全集中!『鬼滅の刃』特集  vol. 4

Interview

ついに公開『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』 炭治郎役・花江夏樹は、期待の一作にいかなる志で臨んだのか?

ついに公開『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』 炭治郎役・花江夏樹は、期待の一作にいかなる志で臨んだのか?

2019年放送のTVアニメを機に老若男女からもいっそう注目されるようになり、原作の完結後も、世代を超えて強い支持を集めている「鬼滅の刃」。そのTVアニメ最終話からつながる続編を描いた『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』がいよいよ10月16日(金)より全国公開される。アニメーション制作はTVアニメに続きufotableが手掛ける。

短期間のうちに40名以上の行方不明者を出しているという“無限列車”の調査を任された竈門炭治郎(かまど・たんじろう)たちは、鬼殺隊最強の剣士である《柱》のひとり、“炎柱(えんばしら)”の煉󠄁獄杏寿郎(れんごく・きょうじゅろう)と合流し、下弦の壱・魘夢(えんむ)と対峙することに……。

「無限列車編」は、「鬼滅の刃」という作品全体にとっても、炭治郎自身にとっても、大きな支柱となるエピソードの一つだ。闇を往く《無限列車》での壮絶なアクションシーン、新たな鬼の恐ろしい能力、そして炎柱・煉󠄁獄との熱い物語など、見どころを挙げればきりがない。そんなTVアニメ以上の壮絶な戦いを、炭治郎役の花江夏樹はどう演じきったのだろうか。そして「子どもたちにとって、幸せを感じるきっかけになってくれたらいい」という「無限列車編」への思いとは――?

取材・文 / 実川瑞穂 撮影 / 松浦文生 構成 / 柳 雄大


炭治郎の「真面目さ」を形作る演技の裏側

劇場版「鬼滅の刃」無限列車編 花江夏樹 WHAT's IN? tokyoインタビュー

「鬼滅の刃」無限列車編が、劇場版として制作されることが決まったときのお気持ちをお聞かせください。

花江 けっこう衝撃的でした。「続きをアニメでやりたい」という構想はかなり前から伺っていたんですけど、「劇場版」になることは知らなかったんです。以前、TVアニメの第1話から第5話までを特別上映版『鬼滅の刃 兄妹の絆』というかたちで劇場公開したんですが、そのときから映像のクオリティも音響も、スクリーンで映える作品だなと思っていました。「無限列車編」が劇場版になるのはすごく嬉しかったです。

TVアニメや劇場版で炭治郎というキャラクターを演じたことで、ご自身のなかに発見や、役者として新たに開いた扉はありますか?

花江 炭治郎は、心優しく真面目な少年です。家族や禰󠄀豆子のことを思って、みんなのために鬼を倒そうとがんばっている姿を見ていると、やっぱり心にくるものがありますね。僕自身も炭治郎を演じるようになってから、日常で悩んでしまうようなことがあっても「くじけずにがんばろう」と思うことが増えました。でも炭治郎の真面目さって演じる上では難しくて、特にギャグシーンなんかは、どの程度までキャラクターを崩していいのか、いつも迷います(笑)。なにしろ、炭治郎としてはいたって真面目な気持ちで言っている言葉だったりするので。思いっきりギャグ顔になっていれば多少崩して演じても大丈夫なんですが、真顔でしゃべってるときは、あまりおもしろさを狙わずに素直な気持ちで演じないといけないので、難しいところです。

話題作となっている「鬼滅の刃」ですが、劇場版で再び炭治郎を演じることにプレッシャーや難しかった点はありましたか?

花江 プレッシャーは特にありませんでした。難しかったのは、常に緊迫感のなか演じなければいけなかったことです。今回はいままでもよりもさらに強い鬼が登場するんですが、炭治郎たちからしてみれば、いつどこで鬼と遭遇するのかわかりません。だから、物語としての話の盛り上がりポイントや演出はありますが、彼らにとって「その一瞬一瞬が最期になるかもしれない」という緊迫感があるんです。そこは常に意識しながら演じました。あと、「無限列車編」は基本的にはずっと走っている列車内で戦っているので、かなり周囲の騒音がうるさい環境なんです。さらに炭治郎たちは、列車の屋根の上でも戦うので、より一層大きな声を出し続けながら戦わなければいけなくて……。結果、声が枯れてしまって大変でした。

常にクライマックスという精神状態のなか演じる劇場版のお芝居について、キャストさん同士ですり合わせることはあったのでしょうか?

花江 アフレコは一度テストで演じたものを監督やスタッフがディレクションしてくださるので、そこでそれぞれの芝居のテンションを確認しながら演じました。それに、TVアニメで半年間一緒に演じてきたので、お互いに「この人だったらこう演じてくるだろう」みたいなものはなんとなく分かってるんです。なので、自然と呼吸も合っていった気がします。

もし自身が鬼殺隊に入隊するとしたら、9人の柱のうち誰の継子になる?

劇場版「鬼滅の刃」無限列車編 花江夏樹 WHAT's IN? tokyoインタビュー

「鬼滅の刃」といえば炭治郎と禰󠄀豆子の兄妹の絆も印象的ですが、劇場版ではどんなシーンが印象的でしたか?

花江 劇場版はそこまで禰󠄀豆子と一緒にいるシーンが多いわけではないのですが、兄妹の絆や関係性はいままで通り描かれていました。特に、炭治郎のお兄ちゃんらしさを感じるシーンは印象的でした。

劇場版での、炭治郎の戦いについてはいかがでしたか?

花江 鬼殺隊として「死者を出したくない」という思いがあるので難しい戦いでした。しかも下弦の壱・魘夢は、いままでに出会ったことのないタイプの血鬼術を使う鬼。これは倒すのが大変だな……と思いました。

そんな魘夢を演じた平川大輔さんのお芝居についてはいかがでしたか?

花江 魘夢は、とても夢見心地なふわふわとしたお芝居が印象的なキャラクター。圧をかけてくるわけでもなく、大声を出して威嚇してくるわけでもなく、まるで優しい子守唄のような語り口調のお芝居を平川さんがされていたので、逆に怖かったです。思わずゾクゾクっとくる怖さがありました。

煉󠄁獄杏寿郎役の日野聡さんのお芝居の印象をお聞かせください。

花江 頼れる存在ですよね。原作コミックスを読んでいたころから、日野さんの声のイメージで煉󠄁獄のセリフを読んでいたので、煉󠄁獄役が日野さんに決まって嬉しかったです。声の説得力がすごくある方なので、煉󠄁獄さんがしゃべるたびに、身が引き締まります。日野さんは全てのシーンに、全力でお芝居をされる方なので、その背中を追っていくように頑張りました。

「無限列車編」で炭治郎たちを率いる煉󠄁獄杏寿郎は鬼殺隊の主軸となる“柱”のひとり。もし花江さんご自身が鬼殺隊に入隊するとしたら、9人いる柱のうち誰の継子(つぐこ)になりたいですか?

花江 煉󠄁獄さんか、音柱の宇髄天元(うずい・てんげん)さんです。煉󠄁獄さんの後輩思いなところやかっこいいところは単純に憧れます。宇髄さんは、人間として好きな部分が多い大好きなキャラクターですね。

子どもたちの記憶にも強く残る作品になったことは、とても嬉しく思います

TVアニメの放送中はもちろん、放送終了後もずっと続いている「鬼滅の刃」の盛り上がりを、花江さんご自身はどのように感じていますか?

花江 TVアニメの収録中はまだ放送前だったこともあって、どんな反響が起きるのか全然分からなかったんです。まさか小さなお子さんにも見ていただけるような作品になるとは、正直想像すらできていなかったくらいで。こうしていろんな方々にご覧いただける、愛される作品になったのは素直に嬉しいですし、それだけ炭治郎たちのがんばりや気持ちがみなさんに伝わったと思うと、喜ばしいですね。

劇場版「鬼滅の刃」無限列車編 花江夏樹 WHAT's IN? tokyoインタビュー

「鬼滅の刃」のどんなところが、たくさんの人の心に刺さったのだと思いますか?

花江 和の雰囲気が刺さる方もいれば、キャラクターの個性や魅力、セリフのまわしのおもしろさや、心に響く名言の数々に惹かれた方もいると思います。単純に技もかっこいいですし、真似したくなるような「水の呼吸」「雷の呼吸」などの設定も楽しいですよね。それだけたくさんの要素がある作品だからこそ、こんなに多くの方に楽しんでいただけているんだと思います。

花江さんのもとには、お子さんからの声も届いていますか?

花江 届いています! 「うちの子どもが大好きなんです」とか「甥っ子が観てるよ」と言っていただける機会が多くて。たぶんお子さんたちは、声優の存在を意識せずに炭治郎として観てくれていると思うんです。それが嬉しいですよね。僕も小さい頃にハマっていたアニメは、大人になってからも大好きですし、その作品に出演されていた声優さんに仕事でお会いすると、いまだにドキドキするんです(笑)。そんな子どもたちの記憶の中にも強く残る作品として「鬼滅の刃」があったり、炭治郎がいてくれたりすることは、とても嬉しく思います。

「無限列車編」は、子どもたちにとってもかなり刺さる内容になっていますね。

花江 そうですね……。難しいことはまだわからない年齢のお子さんもいるかもしれません。でもそれでも、何かしら感じる部分はあると思います。自分の大切な人や家族と一緒に生活できていることが、実はとても幸せなことなんだと、感じるきっかけになってくれたらいいですよね。

フォトギャラリー

『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』

10月16日(金) 全国公開

【スタッフ】
原作:吾峠呼世晴(集英社ジャンプ コミックス刊)
監督:外崎春雄
キャラクターデザイン・総作画監督:松島晃
脚本制作:ufotable
サブキャラクターデザイン:佐藤美幸・梶山庸子・菊池美花
プロップデザイン:小山将治
コンセプトアート:衛藤功二・矢中勝・樺澤侑里
撮影監督:寺尾優一
3D監督:西脇一樹
色彩設計:大前祐子
編集:神野学
音楽:梶浦由記・椎名豪
主題歌:LiSA「炎」(SACRA MUSIC)
アニメーション制作:ufotable
配給:東宝・アニプレックス

【キャスト】
竈門炭治郎(かまど・たんじろう):花江夏樹
竈門禰󠄀豆子(かまど・ねずこ):鬼頭明里
我妻善逸(あがつま・ぜんいつ):下野紘
嘴平伊之助(はしびら・いのすけ):松岡禎丞
煉󠄁獄杏寿郎(れんごく・きょうじゅろう):日野聡
魘夢(下弦の壱)(えんむ・かげんのいち):平川大輔

©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

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