Interview

ザ・リーサルウェポンズ 新作はDJへの皮肉とユーモアを込めたアッパーチューン。“80年代からやってきた”ふたりのプロフィールとは?

ザ・リーサルウェポンズ 新作はDJへの皮肉とユーモアを込めたアッパーチューン。“80年代からやってきた”ふたりのプロフィールとは?

80年代カルチャーを反映した楽曲、アメリカ出身のサイボーグ・ジョー(Vo)と日本人プロデューサーのアイキッド(G/Key)のキャラクターによって注目を集めているザ・リーサルウェポンズから、メジャー3rdシングル「押すだけDJ」が到着! DJ KOOが出演したMVも話題のこの曲は、DJへの皮肉とユーモアを込めたアッパーチューンだ。
2019年に突如として出現し、瞬く間にメジャーシーンに進出したザ・リーサルウェポンズ。サイボーグ・ジョー、アイキッドに、バンド結成から新曲「押すだけDJ」の制作までを語ってもらった。

取材・文 / 森朋之 撮影 / 荻原大志


ブックマート都立家政店の店長が「うちの店の曲を作ってよ」と言われて、「いいよー」って適当に作って(アイキッド)

ザ・リーサルウェポンズ WHAT's IN? tokyoインタビュー

まずはザ・リーサルウェポンズを結成した経緯を教えてもらえますか?

アイキッド 出会いから話すと……都立家政(東京都中野区)に青角という、やきとん屋さんがあって、サイボーグ・ジョーはそこの飲み仲間だったんです。あるとき、同じく飲み仲間だったブックマート都立家政店の店長が「うちの店の曲を作ってよ」と言われて、「いいよー」って適当に作って。自分では歌えないから、「ジョーでいいか」と頼んだのが最初のきっかけですね。

サイボーグ・ジョー そうだね。楽しそうだからやりたい!って。

アイキッド その後1年くらいは何もやってなかったんだけど(笑)、ジョーの日本語が上達してきて、「これならバンドをやれるな」と。

「キスしてほしい」でガーン!とサンダーに撃たれましたね(ジョー)

ジョーさんは以前から歌ってたんですか?

ジョー アメリカでパンクロックをやってましたね。自宅のガレージで演奏するだけのアマチュアだったんだけど、ザ・クラッシュやザ・ブルーハーツが好きで。

アメリカでブル—ハーツを聴いてたんですか?!

ジョー ハイ! 友達がカラオケで「リンダリンダ」を歌ってて、いい曲だなと思って。『YOUNG AND PRETTY』というアルバムを聴いてみたら、1曲目の「キスしてほしい」でガーン!とサンダーに撃たれましたね。

アイキッド ちなみにザ・ブルーハーツの最初のワンマンライブは、都立家政の“スーパーロフト”というライブハウスだったんですよ。

80年代のプチ・リバイバルは何度かあったけど、いまはガチのリバイバルじゃないですか(アイキッド)

ザ・リーサルウェポンズ アイキッド WHAT's IN? tokyoインタビュー

そんな縁があったとは(笑)。アイキッドさんが作る曲は80’sハードロック、ヘビィメタルのテイストが含まれてますが、歌ってみてどうでした?

ジョー いい曲だなと思ったんですけど、歌うのはちょっとプレッシャーでしたね……。メタルのボーカルを練習したんだけど、アイキッド先生に「いやいや、普通に歌っていいよ」って言われて(笑)。

アイキッド できないことを無理強いするのはプロデュースじゃないから。できる範囲でやるほうがいいし、それでいいんです、君は。サイボーグなんだし。

(笑)アイキッドさんはやはり、80’sの音楽がルーツなんですか?

アイキッド そうですね。明るく楽しい80年代が大好きだし、そういう音楽をずっとやってきたので。90年代、00年代は「80年代の音楽は古い」と言われ続けてきたから、最近になっていきなり「もっとやって」みたいになって戸惑ってます(笑)。80年代のプチ・リバイバルは何度かあったけど、いまはガチのリバイバルじゃないですか。

ザ・リーサルウェポンズの音楽がウケまくっているのは、そういう時代の背景もあるんでしょうね。

アイキッド 恥ずかしい思いもしましたけどね。僕、じつは以前にもメジャーデビューしたことがあるんですけど、そのときはディレクターに「シモンズの(電子ドラムの)タム、恥ずかしいからやめて」と言われてたので(笑)。

アイキッドさんのサウンドメイク、完璧に80’sですからね。シンセやドラムの音色を含めて。

アイキッド ありがとうございます。なるべく豪華にならないように、ドラムはブラジルのアマチュアの方がフリーで公開している音源を使っていて。荒っぽい音が好きなんですよね。

代表曲「80年代アクションスター」「昇竜拳が出ない」もそうですが、歌詞やMVにも80’sのカルチャーが反映されていて。

ジョー 80’sムービー、私も大好きですね! 「プレデター」「ロッキー」「ランボー」、全部好き! アメリカにはTVチャンネルが超たくさんあるから、エブリデイ、必ず放送してるんですよ。テレビ用に編集されたバージョンなんだけどね。映画館のバージョンは“Too Many バイオレンス”だから、子供は見ちゃダメ。

アイキッド なるほどね。僕も子供の頃、80年代の映画はよく見てましたね。「ロッキー5」はリアルタイムで見ました。

ジョー イイね! 特に「ダイハード」「リーサル・ウェポン」「バック・トゥ・ザ・フューチャー」はベストだね。「ミュータント・タートルズ」も好きだったし。My子供の頃はグリーン・デイ、ウィーザー、ニルヴァーナを聴いてて、80年代に人気があったポイズン、ラット、ボンジョビ、ヴァン・ヘイレンには興味がなかったんだよね。いまは80’sリスペクトだけどね!

歌以外は全部やってましたからね。いまは「こうしてほしい」とスタッフに伝えたら、全部やってもらえるのでめちゃくちゃラクです(アイキッド)

ザ・リーサルウェポンズ WHAT's IN? tokyoインタビュー

ザ・リーサルウェポンズは今年8月にメジャーデビュー。環境の変化はありました?

ジョー うーん……いままでは先生としかLINEしてなかったけど、いまはレーベルのスタッフからも連絡が来るようになった。それくらいかな。

アイキッド いままでは僕の個人レーベルだったから、プロモーター、撮影スタッフ、ジョーを含めて、すべての起点が僕だったんですよ。

ジョー よく怒られてましたね。「明日の集合時間、何時?」って連絡したら、「忙しいんだよ! いちいち連絡するな」って(笑)。やらなくちゃいけないことがMany Manyだったからね、先生は。

アイキッド (笑)歌以外は全部やってましたからね。いまは「こうしてほしい」とスタッフに伝えたら、全部やってもらえるのでめちゃくちゃラクです。

ジョー 最近はあまり怒られないし、先生は優しくなったと思います!

クリエイティブに集中できようになった、と。アイキッドさんは、どういうスタイルで曲を作ってるんですか?

アイキッド ネタというかテーマが先にあって、DTMを立ち上げて、まずドラムやベースを打ち込んで。鼻歌でメロディを考えて、肉付けしながら、作詞もやってますね。作詞、作曲、編曲を同時進行でやって、さらに“Aメロはこういう画角で、こういう映像で”とMVの字コンテを書いて。

楽曲の制作とMVのコンテを一緒にやってるって、すごいですね!

ジョー 先生はすごいよ!

アイキッド (笑)。

非正規雇用のサラリーマンがくたびれてスーパーに立ち寄って、可処分所得の低いおばちゃんたちと競り合うという場面で。世相が反映されているわけです(アイキッド)

メジャー1stシングル「半額タイムセール」は、スーパーの半額タイムセールをテーマにしたロックチューン。たけし軍団が参加したMVも話題を集めました。

ジョー もちろん好きな曲なんだけど、最初は「スーパーマーケットの曲なんて、大丈夫なの?」って思ってましたね。アメリカでこういう曲を出したら、「アル・ヤンコビック(パロディソングで有名なアメリカのアーティスト)みたい」って言われちゃうから

アイキッド そうかもね(笑)。「半額タイムセール」は、私の思いも込められているんです。あの曲で描かれているのは、非正規雇用のサラリーマンがくたびれてスーパーに立ち寄って、可処分所得の低いおばちゃんたちと競り合うという場面で。世相が反映されているわけですよ。

ジョー そうだったのか!初めて知ったよ。

ザ・リーサルウェポンズには、フリーアルバイターを生活を描いた「プータロー」という曲もありますね。

アイキッド はい。私はいわゆる“ロストジェネレーション”と呼ばれる世代なんですけど、大学を卒業するときの有効求人倍率が戦後最低で。私も当然のようにフリーターになり、辛酸を舐め続け……まあ、この話はいいです(笑)。

ジャパニーズの細かい文化、すごく興味あります(ジョー)

ザ・リーサルウェポンズ サイボーグ・ジョー WHAT's IN? tokyoインタビュー

(笑)2ndシングル「特攻!成人式」は、成人式でハッチャケる若者を描いたナンバー。ジョーさん、こういう文化はご存知でした?

ジョー ヤンキーは知ってたんですけど、歌詞に出てくる“三段シート”とか“シャコタン”は知らなかったですね! アイキッド先生にいろいろ教わってるんですけど、クレイジーな髪型とか、スクールユニフォーム(制服)を改造したり……裏地に文字が入ってるけど、あれは俳句?

アイキッド 俳句じゃないね。“天上天下唯我独尊”とか、難しい漢字が多いんじゃない?

ジョー そうなんですね! そういうジャパニーズの細かい文化、すごく興味あります。

「人生さい後の晴れぶ台」という歌詞もインパクトありますね。成人式が最後の晴れ舞台っていう……。

アイキッド ハハハハ(笑)。中学くらいまでは、勉強ができなくても、声がデカいヤツ、背がデカいヤツ、威張ってるヤツがヒエラレルキーの上のほうにいるじゃないですか。でも、高校を中退するか卒業して、地元で汗水たらして仕事してるときに、彼らがバカにしていたガリ勉くんは東京の大学で大学生活を謳歌してるっていう。そう思うと、地元に残った人たちにとって成人式は、最後の晴れ舞台じゃないかなと。

「半額タイムセール」と同じように、じつはシリアスなメッセージが込められているんですね……。なのに曲はめちゃくちゃアッパーだし、ジョーさんのヤンキーの格好もすごく似合ってますよね。

ジョー 私もそう思います! 紋付き袴のライブにもトライしたいですね!

アイキッド えー、イヤだな……。あとでスタッフの皆さんと相談しといて。

ジョー わかりました!

あれだけキャリアをお持ちの方が、全力で取り組んでくれて。こうでなくちゃいけないな、と思い知らされましたね(アイキッド)

そして新曲「押すだけDJ」がリリースされます。DJに対する複雑な思いが反映された曲ですが、なんとMVにはDJ KOOさんが出演されてて。

ジョー そうなんです! 撮影のときも1日中ニコニコして、盛り上がってくれて。Very Very感動しました。中途半端じゃないですね。

アイキッド あれだけキャリアをお持ちの方が、全力で取り組んでくれて。こうでなくちゃいけないな、と思い知らされましたね。クラブの黎明期から活躍されている素晴らしいDJですしね、KOOさんは。

ジョー しかもDJをちょっとバカにしてるような曲なのに……。

アイキッド そこまでヒドいことは書いてないけどね。ただ、ちゃんとしたDJの方は同じことを感じていると思うんですよ。芸人とかAV女優が、再生スイッチを押すだけでDJっぽいことをやったりするじゃないですか。“何だこれは”と思ったのが、この曲を作ったきっかけなんですよね。曲の途中で変拍子になって、「テンポ合わねえだろ かけれるもんならかけてみな」という歌詞もあって(笑)。

ジョー この曲、歌うのは大変だけどね。音がとても高いので。

アイキッド マジメにボイトレやれば大丈夫! ジョーの声のスイートスポットは、もっと高いところにあるんですよね、じつは。今年に入ってから、かなりボーカリストらしくなってきたしね。

ジョー おお! がんばります!

ストリートファイターⅡとのコラボなんて、子供のときの夢だからね(ジョー)

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ジョーさん、ライブパフォーマンスもカッコいいですよね。9月11日に行われた『ストリートファイターⅡ』とのコラボによる配信ライブも素晴らしかったです。

ジョー 私もVery Very楽しかったよ! ストリートファイターⅡとのコラボなんて、子供のときの夢だからね。ここで人生がストップしたとしても、満足です!

アイキッド カプコンさんの開発チームのみなさんに感謝ですね。「昇竜拳が出ない」は、私が子供のときに口ずさんでた替え歌がもとになっていて。それがストリートファイターⅡとのコラボにつながって、しかも我々がプライアブルキャラクターになって……すごいですよね、ホントに。

コロナが落ち着いたら、ワールドツアーをやりたい! その後は宇宙ツアーですね!(ジョー)
私の目標は現状維持ですね(アイキッド)

ジョーさん、アイキッドさんの次の夢はなんですか?

ジョー コロナが落ち着いたら、ワールドツアーをやりたい! その後は宇宙ツアーですね! 宇宙ツアーはメタリカもやってないよ!

アイキッド 南極ライブまでだよね、メタリカは(笑)。私の目標は現状維持ですね。年収もこのままキープで(笑)。こんなに楽しくやらせてもらって、お金を稼ごうなんてバチが当たりますよ。

堅実ですね(笑)。リアル・80年代スターとの共演なんてどうですか?

ジョー それはいいかも! 本当はメル・ギブソンがいちばん好きなんだけど、彼は発言にいろいろ問題があって……。

アイキッド 差別的な発言がね。

ジョー そうそう。いちばん会いたいのはシルベスター・スタローンですね!

アイキッド 私はチャック・ノリスかな。「ナイトライダー」の主人公を演じていたデヴィッド・ハッセルホフもいいですね。

ジョー いいねえ! 「ゴーストバスターズ」のビル・マーレイにも会いたい!

その他のザ・リーサルウェポンズの作品はこちらへ。

ライブ情報

哭くよウグイス Hey!& 叫!

2020年11月6日(金)  東京キネマ倶楽部(鶯谷)
開場18:00分 / 開演19時00分
※詳細はオフィシャルサイトにて

ザ・リーサルウェポンズ

2019年1月、突如として出現。
80年代~90年代のカルチャーを背景にアメリカ生まれの“サイボーグジョー”と 彼を発明した日本人プロデューサー”アイキッド”が放つ衝撃エンターテインメント。

オフィシャルサイト
https://www.tlw80s.com