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ReoNa 一対一で向き合い、上手く歌うのではなく、伝わるように歌う。THE FIRST TAKEで魅せた「ANIMA」歌唱での“存在感” 

ReoNa 一対一で向き合い、上手く歌うのではなく、伝わるように歌う。THE FIRST TAKEで魅せた「ANIMA」歌唱での“存在感” 

“絶望系アニソンシンガー”を標榜する女性シンガー、ReoNa。10月7日にリリースされた1stアルバム『unknown』がオリコン週間ランキングで4位に入るなど、徐々に注目度を高めている。

シンガーとしてのスタートは、“神崎エルザ starring ReoNa”名義の活動。2018年8月に「SWEET HURT」(TVアニメ『ハッピーシュガーライフ』のEDテーマ)でソロデビューを果たした彼女は、その後、「forget-me-not」(TVアニメ『ソードアート・オンライン アリシゼーション』のEDテーマ)、「Untitled world」(スマホRPG『アークナイツ – 明日方舟 -』中国版 1st アニバーサリー主題歌)などアニメ、ゲーム関連の楽曲を次々とリリースし、アニソンファンを中心に知名度を高めてきた。ブレイクのきっかけとなったのは、2020年7月に発売された4thシングル「ANIMA」(TVアニメ『ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworld』2ndクールのOPテーマ)。“魂の色は 何色ですか”というフレーズから始まるこの曲は、空間を切り裂くようなビート、歪んだギターフレーズを軸にしたアッパーチューン。一つ一つの言葉をリスナーに向けて真っ直ぐに届けるボーカリゼーションによって、ReoNaの存在はさらに幅広い層のリスナーに浸透した。

また、ライブ・パフォーマーとしての資質も開花。2019年2月からは初のワンマンライブツアー「ReoNa Live Tour 2019 “Wonder 1284”」を開催し、全会場ソールドアウト。観客と一対一で向き合うステージングは、多くのファンの心を捉えた。アルバム『unknown』に関するインタビューの際に彼女は、「ReoNaのお歌を受け取りに来てくれるみなさんにはそれぞれの人生があって、大切な1日を使って会場に来てくれている。だからこそ、できる限り“一対一”で届けたいんです」とコメント。この真摯なスタンスもまた、リスナーを強く惹きつける理由だろう。

アルバム『unknown』は、ReoNaの基本的なスタンスである“名もなき絶望に寄り添いたい”という思いに貫かれた作品だ。そのことを端的に示しているのが、1曲目に収められたタイトルチューン「unknown」。アコースティックなサウンドを中心に据えたトラックとともに<あなたらしく生きれないとしたら それは優しいあなたのせいじゃない>というフレーズが広がるこの曲は、自分の人生に確信を持てず、いつも不安に苛まれているリスナーの心に寄り添い、ゆっくりと温めてくれるはず。それは本作の精神性につながると同時に、彼女自身が歌い続ける意義にも結びついていると思う。

PENGUIN RESEARCHの堀江晶太が作詞・作曲・編曲を手がけた「BIRTHDAY」も、彼女自身の人生観が反映されている。昨年末にPENGUIN RESEARCHとステージで共演し、彼らの代表曲「それでも闘う者達へ」を歌ったReoNaは、堀江から「“それでも死ななかった理由”をテーマにしたい」と言われたという。実際、「BIRTHDAY」には、どんなに辛い状況であっても、“死ななかった理由”に直結するような言葉が刻み込まれている。まったく先が見えない現在においてこの曲は、さらに多くのリスナーの心を揺さぶることになるだろう。堀江が創り出す刺激的なメロディに切実な感情を宿らせるボーカルも素晴らしい。

もう一つ、「絶望年表」についても記しておきたい。デビュー前からReoNaの音楽活動を支えてきた毛蟹(LIVE LAB.)、ハヤシケイ(LIVE LAB.)が作詞・作曲・編曲を担ったこの曲は、「絶望年表」というタイトル通り、人生の絶望を綴った楽曲。彼女自身の手で書かれた“絶望年表”がもとになったこの曲には、驚くほどリアルな言葉が歌詞に刻まれている。だが、この楽曲は暗くもなければ、痛々しくもない。むしろ<痛みが少し治まるまで 暗闇に少し慣れるまで それまで そばにいられるぐらいでいいよ>というフレーズによって、救いにも似た感情が感じられるのだ。単に絶望や傷を見せるのではなく、あくまでも“名もなき絶望”に寄り添う。シンガーとしてのReoNaの矜持がはっきりと伝わる、記念碑的な楽曲だと思う。

そしてアルバム全体を貫いているのは、どこまでも生々しいボーカルだ。上手く歌うのではなく、伝わるように歌う。日本を代表するシンガーの多くがそうであるように――吉田美和、MISIA、平井 堅、宇多田ヒカルなど――彼女もまた、メロディともに言葉を聴き手に手渡すことができる歌い手なのだ。

ReoNaの歌の魅力は、10月9日に公開されたTHE FIRST TAKEの「ANIMA」からも明確に感じ取ることができる。「今日は一発録り。温度だったり、空気だったり、想いだったり、ライブみたいにお歌を受け取ってくれてる“あなた”がいることを想像して、お届けします」。そんな言葉とともに届けられた「ANIMA」は、アコギとピアノのシンプルなアレンジによって、さらに生命力を増し、全てのフレーズが真っ直ぐに突き刺さってくる。一対一で向き合うこと、そして、思いを届けること。ReoNaの真骨頂とも言える素晴らしい歌唱だと思う。「ANIMA / THE FIRST TAKE」は公開から7日で300万再生を突破。海外のリスナーからのコメントも数多く寄せられ、彼女の歌が国境を越えて評価されていることがわかる。ReoNaはここから、我々の想像を超えるようなフィールドに向かって進んでいくだろう。

文 / 森朋之

その他のReoNaの作品はこちらへ。

ライブ情報

12月8日(火)に開催の生配信ライブ「ReoNa Online Live “UNDER-WORLD”」、政府発表のガイドラインに基づき、有観客にて開催することが決定!

ReoNa Online Live “UNDER-WORLD”
12月8日 LINE CUBE SHIBUYA
※詳細はオフィシャルサイトにて

ReoNa(レオナ)

10月20日生まれ。
陰のある少女らしいルックスながら、繊細で深い、少年の様な歌を歌うシンガー。
2017年開催の「SACRA MUSICオーディション」のファイナリスト。
TVアニメ『ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン』にて、劇中歌アーティスト「神崎エルザ」の歌唱を担当、「神崎エルザ starring ReoNa」として2018年7月4日(水)にミニアルバム『ELZA』をリリース。
そして2018年7月放送開始のTVアニメ『ハッピーシュガーライフ』のエンディングテーマ「SWEET HURT」にて、8月29日(水)にソロデビュー!

オフィシャルサイト
https://www.reona-reona.com