Interview

名古屋ギター女子部 国内にとどまらずアジア圏にもファン拡大中の、アコギ4人+キーボード1人。その独自のスタイル、音楽に対する熱い思いと緻密な戦略を訊く

名古屋ギター女子部 国内にとどまらずアジア圏にもファン拡大中の、アコギ4人+キーボード1人。その独自のスタイル、音楽に対する熱い思いと緻密な戦略を訊く

チャンネル登録者数13万人以上、動画総再生回数1,700万回超え、ファンは国内にとどまらず中国やアジア圏にもおよぶ、注目の音楽系YouTuber=名古屋ギター女子部が、メジャーデビューアルバム『Re:POP』をリリース。アコギ4人+キーボード1人という独特な編成で、LiSA、米津玄師、King Gnu、Official髭男dismなどのヒット曲を、オリジナリティ溢れるアコースティックアレンジと美しいハーモニーで聴かせ、ネットで話題を集めている彼女たち。2017年の結成以前には、それぞれソロでシンガーソングライターとして活動した経緯があるほか、結成後は路上でCDを1,000枚手売りした経験や、動画制作にはさまざまな苦労があったと話す。実はここにくるまでには、泥くさい経験や熱い思い、そして緻密な戦略もあった。

取材・文 / 榑林史章


私たちのアイデンティティは、そこにあるんじゃないかということで、アコギ4本と鍵盤でやろうと(伊藤)

ピアノ1人にギター4人という編成で「何で?」って聞かれませんか?

CHISA 毎回聞かれます(笑)。もともと個々にシンガーソングライターをやっていた時代から仲の良かった5人が集まったら、たまたまピアノ1人、ギター4人だったんです。

伊藤汐梨 最初はどうやって演奏したら良いのかもわからなかったんですけど、4人がアコギだからこそ面白いんじゃないかと。名古屋ギター女子部らしさ、私たちのアイデンティティは、そこにあるんじゃないかということで、アコギ4本と鍵盤でやろうと。

グループ名もサークル名みたいで面白いですよね。

伊藤 結成のきっかけが、全員が共通してお世話になっていたライブハウスの人に声をかけられたことで、名古屋ギター女子部という名前もその人が付けてくれました。名前を聞いた時は正直、「何じゃそりゃ!」って思いましたけど(笑)。

CHISA 最初は「ダサっ!」って思っていたんですけど(笑)、今となってはキャッチーだし、1度聞いてすぐ覚えてもらえるので、良い名前を付けてもらったなと思っています。今は、みんなすごく気に入っていると思いますよ。

後河内美咲 こういう変わった編成だから、誰からも驚いてもらえるし、名前もわかりやすくてインパクトがあるし。それはYouTubeで、多くの人に見てもらえる要素だと思うので、すごく良いと思っています。もちろん最初は、何をどうすれば演奏や動画が良くなるかまったく分からない状態でのスタートでしたけど、手探りで試行錯誤していくうちに、どんどん良いものになっていった実感はありますね。

どりー 名古屋ギター女子部と名乗っていますけど、そもそも名古屋出身なのはこんどうだけで、伊藤とCHISAは岐阜出身で、後河内にいたっては広島出身ですから(笑)。そんな私たちが、たまたまよく一緒になったライブハウスが名古屋にあったので、名古屋という地名には思い入れがあるんです。名古屋には、大阪や東京にはない、良いところや面白いところがたくさんあります!それを多くの人に知って欲しいなと思っているので、このグループ名ですごく良かったと思っています。

最初はみんなで楽しくやれれば良いねという感じでしたけど続けていくうちに、それぞれが「名古屋ギター女子部をもっと頑張りたい!」という気持ちになって(後河内)

全員ソロでやってきて、グループをやることになった時は、なにか思うところがあったんでしょうか。

後河内 最初は個々の能力がブラッシュアップできたら良いねという感じで、それこそ部活動のような感覚で始まったんです。あくまでも名古屋ギター女子部はサブで、メインはソロ活動みたいなイメージでした。最初はみんなで楽しくやれれば良いねという感じでしたけど続けていくうちに、それぞれが「名古屋ギター女子部をもっと頑張りたい!」という気持ちになって、今こういう感じでやっています。

でも、ソロもまだ諦めてはいない?

伊藤 最終的にはおのおのが、ソロの道でやって行けるようにと考えていますけど、今は「名古屋ギター女子部でやってやるぞ!」という気持ちです。

せっかく歌える人が5人もいるんだから、それを活かしていこうと(CHISA)

みなさんはYouTubeで動画を配信していて、ものすごい数のカバー動画をあげていて。シンプルなアコースティック演奏とハーモニーで組み立てるスタイルですが、これは最初からですか?

CHISA 最初は、今みたいにコーラスをたくさん入れたりしていなくて。もともと全員ソロで歌っていたから、主旋律は歌えるけどハモった経験がほとんどなかったんです。でもせっかく歌える人が5人もいるんだから、それを活かしていこうということで、試行錯誤しながら今のスタイルになっていきました。

それぞれがカバー動画を通して、コーラスワークやハモリなどのアレンジを学んでいった感じです(こんどう)

ハモリの練習とか大変だった。

後河内 大変でしたね。声だけじゃなくギターを合わせるのも大変でした。それぞれがソロプレイヤーでもあったから、ギター4本で良い感じにすることが、そもそも難しくて。それをお客さんに見せることまで考えると、さらに難しさがアップするんです。

こんどうゆみか カバー動画のアレンジは、曲ごとに担当者がいて、その人が考えるという形です。それぞれがカバー動画を通して、コーラスワークやハモリなどのアレンジを学んでいった感じです。

予想再生数と選曲理由と共にプレゼンし合ってみんなで決めます(どりー)

選曲はどのように?

どりー 毎月選曲会議をやっていて、その時に自分がやりたい曲やバイラルチャートなどを参考にしながら考えた候補曲を、予想再生数と選曲理由と共にプレゼンし合ってみんなで決めます。

マーケティング的なことも考えているのは、すごいですね。そういうプレゼンがいちばん上手いのは、誰なんですか?

こんどう どりーかな。選曲理由もそうだけど、曲の面白さを引き立たせるアレンジを考えるのは、どりーが上手いです。

どりー 私が選曲する楽曲は、まずイメージがバンッてあるんです。たとえばSHISHAMOさんの「君と夏フェス」という曲をカバーした時は、コロナの影響で夏フェスが中止になったり、夏の楽しい催し物がなかったことで、夏フェス需要がきっとあるんじゃないかと思ったんです。それで夏フェスに行く時のような衣装で「君と夏フェス」を歌ったら、見てくれた人が夏フェスに行ったような気分になれて楽しいんじゃないかと。

名古屋ギター女子部の画角はコレと、1本目の動画で決めたんです(どりー)

カバー動画を見て面白いと思ったのは、選曲やアレンジもそうですけど、毎回同じ画角で場所だけどんどん変わっているというのが面白くて。

どりー 私たちはキーボードとギター4人という編成が面白いので、横位置で並んだ時のインパクトが大きいと思うんです。まずはそれをわかってもらえるように、さらに見てもらって「何じゃこりゃ」と思ってほしくて。それで名古屋ギター女子部の画角はコレと、1本目の動画で決めたんです。

季節によって日の出の時間を調べてね(CHISA)

毎回場所を探すのは大変そう。

伊藤 大変ですよ。

CHISA 背景に人が映り込まないように、早朝に撮影していて。もしも人が入ってしまった時は、最初から撮り直しです。

後河内 最初から最後まで1曲を通しで収録するから、最後の4小節で人が入っちゃって、泣く泣く最初から撮り直すということもよくあります。

CHISA 季節によって日の出の時間を調べてね。

どりー 海で撮影した時は、潮の満ち引きの時間まで調べました。それに同じ朝でも、ちょっとした時間の違いでカメラに入る日の差し込み方も変わってくるので、そういうところにも気を配ります。

さすがYouTuberですね。ずっと真夜中でいいのにの「秒針を噛む」は、2階の渡り廊下みたいなところで撮影していて、学校かなって思ったんですけど。

伊藤 あれは、私の母校です。見てくれた人に「どこで撮っているんだろう?」って想像して欲しいので、基本的にはあえて撮影場所の詳細は書かないようにしているんです。

YouTubeをやっていることで、日本だけじゃなくて本当に世界の人に届いているんだなって実感することができますね(後河内)

海外からのコメントもたくさんありますね。

後河内 海外の方に見てもらえるのは、めちゃめちゃ嬉しいです。最近は投稿する時にプレミア公開を毎週水曜日にやっていて、始まる30分前からチャットを開放するんですけど、言語の種類がすごいですよ。みんなネット翻訳しながら読んでいるんですけど、YouTubeをやっていることで、日本だけじゃなくて本当に世界の人に届いているんだなって実感することができますね。

日本のポップスを日本語で歌っているのに、世界から注目されているのは、やはり名古屋ギター女子部に魅力があればこそで。

どりー きっと、こういう形態でやっていること自体が、世界的にもあまりいないんだと思います。単純にそういう新鮮さ、絵面のインパクトや背景の選定とかも含め、歌ものの動画としてすごく新しかったんだと思いますね。名古屋ギター女子部というコンテンツとして、ちゃんと認識してもらえていると言うか。

1本目からしっかりブランディングがなされて、それをブレずにやり続けたからですね。そもそもみなさんの好きな音楽は、バラバラだったりするんですか?

後河内 ものすごくバラバラですよ。私は、最近はバンドものが好きですけど、部長はK-POPとかが好きですよね。

こんどう 洋楽とか聴きますね。

CHISA 私はボーカロイドとかネット系の音楽が好きで、そういう曲をよく聴いています。

伊藤 もともとは女性アイドルソングが大好きでした。

どりー 私は小学生のときからジャニーズオタクです(笑)。そういうそれぞれの好みの音楽が、カバーをする時のアレンジに活かされることもあります。

こんどう K-POPも1曲だけBTSさんをやっています。

どりー カバー動画の選曲からも、それぞれのメンバーの好みがわかるんじゃないかと思いますね。

さて、そんな名古屋ギター女子部のメジャーデビューアルバム『Re:POP』がリリースされました。

後河内 YouTubeにカバー動画をアップしたことのある曲だけじゃなく、このアルバムで初めてカバーした曲もあって。中島みゆきさんの「糸」と、wacciさんの「別の人の彼女になったよ」がそうです。どの曲も、どの曲を収録したらどういう反応がくるのかとか、いろんなことを考え踏まえたうえで、みんなで相談して決めました。

YouTubeの私たちとは違った一面を知ってもらえる曲だなって思います(こんどう)

オリジナル曲「ストリート・ストーリー」も収録され、この曲には、みなさんのこれまでの道のりが込められていますね。

どりー この曲は、路上ライブをやっていた時のことを歌っています。私たちはソロの時から路上ライブをたくさんやっていて、名古屋ギター女子部になってからも、武者修行みたいな形で11月の寒いなかCDを1000枚売り切るということをやったりして。私たちのシンガーソングライターとしての、人に伝えるという部分の泥くさいところが、すごくよく出ている曲ですね。

CHISA メンバーそれぞれで出し合ったワードが歌詞になっているので、歌うたびにいろんなことを思い出します。聴いてくれる人に向けて、前を向いて頑張ってほしいなという気持ちを込めているので、そういうメッセージも伝わってくれたら嬉しいです。

伊藤 本当に私たちの軌跡を歌っている。今までこうやって来たんだということが、ギュッと詰まっている曲です。毎回歌うたびに、今まで出会った人の顔が浮かんで、すごくエモい気持ちでいっぱいになります。だから本当に大切な曲になりました。

後河内 何かに向かって頑張っている人に、すごく聴いてほしいですね。私たちも今はメジャーデビューというスタート地点に立てているけど、それまでの道のりは決してスムースだったわけではなくて。挫折したこともみんな何度もあるし、苦しかったこともいっぱいあったけど、それがあったから今があると思っています。今苦しいと思っている人に、少しでも希望を感じてもらえたら良いなと思います。

こんどう 私たちのことをYouTubeで知ってくれた方は、YouTubeでの活動しか知らないと思うんです。でも路上ライブをやったりとか、私たちが路上ライブで見てきた景色が歌詞にあるので、YouTubeの私たちとは違った一面を知ってもらえる曲だなって思います。

音楽系YouTuberでもあるんですけど、ライブアーティストでもあるので。どちらかに寄せるんじゃなくて、二刀流で(伊藤)

このアルバムを皮切りに、今後はライブ活動をやっていきたいですか?

どりー そうですね。YouTubeを通して全国の人に知っていただけたので、今度は私たちから全国のみなさんのところまで会いに行けたら良いなと思っています。どこへでも行きたいんですけど、できればご飯の美味しいところが良いですね(笑)。国内だけじゃなく海外にも行けたらいいですね。中国のビリビリ動画でもカバー動画をあげていて、中国にもファンの方がたくさんいるので、いつか中国にも行けたら良いなと思います。

伊藤 最近は「音楽系YouTuber名古屋ギター女子部」と紹介されることが多くて、もちろん音楽系YouTuberでもあるんですけど、ライブアーティストでもあるので。どちらかに寄せるんじゃなくて、二刀流でやっている人はそんなにいないと思うので、それが私たちの強みだし両方を全力でやれたら良いなと思いますね。

後河内 あと、やっぱりライブって、私はお客さんとつながれる瞬間が好きで。YouTubeで出会ってコメントでやりとりするのも楽しいけど、ライブで直接会って同じ温度感で楽しむ瞬間がすごく好きなので、そういう瞬間をもっと大切にしながら、いろんな人とライブで会えたら嬉しいですね。

CHISA 私も同じ。やっぱりライブはライブで、YouTubeとは楽しみ方が違うから、ライブならではのものを味わって欲しいです。

こんどう みんなコロナ禍で気持ちが沈んじゃったり、いろいろ苦労されていることがあると思いますけど、苦難を経て、苦労があったからこそ、ライブが楽しいとか、これって実は大事なことだったんだなとか。そういうものを、ライブを通してみんなと共有できたら嬉しいなって思います。ぜひライブを見てもらえたら嬉しいです。

その他の名古屋ギター女子部の作品はこちらへ。

ライブ情報

Major Debut Album「Re:POP」 発売記念
ギタじょぶ スペシャルライブ『 Live in Re:POP !! 』

12月11日(金) 愛知・名古屋 インターナショナルレジェンドホール
※詳しくはオフィシャルサイトにて


11月7日 NAGOYA LIVE HOUSE AID online
https://zip-fm.co.jp/livehouseaid

11月15日 明治村音楽祭 愛知・犬山 博物館明治村
https://www.meijimura.com/autumn2020

名古屋ギター女子部

名古屋のソロシンガーソングライター5人による次世代ガールズユニオン。YouTubeへの動画投稿をベースにした活動スタイルから、音楽系YouTuberとも称される。YouTubeにカバー動画を投稿すると、わずか1年半でチャンネル登録者10万人を突破し、YouTubeから「シルバークリエイターアワード」に認定。今までに投稿したカバー動画の総再生数は1,700万回を超え、その透明感のあるコーラスワークと斬新なアコースティックアレンジが話題となっている。2020年10月にドリーミュージックからメジャーデビュー!!

オフィシャルサイト
http://cloverfield.info/guitar-girls/

名古屋ギター女子部 – YouTube