連続テレビ小説『エール』特集  vol. 7

Interview

“闇市の犬井”役のサプライズ出演で話題沸騰! 語り・津田健次郎が明かす『エール』との縁(えにし)。

“闇市の犬井”役のサプライズ出演で話題沸騰! 語り・津田健次郎が明かす『エール』との縁(えにし)。

“朝ドラ”=連続テレビ小説『エール』も、いよいよ物語終盤へ。戦争によって自身の心も傷ついた裕一(窪田正孝)が音楽によって再起、日本中の人々を元気づける曲を生み出していく過程が描かれていく中、10月27日(火)放送の第97回では、語りを担当している津田健次郎がサプライズ的に出演を果たした。戦後の荒涼とした状況の中、やさぐれてしまった久志(山崎育三郎)の麻雀仲間・犬井という役どころで、ふだんのソフトな語り口のイメージとは裏腹に、ドスのきいた声で裕一や鉄男(中村 蒼)を恫喝する“憎まれ役”を熱演。その姿に驚いた『エール』ファンも多いことだろう。このジャストなタイミングで、WHAT’s IN? tokyo『エール』特集にて、津田健次郎のインタビューを公開。犬井として現場に立ってみての気持ちや語りで心がけていること、そして、自身と『エール』の浅からぬ縁について、じっくりと語ってもらった。

取材・文 / 平田真人 撮影 / 冨田 望


カメオ的にちょっとだけ出るのかなと思っていたので、役名とセリフをいただいてビックリしました(笑)。

エール 津田健次郎 WHAT's IN? tokyoインタビュー

予定では、津田さんが犬井役として本編にご登場された直後にこの記事がアップされているはずでして…。

わ、そうですか! それはとてもとてもありがたいことです。

おそらく津田さんのサプライズ出演は、大反響を呼んでいることだろうと予測しております。

いやぁ、『エール』を見てくださっているみなさんに喜んでいただけるといいんですけれどもね。ちょっとだけカメオ的に出るのかなと思っていたら、まさかの役名とセリフまでいただくという…(笑)。

連続テレビ小説『エール』より ©NHK

しかも、いつもの「語り」の柔らかな語り口とは正反対の役どころだったという…。すごく基本的なことを訊いてしまいますが、犬井の声色と語りの発声における区別を意識されたのでしょうか?

実はあまり意識してはいないんですよ。台本を読んだ上で、闇市という荒んだ世界を生きていく中で、犬井もやさぐれてしまったのだろうなとイメージできたこともありますし…そもそも、声そのものをコントロールすることが僕としてはそんなに好みではなかったりもするんですよね。演じる人物の気分を感じ取れる──その人物の“モード”に入った時に、肉体や精神状態と声が密接にリンクすると思っていて。その時に自然と出てくる音というものを大事にしたいなと、僕自身は考えているんです。

話は前後してしまいますが、『エール』本編への出演オファーを耳にされた時、率直にどう思われたのでしょう?

語りとして参加させていただいていることを差し引いても、個人的にとても好きな作品なので、出演させていただけるのは本当にうれしかったです。実は以前に「カメオでもいいから、出てみたいなぁ」なんて冗談まじりで話していたこともあったんですよ(笑)。ほんの少しの出演ですが、まさか実現するとは思ってもみなかったので、とにかくビックリしましたね。

連続テレビ小説『エール』より ©NHK

ご自身がお芝居をするということもあって、第20週(96~100回)の台本はいつもとちょっと違う読み方になったのではないでしょうか?

まず、犬井のセリフを覚えなければならなかったものですから、そこはちょっと読み方が違っていたかもしれませんね。戦後間もない時期に荒んだ生活をおくっている久志(山崎育三郎)を中心としたエピソードの中で、絡ませていただく1人なんですけど…とにかく闇市で暮らすあやしい人と言いますか、何者かよくわからない──けっして堅気ではなさそうな人物ととらえて、演じさせていただきました。見た目も薄汚れていて、顔にも泥がついていたりするような…。簡単に言ってしまえばガラの悪い、ドスのきいた感じのキャラクターをとことん楽しもう、と(笑)。

実は一度きりの登場ではなくて、再登場するシーンがありますね。詳しくは言えませんけれど…台本を読む限り、彼の実像が見えてくる描写になっているなと思いました。

そうなんですよね。日替わりして、犬井がもう一度出てくる別シーンになったところで、「犬井にもいろいろあるんだな」と思える芝居をさせてもらえて、すごくありがたいなと思いました。現場では、ずっと語りを入れながら見守ってきた窪田さんや育三郎さんたちとお会いすることができて、うれしかったです。

連続テレビ小説『エール』より ©NHK

そのお話を受けまして…久志役の山崎育三郎さん、裕一役の窪田正孝さん、鉄男役の中村 蒼さんの“福島三羽ガラス”全員との共演シーンがあります。お三方とご一緒されてみて、どんな印象を抱かれましたか?

みなさん、本当に人当たりが柔らかくフランクに受け入れてくださったので、とても現場では居心地がよかったですね。窪田さんと育三郎さんとはスタジオの前室で撮影の合間に他愛のないお話もさせていただいて…。育三郎さんからは「僕、ラジオ番組を持っていますので、津田さん、もし良かったら…」なんて言ってくださって。「ええっ、僕を呼んでくれるんですか!?」なんてやりとりもしました(笑)。もちろんタイミングだったり、実現するかどうかはわからないですけど。窪田さんは緊急事態宣言の自粛期間中に結構アニメ作品をご覧になったみたいで、「津田さんはあの作品であのキャラクターの声を担当なさっていたんですね!」といったお話をしてくださったり。僕は僕でずっと最初からみなさんのことを見てきたので、「裕一や久志が落ち込んでいる姿を見ると、せつなくなってしまうんですよ〜」なんていうことを語ったりしていました。

僕の撮影自体は終わってしまって、あとはまた語りの収録で『エール』に携わっていきますけど、これからはスタジオに顔を出したりして、撮影現場にも行かせてもらおうかなと思っています。実は、(取材の)数日前、語りの収録時にスタジオへ行ってみたんですが、お三方がいらっしゃらなくて。その時は松井(玲奈=吟役)さんがいらっしゃったので、ご挨拶させていただいて。次は、三羽ガラスのみなさんと再会したいですし、音(二階堂ふみ)さんにもお会いしたいですね(笑)。

エール 津田健次郎 WHAT's IN? tokyoインタビュー

このところ、実写のドラマに出演される声優さんも増えてきていますが、津田さんご自身は今後もドラマや映画でのお芝居のお話が来たら、受けていくのでしょうか?

もともと舞台から役者を始めて、声優の仕事をするようになっていったという経緯がありますので、顔を出して芝居するのは大好きなんですよ。声の収録とは現場の雰囲気や、芝居のアプローチも全然違っているのが楽しいですし、とてもエキサイティングな時間を過ごさせていただいたなぁ、と思っていますので、お声掛けいただければ「それはもう、よろこんで!」というオープンなスタンスでお待ちしています(笑)。

エール 津田健次郎 WHAT's IN? tokyoインタビュー

中高生の時から「栄冠は君に輝く」が大好きだったので、『エール』とは勝手にご縁を感じているんです。

話は変わりまして、「語り」についてうかがえればと思います。津田さんは誰かの目線というものを想定されて、収録に臨まれているのでしょうか? たとえば、『なつぞら』の内村光良さんの場合は、ヒロインのお父さんでしたが…。

台本上でも特に誰かの語りであると意味づけされていないので、そういった想定はしていないですし、むしろ意味づけをするべきではないかなと思っていて。強いて意識しているとするなら、語り──ナレーションという立ち位置でしょうか。それに、収録の回数を重ねていくにつれ、当初思っていた以上に物語に寄り添った語りをしていることに気づいたんです。誰なのかは明確じゃないですけれども、この物語をとても温かい目で見ている誰か、というような立ち位置なのかな、なんて感じていて。演出チームとはそういうお話をしたことがないんですけど、僕からすると、そういう…何となく不思議な立ち位置からの目線だったりするんですよね。

エール 津田健次郎 WHAT's IN? tokyoインタビュー

ちなみに、ドラマパートと時代背景を説明するパートとでは、声のトーンやテンションに変化をつけていらっしゃったりするのでしょうか?

歴史上の事実を述べていくところでは、キッチリとした語りを心がけています。重みがないとドラマそのものを壊してしまうのではないかという懸念が少なからずありますし、当時の様子を記録したフィルムが使われている部分では、語りが事実の重みに負けてしまう恐れもある。その辺のさじ加減やテンション、雰囲気や空気感といったものは演出のスタッフさんとお話して、調整していますね。ただ、あまりに重くなりすぎてズーンと沈んでしまっても、朝から見るのがつらくなってしまうので、「ここはもう少しフラットな語りにしましょう」「ここは、気持ちを乗せていきましょう!」といった感じで、シーンに合わせています。

合点しました。ところで、“朝ドラ”での語りを担当されてからの反響を、どのように受け止めていらっしゃるのでしょうか?

そうですね…朝ドラの反響は僕の周りの人たちからも、かなりダイレクトにいただけますし、SNSやインターネット上でもリアクションが大きくて。ふだん連絡を取らない人からも『見てるよ~』と言ってもらったり、お話をしたことがなかったスタッフの方々からも「津田さん、朝ドラ見てます!」と声を掛けていただく機会が増えて、僕としてはめちゃくちゃうれしいですね。やっぱり、朝ドラの影響力というのは大きいのだなということを、あらためて実感している日々です。

エール 津田健次郎 WHAT's IN? tokyoインタビュー

今回、『エール』での語りを担当されたことによって、声のお仕事の幅が広がりそうだといった展望はありますか?

今回のように20何週にもわたってレギュラーで語りを務めさせていただくのは初めてですが、改めて1人で語る面白さも感じているので、ドシドシお声掛けください(笑)。真面目な話、演技的な声の表現をベースにキャリアを重ねてきましたが、朝ドラの“語り”は演技とはまたちょっと違っていて…しかもナレーションと同じでもない、独自の世界観を表現することの面白さを感じているんです。なので、収録が毎回、すごく楽しみなんですよ。裕一と音、ほかのキャラクターたちの心情にどう寄り添おうか、と考えながら、演出チームをはじめとするスタッフのみなさんと一緒につくらせていただいている一体感も“ならでは”かな、と思っていて。コミカルなシーンでは結構、遊びも入れさせてもらっていて、「こういうのを入れてみては、どうですかね?」なんて提案させていただいてみたり──。豊かだなと感じられるものをたくさん得られるので、すごく楽しませてもらっていますね。

連続テレビ小説『エール』より ©NHK

キャラクターたちに寄り添う感覚というのは、たとえばどういった…?

裕一と音に関して言いますと、第1週の子どもだった時から、ずっと見守っているような気持ちだったりしますね。でも、人生は楽しいことばかりじゃなく、苦しい時もあるわけです。たとえば、戦時中の裕一や音たちを描いた何週間かは、『エール』の中でもしんどい時期です。もちろんそういう回に限った話じゃないですけど、キャラクターたちの気持ちにより近づくようなつもりで、でも近づき過ぎないように語りを入れさせてもらっています。犬井が登場する週では久志が荒んでいますけれども、裕一や鉄男とともに苦しみを乗り越えていく骨太で感動的なストーリーとして描かれていて。そんな重厚なドラマをスタッフやキャストのみなさんが一丸となってつくっているんだなという気概を、映像を通じて僕自身もビシビシと感じていますね。

そういったところも踏まえまして、9月の放送再開後で津田さんの心に残っていらっしゃるエピソードを挙げていただければと思います。

裕一が「長崎の鐘」を作曲するくだりがあるんですが、この一連のお話がすさまじく重厚なんですよ。吉岡秀隆さん(『長崎の鐘』著者の永田武役)がご登場なさるんですが、窪田さんとのやりとりにはものすごく引き込まれました。毎回、語りの収録をする前に一度、該当週の映像を拝見するんですが、語りをどう入れようか考えるのも忘れて見入っていたくらい、見応えのあるエピソードです。特に窪田さんと吉岡さんのやりとりは、とても神聖な空気に満ちたシーンになっていると思います。(※第19週「鐘よ響け」放送前の9月下旬に取材しました)

連続テレビ小説『エール』より ©NHK

楽しみにしております。では、この特集に出てくださるみなさんに共通でうかがっている質問をさせてください。津田さんにとっての思い出の朝ドラを挙げるとすると…?

小学生のころ、登校する前の食卓ではテレビが点いていて、自然と朝ドラが流れていた記憶があります。中でも印象的なのは、『おしん』(1983年-1984年)ですね。後世に残る名作中の名作ですが…。

当時、“大根めし”を食べてみたいと思ったりは…!?

あ〜、思いました。あまりにも未知の世界すぎて「どんな味がするんだろう?」って、子どもながら興味がわいたというか。いやぁ、懐かしいですね、“大根めし”というワードそのものが(笑)。おしん(小林綾子)がまた美味しそうに食べるものだから、「ちょっと食べてみたい!」と思ったんですけど、結局食べずじまいでした。

エール 津田健次郎 WHAT's IN? tokyoインタビュー

きっと、めちゃくちゃ美味しいものでもないと思います(笑)。では、最後に。津田さんにとってエールとなり得る、元気がもらえる歌は何でしょう?

これは「栄冠は君に輝く」ですね。学生時代、そのころは(裕一のモデルである)古関裕而先生が作曲されたとまったく知らずに、高校野球でかかっていたのを聴いて、「なんて素敵な曲なんだろう」と思ったんです。高校球児たちのプレーも青春そのもので感動的なんですけど、「栄冠は君に輝く」が映像に加わると、さらに泣けるという…。そんなふうに中学・高校のころから大好きな曲だったんですけど、今回『エール』で古関先生がつくった楽曲だったと知って、勝手にご縁を感じたと言いますか、久しぶりに再会したような喜びをおぼえました。「いずれ『栄冠は君に輝く』がどうやって生まれたのかがエピソードとして描かれるのか!」と思って、1人でずっとワクワクしていたんですよ(笑)。

これも、まさしくご縁なのでしょうか。津田さんが犬井として登場された回から、裕一が「栄冠は君に輝く」の作曲を手がけ始めるという…!

そうなんですよ、まったくの偶然なんですけれどもね(笑)。詳しくは『エール』本編を見ていただくとして、「栄冠は君に輝く」という曲にはすごくポジティブなエネルギーがあるんだなぁと改めて思ったので、これからも元気をもらいたいときに聴こうと思っています。


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10月27日(火)~11月3日(火・祝)23:59


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津田健次郎

1971年6月11日生まれ、大阪府出身。1995年、テレビアニメ『H2』の野田敦役で声優デビュー後、アニメ・吹き替え・CMナレーションなど声優業を中心に俳優としても活動し、映画の監督や舞台の演出も手掛けている。現在、NHK連続テレビ小説『エール』の語りを務めているほか、TVアニメ『呪術廻戦』七海建人、『ゴールデンカムイ』尾形百之助を担当している。

オフィシャルサイト
http://tsudaken.com/

オフィシャルTwitter
@tsuda_ken

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2020年度前期
連続テレビ小説『エール』

【毎週月曜日~土曜日】
総合:午前8時00分~8時15分
BSプレミアム・BS4K:午前7時30分~7時45分
総合:午後0時45分~1時00分(再)
※土曜日は一週間の振り返り。

出演:窪田正孝 二階堂ふみ 中村 蒼 山崎育三郎 仲 里依紗 野間口 徹 井上希美 北村有起哉 ほか
音楽:瀬川英史
主題歌:GReeeeN「星影のエール」
語り:津田健次郎

オフィシャルサイト
https://www.nhk.or.jp/yell/

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