Interview

SUPER BEAVER 新作「突破口」は、TVアニメ『ハイキュー!! TO THE TOP』第2クール オープニングテーマ。結成15周年、ブレずに歩んできた今、見える景色とは?

SUPER BEAVER 新作「突破口」は、TVアニメ『ハイキュー!! TO THE TOP』第2クール オープニングテーマ。結成15周年、ブレずに歩んできた今、見える景色とは?

結成15周年を迎え、2020年6月にメジャー再契約後、最初のシングル「ハイライト / ひとりで生きていたならば」をリリースしたSUPER BEAVER。ニューシングル「突破口 / 自慢になりたい」にも、様々な壁を乗り越え、確固たる存在感を獲得してきた4人のリアルな意志と音が刻み込まれている。新たなフェーズを迎えたメンバーに、本作の制作とバンドの現状について語ってもらった。

取材・文 / 森朋之


この15年を振り返って、「今、歌えることって何だろう」ということも考えて(柳沢)

フェスもイベントもない夏、どうでした?

渋谷龍太(Vo) 暇でしたね(笑)。こんなにずっと東京にいる夏は初めてだし、ライブがないからって、どこかに遊びに行けるわけでもなくて。

藤原“32才”広明(Dr) 電子ドラムを買って、基本的な練習を久々にやったりはしたけど、それでも時間は余りますからね。

柳沢亮太(G) 曲は作ってましたけど、毎日毎日出来るかって言えば、そうじゃなくて。3月、4月は「時間があるんだから、いろんなことをやってみよう」という意思があったけど、夏はどうしたらいいかわからない時間もありました。

渋谷 わかる。

柳沢 以前はライブの合間に(曲作りの)スイッチを入れたんだけど、いまはライブがなくて。張り合いがないというか、調子狂うなという感じでしたね。

上杉研太(B) 音楽でやれることは限られているというか。畑を契約して、野菜育てたりはしてましたけど(笑)。

だから日に焼けてるんですね(笑)。

上杉 (笑)制作もスタジオが使えなかったから、基本的にデータのやり取りで。DTMの勉強ができたのは良かったですけどね。

渋谷 誰としゃべっても行き着く場所は同じというか、結局「乗り越えるしかないよね」という話になるんですよね。それ以上話しても、生産性がないというか……。いままではライブがあって、地方にいって、いろんな景色を見て、人と話すことでモチベーションを保っていたところがあって。それが全部なくなって、何もしてない日もあったんですよ。何も生み出せないし、何も吸収してない日が何日かあって、それがまた落ち込む原因になったり。

柳沢 俺もあった。

渋谷 どうにかしなきゃという気持ちもあったし、いまは何とか折り合いをつけている感じです。

ライブやフェスに行くのが習慣になっていたオーディエンスも、今年の夏は張り合いがなかっただろうし。

渋谷 そういう声もよく聞きました。俺もライブに行くのが好きだし、好きなものを取られたキツさはわかりますね。

そんな状況のなか、ニューシングル「突破口 / 自慢になりたい」がリリースされます。まず「突破口」はアニメの楽曲(『ハイキュー !! TO THE TOP』第2クールのオープニングテーマ)ですが、まさにいまの状況に対するメッセージになっているなと。

柳沢 図らずも、という感じですね。曲を作ったのは、こういう状況になる前なので。

紆余曲折、山あり谷ありでしたからね。他のバンドとは違う道のりだったし、それを自分たちで超えなくちゃいけなくて(渋谷)

そうなんですね。しかも、SUPER BEAVERの現状ともしっかり重なっていて……まあ、すべての曲がそうかもしれないですが。

渋谷 そうですね(笑)。

柳沢 アニメ作品と自分たちがリンクするところも意識しながら作ってましたからね。SUPER BEAVERの歩みにも当てはまるし、この15年を振り返って、「今、歌えることって何だろう」ということも考えて。しんどいことも含めて、常に“今”と向き合ってきたバンドだし、そのなかで心に刻んだことも歌にしたかったというか。それがいまの状況ともつながってるんでしょうね。

渋谷 紆余曲折、山あり谷ありでしたからね。他のバンドとは違う道のりだったし、それを自分たちで超えなくちゃいけなくて。誰かの力を借りることもあったし、壁を迂回したり、穴を開けようとしたり、いろんなやり方でここまで来て、「どんなことがあっても、何とかなるんじゃないか」と思えるようになってるんですよね、今は。諦めたり投げ出したりせず、意思を持って続ければどうにかなるはずだって。

柳沢 うん。

渋谷 だからこそ、今年のような状況でも、腐らずにいられるんでしょうね。どこかに希望的観測があるし、そのスタンスは、「突破口」にもモロに出てると思います。

自分たちの力で超えてきたからこそ、「どうにかなるはずだ」と思えるんでしょうね。

渋谷 そうですね。何とかならないこともあったけど(笑)、それをそのままにしないで、どこかのタイミングで「これだけやれたんだから、帳消しだろ」ってこともあったし。どんな状況でもひっくり返せると思ってます。

逆境があるとテンションが上がって、燃えてしまうところがあって(藤原)

SUPER BEAVERは“メジャー落ち”も経験してますが、それでも前進できたのはどうしてだと思いますか?

藤原 うーん…。まずバンドが好きだし、あと、悔しいことがあると気合いが入っちゃうんですよ。体育会系というか(笑)、逆境があるとテンションが上がって、燃えてしまうところがあって。強いものを倒したい、勝てるかわからなくても挑みたいっていう。

ずっと地続きだし、いろんな経験を重ねるなかで、気付いたら年齢を重ねて、バンドも長く続いて。すごく健全だなと思ってます(上杉)

少年ジャンプのヒーローみたいな。

藤原 そういうところはありますね(笑)。上手くいくことも、そうじゃないこともあるけど、勝負を繰り返してきたし、「負けっぱなしじゃイヤだ」という気持ちが原動力なのかも。もちろん、期待してくれる人、応援してくれる人の力も大きいですけどね。

上杉 うん。常に乗り越えたいものがあって、全員で登ってきたからこそ、今があって。ずっと地続きだし、いろんな経験を重ねるなかで、気付いたら年齢を重ねて、バンドも長く続いて。すごく健全だなと思ってます。

「突破口」には、<精一杯が 惨めに思えたって 格好つけた逃走よりも 何百倍もいい>とシンガロングするパートがあって。これをオーディエンスと一緒に歌うことで、メッセージが共有され、さらに強くなる感覚もありますね。

柳沢 それも自分たちのスタイルですね。ライブで成立する曲も多いし、会場で鳴らしたいと思いながら作ってるところもあるので。ただ、今は観客の人数を減らさないといけないし、声も出せないですからね。俺らのライブのやり方を考えると、超きついですよ、やっぱり。

渋谷 そうだよな。自分がライブを見に行ったときも、会場の一部になって、「俺は今、ここにいる」という感覚がすごく好きで。一緒に歌うっていうのも、その一つなんですよね。そのこと(観客は声が出せないこと)を想定したライブを考えないといけないでしょうね、しばらくは。

これまでの活動のなかで出会ってきた人たち、支えてくれた人たちとか、いろんな人に対する気持ちですね、「自慢になりたい」は(柳沢)

「自慢になりたい」はいつごろ制作した曲なんですか?

柳沢 この曲も去年のうちにありました。この気持ちもずっと持っているんですけど、きっかけとして大きかったのは、インディーズからメジャー再契約に至ったことですね。その話が具体性を帯びてきた時期に作った曲なので。

渋谷 そうか。

柳沢 うん。SUPER BEAVERを好きでいてくれる人はもちろん、これまでの活動のなかで出会ってきた人たち、支えてくれた人たちとか、いろんな人に対する気持ちですね、「自慢になりたい」は。

渋谷 インディーズからメジャーにフィールドが変わったことに対しては、“自慢”みたいな気持ちはないんですけど、ドラマを作れたという感覚があって。1回メジャーを落ちて、また呼び戻されて、“いいよ、やりましょう”っていう。

まさにドラマですよね。そんな経験をしているバンド、なかなかいないので。

渋谷 そうですよね(笑)。それを求めていたわけではないし、もっと波風を立てず、ずっとメジャーでいられたほうが良かったのかもしれないけど、今になってみると「全部必要なことだったんだな」って。その経験によって変われたところ、自信を持てたところもたくさんあるので。

「自慢になりたい」を歌ってるときは、過去の思い出が蘇ることも?

渋谷 ありますね。「都会のラクダ」という小説を連載してるんですけど、そのなかで「自慢になってみたかった」って書いてるんですよ。10代の頃のエピソードなんだけど、けっこう明確に覚えていて。当時は「友達の自慢になりたい」と思ってたんだけど、その後、両親だったり、バンド仲間に対しても、「自慢になりたい」と思うようになって。聴いてくださっている人たちにも「こいつらを好きでよかった」「このバンドの音楽を聴いてよかった」と思ってもらえるバンド、フロントマンでいたいなと。

過去のライブで言ったことを切り取っても、“いまの状況にドンピシャ”ということもあると思うんですよ(渋谷)

なるほど。「自慢になりたい」の<また会おう そのために 選び続けていく>という歌詞も、今聴くとグッときますね。なかなか人と会えない時期もあったし……。

藤原 前はなかなか刺さってくれなかったんですけどね(笑)。

柳沢 (笑)。何て言うか、普通のことを歌っている感じもあるんですよ。特別なこととか、「閃いた!」みたいなことではなくて。

渋谷 そうかもね。

柳沢 前回のシングル(「ハイライト / ひとりで生きていたならば」)に10年くらい前の曲(「まわる、まわる」)を再録したんですけど、それが響くということは、普段感じていることを丁寧に曲にしてきたんだろうなと。聴いた人は「これ、昨日思ったことと同じだ」って感じてくれるかもしれないし、そのときはピンと来なくても、どこかのタイミングでハッとすることもあるだろうし。

渋谷 曲もそうだし、過去のライブで言ったことを切り取っても、“いまの状況にドンピシャ”ということもあると思うんですよ。それはきっと、根幹の部分が変わってないからでしょうね。経験や思いが重なって厚くなることはあっても、根幹は同じというか。

バンドをとりまく状況だけが変わっているのかもしれないですね。

渋谷 そうかも。

上杉 ありがたい変化ですよね。

柳沢 うん。自分たちはずっと同じことを表現していて、その視点が変わっているだけかも。

サウンドメイクも基本、変わらないですよね。一貫して生々しい音を追求していて。

柳沢 やり方は変わらないですね、確かに。「まずはドラムとベースから」ではなくて、全員でスタジオに入って、せーの!でバーンと音を出して。いいテイクが録れたら渋谷にズバッと歌ってもらって、あとは必要なところだけギターやコーラスを重ねて。アレンジの段階で、まずは楽器隊が好きなようにやって、迷ったら渋谷にジャッジしてもらうのも同じだし。

渋谷 うん、大きくは変わってないと思います。個々がレベルアップしてる部分はあると思いますけど。

やっぱり「これがいい」と素直に感じたことが最優先ですね(渋谷)

トレンドの音に寄せる、みたいな発想もないですよね。

柳沢 それは考えたこともなかった(笑)。いいのか悪いのかわからないけど。

渋谷 音楽に造詣が深くて、引き出しがたくさんあれば、そういうこともできるんでしょうね。「俺らはこれだろ」って思っちゃってるところがあるし、「これが好きでやってるんだから、それでいい」というところも正直あるので。求められてること、需要に応えることも必要でしょうけど、ビジネスに結びついてしまうと、音楽をやってて面白くないと思ってるんですよね。やっぱり「これがいい」と素直に感じたことが最優先ですね。

初回生産限定盤の特典CDには、「証明」 (17.04.30 日比谷野外大音楽堂 単独公演) 、「うるさい」 (18.04.30 日本武道館 単独公演) 、「美しい日」 (20.01.12 国立代々木競技場 第一体育館 単独公演)など6曲のライブ音源を収録。

柳沢 いろんな会場でライブをやらせてもらってきたから、今一度、SUPER BEAVERのライブの雰囲気も伝えたいと思って。改めて聴き直してみると、会場によって曲の聴こえ方が違うんですよね。ライブでしか成立しない雰囲気があるし、それもぜひ感じてほしくて。

撮影が入っているからって「ちゃんと演奏しよう」と思うわけではないし(藤原)

メンバーのみなさんにとっても、過去のライブを振り返る機会になった?

渋谷 ライブの音源、普段は聴かないですけどね。

柳沢 特にこの人は聴かないんですよ(笑)。

渋谷 その場でしか成り立たないことをやってきたんだなって、最近、改めて感じていて。その場の空気、会場の広さ、スピード感だったり、その瞬間だけのものというか。たとえばライブレポートしてもらって、文字起ししたものを読むのもけっこうキツイんですよね(笑)。

柳沢 特にMCはね。

渋谷 そうそう。今回のライブ音源の選曲もメンバーとスタッフに任せたし、必要最小限しか聴いてません(笑)。

藤原 僕もそうですね。撮影が入っているからって「ちゃんと演奏しよう」と思うわけではないし、ちゃんと演奏することが良いライブになるかといえば、そうではないので。もちろん、ダメなライブはやってないですけどね(笑)。

ライブに来たことがある人はいろいろ思い出すだろうし、音源よりもライブの印象が強いところもあると思うので(上杉)

リスナーは嬉しいですけどね、もちろん。

上杉 そうですよね。ライブに来たことがある人はいろいろ思い出すだろうし、音源よりもライブの印象が強いところもあると思うので。このご時世だから、ライブ音源を聴くとお預けを食らってる感じになって、切なくなるかもしれないけど。「もうちょっと待っててください」としか言えないですからね。

15周年を記念したツアーは、残念ながら全公演が中止。次のビジョンも描きづらいですよね……?

渋谷 そこはもう割り切る以外にはないですね。今年は年間で10本も出来ないと思うし、いつもの1/10くらいになりそうで。そこで意地を張っても仕方ないですから。ただ、“仕方ない”で終わらせないで、ここで引いた分、来年、再来年は1歩でも2歩でも前に出てやろうと思ってますけどね。

柳沢 スタジオでの制作に関しては、自分たちが気を付ければやれるので。人と人との関わりはもう動き始めているし、音楽自体が全部ストップしているわけでもなくて。やれることを考えて、少しずつ進めていきたいです。

めちゃくちゃ期待してます。最後に、最近聴いている音楽について教えてもらえますか?

渋谷 今も月に10枚くらいはCDを買って聴いてるんですけど、ロックは多くなくて、日本のヒップホップが中心ですね。最近いいなと思ったのは、LIBROというラッパーかな。5年くらい前まではハードコアとかパンクとか、速い曲ばっかり聴いてて。その後、ヒップホップを聴き始めて、いまは半々くらいですね。もともとTHA BLUE HARBが好きだったのもあるし。

柳沢 普段聴いてるのは、女性シンガーが多いんですよ、僕は。バンドの音楽はあまり聴かないかも。

上杉 走ってるときにマリリン・マンソンを聴いたりしてますね。車に乗ってるときは、ザ・クラッシュとか、ザ・ダムドとか。

オリジナルパンクの代表バンドですね。藤原さんは?

藤原 ここ数年好きなのは、The 1975ですね。blink182のトラヴィス・バーカーが大好きなんですけど、彼がヒップホップの人とよくコラボしていて、そういう曲も聴きますね。ブリング・ミー・ザ・ホライズンとヤングブラッドの「Obey」も好きです。

SUPER BEAVERの音楽性とはかなり違いますね。

柳沢 そもそもの成り立ちが、そういう感じなんですよ。普段聴いているのものはそれぞれ違うし、共通して好きな音楽はあんまりないんだけど、SUPER BEAVERとして鳴らすとこうなるっていう。そこも変わらないですね。

その他のSUPER BEAVERの作品はこちらへ。

ライブ情報

12月8日(火) 12月9日(水) SUPER BEAVER 横浜アリーナ2days 生配信ライブ決定!
詳細はオフィシャルサイトで

SUPER BEAVER

渋谷龍太(Vo)、柳沢亮太(G)、上杉研太(B)、藤原“32才”広明(Dr)の4人によって2005年に東京で結成された。
2009年6月にEPICレコードジャパンよりシングル「深呼吸」でメジャーデビュー。
2011年に活動の場をメジャーからインディーズへと移し、年間100本以上のライブを実施。
2012年に自主レーベルI×L×P× RECORDSを立ち上げたのち、2013年にmurffin discs内のロックレーベル[NOiD]とタッグを組んでの活動をスタートさせた。2018年4月には初の東京・日本武道館ワンマンライブを開催。
11月にはインディーズながらシングル「予感」がテレビドラマ『僕らは奇跡でできている』の主題歌に抜擢され話題を呼ぶ。
2019年11月に兵庫・ワールド記念ホールと2020年1月には東京・国立代々木競技場第一体育館で初のアリーナ単独公演を行った。
結成15周年を迎えた2020年、Sony Music Recordsと契約を結んだことを発表。約10年ぶりのメジャー再契約となる。5月27日に発売された『LIVE VIDEO 4 Tokai No Rakuda at 国立代々木競技場第一体育館』が6/8付オリコン週間総合音楽DVD・BDランキングにて第1位を記録。6月10日に発売された両A面シングル『ハイライト / ひとりで生きていたならば』の表題曲である「ハイライト」と「ひとりで生きていたならば」がiTunes ロックチャートにて1位と2位を獲得し、バンドの勢いがそのまま表れた結果となった。「ひとりで生きていたならば」が11月13日(金)より公開の中条あやみ主演映画『水上のフライト』の主題歌に起用される。10月21日にはメジャー再契約第2弾シングル『突破口 / 自慢になりたい』がリリース。表題曲「突破口」は10月2日(金)よりMBS,TBS,BS-TBS “アニメイズム” 枠にて 放送中のTVアニメ『ハイキュー!! TO THE TOP』第2クール オープニングテーマに起用されている。
今最も注目のロックバンド。

オフィシャルサイト
http://super-beaver.com