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谷水 力がすべての人を“大丈夫”と勇気づけて悩みを解消してくれる。舞台「真夜中のオカルト公務員」絶賛上演中!

谷水 力がすべての人を“大丈夫”と勇気づけて悩みを解消してくれる。舞台「真夜中のオカルト公務員」絶賛上演中!

たもつ葉子の大ヒット漫画「真夜中のオカルト公務員」を原作とした舞台が10月29日(木)に開幕。11月7日(土)まで新宿FACEにて上演される。
新宿区役所の「夜間地域交流課」に就職した宮古 新(みやこ・あらた)が、夜の街で不可知な存在「アナザー」と出会い、冒険をして成長する物語。舞台版では脚本を、演劇集団 Bobjack Theaterの守山カオリ、演出は守山と同じ演劇集団の扇田 賢が務め、キャストも谷水 力を筆頭に、磯野 大、とまん、釣本 南など豪華な俳優陣が揃っている。
初日前日に公開ゲネプロが行われたのでその模様をレポートしよう。

取材・文・撮影 / 竹下力


どんな困難が立ちはだかっても、立ち向かうことができる

観客の“勇気”をかき立てる舞台だ。本作の主人公である宮古 新は、この世界には実在しないと誰しもが思っている存在を目にしても、恐れず、怯まず、臆することなく、彼らの声に耳を傾けて悩みを解決しようと奮闘する。“どんなにわかり合えない人間同士でも、膝を突き合わせて話し合えば、いつかわかり合える”という希望溢れる感動的な作品だった。

舞台「真夜中のオカルト公務員」 WHAT's IN? tokyoレポート

舞台には紗幕がかかっていて、新宿、歌舞伎町のけばけばしいネオン街の入り口が映し出されている。その前で宮古 新(谷水 力)が一人語りを始める。
晴れて社会人1年生として公務員になり、新宿区役所「夜間地域交流課」に配属が決まったものの、いったい何をするのだろうと思い悩んでいる、新入社員“あるある”的な話だ。

仕事の内容を説明されぬまま、「夜間地域交流課」のリーダーである元ホストの榊 京一(磯野 大)と、日本に帰化したイギリス人でオカルトオタクの姫塚セオ(とまん)に連れ出され、夜の新宿御苑を巡回することになった宮古は、そこで驚くことになる。姫塚が開発したという怪しげなスプレーが公園内に散布された瞬間、妖怪や精霊といった人間には目にすることができない存在が見えてきたからだ。

舞台「真夜中のオカルト公務員」 WHAT's IN? tokyoレポート

そして榊から「この世には目に見えない生き物が実在している。それらに対処するのが“夜間地域交流課”だ」と明かされ、人間には見えない存在を「アナザー」と名付けて観察・監視し、彼らが巻き起こす現象や事件に対応しているのが「夜間地域交流課」、いわゆる宮古の仕事だということを知る。

しばらくして宮古は、天狗(斎藤直紀)と天使が愛を誓い合っている微笑ましい会話を聞く。しかし、榊と姫塚には天狗と天使の姿が見えるだけ。有害なるものとして彼らを退治しようとする榊たちを宮古が留めると、天狗の親分が登場し、宮古に「お前は安倍晴明だ」と言い放ち、「砂の耳」という人外な存在の言葉を聞くことができる能力があると伝えられる。

舞台「真夜中のオカルト公務員」 WHAT's IN? tokyoレポート

そこから上司の仙田礼二(田中稔彦)、宮古のライバルとなる東京都庁「夜間地域交流課」に勤める狩野一悟(瀬戸啓太)などと交流しながら、宮古のことを「晴明」と言って寄り添ってくるアステカ神話で神と称されるウェウェコヨトル/琥珀(釣本 南)や、国立競技場の地下で蚕を育んでいた蚕神(倉田瑠夏)といったアナザーたちと出会い、様々な未知なる事象に向き合うことで、宮古の人生は次第に変わっていく……。

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舞台設定が絶妙だと思う。“新宿”という刺々しいほどリアルで人々の欲望に満ちたカオスな場所は、オカルティックな話にぴったりだ。上演している劇場も歌舞伎町にあるのだから、より心憎い。フィクションとノンフィクションが融合した舞台と言えばいいのか。

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タイトルのネーミングも抜群の面白さで、“オカルト=超自然的な、神秘的なこと”を意味する言葉は、今では“死語”として扱われるかもしれないけれど、有史以前より日本人の心に刻印された言葉だと思う。その最たる現象が、近年でいえば、1973年頃の“昭和のオカルトブーム”だろうか。背景にあったのは、当時の不安な世相だったことは明らかだ。アメリカとソ連の東西冷戦は激しくなって、核兵器や弾道ミサイルといった人類を抹殺する兵器を大量生産することが“抑止力”と呼ばれ、それが平和に結びつけられるという“ねじれ”が生じていた。それは、人々の心に“人間は永遠にわかり合えない”という暗い影を落とした。そんななかで、アナーキーな暴力衝動さえ生まれ始める。

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本作も野蛮でアナーキーな活力に満ちている。我々が生きている世界ではありえない話なのに、それが本当に起こっていそうな気配があって、暴力的に納得させようとするパワーがある。この舞台を観終わると、日常から逸脱した世界が目の前に待っている気がする。ただ、あの時代と何が違うかといえば、それがポジティブな力に変換されていることだろう。たしかに、生きづらさを抱えている人たちは登場する。でも、登場人物や宮古は体制側の人間で、社会や政治に反発しているわけではない。宮古に至っては、人外なる生物だろうとコミュニケーションを図って、問題を解決しようとする。それこそまさに人類が望んだことではないだろうか。あらゆる人種を乗り越えて、生きとし生けるものが平和に暮らす姿を見出すこと。今作は、誰もが平和と安定の願いを託した理想郷が描かれている。まさに我々が求めるラブ&ピースの世界。

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といっても、難しい理念を描いているわけではない。脚本の守山カオリと演出の扇田 賢のコンビは、原作を忠実に再現しながら、舞台ならではの仕掛けで物語のユーモアを際立たせ、決して観客を飽きさせることなく、“今、ここ”でしか起きえない演劇として成立させている。コンプレックスやルサンチマンとも無縁に、目の前の困難を平和に解決しようと努力していたら、いつのまにかそうなっているという楽天的な明るさや、ストーリーの必然性を、脚本と演出の力で抽出していたと思う。パンデミックの状況においてエンターテインメントは、こうあるべきだというお手本を示してくれた気がする。

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なにより俳優陣が頑張っていた。全員がキャラクターと共に生きていたので、どの人物にも感情移入できる。また、今作は、いわゆる“バディもの”で、宮古、榊、姫塚の3人の獅子奮迅の活躍が見どころだ。なおかつ宮古のビルドゥングスロマンでもある。

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磯野 大は、アナザーのせいで不幸を背負ってしまい、あらゆる出来事に疑心暗鬼でありつつ、元ホストの少し“チャラい”という複雑な設定の榊 京一を演じ切った。とまんは、姫塚セオを丁寧に演じていた。ふたりに共通しているのは“キャラに似合わない優しさ”だけれど、それが宮古の気持ちを盛り立てる殉教的な芝居が胸を打つ。

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特筆すべきは釣本 南で、チートな神様・琥珀を妖艶で奔放に演じて、トリックスターよろしく、物語の語り部になれば、宮古が超えるべき障害になったり、八面六臂の活躍で素晴らしかった。

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谷水 力は、一本気でどこか向こう見ずな性格の宮古 新を素直にシンプルに演じていた。“宮古=谷水”に見えるほど、役に没入していたと思うし、本作の“どんな生物も心と心が絶対に通じ合う”というポジティブな思想を一心に体現しており、爽快感を感じるほど。さらに、彼がバディの榊と姫塚の優しさに勇気づけられ、成長していく姿にはカタルシスがあった。それ以上に、演じる楽しさがこちらに伝わってきて、彼を観ていると心が踊る。ライブならではの俳優と観客の心の共鳴という現象も起こしていた。

舞台「真夜中のオカルト公務員」 WHAT's IN? tokyoレポート

今作は“何をしても大丈夫”という勇気をくれる。その“大丈夫”は失敗するかもしれないという不安な気持ちを慰めてくれる柔な言葉ではない。どんな受難の真っ只中だろうと、背中を押し続けてくれる強さと優しさを兼ね備えた“大丈夫”だ。だからこそ、理想へ立ち向かう勇気を胸に秘めて前へ進むことができる。明日へ生きるための理由を見つけることができる。つらいことがあっても、あなたと共に歩いてくれる人がいつだってそばにいる。それこそが生きることの醍醐味ではないか。

舞台「真夜中のオカルト公務員」 WHAT's IN? tokyoレポート

公演は、11月7日(土)まで新宿FACEにて上演される。さらに本公演のDVDの発売も決定した。詳細はオフィシャルサイトを確認しよう。

舞台「真夜中のオカルト公務員」

2020年10月29日(木)~11月7日(土)新宿FACE

原作:たもつ葉子
脚本:守山カオリ(Bobjack Theater)
演出:扇田 賢(Bobjack Theater)

出演:
宮古新 役:谷水 力
榊京一 役:磯野 大
姫塚セオ 役:とまん
仙田礼二 役:田中稔彦
琥珀 役:釣本 南
狩野一悟 役:瀬戸啓太
狩野一茜 役:永瀬千裕
千草健二 役:毎熊宏介
玉緒勝己 役:石賀和輝
清水翔太 役:竹鼻優太
天狗 役:斎藤直紀
蚕神 役:倉田瑠夏

伊東征哉、柳下 陸、辻村晃慶、久保早里奈、淺田みなみ、水野 彩

オフィシャルサイト
オフィシャルTwitter(@mayonaka_stage)

©Yohko Tamotsu・KADOKAWA ©2020舞台舞台「真夜中のオカルト公務員」製作委員会

舞台「真夜中のオカルト公務員」DVD

発売日:2021年3月10日(水)予定
価格:8,580円(税込)
仕様:本編120分予定
特典:ボーナスディスク(キャストコメント・大千秋楽カーテンコール)予定
発売元:東映ビデオ株式会社
販売元:東映株式会社

●限定予約版DVD予約受付中 限定予約版特典:非売品・場面写真ブロマイドセット(予定)
早期購入特典:お好きなキャストの直筆サイン色紙(抽選で各3名様にプレゼント。公演期間中の予約分対象)
限定予約版DVDは、下記のURLよりご予約ください。
※受付は、2020年12月7日(月)23:59まで。
詳細はこちらから