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LiSA THE FIRST TAKEでの新作「炎」の圧巻の歌唱。そして3年5ヵ月ぶりのアルバム『LEO-NiNE』。彼女自身の格闘のなかで得てきたスキルと覚悟に支えられ作品と歌声はさらに進化し、深化していく。

LiSA THE FIRST TAKEでの新作「炎」の圧巻の歌唱。そして3年5ヵ月ぶりのアルバム『LEO-NiNE』。彼女自身の格闘のなかで得てきたスキルと覚悟に支えられ作品と歌声はさらに進化し、深化していく。

ニューシングル「炎」(映画『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』主題歌)、そして、大ヒット曲「紅蓮華」(TVアニメ『鬼滅の刃』)を含むニューアルバム『LEO-NiNE』を10月14日(水)に同時リリースしたLiSA。この2作について彼女は、「炎のように。ライオンのように。強く、たくましく、優しく、自分らしく、未来を最高だと信じながら、どこまでも進んで行けますように」という確信に溢れたコメントを寄せている。2020年の日本のエンターテインメントにおいて、この2作がもっとも注目すべき作品であることは間違いないだろう。

まずは「紅蓮華」のヒットをきっかけにした、LiSAの躍進ぶりを紹介したい。

2019年4月に先行配信された「紅蓮華」は、オリコン週間デジタルランキングで2週連続1位を獲得(5月6日付/13日付)したのをはじめ、数々のデイリーチャートを席巻、配信デイリーチャートにて、38冠を達成。その後もロングセールスを続け、「第70回NHK紅白歌合戦」に初出場を果たした。今年6月には100万DLを突破するなど、名実ともにLiSAの代表曲となっている。

10月16日(金)から公開された『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の主題歌「炎」もリリース直後から驚異的なチャートアクションを記録。作曲はTVシリーズのエンディングテーマ「from the edge」も手掛けた梶浦由記、作詞は梶浦とLiSAが共作したこの曲は、エモーショナルなロックバラード。ドラマティックな映画のストーリーとリンクした歌詞、濃密な感情表現をたたえたボーカルなど、圧倒的なクオリティを実現した名曲だ。「炎」は10月12日に配信が開始され、各音楽配信サイトのデーリーチャートで1位を獲得。55冠を達成し、「紅蓮華」を上回るスタートを切った。10月13日にはMVがYouTubeで公開。夜明けから日の出までの時間の中で撮影され、幻想的な浜辺で披露されるパフォーマンスは既に強烈な注目を集めている。

前作『LiTTLE DEViL PARADE』(2017年5月)以来、約3年5ヵ月ぶりとなるフルアルバム『LEO-NiNE』には、「紅蓮華」のほか、「赤い罠(who loves it?)」(TBS系『CDTV』オープニング主題歌)、「unlasting」(アニメ『ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworld』エンディングテーマ)、「ADAMAS」(アニメ『ソードアート・オンライン アリシゼーション』オープニング主題歌)を収録。話題のアニメ楽曲を軸にしながら、ロックとポップを行き来しながら自由に遊びまくるような作品に仕上がっている。

アルバムの核になっているのは、1曲目の「play the world! feat.PABLO」(作詞:LiSA、田淵智也 作曲:PABLO a.k.a. WTF!? 編曲:PABLO a.k.a. WTF!?)だろう。

ヘビィロック直系のバンドサウンド、壮大なスケールを感じさせるメロディとともに響く“この世界を遊び尽くせ!”というメッセージは、LiSAの根源的なスタンスと直結している。現状から目を逸らすことなく、自らの意思と才能で“自分自身とオーディエンスが自由に遊べる場所”を作り上げてきた彼女。この曲に示されたアティチュードは、先が見えない社会を生きる人々の感情をしっかりと引き上げてくれるはずだ。

「マコトシヤカ」(作詞:田淵智也 作曲:田淵智也 編曲:江口 亮)は、プロ野球チーム「中日ドラゴンズ」CBCテレビ・ラジオ野球中継テーマソング。エッジの効いたギターサウンドと突き抜けるようなスピード駆け抜けるビート、“まだまだいける!勝ちにこだわろうぜ!”という思いを込めた歌詞が一つになったアッパーチューンだ。ポジティブに振り切ったリリックを高らかに歌い上げるボーカルからは、彼女自身がこれまでのキャリアのなかで――さまざまな壁を乗り越えながら――手にしてきた強さがはっきりと伝わってくる。

“オトナの土ドラ”『13(サーティーン)』の主題歌に起用された「愛錠」(作詞:LiSA 作曲:草野華余子 編曲:江口 亮)は、LiSAにとって初めてのドラマのタイアップ楽曲。作曲は「紅蓮華」を手がけた草野華余子。絡み合って離れないダークな愛を表現する歌声からは、シンガーとしての深化が強く感じられる。

さらにエレクトロニカ〜R&Bのエッセンスを感じさせる官能的なミディアムチューン「わがままケット・シー」 (作詞:金井政人 (BIGMAMA) 作曲:金井政人 (BIGMAMA) 編曲:江口 亮)、現実と理想のギャップと格闘しながら、それでも前に進んでいく決意を描いた「BEAUTIFUL WORLD」(作詞:LiSA 作曲:小南泰葉 編曲:江口 亮)などを収録。優れたクリエイターとともに、自らの音楽世界をさらに発展させている。ここで強調しておきたいのは、本作の充実ぶりは、デビュー以来、彼女自身が切り開き、進化させてきた音楽性とボーカル力の上に成り立っているということだ。ロックバンドのボーカリストとしてキャリアをスタートさせたLiSAは、アニメソングのシーンで注目を集めた後、“求められること”“表現したいこと”を高いレベルで共存させながら進んできた。アニソン、J-ROCK、J-POPのフィールドを越え、幅広い層のリスナーに支持されている現状、そして、アルバム『LEO-NiNE』は、彼女自身の格闘のなかで得てきたスキルと覚悟に支えられているのだ。

最後に、10月16日に公開された「炎」のTHE FIRST TAKEでの歌唱を紹介したい。“フーッ”と息を吐き、集中力を高めた彼女は「お願いします」という合図とともにピアノと歌だけで「炎」の世界を描き始める。『鬼滅の刃』の主人公の竈門炭治郎、妹の竈門禰󠄀豆子を中心にした深遠な物語性、そして、『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の軸となる煉󠄁獄杏寿郎(“鬼殺隊”の主軸となるメンバー“柱”の一人)の姿を投影した歌を、すべてのフレーズに強い感情を込めながら綴っていくボーカルはまさに圧巻。

歌い終わった後、笑顔のままで涙を流し、「何か…いろんなことを思い出しました。ありがとうございました」と語る姿も強く心に残った。LiSAがTHE FIRST TAKEに登場するのは、「紅蓮華」「unlasting」に続き3度目。「炎」の渾身のパフォーマンスが大きな話題を集めることは必至だ。

文 / 森朋之

その他のLiSAの作品はこちらへ。

ライブ情報

LiSA初の有料オンラインライブの開催
「ONLiNE LEO-NiNE」
【配信日時】2020年12月12日(土)
サイトオープン19:00 配信開始20:00
【ONLiNE LEO-NiNE特設ページ】
https://k.lxixsxa.com/ONLiNE_LEO-NiNE/

LiSA

岐阜県出身、6月24日生まれ。
’10年春より放送されたTVアニメ『Angel Beats!』の劇中バンド「Girls Dead Monster(通称:ガルデモ)」2代目ボーカル・ユイ役の歌い手に抜擢され、ガルデモ名義でのシングル・アルバム累計40万枚以上をセールスし、人気を集める。
’11 年春にミニアルバム『Letters to U』にてソロデビュー。
その後、TVアニメ『Fate/Zero』、『ソードアート・オンライン』、『魔法科高校の劣等生』など数々の人気作品の主題歌を担当し、国内のみならず世界中にてヒットを記録。 2018年5月には初のベストアルバム『LiSA BEST -Day-』『LiSA BEST -Way-』を2タイトル同時リリース、オリコン週間アルバムランキング(5/21付)にて1位・2位を独占した。2019年4月に配信開始した楽曲「紅蓮華」は、配信直後に数々のデイリーチャートを席巻、配信デイリーチャートにて38冠を達成。iTunes週間ソングランキングでは初登場第1位、オリコン週間デジタルシングル(単曲)ランキング(5/6付・5/13付)にて2週連続で1位を獲得し、平成最後・令和最初の週間デジタルシングル(単曲)で首位を獲得。9月には2019年に配信された女性ソロアーティスト楽曲として初めて30万ダウンロードを突破し、日本レコード協会の有料音楽配信認定にて「プラチナ」を獲得、2020年1月には「ダブルプラチナ」を獲得。年末には、「第70回NHK紅白歌合戦」への初出場を果たす。
また、圧倒的な熱量を持つパフォーマンスと歌唱力、ポジティブなメッセージを軸としたライブは瞬く間に人気を集め、次々と完売公演(日比谷野外大音楽堂、日本武道館、幕張メッセ、横浜アリーナ2days、さいたまスーパーアリーナ2daysなど)を記録。アニソンシーンにとどまらず、数多くのロックフェスでも活躍するライブアーティストとして、その存在感を示している。

オフィシャルサイト
https://www.lxixsxa.com/