Interview

ASCA タイトル「Howling」に込めた思いとは? バンドサウンドにした理由、作詞に参加した手応えなど新作の仕上がりを訊く。

ASCA タイトル「Howling」に込めた思いとは? バンドサウンドにした理由、作詞に参加した手応えなど新作の仕上がりを訊く。

ASCAが前作「CHAIN」以来、約8ヵ月ぶりとなる通算7枚目のシングル「Howling」を11月4日(水)にリリースする。表題曲はTVアニメ『魔法科高校の劣等生 来訪者編』のOPテーマで10月4日(日)から先行配信がスタートしている。“Howling”=“吠える”と名付けられたヘヴィーなロックチューンに、彼女はどんな叫びを込めたのか。コロナウィルス感染拡大防止の影響で延期となってしまった全国ツアー「華鳥風月」の話を皮切りに、ニューシングルの制作やライブ活動について、そして、自身の歌に対する思いを聞いた。

取材・文 / 永堀アツオ 撮影 / 荻原大志


自粛前に開催された初めてのツアーでみんなが見せてくれた表情や景色が私を支えてくれてた。そういうのを燃料にして、すごく前向きな気持ちで、「Howling」の制作に向かっていけましたね

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4月から開催予定だった全国ツアー「華鳥風月」が残念ながら延期になってしまいました。ご自身ではどう捉えていましたか。

最初はあまり実感がなかったですね。人命に関わることなので仕方がないなと思ったんですけど、部屋でひとり、延期のお知らせを出し続けていたら、どんどん辛くなってきて。人生で初めて悔し泣きしました。「なるほど。人は悔しくて涙が出るんだ」って。歌が好きだからこんなに涙が出るんだっていうことに改めて気づきましたね。

どんなに涙を流しても、自分ではどうしようもできない状況をどう乗り越えました?

自粛期間の中で、ニューシングル「Howling」の制作を進めてまして。今回、カップリングも含めて、全部の作詞に関わらせてもらったんですけど、1枚を通して、未来に楽しみを持っていきたいなって思ったんですね。すごく悔しくて泣いたけど、そこで、自分と向き合う時間もあった。今までは自分に自信がないから、立ち止まって落ち込むっていうことが多かったんですけど、今回は前向きな向き合い方ができたんですね。自分をこれまで取り巻いていた環境がいかに素晴らしくて、支えてくださってるスタッフの皆さんがどれだけサポートしてくれていたのか。ASCAの活動だけでなく、ひとりの人間としても支えてもらってるなっていうことに改めて気づけたし、最終的には、自粛前に開催された初めてのツアーでみんなが見せてくれた表情や景色が私を支えてくれてた。そういうのを燃料にして、すごく前向きな気持ちで、「Howling」の制作に向かっていけましたね。

表題曲は、TVアニメ『魔法科高校の劣等生 来訪者編』のOPテーマに起用されています。

びっくりしたんですけど、最初にお話をいただいたときに、私としては、新たな挑戦をしたいなという気持ちがありまして。今まではストリングスが入っていたんですけど、今回はあえて無くして、よりバンドサウンドに挑戦してて。

どうして新たな挑戦をしたいと思ったんですか。

昨年12月の全国ツアーは、この曲を作ってくださったSakuさんと回ったんですね。お互いにその経験が誇らしくて、余韻がずっとあって。その後に始まった制作だったので、今までのASCAらしくはないけど、バンドサウンドで、みんなで声を出せる曲を作ろうよってなったんです。おそらくSakuさんと作っていなかったら、全然また違った楽曲ができていたと思います。

あえて今、みんながいないと完成しない楽曲を、未来への希望があるからこそ、作っていきましたね

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ツアー回ったからこそできた曲だったんですね。今となっては、なかなか声を出せない状況ではありますけど。

そうですね。だから、「これ、ライブでできないかもしれないな」っていう思いがあって。もしかしたら、もう届けられないかもしれないと思うくらいのタイミングで作詞もしたんですね。そんな中であえて、カップリングも含めて、声を出せる楽曲を持ってきたんです。それはなぜかというと、自分と向き合う時間があって、みんなが見せてくれた景色を燃料にして制作に入って。で、楽しみを先に持って行きたいというか、未来にきっとまた会えて、一緒にライブができて、声を出せるって信じているから。そういうところにみんなを導いて行きたいとも思っているからこそ、あえて今、みんながいないと完成しない楽曲を、未来への希望があるからこそ、作っていきましたね。

作詞に関してはアニメの制作サイドからのリクエストはなかったですか。

今回のシリーズで登場するリーナという女の子の視点も欲しいって言われました。超強いんですけど、普段はめっちゃ可愛い女の子。原作を読ませて頂いたんですけど、主人公の達也は最初から最強なんですよね。だから、全然共感できなくて(笑)。「なんかもう、すごいですね……」って。憧れはするけど自分とは重ならない。でも、リーナは自分で選べなかった道に立って、ずっと自分と葛藤しながら戦ってる。決められた道で、それでも自分の意思を持って進んでいるところが、私の歌手として歩んできた道と重なるなと思ったので、そこにフォーカスして歌詞を書いていった感じですね。

<独りじゃないだろ>というフレーズからはASCAさんの歌手としての歩みを感じますよね。前作「CHAIN」は初のワンマンライブと初の東名阪ツアーを経て作られた、ファンとの“絆”をテーマにした楽曲だったので、繋がってるなと感じます。

それまでの私は自分自身との戦いが中心で、視野が狭かったと思うんですね。自信もなかったし。なんで他のアーティストさんはみんな、あんなに自信を持って活動できるんだろうって思ってた。でも、その自信の源が最近わかってきて。ライブやツアーを経験したことで、応援してくれてるファンのみんなの力っていうものを感じたんですね。だから、今までの私の楽曲も、同じような歌詞を歌ってきたと思うんですけど、今は自分がより説得力を持って言えることがたくさんあって。

細かいことですけど、“僕ら”というフレーズも実感を持って歌えているわけですね。

そうですね。自分ひとりの世界で歌ってない。想像できる景色をいっぱいもらったから、歌いながらも、“僕ら”っていうワードから出てくる思い出がいっぱいあった。独りじゃないって、本当の意味で気づけたし、みんなが教えてくれたからこそ歌えてる曲になってますし、歌ってるときも、独りっていう感覚では歌ってなかったですね。

<信じ続けろ>とも歌ってますね。

今までもいっぱい歌ってきたんですよね。<信じろ>とか、偉そうに(笑)。ただ、今までって自分のことを信じられてなかったので、自分自身に向けて歌っていたような感覚があったんですね。でも、今はみんながASCAっていうアーティストの存在……完璧じゃない部分も含めて認めてくれている、受け止めてくれるからこそ、私は自信を持って歌い続けていられる。みんなのおかげで私は自分を信じられるようになったから、みんなも自信を持って私を信じていいよって、より言い切ってる。強い気持ちで歌えてると思います。

歌入れも自粛間際のラストレコーディングだったので、もしかしたらもう届けられないみたいな思いで、まさに叫んでて

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タイトルにはどんな思いを込めましたか。

いつ会えるかわからないけど、一生懸命に頑張ってるみんなと声をあげたくて、このタイトルになりました。“みんな”の中には一生懸命に戦ったり、葛藤しているアニメのキャラクターも含まれてます。歌入れも自粛間際のラストレコーディングだったので、もしかしたらもう届けられないみたいな思いで、まさに叫んでて。ここに全部込めておかなきゃっていう気持ちだったんですよね。

これが最後かもしれないというくらいの気持ちで歌ってるんですね。

そうです。だから、やかましいくらいだなって。完成を聴いて、「うるさいわ!」って思ったんですけど(笑)、そんな思いで歌ってましたね。自分の脳内に浮かんでいたのはやっぱりライブで、みんなのことを想像しながら歌ってて。最後かもって思いながらも、絶対に会えるよね、また一緒の空間で声をあげられるよねっていう。ツアーの延期のお知らせを出しながらも、絶対に希望は捨ててなかったし、結果的に出せてよかったです。

ちなみにMVはどんな内容になってるですか。

今回はCGがふんだんに使われておりまして。現実世界というよりは異世界にいるようなイメージですね。衣装も、私がASCAとして歌ってるというよりは、物語の中で狼を従えてる女性という感じで、エキストラの方に悲痛な叫び、思うように行かない苦しさを表現してもらって。ダークなところを担ってもらったんですけど、映像自体はダークなままで終わるわけではなくて今、こういう辛い現状だけど、きっと良い方に向かって行きますようにっていう祈りも込められてます。

ようやく出せた曲ですね。温めすぎて、熟しちゃったくらいなんですけど

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ここからカップリングについてもお話をお伺いしたいと思います。シングルの2曲目にはロックバラード「ハイドレンジア」が収録されています。

実はデビュー前から存在していた、ずっと大好きな曲なんですね。この曲もSakuさんと創ったんですけど、二人で、どうにかして世の中に出したい、届けたいと思っていて。今回、ようやく出せた曲ですね。温めすぎて、熟しちゃったくらいなんですけど、そもそもは1番だけのデモ曲があって。続きの作詞を私が書いてるんですね。美しい1番をどれだけ壊さずに描くか。私は2番からの作詞で奮闘したんですけど、Sakuさんに「自分が想ってる人の気持ちが自分にはもうないことに気付いてしまって。でも、自分はまだその人のことを想っているというお話でよろしいでしょうか」ってヒアリングして。そこから、想像を膨らませつつ、自分の実体験も織り交ぜていったので、すごく難しかったですね。梅雨の時期に書いてたんですけど、今年の梅雨は本当に辛かったです(笑)。

裏切られた曲ですからね。紫陽花の花言葉は「移り気」ですし。物語はどう展開していきましたか。

1番で相手の気持ちがもう自分にはないことに気付いてしまって。2番は、時系列が少し戻って、どうしてそのことに気付いてしまったのかっていうことを書いてます。ストーリーの中で最も絶望してるのが2番ですね。悲しいお話になってるんですけど、曲を聴いたときに、すごく美しくて切ないけど、少しだけ希望も感じたんですよ。だから、悲しいままで終わらせたくないなと思って。もちろん、傷は全然癒えていないんですけど、少しだけ時間が経って、ちょっとだけ前を向けている。少しだけ希望を歌いたくてこうなりましたね。

相手は浮気しただろうに、この楽曲の主人公は、生まれ変わってもまた見つけ出したいという愛を歌ってますよね。

誰かを好きになって、裏切られるのは、すごく辛い経験だと思うんですよ。でも、悲しいのはその人を本当に愛してたからだと思うんですね。そういう経験は絶対に無駄じゃないし、今後生きていく人生の糧になっていくと思うんですね。だから、完全には吹っ切れてはないんだけど、そういう経験ができてよかったっていう、感謝が表れていると思います。

続く「OVERDRIVE」も「Howling」と同じくライブで拳を上げて叫びたいロックチューンになってます。

カッコいい曲ができました。今までは間奏を短くしたい派だったんですけど、ライブでみんなで声を出したいなと思って、初めて間奏の部分を伸ばしてほしいとオーダーしました。だから、これも、みんながいないと成り立たない曲にしてしまいました。それも怖いことではあったんですよね。今はみんなと会えないし、声も出せないし。でも、これもやっぱり、「Howling」と通ずるところではあるんですけど、今は会えないけれど、未来には会える時間が絶対に待ってて。そのときに、一緒に声を出そうよって。未来の楽しみを作るっていうことで、強い気持ちで間奏を伸ばしました。

走り続けるしかないと歌ってる。

はい。歌ってきた道の中で走り続けるのもすごい大変で。ずっと前向きな気持ちではいられないし、どうしても、今のままでいいのかなって思ったりする。でも、私には、自分を信じさせてくれたみんながいる。歌詞に<幻の向こう側へ(栄光の向こう側へ) 君を連れていくよ>ってありますけど、また絶対に会って、最高の景色をみよう、見れるって信じてるっていう気持ちを書きました。

原曲を何度聴いたかわからないくらい聴いてるので、忠実にやろうと思って

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楽しみを先に持っていようっていう希望ですよね。そして、もう1曲、期間生産限定盤にのみ、カバーが収録されています。GARNiDELiA「grilletto」はアニメ『魔法科高校の劣等生』の後期のオープニングテーマでした。

今回、ようやくお届けできるシングルっていう思いが強くて。で、アニメのOPテーマを担当させていただけることのありがたみもひしひしと感じていて。だから、もっとアニメと楽曲を一緒に楽しんでもらいたくて、『魔法科高校の劣等生』の楽曲をカバーさせていただきたいなと思って。

この曲を選んだのは?

私、ライブに何回行ったんだろうっていうくらい、GARNiDELiAさんが大好きなんですよ。この曲で言えば、特に最後のメイリアさんのフェイクが好きなんです。だから、今回、カバーさせていただくにあたって、自分らしさを出すっていうやり方もあると思うんですけど、原曲を何度聴いたかわからないくらい聴いてるので、忠実にやろうと思って。実際にカバーさせていただいて感じたのは、メイリアさんの偉大さしかなかったです。実際にライブでも何回も聴かせてもらっているんですけど、メイリアさんは踊りながら歌ってるんですね。いや、もう、すごいなっていうリスペクトを込めて歌わせてもらいました、

編曲がTeddyLoidさんで、ASCAさんの歌声がカットアップされたり、エフェクトがかけられたりしてます。

出来上がった音源を聴いて、度肝を抜かれましたね。デモ段階から、ディレクションをしてもらったレコーディングを経て、完成したときに一番大変貌を遂げた曲です。私の声も1つの楽器として捉えてるんだなっていうのが驚きでしたし、新鮮でもありましたね。

今を一生懸命に生きなきゃいけない時代にいてくれるだけで、生きてくれているだけで嬉しいなっていう思いが強いですね

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全4曲揃って、ご自身にとってはどんな1枚になりましたか。

やっぱりコロナ禍がなかったら、完成してないシングルではあるなと思います。歌詞を書いていく中でもあまり迷いなく書けたし、歌詞を書きながら、歌を歌いながら、ずっと、応援してくれてるみんなの姿が浮かんでた。今、ほんとみんな一生懸命に今を生きてると思うんですよね。自分ってなんなんだろうって、自信を無くしたりするときもたくさんあると思う。そんな中で、ASCAという存在を知ってくれた人がいて、自分の人生の中に私の楽曲を置いてくれる人がいる。それって本当に当たり前じゃないなってことに気づけたから出来た1枚になっていると思うんですね。だから、この曲を聴いて、「勇気が出ました」とか「一歩が踏み出せました」とか、「励まされました」とか、そういうのは別になくてもいいんです。ただこの、今を一生懸命に生きなきゃいけない時代にいてくれるだけで、生きてくれているだけで嬉しいなっていう思いが強いですね。

そして、まだ声は出せないですが、配信ライブも決定してます。

どうなることやらですね。どういう感情になるか未知ですし。長いこと延期になってきて、すっごい悔しい思いをした。本来だったら4月にやるはずだった楽曲もやりたいし、新曲もやりたいし。構成は当時の想定とは変わってしまうけど、今だからこそできることを残したいと思います。

その他のASCAの作品はこちらへ。

ライブ情報

『ASCA LIVE TOUR 2020 -華鳥風月-』配信ライブが決定!

配信日時:2020年11月7日(土)20:30開場/21:00開演(23:00終演予定)
配信プラットフォーム:「e+ Streaming+」 にて
※アーカイブ視聴は11月8日(日) 23:59まで
※その他の詳細はオフィシャルサイトで

ASCA

愛知県出身、1996年9月5日生まれ。A型。 中学生時代、第5回「全日本アニソングランプリ」に出場、応募者10,000人以上の中からファイナリスト3名まで勝ち抜き注目を集める。 2017年11月、1stシングル「KOE」(TVアニメ『Fate/Apocrypha』2ndクール エンディングテーマ)でメジャーデビュー。2019年、「RESISTER」(TVアニメ『ソードアート・オンライン アリシゼーション』第2期オープニングテーマ)や「RUST/雲雀/光芒」をリリースしスマッシュヒットを記録、それらヒット曲を収 録した1stアルバム『百歌繚乱』は現在もロングヒット中。2020年10月よりスタートするTVアニメ『魔法科高校の劣等生 来訪者編』オープニングテーマにASCA の新曲「Howling」が決定!

オフィシャルサイト
https://www.asca-official.com

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