LIVE SHUTTLE  vol. 424

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aiko 「また必ずみなさんに逢える日が来ることを信じて」。歌えることの喜びをかみしめながら笑顔で放たれた歌声と濃密な時間から明日への勇気をもらった配信ライブ

aiko 「また必ずみなさんに逢える日が来ることを信じて」。歌えることの喜びをかみしめながら笑顔で放たれた歌声と濃密な時間から明日への勇気をもらった配信ライブ

開演を告げるブザーに続き、鳴り響いたのは「雲は白リンゴは赤」のイントロ。深紅の幕が落ちるとステージには、aikoがいた! 約7ヵ月ぶり、自身2度目となる配信ライブ「Love Like Rock ~別枠ちゃんvol.2~」。おなじみのバンドメンバーたちが生み出す熱量の高いサウンドと、ステージに立って歌えることの喜びをかみしめながら笑顔で放たれるaikoの歌声は、画面越しの僕らを容赦なく圧倒する。その感覚が誘っていく非日常の世界は、何度味わってもやっぱり最高だ。

「今日は楽しんで帰ってください!」

「あたしの向こう」「プラマイ」「ドライブモード」とオープニングから間髪入れずにキラーチューンを連発していくaiko。サウンドに合わせて楽し気にステップを踏み、しゃがんだり、くるくる回転したり、寝っ転がったりと、自由奔放なパフォーマンスを見せる。そんな彼女を見ていると、こちらも自然と笑顔になってくる。ほっぺたをぷくっと膨らませながら床を鍵盤のように両手で弾いて見せる愛らしい姿など、細かな動きや表情まで堪能できるのは配信ライブならではの強みと言えるだろう。4曲終えた時点ですでにしっとりと汗に濡れているaikoが愛おしい。

「あらためましてこんばんは、aikoです。7ヵ月ぶりのライブ……その間はいろんなことがありすぎて記憶がちょっと飛んでいるので、このライブでいろんなものを取り返そうと思います」

久々の披露となった「桃色」では、楽曲の持つ色あせぬ魅力を瑞々しく届けた。Twitter上には感動の声が次々と書き込まれていく。「冷凍便」では画面越しのオーディエンスをしっかり見つめ、手を振ってくれる瞬間があった。1人ひとりと目を合わせ、1対1で歌を届けていくaikoの姿勢は、どんなスタイルのライブでも一切変わることがない。まるで後光が差しているような神々しい光の演出の中で歌われたのは「格好いいな」。ライブならではのダイナミズムを感じさせながらも、丁寧にメロディをなぞり、言葉を乗せていくことで胸を打つ説得力が生まれていく。

「ほんとにすっごい嬉しいし楽しいし。このまま終わらへんかったらいいんやけどね」

とライブに対してのリアルな想いを吐き出した後、キーボードのたつたつ(佐藤達哉)さんに「昨日、何食べましたか?」と質問するaiko。それに対し「納豆たまごかけごはん」と回答が返ってきたと同時にスタートしたのは、「こいびとどうしに」。aikoとバンドメンバー全員が口笛を奏で、ほっこりとしたムードに包まれたこの曲は、ロックなライブにおける一服の清涼剤となった。

「夢見る隙間」は、昨年8月に行われた立川談春35周年記念公演「玉響~Tamayura~」で1回だけ披露されたことのあるジャジーなアコースティックバージョンで。普段なかなか見ることのないアダルトで色気のあるaikoの表情は多くのオーディエンスの心に鮮烈な傷を残したはず。続く「星のない世界」も幻想的な照明の中、アコースティックバージョンで届けられた。柔らかさの中に凛とした強さを感じさせるボーカルが心に染みた。

11曲目には新曲「ハニーメモリー」をライブ初披露。せつなすぎる詞世界が、柔らかなリズムを持ったメロディと優しい歌声によって絶妙な温度感で表現されていく。aikoにしか生み出し得ないという意味では王道的なミディアムナンバーと言えるが、そこには確実に最新のaikoの姿が刻み付けられているように思う。その後に歌われた2月リリースの「青空」とともに、このパートでは2020年のaikoのモードが垣間見られたようでうれしかった。「青空」のエンディングでは後ろで手を組んで、軽やかにステップを踏んでいたaiko。その姿が破格のキュートさだったことを記しておきたい。

「恋の涙」からスタートした後半戦。バンドメンバーと楽しそうに絡みつつ、アップテンポのナンバーで会場の熱をますます高めていく。カメラに近寄り、とびきりの笑顔を見せながらハイタッチよろしく両手を見せることで、その向こう側にいるオーディエンスとより深く、密に繋がろうとしていることも伝わってきた。照明が激しく飛び交う中で歌われた「染まる夢」では、テンション高く暴れまくるバンドサウンドにパワフルなボーカルで応戦。ラスサビ前の「ああぁーーーーーーうぅーー」は鳥肌が立つほどのヤバさだった。流れる旋律が柔らかな風を吹かせた「クラスメイト」を経て、ここ最近のライブでは外せないキラーチューンとなっている「ハナガサイタ」へ。円形ステージを縦横無尽に動き回りながら、曲に込めた思いが激しく放たれていく。そこで生まれる熱は画面を通してもしっかり伝わってくるほどだ。そして、「どうもありがとうございます。まだまだいきます!」と叫び、「be master of life」へ突入。イントロでは「もっと動いて!」とバンドメンバーを煽り、自らもここまでで1番のロックなパフォーマンスで魅了していく。“あなたに出逢えたこの奇跡”を“みんなに出逢えたこの奇跡”と歌い変えていたことにも感動。「男子、女子、そうでない人、全員!」のコール&レスポンスも飛び出し、ライブはクライマックスを迎えた。

「コロナになってから、こんなにライブが大事なものだと、こういった形でこんなふうに思うなんて思わなかったです。だから今日ほんとにライブができてとても良かったです。また必ずみなさんに逢える日が来ることを信じて一生懸命頑張るので、みんなも元気に楽しく生きてください。本当にどうもありがとうございました」

ラストナンバーは「約束」。歌詞の中で歌われる想いは、これまでのどんな瞬間よりも深いリアルをともなって、まっすぐに僕らの胸に突き刺さった。aikoからのあたたかな、次にまた逢うための“約束”にオーディエンスが言葉にできないほどの感動に包まれる中、ライブは終了した。

……と思いきや! エンドロールが流れた後、アンコールとして「Loveletter」を猛烈なテンションで届けてくれたaiko。コロナ禍でのやるせない想いや、目の前に観客がいないことへの寂しさを強く感じていたことは間違いないが、次への希望を胸に抱きながら暴れまくってライブに幕を下ろすのはまさに彼女らしいところ。この日の濃密な時間は、ライブに参加したすべての人たちが前を向いて力強く生きていくための大きな糧となったことだろう。そんな力をくれるのがaikoであり、“それがーラーイブ!”なのである。

文 / もりひでゆき
©ポニーキャニオン

aiko オンラインライブ「Love Like Rock〜別枠ちゃんvol.2〜」
2020年10月17日

SETLIST

1.雲は白リンゴは赤
2.あたしの向こう
3.プラマイ
4.ドライブモード
5.桃色
6.冷凍便
7.格好いいな
8.こいびとどうしに
9.夢見る隙間
10.星のない世界
11.ハニーメモリー
12.青空
13.恋の涙
14.染まる夢
15.クラスメイト
16.ハナガサイタ
17.be master of life
18.約束
E1.Loveletter


配信日時:2020年10月17日(土)20:00スタート
アーカイブ配信期間:10月24日(土)23:59まで
▼チケット申し込み・詳細は「Love Like Rock 〜別枠ちゃんvol.2〜」特設サイトをご覧ください。
http://aiko.com/llr_betsu2/

その他のaikoの作品はこちらへ。

https://aiko.lnk.to/LLR_betsu2

aiko

1975年11月22日生まれ。大阪府出身。シンガーソングライター。1998年7月に、シングル「あした」でメジャーデビュー。メロディはもちろん、彼女の恋愛観で綴られる歌詞に、そしてライブでの熱いパフォーマンスに、幅広い年齢のファンが支持している。

オフィシャルサイト
https://aiko.com

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