインドを「喝采」に要約できたんじゃないかと。

その他のBLUE ENCOUNTの作品はこちらへ。

4thアルバム『Q.E.D』特設サイト

ライブ情報

BLUE ENCOUNT [email protected] ARENA
2021年4月18日 横浜アリーナ
※詳細はオフィシャルサイトにて

BLUE ENCOUNT

田邊駿一(Vo、G)、江口雄也(G)、辻村勇太(B)、高村佳秀(Dr)。
熊本発、都内在住4人組。熱く激しくオーディエンスと一体になり、ダイレクトに感情をぶつける熱血なパフォーマ ンスが話題のエモーショナルロックバンド。
2014年9月にEP『TIMELESS ROOKIE』でメジャーデビュー。2015 年1月にリリースしたファーストシングル「もっと光を」は、新人ながら全国35局でのパワープレイを獲得。同年5月 には人気のテレビ東京系アニメ『銀魂(第3期)』のオープニングテーマとなるシングル「DAY×DAY」をリリース。 7月にファースト・フルアルバム『≒』(読み:ニアリーイコール)をリリース。2016年には1月に第94回全国高 校サッカー選手権大会の応援歌にもなった「はじまり」、そして『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』のオープ ニングテーマ「Survivor」、全ブルエンリスナーに向けた「だいじょうぶ」、ドラマ『THE LAST COP/ラストコップ』の 主題歌「LAST HERO」と4枚のシングルをリリースし、そして2016年10月には日本武道館ワンマン公演、< LIVER’S 武道館>も大成功に収める。2017年1月にはセカンド・アルバム『THE END』をリリースし、バンド 史上最大規模であり幕張メッセ公演を含む全国ツアーも大盛況のう ちに終了させた。2018年3月には待望のサード・アルバム『VECTOR』(読み:ベクトル)を発表。より多彩 で進化した音楽性を併せ持つこのアルバムはオリコン・ウィークリー・チャートには6位にランクイン。全国ツアー< BLUE ENCOUNT TOUR 2018 Choice Your 「→」>でも大成功を収めた。
同年11月にはTVアニメ『BANANA FISH』第2クール オープニング・テーマとしても起用されたシングル「FREEDOM」を発表し、彼らの 持つソリッドな魅力を改めて提示してみせた。そしてメジャーデビュー5周年、バンド結成15周年となる2019年、 6月に渾身のミニ・アルバム『SICK(S)』リリースし、バンド史上初のホールツアーを成功させた。9月11日には日本テレビ系土曜ドラマ『ボイス 110緊急 指令室』の主題歌「バッドパラドックス」をリリース。さらに11月20日にはアニメ『僕のヒーローアカデミア』の主題歌となった「ポラリス」をリリース。常に全力のパフォーマンスとシンプルで熱いメッセージを愚直なまでに伝え続ける 彼らの姿勢に共感が止むことは無い。

オフィシャルサイト
https://blueencount.jp

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