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三浦宏規、増子敦貴、諸星翔希らが『Oh My Diner』で繰り広げるハッピーな物語。愛らしいキャラクターたちの歌に踊りに心も弾む

三浦宏規、増子敦貴、諸星翔希らが『Oh My Diner』で繰り広げるハッピーな物語。愛らしいキャラクターたちの歌に踊りに心も弾む

完全オリジナル新作『Oh My Diner』がオープンした。
脚本・演出は、ミュージカル「Dance with Devils」や『最遊記歌劇伝』などの人気2.5次元舞台に加え、『Like A』などオリジナル作品も手がける三浦 香。アメリカ・マンハッタンにあるダイナー「Oh My Diner」を舞台に、そこに集うスタッフや常連客の日常を軽快に描き出す。
ダイナーの扉を開けた先には、どんな世界が待っているのだろうか。初日に先駆けて行われたゲネプロの模様をレポートする。

取材・文・撮影 / 横川良明


このダイナー、みんなクセが強すぎる……!

ノリはポップ。口当たりはフレッシュ。視界はカラフル。『Oh My Diner』は、誰もが知る洋楽のヒットナンバーに乗せて綴られるボーイズ&ガールのドタバタに心も身体も弾む作品だ。

Oh My Diner WHAT's IN? tokyoレポート

売れない脚本家・ザック(おばたのお兄さん)がオーナーを務める「Oh My Diner」には、今日もいつものメンバーが顔を揃えていた。ウェイターのノア(神里優希)にウエイトレスのキャンディ(社家あや乃)。そしてファッション・フォトグラファーのイーサン(田中涼星)と恋人のオリビア(雷太)。彼らにとって、この「Oh My Diner」は馴染みの溜まり場だ。

けれど、その日はいつもと違うことが2つ起きる。1つは、イーサンの弟・SJ(諸星翔希)が、見知らぬ青年・マシュー(増子敦貴)を連れてきたこと。ちょっと思い込みの激しいSJは、マシューを「宇宙人」だと言い張り、目からビームが出ると大騒ぎする。

そしてもう1つは、ノアたちの幼馴染み、プリンス(三浦宏規)が突然帰ってきたこと。今や世界的なバレエダンサーとなった地元の英雄の凱旋に、みんなは大喜び。自信家のプリンスとちょっぴり天然なマシューの出会いが、さらなる騒動を引き起こしていく。

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こんなダイナーがどこかにあるなら、すぐに地図を送ってほしい……! そう頼みたくなるぐらい『Oh My Diner』は愛すべきキャラクターのフルコースだ。とにかく登場人物がみんなクセが強すぎる……!

イーサンとオリビアの長身カップルは2人ともスタイルが良すぎてシートに座ると脚が余っている。仕草の愛らしいオリビアはちょっとヤキモチ焼きなところもあるけれど、とってもプリティ。イーサンはスマートに見えて、悲しいことがあると突然そこだけ照明がチェンジして様子がおかしくなる泣き虫キャラ。時に揉めごとを起こしながらもお互いへの愛がダダ漏れになっている喧嘩ップルぶりが愛らしくて、2人を眺めているだけでずっとこのまま幸せに暮らしてほしいという気持ちに。

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ウエイトレスのキャンディは明るくてパワフル。プリンスに首ったけなところが微笑ましい。男の子に囲まれた紅一点というキャラクターはバランスを間違えると難しいけど、ちっとも違和感がないどころか、イーサンとオリビアに挟まれて踊る姿は爽快感すらある。ショータイムではハリのあるハイトーンで見せ場をつくった。

個性派ぞろいの面々の中で、唯一の常識人と言えるのが、ノア。ジェントルな語り口がストーリーテラー的なポジションにピッタリ。ちょっとキザな所作が、いかにもアメリカンだ。みんなの個性が大渋滞しそうなところを、神里が安定感のある演技でしっかり支えていた。

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諸星翔希の遊び心が引き立てたSJの魅力

飛び道具的なポジションで沸かせたのが、ザック。演じるおばたのお兄さんと言えば、「まーきのっ」でおなじみの人気芸人。この舞台でも、J.Y.Parkならぬ“J.Y.zach”ネタで本領を発揮してくれた。「オススメのメニュー」という問いに対する「何かまあるいもの」というザックリとした回答に、キャストたちも笑いをこらえるのに必死。さらにマシューを巻き込んで、ザックリとした珍問答を繰り広げ、舞台と客席の距離を近づけていく。きっとこのあたりはステージごとに新鮮なやりとりを見せてくれるはずなので、観劇のお楽しみにしてほしい。また、SNSなどでたびたび見せている驚きの身体能力も惜しみなく披露。鮮やかなバク宙に思わず目を見張ることだろう。

近所でブティックを営むジョシュア(小野田龍之介)も強烈だ。プリンスの才能に心酔しすぎていて、彼と組むためなら手段を選ばない。でもそうやって画策する姿にちっとも悪党感がないどころか、プリンスへの偏愛ぶりについ目を細めてしまう。そんなダンディになりきれない人間くささと、ズバ抜けた歌唱力のギャップで観客のハートを鷲掴みにした。

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そして、大きなメガネがトレードマークのマシューは、その小動物感が何ともチャーミング。たすき掛けしたショルダーバッグを所在なさげにきゅっと握る立ち姿から、垢抜けない田舎の男の子らしい雰囲気がよく出ている。最初はオドオドした雰囲気のマシューが、「Oh My Diner」の面々に巻き込まれながら少しずつ変わっていく様が、この物語の柱のひとつになっている。その変化を、増子は愛らしさたっぷりに表現していた。

そんなマシューと最初に出会い、場を大きく引っかき回していくのがSJだ。低く腰を落とし、相手を威嚇するように睨める様は、まさにマンハッタンの不良少年。が、その思考回路は単純で、かなりおバカ。それを諸星が実にノリノリに演じていた。諸星の演技の特徴は、とにかく“オカズ”が多いこと。ひとつひとつのリアクションが実に多彩で、細かい表情や仕草まで遊び心が盛り込まれている。だから見ていて楽しいし、SJの人間性にどんどん立体感が増していく。動きにも躍動感があって、多彩な登場人物がいる中でもついSJのことを目で追ってしまう。この作品全体の起爆剤の役割を、諸星がコミカルに担っていた。

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こんな三浦宏規が見たかった……!

挙げだしたらキリがないほどクセだらけの登場人物の中で、それでもぶっちぎりナンバーワンでクセが強かったのは、やっぱりこの人、プリンスだ。「Oh, Pretty Woman」と共に登場した瞬間から、世界はプリンス・オン・ザ・ステージ。何かあるたびにターン! そしてまたターン!の連続。三浦の強みであるバレエ技術をこれでもかとばかりに活かし、何気ない仕草までバレエダンサーのそれ。しっかりと膝の伸びた動きに、広げた腕の位置も最も美しく見えるポジションを心得ていて、一挙手一投足がプリンシパル。さらに、セクシーなジャケットプレイに、最後は片手を天高く突き上げポーズを決め、街のダイナーをオペラハウスに変える。

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でも、性格は俺様全開で、プライドが高く、つねに自分に酔っている。世界観が独特すぎて、絶対友達になりたくないんだけど、なんだか許せてしまうのは三浦宏規のなせるワザ。振り切れた顔芸に、にじみ出る愛らしさ。特に、唯我独尊なプリンスがあることをきっかけに突然豹変し、「おで(俺)」とやたら口調がなまってしまうくだりは、いちいち全部が可愛い! 普段の取材からサービス精神が旺盛で、随所にボケを挟んでくれる三浦らしいキャラクターで、ハイテンションで突き抜けるプリンスを見ながら、「こんな三浦宏規が見たかった……!」とワクワクするような気持ちになった。

書き下ろしの作品らしく、それぞれのキャラクターがキャストにマッチしていて、台詞がないところでも役者たちがイキイキと舞台上を立ち回っている姿が印象的な本作。そのぶん、観客は見どころが多すぎて、いわゆる“目が足りない”状態になること必至。とびきりキュートなボーイズ&ガールがわちゃわちゃしている光景に幸せを噛みしめたい。

ダンスから伝わる十人十色のキャストの個性

こうしたキャラクターの魅力をさらに盛り立てるのが、ヒットナンバーぞろいの音楽とダンスだ。洋楽に詳しくない方でもイントロを聴くだけで「知ってる!」と胸が沸き立つエヴァーグリーンな名曲が続々。終演後、劇中に登場した楽曲をつい口ずさんでしまう観客も多いだろう。

そんなスタンダードミュージックに乗せて繰り出されるダンスがまた秀逸なのだ。バレエがベースの三浦はクラシカルな美しさで観客を魅了し、増子はマシューのキャラクターに合わせたコンパクトながらキレの良い動きで踊り心を証明。そして、ヒップホップテイストの諸星のダンスは身体からリズムが唸っているようで、そのグルーヴ感が観る者を心地よい境地へと誘い出す。

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増子はGENIC、諸星は7ORDERと、それぞれダンス&ボーカルグループの一員であることから、ダンス技術に関してはお墨付きだったが、俳優専業である田中涼星も負けてはいない。軸の細い、スタイリッシュなダンスは、もっと踊る田中涼星を見たいと思わせるものがあった。そして、雷太のダンスは動きもなめらかで絶品。実力者として確かな存在感を示した。

新型コロナウイルスの猛威により、その存在意義を問われたエンタメ界。劇場は一度閉ざされた扉を再び開けたものの、コロナ禍以前の光景はいまだ戻っていない。観客もまた様々なストレスや不安にさらされながら日々を送っている。

そんな中で、無条件でハッピーになれる『Oh My Diner』のような作品は、ひとつの希望だ。心が重く、すべてが無味乾燥になってしまいそうなこの社会で、ただシンプルに笑って楽しめることの素晴らしさ。賑やかな夕食のような『Oh My Diner』の存在は、今こそ大きな意味があるように思えた。

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だんだんと、盛大なボケに見えてくる

下記は開幕と共に届いたプリンス役・三浦宏規のコメント。

まずは、本日『Oh My Diner』初日を迎えられることを本当に嬉しく思います。
この作品は完全なオリジナルですが、キャストの皆さんそれぞれが強い個性を持っているので、皆で作り上げたコメディがお客様にどんな反応をいただけるのか、とても楽しみです。
ポップで楽しい作品なので、本当はお客様には大声で笑っていただきたいところですが、拍手など、今出来る形でリアクションをいただけたら嬉しいです。
アメリカを舞台とした作品なので歌詞が英語の歌も沢山あり、歌詞を覚えた上で表現に繋げていくのが難しかったですが、このカンパニーは、マスクをして密を避けながらも毎日全員で一緒に帰るくらい仲が良く、お互いに歌い合って覚えたりと、いい空気で楽しく稽古が出来ました。
僕の演じるプリンスは、世界的なスターだけど、二面性のあるキャラクター。
登場の効果音もカッコいいし、本人はカッコよく決めているつもりですが、だんだんと、それが盛大なボケに見えてくるんじゃないかと思います(笑)。
お客様には、この状況の中で劇場にいらしていただけることが本当にありがたいですし、それぞれに色々な想いを持って来てくださると思います。
この作品に費やしてくださる時間を最大限楽しんでいただけるよう、キャスト・スタッフで力を合わせて、精一杯のコメディをお届けしますので、ぜひ、お楽しみに!

『Oh My Diner』

2020年11月7日(土)~11月15日(日)品川プリンスホテル ステラボール

脚本・演出:三浦 香

出演:
プリンス 役:三浦宏規
マシュー 役:増子敦貴(GENIC)
SJ 役:諸星翔希(7ORDER)
ノア 役:神里優希
イーサン 役:田中涼星
オリビア 役:雷太
キャンディ 役:社家あや乃

ジョシュア 役:小野田龍之介
ザック 役:おばたのお兄さん

公演サイト
オフィシャルTwitter(@ohmydiner)

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