Interview

yonawo 1stアルバム『明日は当然来ないでしょ』。手応えを感じ仕上がった作品にに注がれた彼ら独自のスピリットとは? 

yonawo 1stアルバム『明日は当然来ないでしょ』。手応えを感じ仕上がった作品にに注がれた彼ら独自のスピリットとは? 

“福岡発新世代ネオ・ソウル・バンド”yonawoが1stフルアルバム『明日は当然来ないでしょ』をリリースした。
先行配信された「good job」「トキメキ」「天神」「rendez-vous」を含む本作。ソウル、ロック、フォーク、ヒップホップなどを肉体的に融合させたバンドサウンド、文学的な意匠をまとった歌詞、感情の動きを生々しく反映させたボーカルが一つになり、リスナーの身体と精神を気持ちよく刺激する作品に仕上がっている。メンバー4人の自由なトーク・セッションによって、アルバム『明日は当然来ないでしょ』の世界を紐解いてみたい。

取材・文 / 森朋之 撮影 / 持田薫


僕ら自身も「こういうふうにアルバムとしてまとまったのか」という感じです(笑)(荒谷)

yonawo WHAT's IN? tokyoインタビュー

1stフルアルバム『明日は当然来ないでしょ』が完成しました。ソウル、ロック、R&B、ヒップホップなどが自然に混ざったサウンドも素晴らしいし、ストーリー性を感じさせる歌詞も印象的で。ひと言では説明できない、ザ・ビートルズのホワイトアルバムみたいな作品だなと。

荒谷翔大(Vo) ありがとうございます(笑)。ホワイトアルバム、大好きです。

アルバムの制作に入った段階では、どんなイメージを持っていたんですか?

荒谷 いままでとは違った一面を見せられたらいいよね、という話はしてましたね、作る前に。コンセプトとかは特になくて、「違うところを見せよう」ということだけを共有していたというか。なので僕ら自身も「こういうふうにアルバムとしてまとまったのか」という感じです(笑)。

設計図を作らず、まずはいろいろやってみよう、と?

荒谷 そうですね。『LOBSTER』(2020年4月にリリースされた1stミニアルバム)では出来なかったことを、いまの自分たちのスタイルでやりたかったので。制作のアプローチもそうなんですよ。『LOBSTER』のレコーディングは、いきなりスタジオに入って「はい!」という感じで録ったんですけど、今回は雄哉(斉藤雄哉)の自宅でアレンジを固めてから録った曲が多くて。

田中慧(B) 『LOBSTER』はもともとライブでやってた曲が多かったから、いきなりレコーディングできたんですよね。

荒谷 うん。今回は宅録でしっかり練った部分もあるし、演奏していて、思い付いたアイデアもあって。

野元喬文(Dr) 制作の時間も長く取れたしね。

今回はフォーキーな要素もかなりあって。それは新しい挑戦だったと思います(田中)

なるほど。さっき荒谷さんが言っていた“違った一面”って、具体的にはどんなことなんですか?

田中 前作はネオソウル的な雰囲気の曲が中心だったんですけど、今回はフォーキーな要素もかなりあって。それは新しい挑戦だったと思います。

野元 慧が初めて曲を書いたのも、新しい挑戦じゃない?

「cart pool」ですね。

田中 遊びのつもりで作ってたんですよ、最初は。何となく手癖の感じでベースを弾いていて、「これ、いいかも」というフレーズが出来て。それをGarageBandに打ち込んで、ドラムも入れて、アレンジを進めていくうちに曲になってきたので、「どうですか?」とメンバーに送ったんです。

わりと激しめのドラムだし、いままでのyonawoの印象とは違う曲になったと思います(野元)

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一人でセッションしてるような感じですね、それ。

野元 スタジオでもアレンジしたよね。

田中 「こんな感じのフレーズ叩いてみて」って言ったら、「難しい」って(笑)。

野元 高校のとき、ずっとジャムセッションしてたことを思い出しました(笑)。でも、そういうアクションを起こすこと自体、大事じゃない?

田中 うん。「cart pool」のドラムは基本、打ち込みなんですけど、後半で生ドラムがフェードインしてきて。わりと激しめのドラムだし、いままでのyonawoの印象とは違う曲になったと思います。

今回のアルバムはアコギと歪んだギターが中心で。ファズを踏んでる曲もあるし、かなりハッチャけてますね(笑)(斉藤)

斉藤さんはどうですか? やはり、「新しいことがやれたという」実感はある?

斉藤雄哉(G) そうですね。ギターの音色やノリが、今までと全く違うんですよ。『LOBSTER』まではジャズ、ソウル、フュージョンに影響を受けたプレイが多かったんですけど、今回のアルバムはアコギと歪んだギターが中心で。ファズを踏んでる曲もあるし、かなりハッチャけてますね(笑)。そういうギターはもともと好きだし、楽しかったです。

荒谷 「生き別れ」ではエレキ・シタールを弾いてもらったんですよ。最初は打ち込みで入れてたんだけど、楽器テックの方がエレキ・シタールを持ってきてくれて、「これを使ってみよう」ということになって。

サイケデリックな音楽も好きなんですか?

斉藤 うん、好きですね。

荒谷 きっかけはジブリの『風立ちぬ』のサントラなんですよ、じつは。マンドリンが入っている曲があって、「こういうニュアンスでやってみたい」と思って、いろいろ試しているなかでシタールに辿り着いたっていう(笑)。

面白い(笑)。ちなみにアルバム制作中はどんな音楽に興味があったんですか?

荒谷 どうだろう? 『風立ちぬ』のサントラとか、『千と千尋の神隠し』のサントラとか(笑)。あとはディアンジェロの『VOODOO』を聴き直したり。

野元 制作期間の前半と後半で、聴くものもちょっと変わったよね。

荒谷 そうだね。小袋成彬さんや宇多田ヒカルさんも聴いてたし。

野元 玉置浩二さんも。

斉藤 井上陽水さんも聴いてました。

野元 マック・ミラー(2018年に急逝したラッパー)の新譜もよく聴いてたんじゃない?

荒谷 あ、そうだ。亡くなった後に出た『Circle』というアルバムがすごく良くて。

斉藤 『Circle』をリファレンスしたアレンジもありますね、今回のアルバムは。「蒲公英」に入ってるコーラスのループもそうですね。

なるほど。「麗らか」のエモーショナルな歌も印象的でした。

荒谷 ハナレグミも好きなんですけど、永積さんのような語りっぽいニュアンスの曲を作ってみたら、どうなるだろう? と思って。歌ってるうちに心地よくなって、最初のテーマを忘れてぶっ飛びました(笑)。曲の最初と最後で、歌い方がだいぶ違いますよね。

田中 しかも2分くらいしかないしね。

歌詞も短いほうが好きで、限られた言葉にギュッと凝縮したい傾向はありますね(荒谷)

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ここからさらに盛り上がるのかと思ったら、いきなりバーンと終わるっていう。

荒谷 そうですね(笑)。「麗らか」は、その後の「close to me」とセットというか、2曲で1曲みたいなイメージがあったので。まあ、他の曲も短めなんですけど。

田中 「もうちょっと続けろよ」って思う人もいるかも。

荒谷 (笑)ピークになったら、バーン! と終わりたいんですよ。歌詞も短いほうが好きで、限られた言葉にギュッと凝縮したい傾向はありますね。

本質だけをぶつけたい?

荒谷 そうなのかも。だらだら書いちゃうときもあるんだけど、やっぱり削ぎ落したくなるので。それも挑戦だったかもしれないですね、今回は。

田中 作詞のことでいうと、荒ちゃんのストーリーテラーとしての一面が色濃く出ていると思っていて。

荒谷 ストーリーテラーって?

物語を構築して、語り部として伝えるという感じですかね。「独白」という曲ではじまって、「告白」で終わる構成も、ストーリーを感じるし。

荒谷 あ、なるほど。特に意識していたわけではないんですよ、じつは。

田中 それにしては出来過ぎてるよな(笑)。

荒谷 ハハハ(笑)。「独白」は最初、英語のタイトルだったんです。歌詞にある「It was good to meet you」を題名にしようと思ってたんだけど、その後、日本語の歌詞を足して、だったらタイトルも日本語にしようかなと。「告白」はその前からあったので、ちょうどいいやん!って。

斉藤 ひどいな(笑)。

単純にその方がカッコイイかなと思って(斉藤)

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では、アルバムのタイトル『明日は当然来ないでしょ』も、歌詞とは直接関係ないんですか?

荒谷 そうなんですけど、僕が考えたタイトルだし、歌詞も自分で書いてるので、どう転んでも合うんですよ。もともとは「小説みたいなタイトルがいい」って雄哉が言い出したのがきっかけなんですけどね。

斉藤 単純にその方がカッコイイかなと思って。

荒谷 なかなかタイトルが決められなくて、煮詰まったんですよ。そのときに雄哉がアイデアをくれて、「歌詞以外に文章は書いてないの?」って聞かれて。じつは密かに短編を書いてたので、そのなかから引っ張ってきました。で、その短編もアルバムのブックレットに載せることになって。

小説を読むのも好きなんですか?

荒谷 めちゃくちゃ読んでるわけじゃないけど、好きですね。書いたものをメンバーに見せるのはちょっと恥ずかしかったけど(笑)。

(笑)“yonawo”っていうバンド名が決まったときの感覚に似てたかも(野元)

このタイトル、みなさんはどう思ってます?

野元 ビックリしましたね、最初は。

田中 即答で「いいね!」って感じではなかったです。「あ、ああ〜、うん。えーっと」って言う(笑)。

野元 (笑)“yonawo”っていうバンド名が決まったときの感覚に似てたかも。納得はしてるんだけど、“何なんだろう?”という気持ちもあって。

このタイトルを見て、一瞬「ん?」ってなってほしいっていうのもあるし(荒谷)

タイトルの由来などは説明しない?

荒谷 しないですね。「これ、面白がってくれそうじゃない?」という話だけ(笑)。歌詞もそうなんですけど、“こう来るだろうな”と思ってるところで、ポンとひっくり返すような表現を好んで使ってるところもあるし。その感じがタイトルにも出たんだと思います。

斉藤 天邪鬼だよね(笑)。

田中 自分たちも驚きたいんですよね。

野元 嫌な裏切りではないしね。

荒谷 まあ、どう捉えられるかはわからんけど。そこは人それぞれでいいかなと。このタイトルを見て、一瞬「ん?」ってなってほしいっていうのもあるし。

前向きにも後ろ向きにも捉えられる言葉ですよね。「明日が来ないんだったら、今日、何をしようか?」とも考えられるし……。

荒谷 「明日、来ないのか」って絶望するかもしれないし(笑)。僕としては全然ネガティブな意味ではなくて。というか、ポジティブとかネガティブを吹き飛ばして、すべてを超越したところにある言葉だと思ってるんですよ。このタイトルのなかにいろんな考えや矛盾も含まれているし、決して難しくないんだけど、考えさせれるというか。言葉の選び方、並べ方で、辞書には載ってない意味になるのが面白いんですよね。

ポップに聴かせるというところは欠けちゃダメだと思うし、それが自分の役割かもしれないなって(田中)

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サウンド、歌詞を含めて実験的な要素もかなり入ってますけど、聴いてる感じはすごくポップで。そのあたりのバランスは意識してますか?

荒谷 僕らがやりすぎてると、慧がブレーキをかけてくれるんですよ。

田中 実験的すぎない?って(笑)。

荒谷 そうそう。この3人(荒谷、斉藤、田中)は「やれやれ!」って感じになりがちなんですけど、そういうときに……。

田中 「待って待って」って言うことはありますね、確かに(笑)。ポップに聴かせたいという気持ちもあるので。

斉藤 慧が止めてくれないと、破綻するかも(笑)。

野元 アルバムの制作でも、慧と「ボーカルに合わせたアレンジってどういうことやろ?」という話をしたり。

荒谷 客観的にバンドをプロデュースしてくれてるというか。全員がプロデュースしてるんですけど、慧が最後の砦になってくれてますね。

田中 そんなたいそうな……。みんながいろいろやってくれるから、面白いものが出来ると思ってるので。ただ、ポップに聴かせるというところは欠けちゃダメだと思うし、それが自分の役割かもしれないなって、いま思いました(笑)。

福岡にプラベートスタジオを作りたいなと思ってるんですよ(荒谷)

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最後に、アルバムをリリースした後のビジョンについて聞かせてもらえますか? まだまだやりたいことは山のようにあると思いますが。

荒谷 そうですね(笑)。福岡にプライベートスタジオを作りたいなと思ってるんですよ。いま物件を探してるんですけど、そこで音を出しながら曲を作ることで、フィジカルなアイデアも盛り込めると思うし、さらに幅が広がるんじゃないかなと。

野元 ライブパフォーマンスでのアドリブ感を曲に入れ込んだり。

自分たちのスタジオを作ったら、ずっとそこにいそうですね(笑)。

荒谷 ハハハハ。酒も買いだめしとかないと(笑)。

スタイリング / 市野沢祐大(TEN10)
ヘアメイク / 久保純子
衣装協力◉HEMT PR、MONK

その他のyonawoの作品はこちらへ。

ライブ情報

yonawo 1st full album「明日は当然来ないでしょ」release one man live

11月22日(日) 名古屋 CLUB QUATTRO
17:00開場 18:00開演
チケット:SOLD OUT
JAILHOUSE 052-936-6041

11月23日(月・祝) 大阪 BIGCAT
17:00開場 18:00開演
チケット:SOLD OUT
YUMEBANCHI 06-6341-3525

11月28日(土) 札幌 BESSIE HALL
17:00開場 18:00開演
チケット:SOLD OUT
WESS 011-614-9999

12月20日(日) 福岡 BEAT STATION
17:00開場 18:00開演
チケット:SOLD OUT
BEA 092-712-4221

12月23日(水) 東京 TSUTAYA O-EAST
18:30開場 19:30開演
チケット:SOLD OUT
ホットスタッフ・プロモーション 03-5720-9999

※全公演チケットソールドアウト


[有料配信] ※情報解禁 11/11(水)0時
yonawo 1st full album「明日は当然来ないでしょ」release one man live
OPEN 18:30 START 19:30 @TSUTAYA O-EAST
アーカイブ期間 : 12月31日(木)

yonawo

荒谷翔大(Vo)、田中慧(Ba)、斉藤雄哉(Gt)、野元喬文(Dr)による福岡で結成された新世代ネオ・ソウル・バンド。
2018年に自主制作した2枚のEP「ijo」、「SHRIMP」はCDパッケージが入荷即完売。地元のカレッジチャートにもランクインし、早耳リスナーの間で謎の新アーティストとして話題に。2019年11月にAtlantic Japanよりメジャーデビュー。
配信限定シングル「ミルクチョコ」「Mademoiselle」を11月&12月に2ヵ月連続でリリース。
2020年4月15日(水)に初の全国流通盤となる6曲入りのミニアルバム『LOBSTER』をリリース。
4月24日(金)に配信限定シングル「good job」、5月1日(金)には過去のデモ曲をまとめた配信限定アルバム「desk」、6月12日(金)にParaviオリジナルドラマ『love⇄distance』主題歌オープニング曲「トキメキ」を配信限定でリリース。8月14日(金)には、史上初となる福岡FM3局で同時パワープレイを獲得した「天神」の配信がスタート。
そして、11月11日(水)には、待望のファーストフルアルバム『明日は当然来ないでしょ』をリリース。

オフィシャルサイト
https://yonawo.com

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